宿泊・旅行業界ニュース

金泉閣の新客室と冬会席プランに学ぶ、宿泊業の高付加価値化戦略

猿投温泉 癒しの宿 金泉閣にお得に宿泊できる特別プラン
CoCoRo編集部

が打ち出した新客室開設記念プランや冬の会席料理は、山あいの一軒宿だからこそできる高付加価値な商品づくりの好例と言えるでしょう。この記事では、「癒しの宿 金泉閣」のニュースをもとに、同じくに携わる皆さまが自施設の志向の旅行需要をどのように取り込めるかを整理していきます。

本記事のポイント

  • 金泉閣の「客室半露天風呂付き」新設客室と特別割引プランから、山間の一軒宿が高単価・高満足の宿泊体験をどう設計しているかを整理します。
  • 飲める天然ラドン泉や温泉水を使った冬の会席料理など、金泉閣ならではのウェルネス・の打ち出し方を、他施設でも応用しやすい視点で解説します。
  • 金泉閣公式ホームページのリニューアルや特別プランの展開を、「」「高付加価値化」という観点から、自社のWeb戦略・商品設計にどう活かせるかを考えます。

ニュースの概要

愛知県豊田市の霊峰・猿投山の麓に佇む「猿投温泉 癒しの宿 金泉閣」は、地下1,200mから湧く飲泉可能な天然ラドン泉を強みにした一軒宿です。名古屋中心部から車で約40分、ジブリパークから約15分という立地ながら、二万坪の自然に囲まれた「しあわせ隠れ里」として位置づけられています。

2025年10月20日には増室リニューアルを実施し、「客室半露天風呂付き」のロイヤルスイート・ジュニアスイート・ラグジュアリーなど上位カテゴリー客室を新設したとしています。その記念と顧客への謝意を込めて、金泉閣では新設客室が20%OFFとなる「新設客室開設記念プラン」や、デラックス・コンセプトルームを対象に最大25%OFFの「歳末謝恩&新春お年玉セール」を販売すると発表しています。

あわせて、温泉水を仕込みから調理水までふんだんに使った「冬の猿投会席」を12月10日から提供開始。地元豊田や東海エリアの旬食材に、瀬戸の伝統工芸士によるオリジナルの器を組み合わせ、「料理そのものが芸術作品」となる体験価値を打ち出している点も特徴です。

さらに、金泉閣のリニューアルに合わせて公式ホームページも刷新し、よりラグジュアリーなブランドイメージと世界観を訴求するオンライン上の受け皿を整えたとしています。こうしたハード・ソフト・販促の三位一体の取り組みが今回のニュースの骨子と言えそうです。

宿泊業にとってのポイント(金泉閣のケース)

金泉閣の「半露天付き上位客室」をどう位置づけるか

【新設客室開設記念プラン】20%OFF 

金泉閣では、ロイヤルスイート・ジュニアスイート・ラグジュアリーといった半露天風呂付き客室を新設し、新設客室開設記念プランとして20%OFFで販売するとしています。

ここから見えるポイントは次の通りです。

  • 上位客室を増やすことで、単価アップと顧客層の広がりを同時に狙っていること
  • その導入初期に限って「20%OFF」の記念プランを設けることで、まずはお試し利用を増やし、口コミ・レビュー・リピートに繋げようとしていること
  • 半露天風呂付き客室と専用ラウンジ、夕食時のワンドリンクなどをセットにし、「値引き」ではなく「高付加価値体験のトライアル」として打ち出していること

単純な値下げキャンペーンではなく、「新客室の価値を知ってもらうための投資」と位置づけていると見ることもできそうです。

「飲める天然ラドン泉」と山の一軒宿が生むウェルネス価値

金泉閣は、愛知県で初めて飲泉許可を受けた天然ラドン泉を持ち、館内の飲料水や料理、コーヒー・紅茶まで温泉水を使用していると説明しています。

が2024年に取りまとめたのトレンド調査でも、「ウェルネス」や自然体験を重視する旅行が中長期的な重要テーマの一つとして整理されています。こうした潮流を踏まえると、温泉に「浸かる」だけでなく、「飲む」「食べる」「整う」といった全身の体験としてデザインする発想は、今後の宿泊業全体にとって示唆がありそうです。

