オリエンタルホテルズ&リゾーツは、グループ横断で「ご当地メニュー」キャンペーンを展開し、地域の味をチェーン全体で共有する取り組みを続けています。本記事では、第四弾のニュースをもとに、ホテル・旅館が地域食材やローカルメニューを使ってファンづくりと従業員エンゲージメント向上を両立させるためのヒントを整理します。
本記事のポイント
- オリエンタルホテルズ&リゾーツのご当地メニュー人気投票は、「地域の味 × 顧客参加型キャンペーン」でチェーン全体のブランド価値を高める施策として参考になります。
- 大阪・広島・鹿児島のご当地メニューを全国12施設のレストランで展開する仕組みから、中小規模のホテル・旅館でも応用しやすいご当地メニュー企画の設計ポイントが見えてきます。
- 継続的なキャンペーンとして設計することで、オリエンタルホテルズ&リゾーツのようにリピーター育成・従業員エンゲージメント向上・地域連携を同時に進めることが期待できます。
ニュースの概要|オリエンタルホテルズ&リゾーツご当地メニュー第四弾
株式会社ホテルマネージメントジャパンは、チェーンブランド「オリエンタルホテルズ&リゾーツ」の12施設レストランで提供する「ご当地メニュー」の人気投票キャンペーン第四弾を、2025年12月6日(土)から実施すると発表しています。
この「ご当地メニュー」キャンペーンは、グループ内の複数ホテルから選ばれた“ご当地の味”を紹介し、特設サイト上でお客様に「食べてみたい一品」への投票を呼びかけるものとしています。最多得票のメニューは、後日一定期間、全国12施設のレストランで提供される仕組みです。
これまでの結果として、
- 第一弾:オリエンタルホテル ユニバーサル・シティ「土手焼き」
- 第二弾:オリエンタルホテル福岡 博多ステーション「博多とんこつラーメン」
- 第三弾:箱根リトリートföre & villa 1/f「湯葉、豆乳、とろろの十五穀米粥 地場の焼き魚を添えて」
が選ばれており、第三弾メニューは2026年2月27日(金)まで12施設のレストランで提供中としています。
第四弾では、次の3メニューが候補に挙がっています。
- なんばオリエンタルホテル(大阪)「浪速の味 かすうどん」


- オリエンタルホテル広島(広島)「お好み焼き」


- ホテル オリエンタル エクスプレス 鹿児島天文館(鹿児島)「きびなごの南蛮漬け」


投票期間は2025年12月6日(土)〜2026年1月31日(土)、選ばれた1位メニューの提供期間は2026年2月28日(土)〜5月29日(金)とされています。投票者の中から抽選で5名に、1位メニューを提供するホテルのペア宿泊券が当たるインセンティブも用意されています。
宿泊業にとってのポイント(オリエンタルホテルズ&リゾーツの事例から)
オリエンタルホテルズ&リゾーツのご当地メニューが示す3つの価値
オリエンタルホテルズ&リゾーツのご当地メニュー施策からは、次の3つの価値が見えてきます。
- 地域食材・郷土料理を「チェーン全体の資産」に変える
- 通常はその地域でしか味わえないメニューを、人気投票を経てグループ全施設で提供することで、地域の魅力をチェーン全体のブランドストーリーに取り込んでいます。
- これは、中小のホテル・旅館でも「人気の郷土料理をグループ内で共有する」「姉妹館間でレシピを交流する」といった形で応用しやすい考え方です。
- 顧客参加型のご当地メニューキャンペーンでファン化を促進
- 「食べてみたい一品」に投票してもらうプロセス自体が体験となり、ブランドとの接点が増える構造になっています。
- 単なる季節フェアに比べ、お客様が自分で選んだメニューが採用される「関与感」が生まれ、オリエンタルホテルズ&リゾーツへの愛着形成が期待できそうです。
- 従業員エンゲージメントの向上
- 各ホテルのシェフ・調理チームが自館のご当地メニューでエントリーし、選出されれば全国のオリエンタルホテルズ&リゾーツで提供されるという構図は、スタッフにとって大きなモチベーションになります。
- レシピ開発・盛り付け・メニュー説明文づくりなどをチームで行うことで、部門間の連携や現場の主体性も引き出しやすくなるでしょう。
ご当地メニュー施策は「売上」と「ブランド」の両方に効く
ご当地メニューキャンペーンは、短期的にはレストラン売上や宿泊プラン単価アップに寄与し、中長期的には「地域密着」「食の楽しさ」というブランドイメージを強化する施策と考えられます。
オリエンタルホテルズ&リゾーツのようにシリーズ化し、第一弾〜第四弾と継続することで、キャンペーン自体がストーリーを持ち、リピーターにとっても「次はどのご当地メニューが選ばれるのか」という楽しみを提供できそうです。
