本記事のポイント
- ターゲットごとの会場差別化:3つのレストランで異なる「冬のぬくもり」を表現し、幅広い客層に対応
- 五感に響くメニュー開発:味だけでなく、香りや音、見た目で「温かさ」を感じさせる演出の重要性
- 地域性の取り込み:全国的な人気メニューと地元グルメ(別府冷麺など)を組み合わせた満足度向上策
ニュースの概要
オリックス・ホテルマネジメント株式会社が運営する「別府温泉 杉乃井ホテル」は、2025年12月15日(月)から2026年2月28日(土)までの期間、館内の3つのビュッフェレストランにて冬限定メニューの提供を開始します。
対象となるのは、洋食中心の「TERRACE & DINING SORA」、和食と絶景を楽しめる「和ダイニング星」、そしてエンターテインメント性の高いワールドダイニング「シーダパレス」です。
各レストランでは、「冬のぬくもり」をテーマに、身体の芯から温まるメニューを展開。「SORA」では豆乳ブイヤベースや国産豚のフリカッセ、「星」では水炊きや鰤の藁焼き、「シーダパレス」ではイタリアの伝統料理カルトッチョなど、各会場のコンセプトに合わせた料理が用意されます。温泉リゾートとしての強みを活かしつつ、冬の閑散期になりがちな時期に、食の魅力を高めることで集客と満足度向上を図る取り組みといえます。
宿泊業にとってのポイント
今回の杉乃井ホテルの事例から読み取れる、宿泊業・おもてなしの観点での重要ポイントは、「シーズナリティ(季節性)を『メニュー名』だけでなく『体験』としてどう落とし込むか」という点です。
単に「冬メニュー」として食材を変えるだけでなく、「ぬくもり」という情緒的な価値をテーマに設定し、それを各レストランのターゲット層(ラグジュアリー層、和食・シニア層、ファミリー層)に合わせて最適な調理法で提供している点が巧みです。大規模施設ならではのエリア戦略とも言えますが、小規模な施設であっても「顧客の属性に合わせた季節感の演出」は非常に参考になる視点です。
背景と理由の整理
なぜ今、こうした「情緒的価値」や「コンセプトの明確化」が重要なのでしょうか。
1. 「モノ消費」から「コト消費・トキ消費」への深化
宿泊客は、単にお腹を満たすための食事ではなく、その土地、その季節でしか味わえない特別な体験を求めています。「冬だから鍋」というだけでなく、「湯けむりの街で味わうぬくもり」というストーリーを付加することで、食事の価値が「体験」へと昇華されます。
2. 多様なニーズへの対応と分散化
杉乃井ホテルのような大型リゾートでは、三世代旅行やカップル、グループなど客層が多岐にわたります。全ての客層を1つの会場で満足させようとすると、メニューや雰囲気が中途半端になりがちです。 本事例のように、レストランごとに「洋食・ラグジュアリー」「和食・絶景」「エンタメ・ファミリー」と役割を明確にし、それぞれの文脈で「冬のメニュー」を展開することで、どの層にとっても満足度の高い滞在を提供できます。
3. オフシーズンの誘客力強化
一般的に冬場(年末年始を除く)は観光需要が落ち着く傾向にあります。温泉地にとっては書き入れ時でもありますが、競合も多いため、単に「温泉がある」だけでは選ばれにくくなっています。「わざわざ行きたくなる食事」を用意することは、冬場の集客を安定させるための強力な武器となります。
具体的な取り組み・ニュース内容の解説
杉乃井ホテルの冬限定メニューに見る、具体的な工夫を紐解いてみます。
会場ごとの特性を活かしたメニュー設計
- TERRACE & DINING SORA(宙館)
- ターゲット:上質な滞在を求める層
- メニュー:豆乳ブイヤベース、国産豚のフリカッセ
- 解説:洋食中心の上品なラインナップ。「クリーム煮」や「ブイヤベース」といった、見た目にも温かみがあり、かつ高級感を感じさせるメニューを採用しています。豆乳を使うことでヘルシー志向にも配慮している点が現代的です。