高付加価値化と直販強化のセットで考える

観光庁の「宿泊業の高付加価値化のための経営ガイドライン」では、家業的な経営からの脱却や、高付加価値な宿泊体験を軸にした企業的経営への転換が求められているとしています。

金泉閣が実施している、

  • 上位客室の増室・高付加価値商品化
  • 季節の会席料理による単価・満足度の底上げ
  • 公式ホームページのリニューアルによるブランド発信・直販導線の整備

といった取り組みは、まさに「高付加価値化」と「自前の販売チャネル強化」をセットで進める例として参考になりそうです。

背景と理由の整理(金泉閣の文脈)

の拡大と温泉地のチャンス

世界的な観光トレンドの調査では、パンデミック後の旅行において「心身の健康」や「自然の中での滞在」を重視する傾向が強まっていると分析されています。

国内でも、

  • 自然豊かな環境での滞在
  • 温泉やによるリラクゼーション
  • ローカルフードやクラフトの体験

といったコンテンツへの需要が高まりつつあり、これは金泉閣のように山間・自然豊かな環境を持つにとって追い風と考えられます。

金泉閣が「天然ラドン泉」「飲める温泉水」「身体の内側からの癒し」といったメッセージを前面に出しているのは、こうしたウェルネス志向の流れに合致していると見ることもできそうです。

高付加価値化を後押しする政策環境

観光庁は、宿泊業の高付加価値化に資するガイドラインや登録制度を整備し、施設の改修や高付加価値経営への転換を支援する方向性を明確にしています。

この文脈で見ると、金泉閣のように、

  • 上位客室の新設・改装
  • 料理・器・温泉というトータル体験の質を高める投資
  • 公式サイトの再構築とブランド訴求

といった取り組みは、「単なるリニューアル」ではなく、中長期的な収益力向上を目指す高付加価値化の一環と捉えることができるでしょう。

立地とコンセプトの再定義

金泉閣は「名古屋から車で約40分」「ジブリパークから約15分」というアクセスの良さと、「奥深い山の中の一軒宿」という静けさを両立しているとしています。

都市近郊でありながら「日常から切り離された自然環境」を持つ宿は、今後、

といったニーズを取り込めるポジションにありそうです。金泉閣が「しあわせ隠れ里」というコンセプトを掲げている点は、立地そのものを価値に変える一つの例と言えるでしょう。

具体的な取り組み・ニュース内容の解説(金泉閣)

新設客室開設記念プラン(20%OFF)の設計

金泉閣の新設客室開設記念プランは、以下のような構成になっています。

  • 対象客室:
    • loyalsuite(ロイヤルスイート)
    • juniorsuite(ジュニアスイート)
    • luxury(ラグジュアリー)
      いずれも客室半露天風呂付き
  • 対象期間:〜2月28日
  • プラン内容:
    • 半露天風呂付き客室での1泊2食付き
    • 専用ラウンジ利用特典
    • 夕食時のワンドリンクサービス

ポイントは、「価格訴求だけではなく、ラウンジやドリンクなど上位客室ならではの体験要素もセットにしていること」です。宿泊業側から見ると、

  • 上位客室のお試し利用を増やし、体験価値を理解してもらう
  • ラウンジなど共用施設への投資回収を進める
  • クチコミ・SNSでの情報拡散を促す

といった効果が期待できる設計ではないでしょうか。

歳末謝恩&新春お年玉セール(25%OFF)の活用

【歳末謝恩&新春お年玉セール】25%OFF

金泉閣では、deluxeとconceptタイプの客室を対象に、最大25%OFFの「歳末謝恩&新春お年玉セール」も展開するとしています。

  • 対象客室:デラックス・コンセプトルーム(「千」「城」「楽」など)
  • 対象期間:1月4日〜2月28日(プランにより異なる)
  • プラン内容:1泊2食付き

