ダイヤモンド富士鑑賞会は、富士山頂から昇る太陽を楽しめる希少な自然現象を商品化したイベントであり、年末年始の宿泊需要を高めたいホテル・旅館にとって参考になる事例といえそうです。この記事では、富士本栖湖リゾートで開催されるダイヤモンド富士鑑賞会の内容を整理したうえで、宿泊業の現場で応用できるポイントや、自社イベントへの落とし込み方を考えていきます。
本記事のポイント(ダイヤモンド富士鑑賞会)
- ダイヤモンド富士鑑賞会という「時間が限定された自然現象」を軸に、年末年始の集客と体験価値向上を両立する設計のポイントを整理します。
- 本栖湖のダブルダイヤモンド富士(逆さ富士+山頂の太陽)という強いフォトスポットを活かし、記念ポストカードやホットドリンクなど周辺サービスを組み合わせる発想を解説します。
- 自施設でも応用しやすい「◯◯鑑賞会」型コンテンツとして、ダイヤモンド富士鑑賞会をモデルにしたプラン造成・オペレーションのヒントを具体的に紹介します。
ニュースの概要:本栖湖のダイヤモンド富士鑑賞会
富士五湖の一つである本栖湖から車で約5分の場所に位置する富士本栖湖リゾートでは、2025年12月27日(土)〜2026年1月4日(日)の9日間限定で「ダイヤモンド富士鑑賞会」を開催すると発表しています。富士急グループの株式会社ピカが運営し、冬の早朝に富士山頂から昇る太陽を鑑賞できるイベントとしています。
ダイヤモンド富士は、朝日や夕日が富士山の山頂と重なる瞬間、太陽がダイヤモンドのように輝いて見える自然現象だと説明しています。富士本栖湖リゾートでは、澄んだ冬の空気の中で、場内の竜神池に映る逆さ富士と、山頂から昇る太陽の光が水面にも伸びる様子を合わせて楽しめる「ダブルダイヤモンド富士」が魅力だとしています。
開催時間は基本的に7:00〜9:00(入場は7:00から)で、料金は大人1,000円、小人500円としています。駐車場は約1,500台を無料で用意し、早朝営業のため電車・バスでのアクセスは想定していないことも明記しています。入場者には「ダブルダイヤモンド富士」をデザインしたオリジナルポストカードを1名につき1枚配布するとしています。
また、例年本栖湖は最低気温がマイナス8〜10℃まで下がるとしており、2026年1月1日(木)には4:00〜8:30の時間帯でキッチンカー「PICA DINER」を出店し、ホットココアや甘酒、桔梗信玄餅入りおしるこなどの温かいメニューを提供する計画としています。
宿泊業にとってのポイント:ダイヤモンド富士鑑賞会をどう生かすか
年末年始の滞在動機を強めるダイヤモンド富士鑑賞会
ダイヤモンド富士鑑賞会は、「このタイミングでしか見られない自然現象」を前面に出すことで、年末年始の滞在理由を強く打ち出している点が特徴的です。単なる「初日の出スポット」ではなく、ダブルダイヤモンド富士という希少な景色を訴求することで、写真・動画撮影を目的とした層にも響きやすい内容になっていると考えられます。
周辺のホテル・旅館にとっては、ダイヤモンド富士鑑賞会への参加を組み込んだ宿泊プランを設計することで、「この地域ならではの年末年始」を提案しやすくなりそうです。特に連泊を促したい場合、「到着日はゆっくり温泉・食事、翌早朝にダイヤモンド富士鑑賞会へ」という流れは、滞在満足度を高めるストーリーとして活用できるかもしれません。
早朝時間帯の稼働と付帯収益を高めるチャンス
ダイヤモンド富士鑑賞会は、7:00〜9:00(元旦は2:00入場)という早朝の時間帯を活用したコンテンツです。宿泊施設の視点では、この時間帯はレストランの朝食準備や一部スタッフの対応に限られることも多く、売上に直結しづらい時間になりがちです。
こうした時間帯に合わせて、
- 鑑賞会参加者向けの早朝軽食・ホットドリンクの提供
- ロビーでのブランケット貸出やカイロ配布
- 送迎サービスを含む「ダイヤモンド富士鑑賞会付き」宿泊プラン
といった形で「早朝時間も価値に変える」工夫をすることで、付帯収益の向上と顧客満足の両立が期待できます。ダイヤモンド富士鑑賞会自体は富士本栖湖リゾートの取り組みですが、周辺宿泊施設にとってもオペレーションの工夫次第でメリットを生みやすいコンテンツと言えそうです。
地域一体で“体験価値”を高める発想
ダイヤモンド富士鑑賞会は、富士山というナショナルアイコンと本栖湖の自然環境を活かした典型的な「ネイチャー体験コンテンツ」です。地域のホテル・旅館が個別に集客するだけでなく、
- 観光施設(今回のダイヤモンド富士鑑賞会)
- 宿泊施設
- 飲食・土産店
