グランドメルキュール浜名湖でスタートするホテル内周遊型のホラーミステリー企画は、オールインクルーシブ滞在の「楽しみ方」を一段引き上げる試みと言えそうです。静岡県のグランドメルキュール浜名湖リゾート&スパと兵庫県のグランドメルキュール淡路島リゾート&スパが、体験型ホラーイベントに強みを持つ「怖がらせ隊」と組み、館内全体を舞台にした謎解きホラーストーリーを常設コンテンツのような形で提供すると発表しています。
本記事では、このグランドメルキュール浜名湖の取り組みを読み解きながら、全国の宿泊業にとってのヒントを整理します。
本記事のポイント
- グランドメルキュール浜名湖のホラーミステリーは、館内を周遊する「体験型エンタメ」をオールインクルーシブに組み込むことで、滞在価値を底上げする施策と考えられます。
- 地域の神話や伝承を下敷きにしたストーリー設計は、グランドメルキュール浜名湖・淡路島のブランドコンセプト「その地らしさ」とも親和性が高く、「土地の物語」を体験化した好例と捉えられます。
- 自社で応用する際は、グランドメルキュール浜名湖のように「館内の使い方」「モバイル端末活用」「安全配慮・クレーム防止」「従業員エンゲージメント」の4点を押さえると、規模の大小にかかわらず導入しやすくなりそうです。
ニュースの概要
静岡県浜松市の「グランドメルキュール浜名湖リゾート&スパ」と、兵庫県南あわじ市の「グランドメルキュール淡路島リゾート&スパ」は、オールインクルーシブステイをより楽しむための新たなエンターテインメントとして、館内周遊ホラーミステリーイベントを開始すると発表しています。
制作・監修を担うのは、全国でお化け屋敷やホラーイベントを多数手がけてきたクリエイティブ集団「怖がらせ隊」です。両ホテルそれぞれの地域に伝わる歴史・神話・伝承をベースに、「ハマナコノコワイヨル」「アワジシマノコワイヨル」というオリジナルストーリーが展開されます。
参加者はスマートフォンやタブレットを使い、館内に設置されたQRコードから特設サイトにアクセスします。映像と音声で提示される手がかりをもとに、ホテル内の様々なエリアを歩き回りながら、奇妙な事件の真相に迫るミステリー仕立ての体験となっています。利用時間は両ホテルとも15時〜22時、所要時間は約30〜60分で、宿泊者限定・無料のアクティビティとされています。
グランドメルキュール浜名湖では2025年12月27日から、グランドメルキュール淡路島では2026年1月6日からスタートし、ホテルの営業状況に応じて内容変更や除外日が発生する可能性があるとしています。
宿泊業にとってのポイント(グランドメルキュール浜名湖ホラーミステリー企画)
ここからは、グランドメルキュール浜名湖の施策を、宿泊業目線でどのように読み替えられるかを整理します。
1. 「無料アクティビティ×ホラー」でオールインクルーシブの満足度を底上げ
グランドメルキュール浜名湖のホラーミステリーは、宿泊者限定で追加料金なしという位置づけになっています。これは、料金を上げる前に「今の料金で体験価値を増やす」アプローチと見ることができそうです。
- 夕食前後や大浴場のあとなど、「手持ち無沙汰になりやすい時間帯」に楽しめる
- 館内完結のため、天候に左右されず提供しやすい
- カップル・ファミリー・グループといった複数セグメントに訴求しやすい
といった特徴があり、「せっかくオールインクルーシブなのに、食事と温泉以外の時間がもったいない」という声に対する一つの回答になり得ます。
観光庁がまとめた観光コンテンツの世界的潮流の調査でも、「イベント」や日常生活に入り込むような「生活没入」型の体験は、旅行者の価値観変化とともに重要度が増しているとされています。
そうした流れを踏まえると、宿泊代金に含まれる館内エンターテインメントを強化する動きは、中長期的にも意味がありそうです。
2. 地域神話を取り入れたストーリーで「その土地らしさ」を演出

グランドメルキュール浜名湖のストーリー「ハマナコノコワイヨル」は、静岡県に伝わる「夜に泣く石」の伝承をモチーフに、弘法大師や怨念の連鎖といった要素を組み合わせています。淡路島側の「アワジシマノコワイヨル」では、日本最初の夫婦神の神話と「良縁の島」というイメージが軸になっています。
単なる「怖い話」ではなく、土地の歴史・神話を踏まえた物語設計にすることで、
- その地域ならではの唯一性が出る
- スタッフが地域のストーリーテラーとして語りやすくなる
- 旅の思い出として、土地の名前と体験が強く結び付く
といった効果が期待できます。