年末年始の需要期とその後の閑散期をまたぐタイミングで、「謝恩」「お年玉」という言葉を使いつつ、価格面での利用ハードルを下げている点が印象的です。

同様のセールを検討する際には、

  • どの客室タイプの稼働率を特に高めたいのか
  • 閑散期をどう底上げするか
  • 常連・新規どちらを主なターゲットにするか

といった設計を、金泉閣の事例を参考にしながら整理してみると良さそうです。

冬の猿投会席と器へのこだわり

12月10日から始まる「冬の猿投会席」は、

  • 地元豊田や東海圏の旬食材をふんだんに使用
  • 仕込みから仕上げまで、使用する水は全て「飲める天然ラドン泉」
  • 瀬戸の伝統工芸士によるオリジナルの器を採用

と説明されています。

金泉閣のように、

  • 水(温泉水)
  • 土(器・焼き物)
  • 地元の食材

を一つのストーリーとして束ねると、料理は単なる「夕食」から「地域文化を味わう体験」へとランクアップします。料理長や生産者、工芸士の想いなども合わせて可視化していくと、より高付加価値なコンテンツとして磨かれていきそうです。

温泉体験の多層化:大浴場・個室露天・日帰り温泉

金泉閣では、

  • 自然と一体化した開放的な大浴場
  • 屋上の3タイプの個室貸切露天風呂(晴れていれば星空も鑑賞可能)
  • 別館の日帰り温泉「金泉の湯」の岩風呂・露天風呂

という構成で、多様な温泉体験を提供しているとしています。大浴場のサウナでは、飲める天然ラドン泉を使ったセルフロウリュも楽しめるとのことです。

宿泊客にとっては、

  • 「大浴場で自然を感じる」
  • 「個室露天でプライベートな癒しを味わう」
  • 「日帰り湯で別の雰囲気も楽しむ」

といった“温泉は一度入れば終わり”ではない滞在プランを組み立てやすくなります。

温泉地のとしては、

  • 入浴シーンを分けることで、滞在時間・滞在回数を自然に増やす
  • 写真映えするポイントを増やし、SNSでの自発的な発信につなげる
  • 日帰り温泉との連携で、将来の宿泊顧客候補を育てる

といった観点で自施設の温泉資産を再整理してみると良いかもしれません。

金泉閣公式ホームページリニューアルの狙い

金泉閣は、ラグジュアリーな宿へのリニューアルに合わせ、公式ホームページもリニューアルしたと述べています。

高付加価値路線に舵を切る際、ホームページは単なる「情報掲載の場」から、

  • 宿の世界観とブランドを伝えるメディア
  • ダイレクト予約を促進する販売チャネル
  • ファンとの関係構築を進めるコミュニケーションの起点

としての役割を持たせることが重要になってきます。

金泉閣のように、

  • 客室タイプごとの写真とストーリー
  • 温泉の効能や過ごし方の提案
  • 季節の会席・体験コンテンツの情報

を分かりやすく整理して発信していくことは、他の宿泊施設にとっても有効な方向性と言えるでしょう。

自社への活かし方のヒント(金泉閣から学べること)

