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【季節演出】サウナ×香りで冬の宿泊体験を高める:COCO VILLA事例に学ぶ高付加価値化

五感でほどける「冬サウナ」体験を|季節限定の香りを楽しむ本格薪サウナをCOCO VILLA 湯布院で
CoCoRo編集部

本記事のポイント

  • アメニティ(香り)の変更といった「小さな季節演出」が、顧客の記憶に残る体験価値(CX)向上につながる
  • 無人・省人化運営の施設において、五感に訴えるアプローチは「人手をかけないおもてなし」として有効
  • オフシーズンや気候条件(寒さなど)を、コンテンツの魅力に変える逆転の発想が重要

ニュースの概要

貸別荘ブランド「COCO VILLA(ココヴィラ)」を展開するココザス株式会社は、大分県由布市の「COCO VILLA 湯布院」にて、冬季限定のサウナ用アロマ(サウナセント)を提供する企画を2025年11月25日より開始しました。

同施設は1日1組限定、無人チェックインを採用したプライベートヴィラで、本格的な薪サウナを備えています。今回の企画では、フィンランドのサウナブランド「rento(レント)」から、冬の季節感に合わせた2種類の香り(ウインタースパイス、アークティックパイン)を用意。由布院の厳しい寒さを逆手に取り、薪サウナの熱と冬ならではの香りで「ととのう」特別な滞在体験を提案しています。

季節感のある「香り」が、宿泊施設の体験価値を変える

消耗品の工夫ひとつで「記憶に残る滞在」は作れる

今回の事例から読み取れるのは、大規模な設備投資を行わずとも、アメニティや消耗品の選定を季節に合わせるだけで、宿泊施設の体験価値(CX)を大きく向上させられるという点です。

特に「香り」などの五感に訴える要素は、顧客の感情や記憶に直結しやすいと言われます。宿泊事業者にとっては、オペレーション負荷を最小限に抑えつつ、リピーター獲得や満足度向上を狙える有効な施策の一つと言えるでしょう。

ハードの差別化が限界を迎える中での「ソフト」の重要性

現在、宿泊業界では人手不足や建設コストの高騰により、ハード面(客室や設備)での頻繁なリニューアルは容易ではありません。一方で、顧客は単なる「宿泊場所」ではなく、そこでの「体験」や「非日常感」を求めています。

こうした状況下で重要になるのが、「シーズナリティ(季節性)」の演出です。日本の宿泊施設において、四季の食事は一般的ですが、空間の香りや体験コンテンツまで季節に合わせてチューニングできている施設はまだ多くありません。

また、今回の事例のように「無人運営(または省人化)」が進む施設においては、スタッフによる直接的な接客ができない分、「設らえ」や「用意されたアイテム」を通じてホスピタリティを感じさせる工夫が不可欠です。「わざわざこの季節のために選んでくれた」というストーリーは、無人であっても顧客に温かい配慮として伝わります。

COCO VILLA 湯布院の「冬をポジティブに捉える」演出

COCO VILLA 湯布院の取り組みは、地域の課題(冬の厳しさ)を魅力に転換している点が秀逸です。

  • 課題の転換: 湯布院の冬は氷点下になることもあり、一般的な観光では敬遠されがちな要素です。しかし、「熱い薪サウナ」と組み合わせることで、「冷たい外気」を「最高のととのい環境」というポジティブな価値に変えています。
  • 香りの選定:
    • ウインタースパイス: ジンジャークッキーのような甘くスパイシーな香りで、ホリデーシーズンの高揚感を演出。
    • アークティックパイン: 松の香りで、冬の澄んだ空気感とリンクさせる。
  • 運用面: パントリーに設置して自由に利用してもらう形式のため、スタッフの常駐や都度対応は不要です。

このように、既存の設備(サウナ)に「季節限定のアロマ」というワンポイントを加えるだけで、単なる「サウナ付きの宿」から「冬の特別なサウナ体験ができる宿」へと意味づけを変化させています。

自社の現場でどう活かせるか

この事例は、サウナがない施設であっても応用可能です。

  • ロビーや客室のアロマ: 季節ごとに香りを変え、ウェルカムカードでその意図を伝える。
  • バスアメニティ: 冬は保湿重視や温かみのある香りの入浴剤を用意する。
  • ドリンク: ウェルカムドリンクを、夏は冷茶、冬はスパイスティーに変える。

重要なのは、「なんとなく置く」のではなく、「今の季節、お客様にどう過ごしてほしいか」という意図を込めて選定し、それを伝えることです。特に人手不足で接客時間を十分に取れない場合、こうした「モノに語らせるおもてなし」は、従業員エンゲージメントを保ちながら顧客満足度を高める、賢い選択肢となるでしょう。

この記事のまとめ

  • アメニティで季節感を: 設備投資なしでも、香りや消耗品の変更で「旬の体験」は演出できる。
  • マイナス要素の価値転換: 寒さや悪天候も、特定のコンテンツ(サウナや暖炉など)と組み合わせれば強力な武器になる。
  • 無言のおもてなし: アイテム選定の背景にストーリーを持たせることで、省人化オペレーションでも顧客に配慮が伝わる。

出典:PR TIMES『五感でほどける「冬サウナ」体験を|季節限定の香りを楽しむ本格薪サウナをCOCO VILLA 湯布院で』
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000097.000069732.html

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