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部門連携で生む「新しい食体験」。オリエンタルヒルズ沖縄の3シェフ競演に学ぶ企画術

3人のシェフが織りなす1夜限りの美食の饗宴
CoCoRo編集部

本記事のポイント

  1. 既存の専門職(シェフ)が部門を越えて連携し、設備投資なしで高付加価値商品を開発した事例。
  2. 縦割りになりがちな調理部門間の交流を促進し、組織全体のスキル向上と活性化が期待できる。
  3. 「選ばせる」のではなく「全て提供する」逆転の発想が、顧客の満足度と単価向上につながる。

ニュースの概要

沖縄県恩納村にある全室プール付きスイートヴィラ「オリエンタルヒルズ沖縄」は、2025年12月より、新たな特別ディナープラン「3人のシェフが織りなす1夜限りの美食の饗宴」を月替わりで開始します。

同ホテルにはフレンチ、鉄板焼き、江戸前鮨それぞれの専門料理長が常駐しており、通常は顧客がいずれか1つのジャンルを選択して食事を楽しみます。しかし今回の企画では、3名のシェフが一つのコース料理を共同で作り上げ、一夜にして3ジャンルの料理をフルコースで提供するという試みが行われます。

第1弾となる12月24日は、クリスマス限定コース「Noël TRINITY」として提供され、沖縄食材と各ジャンルの技法を融合させた全7品の料理に、5種類のペアリングドリンクがセットになります。部門の垣根を越えたコラボレーションにより、顧客へ新たな美食体験を提供しつつ、施設の魅力を多角的に伝える取り組みと言えます。

既存リソースの「掛け合わせ」が組織と顧客満足を変える

部門横断型の商品開発は、付加価値と組織力の双方を高める

宿泊施設の差別化において、大規模なリニューアルや設備投資は強力な手段ですが、頻繁に行えるものではありません。一方で、今回のような「既存の人的リソースの組み合わせ」による商品開発は、追加コストを抑えつつ、高い話題性と付加価値を生み出す有効な戦略と言えるでしょう。

特に、専門性の高いスタッフ同士が部門を越えて連携することは、単なるメニュー開発以上の効果、すなわち「従業員エンゲージメントの向上」や「組織の活性化」をもたらす可能性があります。

縦割りの解消がイノベーションの土壌になる

ホテルや旅館の調理場は、洋食・和食・中華などジャンルごとに担当が分かれ、業務が縦割りになりやすい傾向があります。それぞれの専門性を磨く上では効率的ですが、一方でセクショナリズムに陥り、新しい発想が生まれにくくなる側面も否定できません。

今回のように「一つのコースを異なるジャンルのシェフが共同で作る」というプロジェクトは、互いの技法や食材へのアプローチを共有する絶好の機会となります。スタッフにとっては、普段の業務では得られない刺激や学びがあり、それがモチベーション向上につながります。また、顧客にとっては「ここでしか味わえないユニークな体験」となり、結果として客単価の向上やリピーター獲得に寄与するのではないでしょうか。

具体例と示唆:オリエンタルヒルズ沖縄のアプローチ

オリエンタルヒルズ沖縄の事例で特筆すべきは、「通常は選ばなければならないものを、全て楽しめるようにした」という点です。

  • 通常のオペレーション: フレンチ・鉄板焼き・鮨から1つを選択(機会損失の可能性)。
  • 今回の企画: 3人の料理長がタッグを組み、一度のディナーですべてを提供。

このアプローチにより、「どれにしようか迷う」という顧客のペインを解消しつつ、「一度に全て味わえる」という贅沢感を演出しています。また、料理に合わせてシャンパーニュから日本酒、泡盛まで5種類のペアリングを用意している点も、単価アップと満足度向上を両立させる巧みな設計です。

編集部の視点
  • 近隣店とのコラボ: 自社シェフと地域の有名店のコラボ。
  • 部門内コラボ: 例えば「朝食担当」と「夕食担当」が共同で特別ランチを開発する。
  • サービス×調理: ソムリエやバーテンダーが主体となり、料理メニューを逆提案する。

重要なのは、「いつもの担当範囲」を少し踏み越えて、スタッフ同士が知恵を出し合う「場」を作ることではないでしょうか。

自施設に複数の専門シェフがいなくても、この考え方は応用可能です。

まとめ:ソフトの工夫で「特別感」は創出できる

オリエンタルヒルズ沖縄の事例は、ハード(施設)に頼らずとも、ソフト(人・技術・企画)の組み合わせ次第で、強力なコンテンツが生まれることを示しています。部門連携による商品開発は、顧客に新鮮な驚きを与えるだけでなく、働くスタッフの誇りやチームワークを育むきっかけにもなり得ます。

今後のアクションに向けた選択肢

  • 社内リソースの棚卸し: 自施設にどのような専門スキルを持ったスタッフがいるか再確認し、意外な組み合わせができないか検討してみる。
  • 期間限定イベントの企画: 最初から常設メニューにするのではなく、閑散期や特定日(クリスマスなど)限定のイベントとして、部門横断プロジェクトを試験導入してみる。
  • ストーリーの広報: 完成したメニューだけでなく、「シェフ同士がどう協力したか」という開発背景をSNSやWebサイトで発信し、スタッフの想いを顧客に伝える。

出典

出典:PR TIMES『【オリエンタルヒルズ沖縄】フレンチ・鮨・鉄板焼きのコラボレーションフルコース「3人のシェフが織りなす1夜限りの美食の饗宴」を開催』(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000338.000069250.html

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