背景と理由の整理|ご当地メニューと地域体験ニーズ
ご当地メニューと体験型観光ニーズの高まり
近年、旅行者の関心は「観光地を見て回る」だけでなく、「地域の生活や文化を体験すること」にシフトしているとされます。食はその最もわかりやすい入口であり、ご当地メニューは「地域らしさ」を感じるうえで非常に強いコンテンツです。
- 地元の人が日常的に食べる料理
- その土地ならではの食材(例:鹿児島のきびなご)
- エリアの歴史・ストーリーが背景にある味
こうした要素をホテルや旅館のレストランで体験できれば、観光客にとっては「移動しなくても地域の魅力を味わえる」利便性と、特別感の両方を提供できます。
オリエンタルホテルズ&リゾーツは、このご当地メニューをグループ横断で展開することで、「どのホテルに泊まっても、日本各地の味に出会える」という付加価値を作ろうとしているように見えます。
チェーンブランドにおけるローカルらしさの重要性
チェーンホテルは、一定の品質・サービスレベルを提供できる一方で、「どこに泊まっても同じ」という印象を持たれるリスクがあります。オリエンタルホテルズ&リゾーツが打ち出すご当地メニュー施策は、この課題に対する一つの解決策と受け取ることもできそうです。
- 共通のブランド軸(安心・快適・サービス品質)
- 各ホテルごとのローカル要素(ご当地メニューや地域体験)
この両者をバランスよく組み合わせることで、「チェーンでありながら、その土地らしさも楽しめる」というポジショニングが可能になります。宿泊業全体にとっても、この視点は今後ますます重要になっていくのではないでしょうか。
具体的な取り組み・ニュース内容の解説|オリエンタルホテルズ&リゾーツのご当地メニュー
3エリアのご当地メニューが語るブランドストーリー
第四弾のご当地メニューは、大阪・広島・鹿児島という西日本の3エリアから選ばれています。
- なんばオリエンタルホテル「浪速の味 かすうどん」
- 香ばしい「あぶらかす」と、しっかり引いた出汁の組み合わせが特徴とされ、大阪らしい“ほっとする一椀”として紹介されています。
- オリエンタルホテル広島「お好み焼き」
- 千切りキャベツと麺を重ねた広島スタイルのお好み焼きを、ホテルならではのクオリティで提供するイメージです。
- ホテル オリエンタル エクスプレス 鹿児島天文館「きびなごの南蛮漬け」
- 鹿児島らしいきびなごを、さっぱりとした南蛮漬けで仕上げたメニューとして打ち出しています。
どのメニューも、「その土地で食べるとさらに魅力的」という前提がありつつ、オリエンタルホテルズ&リゾーツのレストランで味わうことで、旅先と他エリアのホテルを“味”でつなぐ役割を担っていると言えそうです。
投票から全ホテル提供までの流れ
ニュース本文から読み取れるオリエンタルホテルズ&リゾーツのご当地メニュー第四弾の流れは、概ね次のように整理できます。
- 各ホテルからご当地メニューを選定し、キャンペーンメニューとしてエントリー
- 特設サイト上で、メニューの写真・説明を掲載
- 一般の利用者が「食べてみたいメニュー」にオンライン投票
- 最多得票メニューを、一定期間(今回は2026年2月28日〜5月29日)グループ12施設のレストランで提供
- 投票者には、1位メニューを提供するホテルのペア宿泊券が抽選で当たるチャンスを用意
この流れは、規模の大小を問わず、多くのホテル・旅館で応用可能な設計です。特設サイトの代わりに、自社サイト・SNS・館内アンケートなどを組み合わせることで、コストを抑えた形でも「投票→結果発表→提供」というストーリーを作ることができるでしょう。
シリーズ化による価値の積み上げ
既に第一弾〜第三弾の選出メニューがあり、第三弾は現在も12施設で提供中とされています。オリエンタルホテルズ&リゾーツは、このキャンペーンを単発ではなくシリーズとして継続している点が特徴的です。
- 過去の受賞メニューも含めた「歴代ご当地メニュー」のアーカイブ化
- メンバーシッププログラム「CLUB ORIENTAL」との連動企画
- 季節フェアや宿泊プランとの組み合わせ
こうした展開を重ねることで、「ご当地メニュー=オリエンタルホテルズ&リゾーツらしさ」という連想を育てていると見ることもできそうです。
自社への活かし方のヒント|ご当地メニューと従業員エンゲージメント
小規模旅館でもできるご当地メニュー投票企画
オリエンタルホテルズ&リゾーツのように全国チェーンでなくても、ご当地メニュー施策は工夫次第で導入できます。例えば次のようなステップが考えられます。
- 「うちの宿らしい一品」を社内で持ち寄る
- 調理チームだけでなく、サービススタッフや予約担当、女将なども参加して、思い入れのある料理やアイデアを出し合う。