観光庁の世界的潮流調査でも、観光コンテンツの中長期トレンドとして「ウェルネス」「ネイチャーアクティビティ」「聖地巡礼」「イベント」「生活没入」という五つのカテゴリが整理されており、いずれも「没入感」や「物語性」が重要なキーワードとされています。
グランドメルキュール浜名湖のように、地域のストーリーをホラーという形で再編集する発想は、他の温泉地や観光地でも応用可能ではないでしょうか。
3. 低い設備投資で「館内全体を舞台」にできる仕組み
今回の企画は、参加者自身のスマートフォンやタブレットと、館内のQRコード、特設サイトの動画・音声コンテンツを組み合わせたものと説明されています。専用アトラクション施設を新設するのではなく、既存の廊下や階段、ラウンジなどを「物語の舞台」に変える設計です。
宿泊施設側から見ると、
- 大掛かりな改装なしで導入しやすい
- 清掃・安全管理の導線をそのまま活かしつつ、演出ゾーンとしても活用できる
- 立ち入り禁止エリアの一部を時間限定で開放するなど、「いつもと違う館内体験」を演出できる
という点がポイントになりそうです。
一方で、Wi-Fi環境や電波状況、QRコードの掲示場所、安全導線の確保など、運営設計には事前の検証が欠かせません。宿泊事業者向けの生産性向上ハンドブックでも、「施設の生産性」「業務の生産性」「顧客価値」を三つの観点で見直すことが重要とされていますが、こうしたデジタル活用型アクティビティはまさに三者を両立させる施策の一つと言えそうです。
4. 従業員エンゲージメントの向上にもつながる可能性
ホラーミステリーの世界観を支えるのは、ストーリーだけではなく、現場スタッフの関わり方です。支配人や郷土史研究家、霊媒師といった登場人物が物語に登場する設定は、演出次第で「スタッフが物語の一員としてお客様と関わる」きっかけになります。
- フロントやラウンジでの声掛けの一言を、物語に沿ったセリフに変える
- 説明用マニュアルを、世界観を意識したトーンで整える
- 参加者からの感想を、従業員同士の共有ネタにする
など、日常の接客を少しだけ「演技」寄りに振ることで、スタッフ側の楽しさや誇りにつながるケースもあるでしょう。
観光庁が発信する宿泊業向けの経営改善ツールでも、生産性向上とあわせて従業員のやりがいを高める視点の重要性が強調されています。
「怖い」という感情体験を一緒に共有し、笑いに変える場面は、スタッフ・ゲスト双方の距離を縮めるきっかけにもなりそうです。
背景と理由の整理:グランドメルキュール浜名湖と体験型コンテンツ需要
1. 旅行者の消費が「モノからコト」へとシフトする中で
近年の観光トレンドでは、宿泊・交通といった「移動と寝る」部分だけでなく、アクティビティやイベントなどの体験コンテンツに対する支出を増やすことが、日本の観光産業全体の課題とされています。
- 「その土地ならではの体験」
- 「SNSでシェアしたくなるストーリー性」
- 「雨の日でも楽しめるコンテンツ」
といった要素が選択のポイントになりやすく、ホテル・旅館側も「施設滞在そのものを観光コンテンツ化する」動きが広がっています。
グランドメルキュール浜名湖のようなオールインクルーシブリゾートにおいては、館内で完結するアクティビティの充実が、平均滞在単価や再訪意向に直結しやすいと考えられます。
2. オールインクルーシブと相性のよい「周遊型コンテンツ」
今回のホラーミステリーは、夕食・朝食・ラウンジ利用などが含まれるオールインクルーシブの仕組みと自然に組み合わせられるよう設計されています。
- チェックイン後〜夕食までの空き時間
- 夕食後のくつろぎ時間
- 温泉後のちょっとした散歩タイム
といった「館内をうろうろしやすい時間帯」に遊べる周遊型コンテンツは、バーラウンジやショップ、フォトスポットなど、他の館内施設への送客導線としても機能し得ます。
オールインクルーシブの価値を高めるには、「料金に含まれている要素」を単に増やすのではなく、ゲストの時間の流れ全体の中で、体験をどう組み合わせるかが重要です。グランドメルキュール浜名湖のホラーミステリーは、その一つの答えとして位置づけられそうです。
3. 混雑・人手不足リスクを増やさずに「体験価値」を追加する工夫
宿泊業の現場では、人手不足や業務の偏りが慢性化している施設も多く、「新しいコンテンツを入れたいが、オペレーション負荷が心配」という声も少なくありません。
観光庁の「生産性向上のためのハンドブック」では、宿泊事業者が高付加価値経営を進めるために、「業務の見える化」と「人員配置の最適化」「顧客価値向上」を同時に検討することが推奨されています。
グランドメルキュール浜名湖の企画のように、
- スタッフが常時付き添う必要はなく、基本はセルフで進む
- オペレーションの要所(説明・注意喚起・トラブル対応)は、既存のフロントやゲストサービスに組み込む
