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カラフルピューロランドで学ぶ推し色体験づくり

スペシャルイベント「カラフルピューロランド」
CoCoRo編集部

株式会社サンリオエンターテイメント(本社:東京都多摩市、代表取締役社長:小巻亜矢)が運営するサンリオピューロランド(以下、ピューロランド)は、2026年1月16日(金)から3月16日(月)までの期間で、スペシャルイベント「カラフルピューロランド」を開催することが発表されました。

カラフルピューロランドは、推し色やキャラクターの世界観をとことん楽しめる期間限定イベントとして企画されています。宿泊業にとっても、色とキャラクターを軸にしたフォトスポットやグリーティング、フード・グッズ展開は、ファンとの距離を縮める体験設計のヒントになりそうです。本記事では、そのカラフルピューロランドの内容を整理しつつ、ホテル・旅館が自社のエンゲージメント向上やプランづくりにどう活かせるかを解説します。

本記事のポイント:カラフルピューロランドから宿泊業が学べること

  • カラフルピューロランドの「推し色キャラルーム」は、色と世界観で没入感を高めるフォトスポット設計の好例であり、客室やロビー演出への応用が考えられます。
  • テニミュやAdoとコラボしたカラフルピューロランドは、ファンコミュニティごとの「推し活ニーズ」を取り込むモデルケースで、宿泊プランのターゲティングにも参考になりそうです。
  • 限定フード・グッズや有料グリーティングを組み合わせるカラフルピューロランドの構成は、「体験×物販」で客単価を高める設計として、宿泊業の館内イベントづくりにも応用できるかもしれません。

ニュースの概要:カラフルピューロランドとは?

東京都多摩市のサンリオピューロランドでは、2026年1月16日(金)から3月16日(月)までの期間限定でスペシャルイベント「カラフルピューロランド」を開催すると発表しています。テーマは“色”で、館内のキャラクターたちがそれぞれのカラーを背負って登場し、推し色で楽しめるフォトスポットやグリーティングを展開するとしています。

イベントの中心となるのが、1Fエンターテイメントホールに登場する「カラフルピューロランドハウス」です。カラフルで没入感のある「推し色キャラルーム」では、自分の好きなCOLORのお部屋を選び、キャラクターと一緒に過ごしているような写真撮影ができると説明しています。キラキラな「キラキラ★クロミルーム」や、歌い手Adoとのコラボから生まれた「アドローザトルマリィ」のスペシャルルームも用意され、全10色の巨大広告風ウォールやのぼり旗、大きなハート型アーチ、ぬいぐるみ×ミラーのフォトスポットなど、館内各所で撮影を楽しめる構成としています。

さらに、カラフルピューロランド期間中は、カラフルなコスチュームのキャラクターたちと写真が撮れる有料・事前予約制の「カラフルピューロランド スペシャルグリーティング」や、レインボーカラーのコスチュームを着たクロミと特別な空間で会える「キラキラ★クロミルーム スペシャルグリーティング」も実施するとしています。

キラキラなクロミのスペシャルルーム「キラキラ★クロミルーム」
キラキラなクロミのスペシャルルーム「キラキラ★クロミルーム」

そのほか、ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズンとのコラボコンテンツや、アドローザトルマリィのバースデー企画、全22種類の期間限定フード&ドリンク、マスコットやブロマイドホルダーなどの限定グッズも展開され、推し色とキャラクターで1日中楽しめる「カラフルピューロランド」として打ち出しています。

宿泊業にとってのポイント:カラフルピューロランドが示す推し色戦略

カラフルピューロランドはテーマパークのイベントですが、「色」と「推し活」を軸にした体験設計は、宿泊業にも応用しやすい要素が多いと考えられます。

推し色キャラルームに見る「色×客室」発想

カラフルピューロランドの推し色キャラルームは、「好きな色の部屋を選ぶ」という体験を前面に出しています。
宿泊施設で置き換えると、次のようなアイデアが考えやすくなります。