が連携して「年末年始の本栖湖・富士山エリアの過ごし方」として打ち出すことで、エリア全体の滞在価値を高めることができます。このような地域一体型の発信は、口コミやSNSでの二次的な拡散も期待しやすい点がポイントです。
背景と理由の整理:富士山・本栖湖エリアの冬の需要
冬の澄んだ空気がダイヤモンド富士鑑賞会の価値を高める
ダイヤモンド富士は年間を通じて見られる場所や時期が限られますが、富士本栖湖リゾートでは冬季の朝にクリアなダイヤモンド富士が楽しめるとしています。冬は空気が澄み、太陽と富士山のコントラストがはっきりするため、写真映え・動画映えという点でも高い価値を持つと考えられます。
さらに、竜神池に映る逆さ富士と山頂の太陽が重なるダブルダイヤモンド富士は、海外旅行者にとっても非常にわかりやすい「日本らしい絶景」です。こうしたビジュアル要素は、言語の壁を越えて訴求できるため、プロモーション素材としても活用しやすいといえます。
年末年始の「特別感」を補強する自然体験
宿泊業にとって年末年始は繁忙期である一方、「どこも混んでいる」という印象から旅行先選びに迷うお客様も少なくありません。その中で、ダイヤモンド富士鑑賞会のような限定イベントは、
- 「この期間にしか見られない景色」
- 「初日の出とは少し違う特別な御来光」
- 「家族やカップルでの思い出づくり」
といった文脈で、旅行先を決める決め手になりやすい要素となります。特に、自然を前面に出したイベントは、密を避けながら非日常を味わえる体験として、幅広い層に受け入れられやすい側面もあります。
寒さへの対応がホスピタリティ評価を左右する
一方で、本栖湖のような高地・湖畔エリアでは、例年マイナス8〜10℃まで冷え込むとしています。ダイヤモンド富士鑑賞会では、元旦にキッチンカーPICA DINERを出店し、ホットココアや甘酒、桔梗信玄餅入りおしることいった温かいメニューを提供する計画です。
この「寒さ」をデメリットとして避けるのではなく、
- 温かいドリンク
- 甘味や軽食
- 防寒グッズの貸出
によって「冬の厳しい気候も含めて楽しんでもらう」方向に転換している点は、宿泊業にとっても参考になる部分ではないでしょうか。
具体的な取り組み・ニュース内容の解説:ダイヤモンド富士鑑賞会のプログラム
9日間限定+早朝時間帯という設計
ダイヤモンド富士鑑賞会は、2025年12月27日〜2026年1月4日の9日間限定開催としています。開催時間も7:00〜9:00(元旦は2:00入場)に絞っており、「いつ行っても見られる」イベントではなく、「このタイミングを狙って訪れる」設計になっている点が特徴です。
宿泊施設の観点から見ると、
- 限定開催により「今行きたい」という動機づけをしやすい
- 早朝にピークが来るため、日中の混雑を分散しやすい
- 宿泊前泊・後泊の需要を生みやすい
といったメリットが考えられます。ダイヤモンド富士鑑賞会のように、時間を絞ったプログラムは、オペレーションの集中とメリハリにもつながります。
キッチンカーとホットドリンクで“体験の質”を補強
2026年1月1日のみ、キッチンカーPICA DINERを4:00〜8:30で出店し、ホットココア(450円)や甘酒(500円)、桔梗信玄餅入りおしるこ(600円)を提供するとしています。これは、
- 気温が最も下がる時間帯に合わせたメニュー構成
- 山梨らしさを感じられるご当地スイーツの活用
- 長時間の待ち時間を「おいしい体験」に変える工夫
という三つの役割を担っていると考えられます。宿泊施設でも、ダイヤモンド富士鑑賞会と組み合わせて、ロビーでの軽食販売や、チェックアウト後のカフェ利用を提案するなど、体験の質を高める工夫がしやすい部分です。
オリジナルポストカードによる「持ち帰れる思い出」
ダイヤモンド富士鑑賞会では、来場者全員に「ダブルダイヤモンド富士」が描かれたオリジナルポストカードを1名につき1枚プレゼントするとしています(なくなり次第終了)。これは単なるノベルティではなく、
- 絶景のベストショットを共有する役割
- SNS投稿のきっかけになる視覚的な仕掛け
- 次回リピートや他者紹介のきっかけづくり
という点で、体験の記憶を長く保つ仕組みとして機能します。ホテル・旅館でも、「ご来館記念カード」や「翌年のカレンダー」など、滞在の記憶を持ち帰ってもらう工夫は、ダイヤモンド富士鑑賞会同様に検討しやすい領域です。
アクセス条件を明確にすることでクレームを防ぐ
ダイヤモンド富士鑑賞会は、早朝営業のため「電車・バスでの利用はできない」とはっきり記載しています。そのうえで約1,500台分の無料駐車場を用意し、自家用車での来場を前提にしている点も実務的なポイントです。
