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リブマックスさきしまコスモタワーホテル開業で考える大阪ベイエリア戦略

リブマックスさきしまコスモタワーホテル
CoCoRo編集部

リブマックスさきしまコスモタワーホテルの開業は、大阪ベイエリアでインバウンドやテーマパーク需要を取り込みたい宿泊施設にとって、大きなヒントを与えてくれる動きではないでしょうか。大阪を代表する企業・アーティストとのコラボレーションルームや、最大6名まで泊まれる35㎡以上の和洋室、USJ最寄り駅までのシャトルバスなど、エリア全体の宿泊ニーズの変化を象徴する要素が多数盛り込まれています。この記事ではニュースの概要を整理したうえで、他のホテル・旅館が自館の企画や従業員エンゲージメント向上にどうつなげられるかを考えていきます。

本記事のポイント

  • リブマックスさきしまコスモタワーホテルの特徴から、大阪ベイエリアにおける「グループ・ファミリー」「インバウンド」「テーマパーク連動」需要の取り込み方を整理
  • 地元企業・アーティストとのコラボレーションルームを、他ホテル・旅館が「地域連携型客室企画」として応用するための視点を紹介
  • 大型新設ホテルとの共存を前提に、既存施設が価格競争ではなく体験価値と従業員エンゲージメントを高めるための実務的なチェックポイントを提案

ニュースの概要

リブマックスさきしまコスモタワーホテルは、大阪府咲洲庁舎(さきしまコスモタワー)7〜17階のホテルエリアにオープンする新ホテルです。既存の10〜17階部分にある263室のホテルを2025年12月10日に開業し、その後、第2期として7〜9階にサウナ施設と約90室の客室を増設し、2026年春の開業を予定しています。

コンセプトは「世界から大阪へ 大阪から世界へ」。大阪ベイエリアのランドマークである高層タワーから関西一円の夜景を一望できるロケーションを生かし、全客室が35㎡以上、最大6名まで宿泊可能な和洋室中心の構成とすることで、インバウンドのグループ・ファミリーやレジャー需要を意識した設計となっています。

また、大阪を代表する企業やアーティストとのコラボレーションルームを展開する点も大きな特徴です。お好み焼きチェーン「千房」とのコラボルームでは、鉄板をイメージした床や天井の仕掛けにより「気分はお好み焼きの中」を演出。文具メーカー「サクラクレパス」とのコラボルームでは、1500本のクーピーペンシルを額装し、子ども時代を思い起こさせるカラフルな空間をつくり出しています。さらに、大阪出身アーティスト・千秋育子氏によるご当地アートを取り入れた客室や、各フロア角部屋ごとに異なるデザインルームも用意され、リピーターでも「泊まるたびに違う体験」ができる構成です。

アクセス面では、大阪メトロ中央線・ニュートラム「トレードセンター前」駅から徒歩約3分、「コスモスクエア」駅から徒歩約7分と、ビジネス・レジャー双方への利便性が高い立地です。テーマパーク最寄り駅である「ユニバーサルシティ駅」までのシャトルバス運行も予定されており、USJへのアクセスを重視する宿泊者にとっても選択肢となるホテルと言えるでしょう。

リブマックス ホテルズ&リゾーツは全国195棟以上を展開する直営型ホテルブランドであり、今回のリブマックスさきしまコスモタワーホテルは、その中でもランドマーク性とエンターテインメント性を兼ね備えた新たな旗艦的ポジションを担うと考えられます。

宿泊業にとってのポイント|リブマックスさきしまコスモタワーホテルの示唆

リブマックスさきしまコスモタワーホテルが示す顧客ターゲットの変化

リブマックスさきしまコスモタワーホテルの構成を見ると、明確に「複数名での滞在」を前提とした設計であることが分かります。全室35㎡以上・最大6名宿泊可能な和洋室という条件は、以下のような顧客像を意識していると読み取れるでしょう。

  • インバウンドのファミリーや友人グループ
  • テーマパーク利用を目的とした国内ファミリー
  • 合宿・遠征・イベント参加など、レジャーと観光を兼ねた団体
  • 3世代旅行・女子会・推し活旅など、体験重視のグループ層

コロナ後のインバウンド再開以降、「日本らしい体験」「グループでの思い出づくり」を重視する傾向は各種調査で指摘されており、客室の広さや定員、客室内で完結する体験の有無がホテル選びの重要な要素になりつつあります。その意味で、リブマックスさきしまコスモタワーホテルが打ち出すコンセプトは、今後の宿泊施設企画においても参考になる部分が多いと言えるでしょう。