  • 客室やフロアごとにテーマカラーを決めた「推し色ルーム」「カラーコンセプトフロア」をつくる。
  • インテリアやベッドライナー、小物、アメニティを統一カラーでまとめ、写真映えを意識したレイアウトにする。
  • カラフルピューロランドのように、ミラー・ぬいぐるみ・壁紙などを組み合わせた“小さな撮影コーナー”を客室内やフロアの一角に設ける。

特に若年層や推し活層は「自分の色・推しの色で空間を揃えたい」というニーズが強く、宿泊先でも世界観の統一を求めるケースが増えています。色を切り口にした客室デザインは、写真・SNS投稿を促し、自然な口コミにつながる可能性があります。

カラフルピューロランドのコラボ事例に学ぶ異業種連携

カラフルピューロランドでは、テニミュ4thやアドローザトルマリィとのコラボレーションを通じて、既存ファンコミュニティをピューロランドの世界に招き入れようとしています。
宿泊業でも、次のような形でコラボの発想を応用できそうです。

  • 近隣のイベント・舞台・ライブと連動した「コラボ宿泊プラン」やフォトスポットの設置。
  • テニミュコラボのように、作品ビジュアルやキャラクターイメージカラーを取り入れた装飾・小物をラウンジや一部客室に展開。
  • チェックイン前後の時間に、会場までのアクセス情報や推し活向けスポットをまとめたミニガイドを配布する。

異業種コラボは、単に宿泊数を増やすだけでなく、「このホテルに泊まると推し活がもっと楽しくなる」という付加価値を感じてもらうきっかけになります。

グリーティングとスタッフサービスのヒント

カラフルピューロランドのスペシャルグリーティングは、有料・事前予約制でありながら、特別なコスチュームとフォトスポットを組み合わせることで「一度は体験したい」と感じさせる設計になっています。

宿泊施設の現場に置き換えると、例えば次のような工夫が考えられます。

  • 特定日だけ、スタッフがテーマカラーの小物(スカーフ、バッジ等)を身につける「カラーウェルカムデー」を設定する。
  • チェックイン時に、推し色カラーのウェルカムドリンクやカードを選べるミニサービスを用意する。
  • 予約制の館内フォトツアーやミニイベントとして、館内の“映えるスポット”をスタッフが案内する。

カラフルピューロランドのように、色と体験を組み合わせることで、スタッフのサービスも「イベントの一部」として記憶に残りやすくなります。

背景と理由の整理:カラーイベントと推し活ニーズの高まり

カラフルピューロランドのようなカラーイベントが企画される背景には、いくつかの環境変化があると考えられます。

1つは、SNS時代の「写真映え」「動画映え」を前提とした体験志向です。
背景・小物・衣装の色が統一されている空間は、写真としても分かりやすく、タイムライン上でも目に留まりやすくなります。カラフルピューロランドハウスのように、推し色で統一されたキャラルームや巨大広告風ウォールは、そのニーズにまさに応えたデザインといえそうです。

もう1つは、推し活市場の拡大です。
アニメ・2.5次元ミュージカル・アーティスト・VTuberなど、ファンが「推し」のために移動し、消費する動きは年々強まっています。カラフルピューロランドでは、テニミュやアドローザトルマリィのように、それぞれ別のファン層を持つコンテンツとコラボすることで、異なるコミュニティを一つのイベントに呼び込もうとしていると見ることもできます。

宿泊業にとっては、

  • 推し活目的の宿泊は、平日・オフシーズンや日帰り圏外からの需要につながりやすい
  • 参加者は「推しに会う前後の時間」を大切にしやすく、客室での過ごし方や館内サービスにこだわる傾向がある

といった特徴があり、単なる「寝る場所」以上の価値を提供する余地が大きいと考えられます。

カラフルピューロランドのようなカラーイベントは、こうした推し活ニーズを受け止める場であり、宿泊施設にとっても「どのような世界観なら、自館のターゲットに響くか」を考えるきっかけになりそうです。

