宿泊・旅行業界ニュース

グランピングリゾート熊本 吉無田に学ぶ、周年記念プランと地域誘客のポイント

グランピングリゾート熊本 吉無田
CoCoRo編集部

本記事のポイント

  • 地域限定プラン(マイクロツーリズム): 九州県民をターゲットにした「パスポート」施策による近隣需要の囲い込み
  • グループ集客の強化: 「5名利用で1名無料」という明確なインセンティブによる、団体・グループ層の獲得戦略
  • リトリート体験の訴求: 個室サウナや絶景を活かし、単なる宿泊を超えた「体験価値」を提供する差別化の視点

ニュースの概要

熊本県上益城郡に位置する「グランピングリゾート熊本 吉無田」が、2025年7月で開業1周年を迎えることを発表しました。これに伴い、開業以来の利用者数がのべ3,000名を超えたことへの感謝を示すとともに、さらなる認知拡大と集客を目指した2つの記念プランを展開します。

1つ目は、九州7県在住者を対象とした「1周年記念九州県民パスポートプラン」で、通常料金から10%の割引が適用されます。2つ目は、5名以上のグループ利用において1名分の料金が無料となる「5名利用で1名無料プラン」です。いずれも2025年9月から2026年7月までの期間限定で販売されます。

同施設は、全室にプライベートサウナとガーデンを備え、吉無田高原の自然を活かしたリトリート体験を特徴としています。今回の施策は、地域の顧客基盤を強化しつつ、複数人での利用を促進する狙いがあると考えられます。

周年記念を活かした地域密着とグループ需要の喚起

今回のニュースから読み取れる宿泊業界にとっての重要な視点は、「周年記念という節目を、単なるセールではなく『地域との関係強化』と『ターゲット層の拡大』に利用している点」ではないでしょうか。

開業1周年は、施設にとって最初の大きなマイルストーンです。このタイミングで、全国一律の割引ではなく「九州県民限定」というマイクロツーリズムに焦点を当てたプランを打ち出すことは、足元の商圏を固め、リピーターになり得る近隣顧客とのエンゲージメントを高める効果が期待できます。また、高単価になりがちなグランピングにおいて、グループ利用へのハードルを下げる施策は、客室稼働率と付帯売上(飲食等)の最大化に寄与する有効な一手と言えるかもしれません。

ターゲットを明確にしたプラン設計が求められる背景

なぜ今、このような地域限定やグループ向けの施策が重要なのでしょうか。

近年、宿泊業界ではインバウンド需要が回復する一方で、国内旅行需要の安定的な確保も課題となっています。特に地方の宿泊施設にとって、近隣県からの集客(マイクロツーリズム)は、平日やオフシーズンの稼働を下支えする重要な要素です。「グランピングリゾート熊本 吉無田」のような自然体験型施設の場合、遠方からの観光客だけでなく、週末のリフレッシュを求める近隣住民も主要なターゲットとなり得ます。

また、グランピングは「体験」としての価値が高い反面、ビジネスホテル等と比較すると価格帯が高めに設定される傾向があります。そのため、若年層のグループ旅行や三世代旅行など、複数人でコストをシェアできる層へのアプローチが重要です。「5名で1名無料」というわかりやすいオファーは、幹事が企画を立てやすくするトリガーとなり、結果としてまとまった人数の送客に繋がる可能性があると考えられます。

「パスポート」と「リトリート」で高める体験価値

今回のニュースで注目したい具体的な取り組みとして、「パスポート」という名称の使用と、施設の特徴である「リトリート」の訴求が挙げられます。

単なる「県民割」ではなく「1周年記念九州県民パスポートプラン」と銘打つことで、対象となる地域住民に「自分たちは特別に招待されている」という優越感や親近感を醸成する効果が期待できます。こうしたネーミングの工夫は、プランのクリック率や予約転換率を高める小さな、しかし重要な要素と言えるでしょう。

