宿泊・旅行業界ニュース

【インバウンド富裕層】が求める「完全プライベート」な滞在とは?南青山の新施設に学ぶ高付加価値化

和心が展開するサウナバケーションレンタル事業東京2施設目となる都心型ハイクラス宿泊施設『マイグレ南青山』が新規オープン!
CoCoRo編集部

本記事のポイント

  • 富裕層ファミリー層における「他者と接触しない完全プライベート空間」への需要の高まり
  • 都心部における「和モダン」な空間デザインと機能性を融合させた高付加価値化の事例
  • 既存ホテルや旅館が「プライベート感」や「特別感」を演出するために参考にできる視点

ニュースの概要

株式会社和心の子会社であるマイグレ株式会社は2025年11月20日、東京都港区南青山に都心型ハイクラス宿泊施設『マイグレ南青山』をオープンしました。同施設はサウナと滞在を融合させたバケーションレンタル事業「マイグレ」の東京2拠点目となり、特に欧米圏のインバウンド富裕層ファミリーやグループ客をターゲットとしています。

大きな特徴は、ホテルとは異なる「完全プライベートな一棟貸し」である点です。南青山という都心の一等地にありながら、他者の目を気にせず過ごせる環境を提供。内装には障子や墨絵をモチーフにした「和モダン」デザインを採用し、日本の美意識を感じられる空間に仕上げています。観光・ビジネス双方へのアクセスの良さと、居住空間のような快適さを兼ね備えた、新しい滞在スタイルを提案する施設となっています。

インバウンド富裕層が求めるのは「究極のプライベート」と「日本体験」の融合

結論:ハードの豪華さ以上に「専有できる空間」が価値になる

今回のニュースから読み取れるのは、インバウンド富裕層、特にファミリーやグループ層において、「誰にも邪魔されない自分たちだけの空間」へのニーズが依然として強く、さらに洗練されているという点です。

宿泊施設の高付加価値化というと、どうしてもスタッフによる手厚い人的サービスや、豪華絢爛な設備投資をイメージしがちかもしれません。しかし、これからの富裕層戦略においては、「一棟貸し」や「フロア貸し切り」といった「空間の専有性(Exclusivity)」そのものを商品化する視点が、非常に重要になってくると考えられます。

理由:画一的なラグジュアリーからの脱却と「暮らすような旅」

なぜ今、都市部においても「一棟貸し」のようなスタイルが注目されるのでしょうか。

第一に、欧米圏の富裕層を中心とした旅行スタイルの変化が挙げられます。彼らは単なる観光拠点としてホテルを利用するのではなく、訪問先の文化に浸りながら、自宅のようにリラックスして過ごす「暮らすような滞在」を好む傾向があります。一般的な高級ホテルでは、ロビーやレストランで他のゲストと顔を合わせる機会がありますが、完全プライベートな空間であれば、家族や友人と気兼ねなく過ごすことが可能です。

第二に、宿泊業界全体が抱える「人手不足」という課題に対する一つの解としての側面です。一棟貸しやバケーションレンタル形式は、常駐スタッフを最小限に抑えつつ、空間そのものの魅力で高単価を実現しやすいモデルです。オペレーションコストを最適化しながら、顧客満足度を高める手法として、経営的な合理性も高いと言えるでしょう。

具体例:「マイグレ南青山」に見る空間づくりのヒント

今回オープンした『マイグレ南青山』の事例には、既存の宿泊事業者が参考にできる要素がいくつか含まれています。

  1. 「和モダン」をアートとして空間に組み込む単に和室を用意するのではなく、障子をモチーフにした格子や墨絵のようなアートワークを取り入れ、建物全体を一つの作品のように演出しています。これは、外国人ゲストが求める「日本らしさ」を、古臭くなくスタイリッシュに提供する好例です。
  2. 「都心の隠れ家」というポジショニング六本木や表参道に近い利便性を持ちながら、施設内に入ると静寂なプライベート空間が広がるというギャップ(隠れ家感)が、付加価値を高めています。
  3. ウェルネス要素の導入サウナなどのウェルネス設備をプライベート空間内に完備することで、滞在自体の質を向上させています。「好きな時に好きなだけサウナに入れる」という自由度は、パブリックスペースの設備では提供できない強力なフックとなります。

現場での活用:既存施設でも「プライベート感」は演出できる

もちろん、すべての宿泊施設が一棟貸しに転換できるわけではありません。しかし、このトレンドを自社のサービスに取り入れることは可能です。

例えば、食事処を個室メインに改装する、あるいは特定の客室利用者のみが使える専用ラウンジや貸切風呂の時間を確約するといった工夫です。「他者と交わらない時間・空間」を意図的に作り出し、それを「プライベート・ラグジュアリー」として訴求することで、単価アップにつなげられる可能性があります。

また、コネクティングルームを活用して「擬似的なスイート/一棟貸し風」のプランを造成し、ファミリー層へアプローチするという選択肢もあります。重要なのは、ゲストが「自分たちだけのために用意された場所だ」と感じられる演出ではないでしょうか。

まとめ

今回のニュースは、都心部におけるインバウンド富裕層向けの滞在スタイルが多様化していることを示しています。

  • 「空間の専有(プライベート性)」自体が高単価の理由になるという視点を持つ。
  • 日本的な美意識を現代的に解釈した「和モダン」な空間づくりは、引き続き強力なコンテンツになる。
  • 人手をかけすぎずに顧客満足度を上げるモデルとして、バケーションレンタルの要素を研究してみる。

自社の施設において、どの部分であれば「プライベート感」を強化できるか、一度見直してみると、新たな高付加価値化のヒントが見つかるかもしれません。

出典:PR TIMES『和心が展開するサウナバケーションレンタル事業東京2施設目となる都心型ハイクラス宿泊施設『マイグレ南青山』が新規オープン!』(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000225.000018296.html

cocoro-lockup-logo-mark-tagline-ja-horizontal
CoCoRo_mockup

スタッフのやりがい向上や離職防止に課題を感じていませんか?

お問い合わせはこちら
CoCoRoのご紹介資料はこちら
CoCoRo編集部
CoCoRo編集部
CoCoRo編集部
サービス業支援メディア運営チーム
CoCoRo編集部は、「感謝の気持ちをカタチにする」ことをテーマに、サービス業界における新しい価値創造を目指す情報発信チームです。​デジタルギフティングや従業員エンゲージメントの向上に関する最新トレンド、導入事例、業界インタビューなど、現場で役立つ実践的なコンテンツをお届けしています。​おもてなしの心をデジタルでつなぐCoCoRoの世界観を、より多くの方々に知っていただくため、日々情報を発信しています。​
記事URLをコピーしました