- 候補メニューを3品程度に絞り込む
- 提供オペレーションや原価を確認しつつ、「地域らしさ」「ストーリー性」「写真映え」などの観点で選定する。
- 館内やSNSで「食べてみたいご当地メニュー」投票を実施
- フロントや客室での紙アンケート/QRコード投票/Instagramストーリーズの投票機能など、施設規模に合わせた方法を選択。
- 受賞メニューを期間限定で提供し、館内いたるところで“受賞メニュー”として紹介
- 朝食会場・夕食メニュー・ウェルカムドリンクなど、タッチポイントを増やして体験価値を高める。
この流れを年1回でも続けることで、オリエンタルホテルズ&リゾーツのように「今年はどんなご当地メニューが選ばれるのか」というワクワク感を育てることができます。
インバウンドや食の多様性を意識したご当地メニューの工夫
インバウンド比率が高い地域では、ご当地メニューに次のような工夫を加えると、より受け入れやすくなる場合があります。
- 辛さ・味の濃さを調整しやすいレシピ設計
- ベジタリアン・ヴィーガン対応や、宗教的配慮が可能なアレンジ案を用意する
- 英語をはじめとした多言語でのメニュー説明・アレルギー表示
オリエンタルホテルズ&リゾーツのご当地メニュー事例を参考にしつつ、自施設の客層や地域特性に合わせて「誰にどんなストーリーで提供したいか」を整理しておくと安心です。
ご当地メニューを軸にした従業員エンゲージメント向上
オリエンタルホテルズ&リゾーツのような人気投票キャンペーンは、従業員エンゲージメントの観点でも活用できます。
- レシピ開発や試食会を、部署横断のプロジェクトとして運営する
- 社内表彰制度と組み合わせ、「スタッフ発案メニュー賞」「お客様人気賞」などを設ける
- 採用・教育の場面で、ご当地メニューづくりの事例を共有し、「自分たちのアイデアが形になる職場」であることを伝える
こうした仕掛けにより、「お客様に喜ばれるメニューづくり」が個人評価やキャリア形成とも結びつき、オリエンタルホテルズ&リゾーツのように現場主導の取り組みを増やしていくことができるかもしれません。
まとめ
- オリエンタルホテルズ&リゾーツのご当地メニュー人気投票は、「地域の味」と「顧客参加型キャンペーン」を組み合わせ、チェーン全体のブランド価値と従業員エンゲージメントを同時に高めるヒントになります。
- 小規模なホテル・旅館でも、候補メニューを絞って館内やSNSで投票してもらう形であれば、ご当地メニュー企画を無理なく実施できるという選択肢もあります。
- インバウンドや多様な食習慣への配慮、メニューのストーリー化などを事前に検討しておくと安心です。
- 年1回など定期的にオリエンタルホテルズ&リゾーツのようなシリーズ企画としてご当地メニュー施策を行うことで、リピーターの楽しみを育てつつ、地域との連携やスタッフの成長にもつなげていけるでしょう。
企業情報
- 会社名:株式会社ホテルマネージメントジャパン
- 所在地:東京都港区港南(本社)
- 代表者名:代表取締役 荒木 潤一
- 事業内容:国内24ホテル(総客室数7,671室)の運営。独自ブランド「オリエンタルホテル」「ホテル オリエンタル エクスプレス」のほか、「ヒルトン」「シェラトン」「ホテル日航」など多様なブランドのホテル経営および運営を実施。(2025年11月現在の数値としています)
- 公式サイト:オリエンタルホテルズ&リゾーツ公式サイト
- ブランド名:オリエンタルホテルズ&リゾーツ
- 概要:株式会社ホテルマネージメントジャパンが運営するホテルチェーンブランド。国内16ホテル(総客室数4,169室)を展開し、「オリエンタルホテル」「ホテル オリエンタル エクスプレス」などを擁しています。
- 主な公式チャネル:
- ブランドサイト:オリエンタルホテルズ&リゾーツ
- Facebook:オリエンタルホテルズ&リゾーツ公式Facebook
- Instagram:ORIENTAL HOTELS & RESORTS 公式Instagram
- YouTube:ORIENTAL HOTELS & RESORTS 公式YouTubeチャンネル
- X(旧Twitter):ORIENTAL HOTELS & RESORTS 公式X
- メンバーシッププログラム「CLUB ORIENTAL」:CLUB ORIENTAL
出典:PR TIMES『【オリエンタルホテルズ&リゾーツ】「ご当地メニュー」キャンペーン第四弾 開催』https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001914.000016207.html


