本記事のポイント
- 近隣自治体の特産品と連携することで、エリア全体の魅力を活用した商品造成が可能になる
- 「モノ(地酒)」だけでなく「空間(個室)」と組み合わせることで体験価値を高められる
- 高単価層に向けたプランでは、地域ならではのストーリー性が差別化の鍵となる
ニュースの概要
北海道・洞爺湖エリアのリゾートホテル「洞爺湖 鶴雅リゾート 洸の謌(ひかりのうた)」にて、地元の銘酒と美食をセットにした新たな宿泊プランの販売が開始されました。
このプランは、ホテルが所在する壮瞥町の隣町、伊達市の純米吟醸酒「伊達甘露法水」を特典として提供するものです。地元の旬の食材を使用した和食会席とともに、地域の風土が育んだ日本酒を味わう「マリアージュ」を提案。食事場所を個室とすることで、プライベートな空間でゆったりと地産地消の美食体験を楽しめる内容となっており、記念日や特別な滞在を求める層をターゲットに据えています。
地域資源を活かした高付加価値プランの可能性
近隣地域との連携がコンテンツの幅を広げる
宿泊施設が単体で提供できるリソースには限りがありますが、今回の事例のように近隣地域(隣町など)の特産品をうまく取り込むことで、顧客に提供できる「体験の幅」は大きく広がります。特に「地酒」と「食」の組み合わせは、その土地ならではの文化体験として非常に親和性が高く、高付加価値なプラン造成における有効な手段の一つと言えるでしょう。
ストーリー消費とマイクロツーリズムへの対応
現代の旅行者は、単なる宿泊場所としてだけでなく、「そこでしか味わえない体験」や「地域独自のストーリー」を求めています。自館のある市町村だけでなく、少し視野を広げて近隣エリアの銘品を発掘し、それを自館の料理と合わせて提案することは、地域の魅力を面で伝えることにつながります。
また、インバウンド需要だけでなく、国内旅行者のマイクロツーリズム(近隣旅行)的な視点でも、「地元の知られざる名酒」のようなコンテンツは、再訪のきっかけや話題作りとして機能する可能性があります。
「洸の謌」に見る掛け算の設計
今回の「洞爺湖 鶴雅リゾート 洸の謌」の取り組みには、商品造成のヒントとなるいくつかのポイントが見受けられます。
- 「地産地消」の解像度を高める単に「地酒があります」とするだけでなく、「隣町・伊達市が誇る純米吟醸酒」と具体的に銘柄をフィーチャーしています。これにより、お客様は「この地域のお酒を飲んでいる」という実感(テロワール)をより強く感じることができると考えられます。
- 「プライベート空間」という付加価値お酒と料理を楽しむ環境として「全席個室」や「部屋ごとのボトル提供」をセットにしています。これは、コロナ禍以降定着した「安心・安全」や「プライベート感」を重視するニーズに応えるものであり、カップルや記念日利用といった高単価層の満足度向上に寄与する設計です。
- アドベンチャーツーリズム拠点としての食の役割同施設はアドベンチャーツーリズムの拠点を謳っています。日中はアクティビティで自然を体験し、夜は地域の食と酒で文化を体験する。このように滞在全体を通して地域の魅力を一貫して提供することで、リゾートとしてのブランド価値を高めていると言えるでしょう。
現場での活用に向けて
自社で同様の取り組みを検討する際は、まず「車で30分圏内にある特産品」を改めてリサーチしてみるのも良いかもしれません。日本酒に限らず、クラフトビール、ワイン、あるいはジュースや伝統工芸品など、近隣にはまだ活用しきれていない資源が眠っている可能性があります。
また、それらを単に売店で売るだけでなく、「夕食時にペアリングで提供する」「客室のウェルカムドリンクとしてストーリーを添えたカードと共に置く」など、滞在シーンの中に自然に組み込むことで、お客様の記憶に残る体験へと昇華させることができるのではないでしょうか。
まとめ
- 「点」ではなく「面」で考える:自館だけでなく近隣地域の資源もコンテンツとして活用する視点を持つ。
- 体験価値の演出:地酒という「モノ」に、個室やペアリングといった「コト」を掛け合わせて付加価値を高める。
- ターゲットの明確化:特別な体験を求める層に向けて、プライベート感やストーリー性を重視したプラン設計を行う。
地域連携による商品造成は、お客様に新たな発見を提供するだけでなく、地域等のステークホルダーとの関係強化にもつながります。まずは身近な「地元の自慢」を再発見することから始めてみてはいかがでしょうか。
出典:PR TIMES『【地酒と味わう】和食と共に愉しむ!純米吟醸酒「伊達甘露法水」付き宿泊プランを販売開始』(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000114.000044417.html)


