宿泊・旅行業界ニュース

リッチモンドホテル浅草のリニューアルに学ぶ、和×北欧の空間戦略とインバウンド対応

プレシャスコンフォートツイン(7 階〜11 階)/コンフォートツイン(2 階〜6 階)
CoCoRo編集部

本記事のポイント

  • 「和」と「北欧」を融合した「ジャパンディ(Japandi)」スタイルによる、インバウンドへの新たな訴求
  • 2室を連結した客室新設など、既存躯体を活かした高単価・長期滞在向け改装の工夫
  • 「体験」を重視したライブキッチンやラウンジサービスによる、滞在価値の向上策

ニュースの概要

アールエヌティーホテルズ株式会社が運営する「リッチモンドホテル浅草」は、2025年12月1日(月)に全面リニューアルオープンすることを発表しました。今回のリニューアルでは、インバウンド需要の回復を見据え、「Minimal Luxury(ミニマルラグジュアリー) 静寂と調和」をコンセプトに掲げています。

館内デザインには、和の美意識と北欧の機能美を融合させた「ジャパンディ(Japandi)」スタイルを採用。客室やロビーには、浅草の伝統素材である小松石や和紙を取り入れつつ、デンマークの名門家具やシンプルなオーク材を組み合わせ、洗練された空間を創出しています。また、客室の一部では2室を連結して広さを確保するなど、ハード面での大胆な刷新も行われました。

さらに、併設レストランも「和 なごみ Café&Dining」として生まれ変わり、ライブキッチンでの出来立てメニュー提供や、宿泊者専用ラウンジサービスの導入など、食を通じた滞在体験の質的向上も図られています。

宿泊業にとってのポイント

このニュースから読み取れる宿泊業にとっての重要な視点は、**「ターゲットに合わせた空間コンセプトの再定義」「既存ストック(客室)の価値転換」**です。

単に施設を綺麗にするだけでなく、「浅草」という土地柄を活かしつつも、過度な和風装飾ではなく「北欧(居心地の良さ)」とかけ合わせた点が特徴的です。また、ビジネスホテル規格の客室をニコイチ(2室連結)にしてラグジュアリー化する手法は、躯体の制約がある既存施設の改装において大きなヒントになります。

背景と理由の整理

なぜ今、「和×北欧」や「客室連結」が重要なのでしょうか。

第一に、インバウンド旅行者のニーズの成熟が挙げられます。訪日客は「分かりやすい日本らしさ」を求める一方で、滞在中の「居心地の良さ」や「洗練されたデザイン」も重視する傾向にあります。北欧デザインの機能性や温かみは、和の静寂と相性が良く、世界的なトレンドでもある「Japandi」スタイルとして受け入れられやすい土壌があります。

第二に、客室単価(ADR)と顧客満足度の向上という課題です。多くの既存ビジネスホテルでは、インバウンドの長期滞在やファミリー利用に対して「部屋の狭さ」がネックになりがちです。建て替えが難しい場合でも、壁を抜いて2室を1室にすることで、スイート並みの広さと単価を実現できる可能性があります。

具体的な取り組み・ニュース内容の解説

リッチモンドホテル浅草の具体的な取り組みには、現場で活かせるアイデアが詰まっています。

1. デザインと素材によるストーリー作り

ロビーやエレベーターホールには、浅草寺でも使われる「小松石」や、提灯を模した格子を採用。一方で、客室には「Yチェア(CH24)」や「バタフライスツール」といった名作家具を配置しています。地域の文脈(ローカル)と世界的な名作(グローバル)を組み合わせることで、単なる宿泊場所ではない「文化的な滞在体験」を演出しています。

2. ターゲットを意識した客室機能の刷新

  • 靴を脱ぐスタイル: 玄関スペースとカーペットの切り替えを設け、リラックス感を演出。海外ゲストにも好評な「日本的スタイル」を機能として取り入れています。
  • デスク撤去とソファ新設: ビジネス利用中心のレイアウトから、観光・レジャー重視のレイアウトへ変更。収納スペースをベッド下やベンチ下に確保することで、居住性を高めています。

3. 「食」の体験価値向上

朝食ビュッフェでは、インバウンド調査で人気の高かった「ラーメン」や、和を感じる「抹茶パンケーキ」をライブキッチンで提供。単に食事を済ませる場所ではなく、「日本を味わうイベント」としての朝食を設計しています。

自社への活かし方のヒント

リッチモンドホテル浅草の大規模リニューアルの事例は、必ずしも大きな投資ができる施設だけの話ではありません。自社で取り組む際のヒントとして、以下のような視点が考えられます。

  • 「和」の表現を見直してみる: コテコテの和風装飾にするのではなく、シンプルな家具に「和紙のアート」や「急須・茶器」などの小物を一点加えるだけでも、洗練されたジャパンディな雰囲気は作れるかもしれません。
  • 客室レイアウトの「引き算」: 稼働率の低い大きなデスクを撤去し、その分ラウンジチェアや荷物置き場を広げることは、低コストでも可能です。観光客にとって何が一番快適かを再考する余地があります。
  • 朝食の一品に「体験」を加える: ライブキッチン設備がなくても、仕上げのトッピングをお客様自身で行ってもらう、あるいは地元の名物料理を目立つ演出で提供するなど、記憶に残る工夫は可能でしょう。

インバウンドのお客様をお迎えする際、「日本らしさ」と「快適な居住性」のバランスに悩まれることもあるかもしれません。今回の事例を参考に、自施設の強みを活かした空間づくりを検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

  • コンセプトの再構築: 「和」に「北欧」の居心地良さを加えるなど、ターゲットに響く独自の空間定義が差別化につながります。
  • 既存資産の有効活用: 2室連結や家具の入替など、躯体を変えずに客室価値を高める手法は検討の価値があります。
  • 体験価値の重視: 食事や家具、眺望など、滞在そのものを思い出にする仕掛け作りが、選ばれる施設への近道です。

企業情報

会社名: アールエヌティーホテルズ株式会社
所在地: 東京都世田谷区桜新町一丁目34番6号
代表者: 代表取締役社長 本山浩平
設立: 2004年(平成16年)4月
事業内容: 「リッチモンドホテル」「THE BASEMENT」等の運営
公式ウェブサイト: https://rnt-hotels.co.jp/

本リリースに関するお問い合わせ

各ホテル共通ご予約専用: 050-3183-0414(受付時間 9:00~21:00)

出典:PR TIMES『和の美意識と北欧の心地よさが調和する洗練された空間へ「リッチモンドホテル浅草」2025年12月1日(月)リニューアルオープン!』(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000486.000071323.html

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