宿泊業の現場では、こうしたアクセス条件が曖昧なまま販売すると、当日の交通トラブルや問い合わせ対応に追われがちです。ダイヤモンド富士鑑賞会のように、
- 利用できる交通手段
- 想定していない来場パターン
- 開場時間と混雑予想
を事前に明示しておくことは、現場負担を減らしつつ満足度を下げないための重要な工夫といえます。
自社への活かし方のヒント:ダイヤモンド富士鑑賞会型のイベント企画
1.自エリアの「ダイヤモンド富士」に相当する瞬間を探す
ダイヤモンド富士鑑賞会のようなイベントは、どの地域でも「同じものを真似る」ことはできません。一方で、多くのエリアには、
- 朝焼けに映える山や海
- 冬の澄んだ星空
- 川霧や雲海、雪景色
- 収穫や祭りなど季節の行事
といった「その時間、その場所ならではの景色」や瞬間があります。まずは、自エリアにおける「ダイヤモンド富士」に相当する自然現象や季節のハイライトを洗い出してみると良さそうです。
2.「鑑賞会」というフォーマットでパッケージする
ダイヤモンド富士鑑賞会は、「◯◯鑑賞会」という分かりやすいフォーマットで企画されています。この形式は、他地域の宿泊施設でも応用しやすく、
- 星降る夜空鑑賞会
- 雲海・朝焼け鑑賞会
- 雪景色ライトアップ鑑賞会
- 夕焼けと◯◯(橋・城・港)鑑賞会
など、さまざまなバリエーションが考えられます。ポイントは、
- 開催期間と時間帯を明確にする
- 鑑賞ポイント(どこから見るか)を事前に設定する
- 防寒・安全対策を織り込む
という3点です。これはまさに、ダイヤモンド富士鑑賞会が実践している設計と言えるでしょう。
3.宿泊プランとオペレーションをセットで設計する
ダイヤモンド富士鑑賞会を参考に、自社で鑑賞会型コンテンツを企画する場合は、イベント単体ではなく宿泊プランと一体で設計することが重要です。例えば、
- 鑑賞会付き1泊2食プラン(早朝軽食・ホットドリンク付き)
- 鑑賞会送迎付きプラン(会場への送迎とブランケット貸出)
- レイトチェックアウト+早朝鑑賞会プラン
など、料金設計とオペレーションをセットで考えることで、現場の負荷を抑えながら高付加価値な体験を提供しやすくなります。
スタッフのシフトも、ダイヤモンド富士鑑賞会のように「早朝に人を厚く配置する日」を事前に決めておくと、過度な残業や人手不足を防ぎやすくなります。
4.インバウンドを見据えた情報発信と多言語対応
ダイヤモンド富士鑑賞会のようなビジュアルが強いコンテンツは、インバウンド向けにも訴求力が高いと考えられます。その際、
- 英語・多言語でのイベント案内ページ
- 集合時間・寒さ・服装などの注意事項の明記
- 写真撮影ポイントやマナーの案内
などをセットで準備しておくと安心です。現場で全て説明するのではなく、事前の情報発信で期待値と注意点をそろえておくことで、クレームやトラブルを減らしつつ満足度を高めることができるでしょう。
まとめ:ダイヤモンド富士鑑賞会から学べる宿泊業のヒント
- ダイヤモンド富士鑑賞会のように「時間が限定された自然現象」を軸にすると、年末年始のような繁忙期でも、旅行者にとって選ぶ理由となる強いコンテンツをつくりやすくなります。
- 早朝の寒さに合わせたホットドリンクやオリジナルポストカードなど、体験の質を補強する工夫を組み合わせると、鑑賞会を単なる「見るだけ」から「五感で味わうイベント」に発展させることができます。
- 自施設でも、ダイヤモンド富士鑑賞会をモデルに自エリアの「◯◯鑑賞会」を企画し、宿泊プランや送迎、情報発信まで含めて設計しておくと安心です。
- すべてを一度に整える必要はなく、「まずは短期間・小規模に試す」という選択肢もあります。小さな鑑賞会から始めて、反応を見ながら少しずつブラッシュアップしていくと良さそうです。
企業情報
- 会社名:株式会社ピカ
- 所在地:山梨県富士吉田市上吉田2-5-1
- 代表者名:天野克宏
- 設立:1995年
- 事業内容:アウトドア宿泊施設の運営およびコンサルタント、ログハウス・トレーラーハウスの販売、雑貨等のデザインおよび販売、遊園地・スキー場の運営、飲食店の運営 他
- 公式サイト:株式会社ピカ 公式サイト
本リリースに関するお問い合わせ
- 施設名:富士本栖湖リゾート
- 電話番号:0555-89-3031
- 関連サイト:富士本栖湖リゾート 公式サイト
出典:PR TIMES『水面に伸びる“陽の光”と“ダブルダイヤモンド富士”で迎える新年の幕開け 富士本栖湖リゾート「ダイヤモンド富士鑑賞会」』https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001879.000001110.html