コラボレーションルームという「地域連携型コンテンツ」

千房やサクラクレパスといった大阪を代表する企業とのコラボレーションルームは、単に話題性を狙うだけでなく、「地域のブランド資産を宿泊体験に織り込む」試みとして注目できます。

他のホテル・旅館にとっても、以下のような形で応用可能な発想です。

  • 地元の銘菓・酒蔵・工芸メーカーとのコラボ客室
  • 地域のスポーツチームやイベントとのタイアップルーム
  • 地元アーティストの作品を軸にしたアートルーム・ギャラリールーム

こうした取り組みは、宿泊単価の向上だけでなく、地域企業とのパートナーシップ強化や、従業員が地域の魅力を誇りを持って語れるようになるという点で、従業員エンゲージメントの向上にもつながりやすくなります。

従業員エンゲージメントと運営効率の視点

リブマックスさきしまコスモタワーホテルのように客室数が多く、多様なコンセプトルームを抱える施設では、清掃・インスペクション・フロント対応などの標準化と属人化のバランスが重要になります。

  • コンセプトルームごとの「こだわりポイント」をマニュアル化しつつ、チェックリスト化して新人でも品質を担保できるようにする
  • 団体・グループ受け入れ時のオペレーション(チェックイン導線、朝食ピーク、エレベーター混雑など)を事前にシミュレーションしておく
  • スタッフが企画の背景を理解し、ゲストに「このホテルならではの楽しみ方」を自分の言葉で案内できるように共有ミーティングを設ける

宿泊業の人手不足は「業務の非効率性」が原因になっているケースも多く、まずは自館の業務を可視化し、どこに負荷が集中しているかを従業員と共有することが重要だとされています。

こうした視点を持つことで、大型施設であっても従業員の負担感を抑え、エンゲージメントを損なわずに高付加価値なサービスを維持しやすくなるでしょう。

背景と理由の整理|大阪ベイエリアとインバウンド動向

大阪ベイエリアのポジションとリブマックスさきしまコスモタワーホテル

大阪ベイエリアは、USJをはじめとしたテーマパーク、MICE(展示会・会議)、港湾・物流機能などが集積するエリアです。リブマックスさきしまコスモタワーホテルが立地する咲洲(さきしま)は、インテックス大阪などの展示会施設やオフィスビルも多く、ビジネスとレジャーが交錯するゾーンと言えます。

ここに「最大6名・35㎡以上の客室」「シャトルバスでのテーマパークアクセス」「夜景という非日常体験」を組み合わせたホテルが登場することで、ベイエリア全体として以下のような変化が起こる可能性があります。

  • MICE参加者がベイエリアに滞在しつつ、USJや大阪観光を楽しむ滞在型パターンの増加
  • インバウンド・国内双方のファミリー旅行が、都心部だけでなくベイエリアを拠点とする選択肢の増加
  • 「夜景+コラボ客室+サウナ」という組み合わせによる、平日・オフシーズンの集客力向上

インバウンド需要の回復と多様化

ポストコロナの訪日需要は、人数の回復だけでなく、旅の目的や価値観の多様化が進んでいると指摘されています。自然・ウェルネス・生活文化への没入など、中長期トレンドとして「体験価値」を重視する動きが強まっています。

また、ベジタリアン・ヴィーガン、ムスリムなど、多様な食習慣を持つ旅行者への対応も求められており、飲食・宿泊現場で「まず何から対応すれば良いか」に悩む声も少なくありません。

リブマックスさきしまコスモタワーホテルのように、「大阪らしさ」「夜景」「テーマパークアクセス」「サウナ」といった複数の価値を組み合わせることは、こうした多様なニーズに応えやすい構造であるとも言えそうです。他方で、インバウンドの受け入れには、多言語案内や文化・宗教的な配慮など、基本的なオペレーションの整備も欠かせません。

持続可能な観光とベイエリアの課題感

訪日客数と消費額の増加に伴い、一部地域ではオーバーツーリズムや混雑・マナーの問題も顕在化しており、「住んでよし、訪れてよし」を両立する観光地づくりが求められています。

