宿泊・旅行業界ニュース

休暇村日光湯元の事例に学ぶ、冬の宿泊体験価値を高める工夫

ロビーの暖炉で焼きマシュマロ体験
CoCoRo編集部

本記事のポイント

  • 休暇村日光湯元が、既存設備(暖炉)と地域資源(星空)を掛け合わせた冬季限定プログラムを実施
  • 追加投資を抑えつつ、宿泊客の「体験価値」と満足度を高める好事例
  • スタッフによる解説や提供サービスを通じ、顧客エンゲージメントを深めるヒントとなる

ニュースの概要

栃木県日光市の奥日光・湯ノ湖畔に位置するリゾートホテル「休暇村日光湯元」は、2025年12月1日から2026年3月31日までの期間、冬季限定の体験プログラム「星と暖炉の冬時間」を実施することを発表しました。

このプログラムは、標高約1,500mという立地を活かした「星空観察」と、ホテルロビーにある「暖炉」での焼きマシュマロ体験を組み合わせたものです。参加費は無料で、スタッフによる星空解説のほか、オリジナルホットワインの提供なども行われます。冬の厳しい寒さを逆手に取り、澄んだ空気の中での絶景と、冷えた体を温める暖炉の火の安らぎを提供することで、冬ならではの特別な滞在体験を提案しています。

既存資産を活用し、冬の滞在価値を最大化する視点

このニュースから読み取れる、宿泊施設運営における重要なポイントは、「すでにある資産の組み合わせによる価値の再定義」です。

多くの宿泊施設において、冬季、特に積雪地帯では集客に苦戦することがあるかもしれません。しかし、今回の休暇村日光湯元の事例は、既存のハード(暖炉のあるロビー)と、地域本来の環境(高標高・澄んだ空気・星空)を組み合わせることで、新たな投資を抑えつつ魅力的なアクティビティを創出できることを示しています。特別な設備投資を行わなくとも、視点を変えることで顧客満足度を高めるコンテンツは作れるという好例と言えるでしょう。

なぜ今、「体験」と「情緒的価値」が重要なのか

「モノ」から「コト・トキ」へのシフトへの対応

近年、旅行者のニーズは単なる宿泊(モノ)から、そこでしか味わえない体験(コト・トキ)へとシフトしていると言われています。特にリゾートホテルにおいては、滞在そのものを目的とする顧客も多いため、館内で完結する体験プログラムの有無は選定の大きな理由になり得ます。

季節性の課題を魅力に変える

日光湯元のような寒冷地において、冬の寒さはネガティブな要素として捉えられがちです。しかし、本事例のように「寒さがあるからこそ、暖炉の暖かさが際立つ」「空気が澄んでいるからこそ、星がきれいに見える」という文脈を作れば、ネガティブ要素をポジティブな体験価値へと転換できる可能性があります。雪見風呂温泉と合わせ、冬の滞在全体をストーリーとして訴求することで、オフシーズンの稼働率向上にも寄与するかもしれません。

「星と暖炉の冬時間」に見る具体的な工夫

休暇村日光湯元が実施するプログラムには、オペレーション視点でも参考になる工夫がいくつか見受けられます。

  1. スタッフによる「お話会」の実施 単に「星を見てください」と案内するだけでなく、スタッフによる解説(星空教室)を挟むことで、顧客とのコミュニケーション機会を創出しています。従業員の知識や人柄が伝わることは、顧客エンゲージメントを高める有効な手段となり得ます。
  2. 動線の妙(屋外から屋内へ) 屋外での観察会で冷えた後に、屋内の暖炉で焼きマシュマロやホットワインを楽しむという流れは、身体的な「快」を増幅させる設計になっています。この「冷→温」のコントラストが、記憶に残る体験を作るポイントと考えられます。
  3. 参加費無料によるハードルの引き下げ 無料イベントとすることで、宿泊客が気軽に参加しやすくなります。これが結果として満足度向上や、SNSでの口コミ拡散(UGC創出)につながる効果も期待できるでしょう。

自社への活かし方のヒント

もし、貴施設で冬の集客や顧客満足度にお悩みでしたら、以下のような視点で自社の「隠れた資産」を棚卸ししてみてはいかがでしょうか。

  • 「当たり前」の再評価: 自施設にとっては日常的な風景や設備(例:ロビーの暖炉、窓からの雪景色、静寂など)が、都会からの旅行者にとっては非日常のコンテンツになり得ないでしょうか。
  • スタッフのスキル活用: 特別な機材がなくても、地元の自然や歴史に詳しいスタッフによる「語り」や「案内」自体をアクティビティ化できるかもしれません。
  • 五感に訴える演出: 視覚(星空)だけでなく、触覚(暖かさ)、味覚(マシュマロ・ワイン)、聴覚(薪の爆ぜる音)など、五感を満たす要素を組み合わせることで、体験の満足度はより高まると考えられます。

大規模なリニューアルを行わずとも、今あるリソースと季節の特性を掛け合わせることで、顧客の心に残る「特別なひととき」を提供できる可能性は広がっています。

まとめ

  • 休暇村日光湯元の事例は、既存設備と地域環境を活かした低コスト・高付加価値な企画の好例です。
  • ネガティブになりがちな「冬の寒さ」も、暖炉や温泉との対比によって魅力的な体験価値に転換可能です。
  • スタッフとの交流や五感に訴える動線設計を取り入れることで、顧客エンゲージメントの向上が期待できます。

企業情報

  • 施設名:休暇村日光湯元
  • 所在地:〒321-1662 栃木県日光市湯元温泉
  • 総支配人:川﨑 孝利
  • URLhttps://www.qkamura.or.jp/nikko/
  • 運営:自然にときめくリゾート 休暇村(一般財団法人休暇村協会)

本リリースに関するお問い合わせ

本ニュースはPR TIMES掲載のプレスリリースに基づきますが、詳細な問い合わせ先情報はリリース内に明記されておりませんでした。取材や詳細については、上記公式サイトより施設へ直接お問い合わせください。


出典:PR TIMES『奥日光の冬 ホテルの暖炉で特別な夜のひとときを… 休暇村日光湯元では、体験プログラム「星と暖炉の冬時間」を12月1日より実施』(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000677.000085653.html

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