具体的な取り組み・ニュース内容の解説:カラフルピューロランドの構成

ここでは、カラフルピューロランドの主なコンテンツを、宿泊業が参考にしやすい切り口で整理します。

1. カラフルピューロランドハウスと推し色キャラルーム

  • カラフルな世界観で統一された「カラフルピューロランドハウス」を館内に設置。
  • 自分の好きなCOLORのお部屋を選んで撮影できる「推し色キャラルーム」を用意。
  • キラキラ★クロミルーム、アドローザトルマリィルームといった、キャラクターごとの特別ルームも展開。
  • 全10色の「巨大広告風★推し色ウォール&推し色のぼり旗」、ハート型アーチ、ぬい×ミラーなど、複数のフォトスポットを連鎖させて回遊性を高めています。

宿泊施設で言えば、「フォトスポットを1か所作る」のではなく、「館内を回遊しながら複数のスポットを楽しめる導線設計」がポイントと言えそうです。

2. テニミュ4th in カラフルピューロランド

  • ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズンとのコラボとして、特別ビジュアルのフォトスポットを設置。
  • ピューロランド限定のオリジナルグッズ(ランダムブロマイドやシールセットなど)を販売。

宿泊施設の場合、近隣の舞台やイベントとタイアップし、チェックインフロアやラウンジに期間限定のフォトスポットを設けるだけでも、「推しがいる場所に一番近いホテル」という印象づけがしやすくなります。

3. アドローザトルマリィのスペシャルルーム

  • 歌い手Adoとのコラボから生まれたアドローザトルマリィの部屋を、カラフルピューロランドハウス内に設置。
  • 青い花に囲まれた椅子のフォトスポットや、3月8日のバースデー企画などで、特定日の盛り上がりを意識した構成としています。

宿泊業でも、キャラクターの誕生日や記念日、作品の公開日と連動した「記念日ステイ」「アニバーサリープラン」を設定することで、特定日に向けた予約の山をつくることができるかもしれません。

4. スペシャルグリーティングとウェルカムグリーティング

カラフルなコスチュームのキャラクターと撮影できる「カラフルピューロランド スペシャルグリーティング」
カラフルなコスチュームのキャラクターと撮影できる「カラフルピューロランド スペシャルグリーティング」
  • カラフルなコスチュームのキャラクターと撮影できる「カラフルピューロランド スペシャルグリーティング」(有料・事前予約制)。
  • レインボーカラーのコスチュームのクロミと特別空間で会える「キラキラ★クロミルーム スペシャルグリーティング」(有料・事前予約制)。
  • パークオープン直後には、カラフルなコスチュームのキャラクターが登場するウェルカムグリーティングも実施。

宿泊施設での具体案としては、

  • 朝食会場での「推し色フォトタイム」(特定時間だけ映える装飾やBGMに切り替える)
  • チェックイン後のロビーで行う、短時間のミニグリーティング(キャラクターではなく、スタッフによる演出でも可)

など、短時間でも“特別に会えた感”を演出する取り組みが考えられます。

5. カラフルフードと期間限定グッズ

  • 全22種類のオリジナルフード&ドリンクを展開し、イエロー推しカツカレー、ピンクづくしパフェ、BLUEルームクレープ、推し色カード付きモーニングセットなど、色とキャラクターを組み合わせたメニューを用意。
  • マスコット、ブロマイドホルダー、シール付きスライドケースラムネ、クリアファイルなど、推し活に使えるグッズを多数ラインナップ。

