本記事のポイント
- 渋谷の民泊施設が運用4ヶ月で平均予約率97%を達成、欧米豪インバウンドが牽引。
- 「4〜6名滞在可能」な広さと、長いリードタイムに対応した販売戦略が奏功。
- 専門的な需要予測とダイナミックプライシングが、収益最大化の必須条件に。
ニュースの概要
株式会社羅針盤が提供する民泊・無人ホテル運営代行サービス「COMPASS STAY」は、東京都渋谷区の民泊施設「ORIENS SHIBUYA」において、11月より新規客室の予約受付を開始しました。
同施設は、賃貸マンションを民泊へ転用後、運営代行の開始から4ヶ月目で平均予約率97%を達成するという高い実績を上げています。背景には、2025年10月の訪日外客数が過去最高を記録するなど旺盛なインバウンド需要があり、特に欧米豪からの旅行者が宿泊客の約85%を占めている点が挙げられます。この事例は、都市部における宿泊施設の収益化モデルの一つとして示唆に富んでいます。
インバウンドの「グループ滞在」と「早期予約」を取り込む戦略
ターゲット属性に合わせた「空間」と「価格」の最適化
インバウンド、特に消費単価が高いとされる欧米豪市場をターゲットとする場合、「複数人で快適に過ごせる客室の広さ」と「早期予約(ロングリードタイム)を見越した価格コントロール」が、稼働率と収益性を高める重要な鍵となります。
欧米豪旅行者の行動特性
日本政府観光局(JNTO)のデータでも示されている通り、訪日需要は回復・拡大を続けていますが、国籍によってニーズは異なります。
今回の事例で注目すべきは、欧米豪からの旅行者が宿泊客の大部分を占めている点です。彼らは家族や友人グループ単位で動くことが多く、また航空券や宿泊の手配を数ヶ月前から行う傾向があります。
一般的なビジネスホテルでは対応しきれない「大人数での同室滞在」や「長期滞在時の居住性」を満たす施設への需要は依然として高く、供給が追いついていないエリアでは特に高い稼働率が見込める状況です。
具体例と編集部の示唆
「ORIENS SHIBUYA」の成功要因を分解すると、以下の2点が浮かび上がります。
- ハード面:4〜6名定員の確保大きなスーツケースを広げても余裕のあるスペースと、グループ全員が同じ部屋で過ごせる環境を用意しています。これはホテル運用においても、コネクティングルームの活用や和洋室の提案など、既存資産の活かし方次第で応用できる視点ではないでしょうか。
- ソフト面:データに基づくダイナミックプライシング欧米豪のゲストは3ヶ月以上前から予約を入れるケースが多く見られます。同施設では、エリアの市場動向や季節性だけでなく、予約時期やゲスト属性に基づいたシミュレーションを行い、適切なタイミングで価格を調整しています。
単に「部屋を売る」のではなく、「誰が、いつ、どのような目的で探しているか」に合わせた販売設計が不可欠です。
特に人手不足が課題となる宿泊業界において、こうした「レベニューマネジメント(収益管理)」を専門チームや外部パートナー、あるいはシステムに任せることは、現場の負担を減らしつつ利益を最大化する有効な選択肢と言えるでしょう。民泊に限らず、旅館やホテルにおいても、早期予約層向けのプラン設計や、高単価でも選ばれる付加価値(広さや体験)の訴求が、今後の差別化につながるかもしれません。
まとめ
高稼働を維持するためには、市場のマクロデータ(訪日客数など)だけでなく、自施設が狙うべきターゲットの具体的な行動特性(人数、リードタイム)を把握し、それに合致した商品作りと価格設定を行うことが、結果として最短距離での収益向上につながります。
次に取るべき行動
- 自施設の予約データを分析し、インバウンド客(特に国籍別)のリードタイムと人数構成を再確認する。
- グループ客やファミリー層を取り込める客室レイアウトやプラン(コネクティング、エキストラベッド対応など)が無いか検討する。
- 収益最大化のために、ダイナミックプライシングの導入やレベニューマネジメント体制の見直し(外部委託含む)を検討する。
出典:PR TIMES『COMPASS STAY、渋谷の民泊施設「ORIENS SHIBUYA」運用開始から4ヶ月で予約率97%を達成。インバウンド需要の取り込みに成功』(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000044.000126792.html)