1. 自施設の「ウェルネス価値」を言語化する

晴れていれば星空も見られる3つの個室貸切露天風呂
3つの個室貸切露天風呂からは晴れていれば星空も見られます。

金泉閣は、天然ラドン泉の希少性と「飲める温泉水」を全面に出し、「身体の中から心と身体を癒す」というメッセージを打ち出しています。

自社でも、

  • 泉質・水・気候・静けさなど、健康や休息に寄与しそうな要素
  • 地元食材・発酵文化・伝統工芸など、心の豊かさに繋がる要素

を改めて棚卸しし、「うちのウェルネスは何か?」を言葉にしてみると、金泉閣のようなストーリー設計に近づきやすくなります。

2. 新客室・リニューアルの際は「お試し期間」を戦略的に設ける

金泉閣の新設客室開設記念プランは、期間を区切りつつ20%OFFで上位客室を提供する形になっています。

自施設でリニューアルを行う際も、

  • 一定期間だけ“お試し価格”や特典を付ける
  • 体験後のアンケートやクチコミ投稿をお願いする
  • 追加料金でのアップグレードプランも並行して用意する

といった仕掛けを組み合わせることで、値下げありきではない、将来につながるプロモーションにできます。

3. 料理は「地元の恵み+うちならではのひと手間」で差別化

金泉閣の冬の猿投会席は、地元食材と温泉水、オリジナルの器を組み合わせた“トータルの体験設計”が特徴です。

他の旅館やでも、

  • 地元生産者との協業メニュー
  • 自社の井戸水・湧水などの活用
  • 地元の窯元・作家とコラボした器や装飾

など、「少しの工夫」で料理の物語性を高めることができます。必ずしも大掛かりな設備投資ではなく、既にある関係や資源をどうすくい上げるかがポイントになりそうです。

4. 温泉や館内施設の「過ごし方モデル」を提示する

金泉閣は、大浴場・個室露天・日帰り温泉という複数の入浴体験を用意しています。これを自施設に置き換えると、

  • 「チェックイン日の過ごし方」
  • 「朝のルーティン」
  • 「2泊目のおすすめプラン」

など、“モデルコース”的な提案を公式サイトや館内ツールで見せていくことが有効です。

宿側が「こう過ごしてほしい」というイメージを丁寧に提示することで、ゲストの満足度が上がるだけでなく、動線が整理されて業務の効率化にもつながるケースがあります。

5. 金泉閣のように「公式サイトをブランドの中核」に据える

金泉閣の公式ホームページリニューアルは、高付加価値路線とセットで行われています。自施設でも、

  • OTA任せではなく、自社サイトで伝えるべき情報は何か
  • 写真・コピー・料金設計が、狙いたいターゲットと整合しているか
  • 将来的に、多言語化やウェルネス・の情報をどう充実させていくか

といった観点で、金泉閣の取り組みをヒントにしてみると良さそうです。

まとめ

  • 金泉閣の新設客室開設記念プランや冬の猿投会席は、「飲める天然ラドン泉」という強みを核に、上位客室と料理・温泉体験を組み合わせて高付加価値化を進める事例と捉えられます。
  • 自施設でも、泉質・立地・食・器など既に持っている資源を洗い出し、「うちならではのウェルネス体験」として再編集しておくと安心です。
  • リニューアルや新プランの投入時には、金泉閣のような期間限定の記念プランや謝恩セールを設計することで、値下げに偏らない形でお試し利用と口コミを促す選択肢もあります。
  • 公式サイトのリニューアルや情報発信の見直しを通じて、金泉閣のようにブランド・直販・高付加価値化を一体的に進めることが、これからの宿泊業にとって重要なテーマになっていきそうです。

企業情報

  • 会社名:豊田温泉開発株式会社
  • 所在地:愛知県豊田市加納町馬道通21
  • 事業内容:温泉旅館および日帰り温泉施設の運営
  • 運営施設:猿投温泉 癒しの宿 金泉閣/日帰り温泉 金泉の湯
  • 公式サイト:猿投温泉 癒しの宿 金泉閣 公式サイト

本リリースに関するお問い合わせ

  • 施設名:猿投温泉 癒しの宿 金泉閣
  • 担当部署:フロント・予約担当(表記がないため総合窓口として記載)
  • 住所:愛知県豊田市加納町馬道通21
  • 電話番号:0565-45-8522(受付時間 10:00〜17:00)
  • 公式サイトお問い合わせフォーム:猿投温泉 癒しの宿 金泉閣 お問い合わせページ

参考資料

出典:PR TIMES『【愛知県豊田市】猿投温泉 癒しの宿 金泉閣にお得に宿泊できる特別プランを販売。豪華冬の会席料理も12/10より開始。金泉閣公式ホームページもリニューアル!』https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000155880.html

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