宿泊施設では、すべてを真似る必要はありませんが、

  • 1〜2色に絞った「推し色ドリンク」「推し色デザート」
  • 宿泊者限定のミニステッカーやフォトカードなど、持ち帰りやすい小物グッズ

といった小さな導入からでも、カラフルピューロランドの考え方を取り入れることができそうです。

自社への活かし方のヒント:宿泊施設でのミニ・カラフルピューロランドづくり

最後に、カラフルピューロランドの要素を宿泊施設でどのように取り入れられるか、具体的なステップとして整理します。

1. まずは「色」を1つ決める

いきなりカラフルピューロランドのように10色展開する必要はありません。
まずは、自館のブランドカラーやターゲット層に合う色を1つ決めるところから始めると取り組みやすくなります。

  • 若年層・カップル向けならピンクやパステルカラー
  • アクティブ・スポーツ系ならイエローやオレンジ
  • 落ち着いた大人向けならブルーやグリーン

といった形で、「自館の推し色」を決めるイメージです。

2. 小さなフォトスポットからスタートする

カラフルピューロランドほど大規模なセットは難しくても、次のような“小さな一歩”なら多くの施設で実践しやすいはずです。

  • ロビーの一角に、推し色の背景ボードと椅子、クッションをセットにしたフォトコーナーを常設。
  • 廊下やエレベーターホールの壁面に、推し色のウォールアートやサインを設置。
  • 朝食会場の一角だけ装飾を変え、「推し色テーブル」としてSNS投稿を促す。

「ここで撮ると、それらしい写真になる場所」を一つ作るだけでも、カラフルピューロランドのフォトスポット発想に近づきます。

3. イベント・特定日と連動した宿泊プラン

カラフルピューロランドがテニミュやアドローザトルマリィの誕生日と絡めているように、宿泊施設でも特定日と絡めると訴求力が高まります。

  • 近隣イベントの日程に合わせた「推し活応援ステイ」(早朝チェックアウト、レイトチェックアウト、荷物預かり強化など)。
  • 記念日や花火大会、スポーツ大会の日程と合わせて、推し色デザート付きプランを用意する。

日程が決まっているイベントであれば、早めに情報を整理しておくことで、販売開始のタイミングを合わせやすくなります。

4. スタッフと一緒に「世界観」を共有する

カラフルピューロランドでは、キャラクターたちだけでなく、スタッフの案内やグリーティングも含めて一つの世界観を作り上げています。宿泊施設でも、現場スタッフと世界観を共有しておくと、体験価値が高まりやすくなります。

  • カラーテーマやターゲット像を、簡単な1枚のシートにまとめてスタッフ全員で確認する。
  • 写真を撮りたいお客様への声かけフレーズや、撮影時の配慮事項(ほかの宿泊者への配慮など)をあらかじめ話し合っておく。
  • 清掃・調理・フロントなど、部署をまたいで「どこが一番映えるか」「どこが混雑しそうか」を事前に共有する。

こうした準備をしておくと、カラーイベントや推し活プランを導入した際も、想定外のトラブルを減らしつつ、スタッフ自身も楽しみながら運営しやすくなるのではないでしょうか。

まとめ:カラフルピューロランドから学べること

  • カラフルピューロランドの推し色キャラルームは、「色と世界観で没入感を作るフォトスポット」の好例であり、宿泊施設の客室・ロビー演出にも応用しやすい考え方です。
  • テニミュやアドローザトルマリィと連携するカラフルピューロランドのように、近隣イベントや作品とコラボした宿泊プランやミニフォトスポットを企画するという選択肢もあります。
  • まずは自館の推し色を1つ決め、小さなフォトコーナーや推し色ドリンクなど、できる範囲から導入しておくと安心です。
  • カラーイベントや推し活需要を見据え、スタッフと世界観やオペレーション上の注意点を共有しておくことで、宿泊業としてもファンエンゲージメントを高める体験づくりにつなげられそうです。

企業情報

出典:PR TIMES『自分の好きなCOLORのお部屋で写真を撮ることができる「推し色キャラルーム」が登場 たくさんの“色”で楽しめる「カラフルピューロランド」を開催!1月16日(金)よりスタート』https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000486.000007643.html

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