- 和ダイニング星(星館)
- ターゲット:和食を好む層、落ち着いた食事を求める層
- メニュー:水炊き、鰤の藁焼き、別府冷麺
- 解説:「水炊き」という王道の鍋料理で安心感を与えつつ、「藁焼き」の実演でライブ感を演出しています。また、「別府冷麺」のようなご当地グルメを温・冷選べる形式で提供することで、地域体験のニーズも満たしています。
- ワールドダイニング「シーダパレス」
- ターゲット:ファミリー、グループ
- メニュー:カルトッチョ(包み焼き)、苺のティラミス風デザートピッツァ
- 解説:包み焼きを開ける瞬間の香りや楽しさ、見た目が華やかなデザートピッツァなど、子供から大人まで楽しめる「エンタメ性」を重視しています。「雪景色をイメージした豆乳みぞれ鍋」など、視覚的な季節感も意識されています。
自社への活かし方のヒント
杉乃井ホテルは大規模施設ですが、この戦略は中小規模の旅館やホテルでも応用可能です。
1. 「一品」に魂を込める演出
全メニューを変えるのが難しい場合でも、メインの一品や、着席時に最初に提供される一皿(先付やスープなど)に、強烈な季節のストーリーを持たせてみてはいかがでしょうか。「冬の寒さから到着したお客様を、最初の一口で芯から温める」といったコンセプトでメニューを開発すると、記憶に残るおもてなしになります。
2. 調理プロセスの可視化(ライブ感)
大規模なオープンキッチンがなくても、例えば「お客様の目の前で鍋の蓋を開ける」「熱々の出汁をテーブルで注ぐ」といったアクション一つで、シズル感や温かさは演出できます。シーダパレスの「カルトッチョ(包み焼き)」のように、開けるまで中が見えない演出も、ワクワク感を醸成する良い手法です。
3. 地元食材×季節の物語
「別府冷麺」のように、地域の名物を季節に合わせてアレンジするのも有効です。自地域の冬の食材や郷土料理を、現代風あるいは自施設のスタイルに合わせて「冬限定」として打ち出すことで、遠方からのゲストには新鮮な驚きを提供できるかもしれません。
まとめ
本記事の要点を振り返ります。
- コンセプトの細分化:客層や施設の強みに合わせ、提供する「冬の体験」を最適化することが満足度向上の鍵。
- 五感へのアプローチ:味だけでなく、湯気、香り、音、見た目の「温かさ」を演出することで、冬ならではの価値が高まる。
- ストーリーの付加:「ぬくもり」や「地域性」をメニューに込めることで、単なる食事提供から思い出に残る体験へと進化する。
これからの季節、貴施設の「冬のあたたかさ」をどのように表現するか、改めてメニューや提供方法を見直してみるのも良いかもしれません。
企業情報
施設名:別府温泉 杉乃井ホテル
運営会社:オリックス・ホテルマネジメント株式会社
所在地:大分県別府市観海寺1
総支配人:鞍馬 達也
事業内容:旅館・ホテルの運営(ORIX HOTELS & RESORTS)
公式ウェブサイト:https://suginoi.orixhotelsandresorts.com/
本リリースに関するお問い合わせ
本記事で紹介した内容は、発表時点の情報に基づきます。詳細については、下記または公式ウェブサイトをご確認ください。
担当:別府温泉 杉乃井ホテル 広報担当
電話番号:0977-78-8888(代表)
メールアドレス:suginoi-pr@suginoi-hotel.com
出典:PR TIMES『【別府温泉 杉乃井ホテル】湯けむりの街で味わう、冬のぬくもりディナービュッフェ 冬限定メニューは12月15日(月)より提供開始』(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000481.000101028.html)