- 実施時間帯を15時〜22時とし、ナイトシフトの人員構成に合わせて負荷をコントロールする
といった設計は、「新しい体験を増やしつつ、現場の負荷を暴発させない」ための工夫として参考になりそうです。
具体的な取り組み・ニュース内容の解説:グランドメルキュール浜名湖と淡路島のホラーミステリー
1. グランドメルキュール浜名湖「ハマナコノコワイヨル」の構成
グランドメルキュール浜名湖側のストーリーでは、静岡の地に伝わる「夜になると泣く石」の伝説と、弘法大師が悲しみを封じ込めたという逸話が物語の起点になっています。
- 湖畔で拾われた「ただの石のかけら」から、ホテル内で奇異な出来事が連鎖
- 古い伝承と現在の異変が結び付き、怨念の連鎖をたどる展開
- ホテル支配人や郷土史研究家と共に、参加者が真相を追う
という構成で、湖と温泉というリゾート要素とは対照的な「静かな恐怖」を演出しています。
グランドメルキュール浜名湖のロケーションや温泉イメージと組み合わせると、「癒し」と「恐怖」のギャップが、より印象的な体験になるかもしれません。
2. グランドメルキュール淡路島「アワジシマノコワイヨル」との違い

淡路島側の「アワジシマノコワイヨル」では、日本神話上の「国生みの島」というポジティブなイメージと、最近起こり始めた不可解な現象(深夜の足音、壁に描かれた記号、姿を消す宿泊者など)が対比されます。
両ホテルの違いを整理すると、
- 浜名湖:怨念と鎮魂、静かな湖畔の不気味さ
- 淡路島:良縁の島で起こる異変、神話世界への接続
というように、「怖さ」の質を変えながら、それぞれの土地のストーリーを掘り下げています。
一つのテンプレートに対して、地域ごとの物語を差し替えていくモデルは、チェーンホテルや旅館グループにとっても応用しやすい発想ではないでしょうか。
3. 体験フローとゲスト導線
イベントの参加フローは、以下のようなイメージと理解できます。
- チェックイン時または館内案内で、ホラーミステリーの存在を周知
- 館内のQRコードから特設サイトへアクセス
- 動画・音声で提示される手がかりをもとに、指定エリアを巡る
- 特定の場所で新たなヒント・分岐が提示され、ストーリーが進行
- クライマックスで事件の真相に到達し、エンディングを迎える
この流れの中で、滞在中の移動や立ち寄りポイントをうまく設計すれば、
- バーラウンジでのひと休み
- ビュースポットやフォトスポットでの撮影
- 夜の大浴場や露天風呂との組み合わせ
など、館内での消費や回遊を自然に誘導できます。
グランドメルキュール浜名湖のようなリゾートホテルであれば、湖を望むロビーやテラスなども「物語の舞台」として活用しやすいでしょう。
4. 安全配慮と注意点
ホラーイベントという性質上、小さなお子様や高齢のお客様、心臓疾患などを抱える方への配慮は欠かせません。リリースでも「小さなお子様は保護者の同意の上で参加」「館内では他のお客様への配慮を」といった注意書きが明記されています。
自社で同種のイベントを検討する際には、
- 参加条件・対象年齢の明記
- 音量・照明演出の上限設定
- 非参加の宿泊者が不快にならない導線設計
- 緊急時の避難経路と演出ルートの整合
などを、企画段階からセットで検討しておくと安心です。
自社への活かし方のヒント:グランドメルキュール浜名湖の事例から
ここからは、グランドメルキュール浜名湖の取り組みを自社で応用する際の具体的なヒントをまとめます。
1. まずは「テーマ選び」と「滞在時間の設計」から
いきなりホラーミステリーをフルスケールで導入する必要はありません。最初の一歩として、
- 自地域の歴史・伝承・産業などから「物語のタネ」を探す
- 1泊2日での典型的な過ごし方(チェックイン〜チェックアウト)を紙に書き出す
- その中で「ぽっかり空きがちな時間帯」に、短時間の体験を差し込む
といった整理だけでも、グランドメルキュール浜名湖のような「滞在で遊べるコンテンツ」を構想しやすくなります。
ホラーに限らず、ミステリー、探検、クイズラリー、クラフト体験など、自施設のターゲットにあったテーマを選ぶと良さそうです。
2. 小さく試すなら「紙ベース+一部デジタル」からでも十分
グランドメルキュール浜名湖ではQRコードとスマートフォンを活用した本格的なデジタル演出が採用されていますが、中小規模の旅館やホテルがいきなり同じレベルを目指す必要はありません。
例えば、
- 台紙付きのスタンプラリー+一部スポットでのQR動画再生
- 館内ポスターに隠されたキーワードを集めるクイズ形式
- 音声ガイドアプリや無料翻訳アプリを活用した「セルフ館内ツアー」