また、同施設は全棟にプライベートサウナとガーデンを完備し、「リトリート(日常から離れて心身を癒やす)」をコンセプトに掲げています。グループプランであっても、単に「安く泊まれる」だけでなく、「仲間と一緒に絶景サウナでととのう」「プライベートな空間でBBQを楽しむ」といった具体的な体験価値(コト消費)がセットになっている点が強みです。割引はあくまで誘引のきっかけであり、本質的な価値は施設での滞在体験そのものにあるという設計思想が見て取れます。

自社への活かし方のヒント

この事例は、グランピング施設に限らず、多くのホテルや旅館にとっても参考になる点が多いのではないでしょうか。

例えば、自社の周年記念やリニューアルのタイミングで、以下のような視点を検討してみると良いかもしれません。

  • 商圏を意識した限定プラン: 「近隣県民限定」「地域住民向け」の特典を用意し、地元のファンを作る。
  • グループ誘致のインセンティブ: 「◯名以上で特典」など、人数が増えることによるメリットを提示し、客室単価ではなく1予約あたりの総売上を重視する。
  • ネーミングの工夫: 割引プランの名前を「感謝祭」「パスポート」「招待状」など、顧客の感情に訴えるものにする。

また、オペレーションの観点からは、5名以上のグループを受け入れる際の食事提供や接客フローがスムーズに行えるか、現場の負荷を事前にシミュレーションしておくことも大切です。「グランピングリゾート熊本 吉無田」のように、ハード面(設備)の魅力とソフト面(プラン設計)をうまく組み合わせることで、顧客満足度と収益性のバランスを取っていくことが求められています。

まとめ

  • 地域限定プランの活用: 「九州県民パスポート」のようにターゲットを絞ることで、近隣需要を確実に捉える。
  • グループ集客の工夫: 「5名利用で1名無料」のようなわかりやすい特典で、団体利用のハードルを下げる。
  • 体験価値の言語化: サウナや絶景などの強みを「リトリート」として定義し、プランの魅力として伝える。

「グランピングリゾート熊本 吉無田」の事例は、ターゲットを明確にしたプラン設計が、集客とブランディングの両面に寄与することを示唆しています。自社の強みを活かした記念プランを検討してみてはいかがでしょうか。

企業情報

施設概要

  • 施設名: グランピングリゾート熊本 吉無田
  • 所在地: 〒861-3323 熊本県上益城郡御船町田代6702-99
  • 代表: 宇佐美和男
  • 客室数: 5棟
  • URL: https://www.glampingresort-kumamoto.com/

運営会社

  • 会社名: 株式会社ブッキングリゾート
  • 所在地: 大阪市北区梅田2-6-20 パシフィックマークス西梅田13階
  • 代表者: 代表取締役 坂根正生
  • 事業内容: 宿泊施設への集客支援コンサルティング、グランピング予約サイト運営、宿泊施設の開発支援・直営運営など

本リリースに関するお問い合わせ

本ニュースリリースに関する詳細な問い合わせ先情報は、元のプレスリリースをご確認ください。

出典:PR TIMES『【グランピングリゾート熊本 吉無田】おかげさまで開業1周年!~ 感謝を込めて、九州のお客様限定「1周年記念九州県民パスポート」と「5名利用で1名無料」の特別謝恩セールを実施 ~』(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000586.000052784.html

cocoro-lockup-logo-mark-tagline-ja-horizontal
CoCoRo_mockup

スタッフのやりがい向上や離職防止に課題を感じていませんか?

お問い合わせはこちら
CoCoRoのご紹介資料はこちら
CoCoRo編集部
CoCoRo編集部
CoCoRo編集部
サービス業支援メディア運営チーム
CoCoRo編集部は、「感謝の気持ちをカタチにする」ことをテーマに、サービス業界における新しい価値創造を目指す情報発信チームです。​デジタルギフティングや従業員エンゲージメントの向上に関する最新トレンド、導入事例、業界インタビューなど、現場で役立つ実践的なコンテンツをお届けしています。​おもてなしの心をデジタルでつなぐCoCoRoの世界観を、より多くの方々に知っていただくため、日々情報を発信しています。​
記事URLをコピーしました