大阪ベイエリアにおいても、今後USJや万博・IRなどの大型コンテンツが動く中で、交通・ゴミ・騒音などの課題が表面化する可能性があります。リブマックスさきしまコスモタワーホテルのようなランドマークホテルは、単に「客室を提供する場」にとどまらず、地域のルールやマナーの発信拠点としての役割も担うことになるかもしれません。

各施設とも、「自館の売上最大化」と同時に「地域全体での持続可能な観光」の視点を持つことで、長期的なブランド価値を守りやすくなるという点も押さえておきたいところです。

具体的な取り組み・ニュース内容の解説|リブマックスさきしまコスモタワーホテルを読み解く

35㎡以上・最大6名宿泊の和洋室構成

リブマックスさきしまコスモタワーホテルの全客室が35㎡以上・最大6名まで宿泊可能という点は、一般的なシティホテルとは大きく異なる設計です。

  • ベッド+畳スペースの和洋室は、靴を脱いで過ごす日本らしいライフスタイルに触れてもらいやすい
  • グループやファミリーが1室に泊まることで、1人あたりの単価を抑えつつ売上を確保しやすい
  • 客室内での時間を楽しんでもらえるため、館内飲食・物販・有料サービスへの誘導もしやすい

このような客室構成は、旅館の「大部屋」のコンセプトを現代的にアレンジしたものとも捉えられます。旅館にとっても、「和室の良さ」を活かしたグループ向け商品づくりのヒントになるのではないでしょうか。

コラボレーションルームの具体例

リブマックスさきしまコスモタワーホテルで展開されるコラボレーションルームは、コンセプトの明快さと「写真映え」を意識したデザインが特徴的です。

千房 コラボレーションルーム
千房 コラボレーションルーム
  • 千房コラボレーションルーム
    鉄板をイメージした床、天井の仕掛けなど、「お好み焼きの中にいるような」没入感のある設えにより、SNSでの発信も狙える空間になっています。
サクラクレパス コラボレーションルーム
サクラクレパス コラボレーションルーム
  • サクラクレパス コラボレーションルーム
    1500本のクーピーペンシルを額装し、色彩豊かな壁面をつくることで、子ども時代の記憶や創造性を刺激する空間になっています。ファミリー層やアート好きのゲストにとって、強い印象に残る客室になるでしょう。
~ 千秋 育子 ~
~ 千秋 育子 ~
  • アーティストとのコラボレーションルーム
    大阪出身アーティスト・千秋育子氏による作品をテーマにした「関西人の取扱説明書」ルームなど、ご当地アートを活かした部屋は、宿泊そのものを「展示を観る体験」に変えてくれます。

各フロア角部屋のデザインを変えている点も、「次は違う部屋に泊まりたい」というリピート動機を生み出す工夫として注目できます。SNSの活用が集客に大きく影響する中で、「泊まりたくなる理由」を視覚的に分かりやすく設計することは、今後ますます重要になっていくと考えられます。

Other design room
Other design room

第2期フロアのサウナ施設と約90室増設

2026年春予定の第2期では、7〜9階にサウナ施設と約90室が増設される計画です。サウナは国内外で人気が高く、「ととのう体験」はウェルネスツーリズムとも親和性が高いコンテンツです。

  • 夜景を眺められる外気浴スペースやラウンジが実現すれば、新たな付加価値となる
  • インバウンド客にとって「日本式サウナ」「温冷交代浴」は新鮮な体験になり得る
  • 仕事終わりのビジネス客や展示会出展社など、短時間のリフレッシュ需要も取り込める

既存のホテル・旅館にとっても、「大掛かりな温泉設備は難しいが、サウナやととのいスペースでウェルネス価値を高める」という発想は、自館の設備投資検討のヒントになるかもしれません。

自社への活かし方のヒント|リブマックスさきしまコスモタワーホテルから学べること

1. 自館の「ランドマーク性」を言語化する

リブマックスさきしまコスモタワーホテルは、物理的なランドマーク(高層タワー)に入居するホテルですが、他の施設でも次のように「自館ならではのランドマーク性」を整理しておくと、打ち出し方が変わってきます。

  • 地域で一番古い旅館/地域文化を最も色濃く残す旅館
  • 駅から最も近い/自然に最も近い/夜空が最もきれいに見える宿
  • 地元の祭りやイベントと一体になっている宿