といった「紙×デジタル」のハイブリッドでも、十分に“非日常の過ごし方”を提案できます。
まずはスタッフが無理なく運営できる規模から始めて、反応を見ながらグランドメルキュール浜名湖のような本格仕様への拡張を検討していく、という段階的なアプローチも選択肢になります。
3. 従業員を「物語の共演者」に巻き込む
イベントを導入すると、どうしても「手間が増える」という印象が先行しがちです。そこで、従業員が楽しみながら参加できる工夫を入れておくと、エンゲージメント向上にもつながります。
例としては、
- スタッフからの一言ボイスメッセージをストーリーに組み込む
- 館内放送やウェルカムメッセージを、イベント期間限定の特別仕様にする
- 「怖がるだけでなく笑える」要素を入れて、スタッフもリアクションを楽しめるようにする
などが考えられます。
グランドメルキュール浜名湖のように、支配人や郷土史研究家などのキャラクターが登場する設定を、自社のスタッフに置き換えることもできそうです。
4. 効果検証と改善サイクルをセットで考える
新しいアクティビティを導入する際は、「やりっぱなし」にならないよう、あらかじめ効果測定の指標も決めておくと、投資対効果を判断しやすくなります。
例えば、
- 参加者数・参加率(宿泊者に対する比率)
- アンケートでの満足度スコア(5段階評価など)
- 口コミサイトやSNSでの言及数(ハッシュタグ設計を含む)
- 宿泊単価・再訪率への影響(中長期での変化)
などです。
観光庁の各種ガイドラインでも、こうした「現状把握→改善策→振り返り」のサイクルを回すことが、高付加価値経営のポイントとされています。
グランドメルキュール浜名湖の事例も、自社でのトライアル結果と照らし合わせながら、継続的にブラッシュアップしていくと良さそうです。
まとめ
- グランドメルキュール浜名湖のホラーミステリー企画は、オールインクルーシブ滞在の「空き時間」を埋める館内周遊型コンテンツとして、体験価値と滞在満足度を同時に高めるヒントになりそうです。
- 地域神話を取り入れたストーリー設計や、スマートフォンとQRコードを活用する仕組みは、グランドメルキュール浜名湖に限らず、多くのホテル・旅館が小さく応用できるフレームの一つと考えられます。
- 人手不足やオペレーション負荷が気になる場合でも、グランドメルキュール浜名湖のようにセルフ進行を基本とした設計にしておくと安心ですし、従業員を「物語の共演者」として巻き込むことで、エンゲージメント向上という副次的な効果を狙うという選択肢もあります。
- まずは自施設のコンセプトやターゲットを整理し、グランドメルキュール浜名湖のホラーミステリーのような「滞在そのものが観光コンテンツになる企画」を一つ試してみるところから始めてみるのも良いかもしれません。
企業情報
アコー(Accor)
- 会社名:アコー
- 本社所在地:フランス・パリ
- 事業内容:世界各国でのホテル・レジデンス、レストラン・バー施設の運営など
- 展開施設数:110ヶ国で5,600を超えるホテル・レジデンス、10,000を超えるレストラン・バー施設
- 公式サイト:Accor 公式サイト
グランドメルキュール浜名湖リゾート&スパ



- 施設名:グランドメルキュール浜名湖リゾート&スパ
- 所在地:静岡県浜松市中央区雄踏町山崎4396番地1
- TEL:03-6627-4647(予約センター)
- 料金目安:1泊オールインクルーシブ 25,500円〜(2名1室利用時1名料金、税・サービス料込み)
- 公式サイト:グランドメルキュール浜名湖リゾート&スパ
グランドメルキュール淡路島リゾート&スパ



- 施設名:グランドメルキュール淡路島リゾート&スパ
- 所在地:兵庫県南あわじ市福良丙317番地
- TEL:03-6830-3932(予約センター)
- 料金目安:1泊オールインクルーシブ 25,700円〜(2名1室利用時1名あたり、税・サービス料込み)
- 公式サイト:グランドメルキュール淡路島リゾート&スパ
本リリースに関するお問い合わせ
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参考資料
出典:PR TIMES『数々のヒット企画を手がけてきた「怖がらせ隊」とのコラボレーション ホテル内周遊ホラーミステリーイベントを開始。【グランドメルキュール浜名湖リゾート&スパ】【グランドメルキュール淡路島リゾート&スパ】』https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000714.000052177.html