まずは「自施設が何者か」を経営者と現場が共有し、その上でターゲットや価格、サービスを設計するプロセスが、持続的な高付加価値化には欠かせないとされています。

2. 地元企業・アーティストとの小さなコラボから始める

いきなり大規模なコラボレーションルームをつくる必要はありません。例えば次のような小さな一歩から始める選択肢もあります。

  • 1室だけ、地元企業の商品パッケージやポスターを活用した「ローカルブランド応援ルーム」にする
  • 館内の一角を、地元アーティストの常設展示コーナーとして開放し、作品の販売・ワークショップと連携する
  • 朝食会場の一部を「地元企業コラボコーナー」として、調味料・飲料・スイーツなどを期間限定で展開する

こうした取り組みは、スタッフにとっても「自分たちの街を一緒に盛り上げている」という実感につながりやすく、従業員エンゲージメント向上にも寄与しやすいでしょう。

3. グループ・ファミリー向けの商品設計を見直す

リブマックスさきしまコスモタワーホテルのような最大6名客室が近隣に生まれる場合、既存施設は「グループ・ファミリーをどう扱うか」を改めて決め直すタイミングとも言えます。

  • 和室やコネクティングルームを「ファミリー向け」「3世代向け」「女子旅向け」など、用途別に写真とともに打ち出す
  • 食事時間・大浴場利用時間を、ファミリー向けと静かに過ごしたい層で分ける工夫をする
  • 多言語案内や食事制限への対応方針を整理し、予約前に分かりやすく伝える(できること・できないことの明示)

多様な食習慣や宗教的習慣を持つゲストへの対応は、完璧を目指すよりも「まずはできることから始め、分かりやすく伝える」ことが重要だとされています。

4. スタッフと一緒に「体験価値ストーリー」をつくる

最後に、リブマックスさきしまコスモタワーホテルのようなコンセプト重視のホテルに対抗するうえで、価格以外の価値をどう説明するかは欠かせないテーマです。

  • 「チェックインからチェックアウトまで、理想的な1日の過ごし方」を日本語・英語でストーリー化してみる
  • そのストーリーをスタッフと共有し、「この部分なら自分も提案できる」というポイントを話し合う
  • 公式サイトやSNSで、そのストーリーをベースに写真・動画を発信していく

こうしたプロセスを通じて、スタッフが自館の価値を腹落ちさせ、自信を持ってゲストに勧められるようになると、結果として従業員エンゲージメントも高まり、「また来たい」と思ってもらえる接客につながりやすくなります。

まとめ(リブマックスさきしまコスモタワーホテル開業の整理)

  • リブマックスさきしまコスモタワーホテルは、35㎡以上・最大6名の和洋室やコラボレーションルーム、サウナ施設などを通じて、大阪ベイエリアのインバウンド・グループ需要を象徴するランドマークホテルになりそうです。
  • 地元企業やアーティストとのコラボルームは、地域資源を宿泊体験に組み込む「地域連携型客室企画」として、他のホテル・旅館でも規模を調整しながら真似しやすい取り組みと言えるでしょう。
  • 自館のランドマーク性を言語化し、ターゲット・価格・体験ストーリーをスタッフと共有していくことで、価格競争に頼らない集客と従業員エンゲージメント向上を両立しやすくなります。
  • 大阪ベイエリアに限らず、リブマックスさきしまコスモタワーホテルのような動きを参考にしながら、「自館なりの強みと地域とのつながり」を丁寧に磨いていくと安心です。
  • もし「自館にここまでの投資は難しい」と感じる場合でも、小さなコラボレーションやグループ向け商品の見直し、ストーリーづくりから始めるという選択肢もあります。

企業情報

  • 会社名:株式会社リブ・マックス
  • 所在地:東京都港区(本社)
  • 代表者名:代表取締役 有山 憲
  • 事業内容:北海道から沖縄まで全国でホテル・リゾートを展開する直営型ホテルブランドの運営
  • 公式サイトURL:

本リリースに関するお問い合わせ

  • 会社名:株式会社リブ・マックス
  • お問い合わせ方法:ホテルリブマックス公式HP お問合せフォーム
  • お問合せフォームURL:https://www.hotel-livemax.com/contact/

出典:PR TIMES『『リブマックスさきしまコスモタワーホテル』2025年12月10日オープン! 大阪を代表する企業やアーティストとのコラボレーションルーム 「世界から大阪へ 大阪から世界へ」 大阪ベイエリアのランドマークホテル』(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000045.000162689.html)

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