2025.12.12

ハワイアンズ還暦祭×アイカツ！宿泊業が学べるIPコラボのポイント

CoCoRo編集部

ハワイアンズ還暦祭は、スパリゾートハワイアンズの創業60周年を記念して実施される大型キャンペーンであり、アニメ『アイカツ！』とのコラボイベントとして2025年12月13日から2026年3月1日まで開催されます。この記事では、ハワイアンズ還暦祭の取り組みをニュースとして整理しつつ、ホテル・旅館など宿泊業が自社の集客や顧客体験向上にどう生かせるかを読み解いていきます。

この記事の目次

本記事のポイント
ニュースの概要
宿泊業にとってのポイント：ハワイアンズ還暦祭とIPコラボの狙い
- ハワイアンズ還暦祭で「周年×IP」を掛け合わせる意味
- 宿泊付きの利用を後押しする設計
背景と理由の整理：ハワイアンズ還暦祭が示すIPコラボ需要
具体的な取り組み・ニュース内容の解説
自社への活かし方のヒント
まとめ
企業情報
本リリースに関するお問い合わせ

本記事のポイント

ハワイアンズ還暦祭とアイカツ！コラボは、「周年企画×IPコラボ」で冬期の集客とファン層の呼び込みを両立しようとしている事例です。
スペシャルチケット、コラボフード・グッズ、録り下ろしアナウンスなど、ハワイアンズ還暦祭は複数のタッチポイントで世界観を統一している点が宿泊業のイベント設計のヒントになります。
近隣宿泊施設や自社ホテル・旅館でも、ハワイアンズ還暦祭の考え方を応用して「記念イヤー施策」「IPタイアッププラン」「従業員が楽しめるエンゲージメント企画」に展開できる可能性があります。

ニュースの概要

福島県いわき市のスパリゾートハワイアンズは、創業60周年を記念した「ハワイアンズ還暦祭」の一環として、アニメ『アイカツ！』とのコラボレーションイベントを2025年12月13日（土）から2026年3月1日（日）まで実施すると発表しています。期間中は、館内のさまざまな場所で『アイカツ！』の世界観を楽しめる内容になっているとしています。

コラボ内容として、まず「ハワイアンズの入場券＋特別ノベルティ」がセットになったスペシャルチケットを、オンラインチケットサービスやセブンチケット、ハワイアンズ現地窓口で販売するとしています。さらに、宿泊予約客には全ホテル・全プランを対象に、滞在日数分の特別ノベルティを配布すると説明しています。

館内では、描きおろしイラストを使ったオリジナルグッズの販売や、キャラクターをモチーフにしたコラボフード＆ドリンクを提供するとしています。また、特設イベントスペースでは『アイカツ！』のイラストに囲まれた空間で、楽曲や声優による録り下ろしアナウンスが流れる演出を行うとしています。

加えて、コラボ期間中はハワイアンズ開館時のBGMを『アイカツ！』の楽曲に変更し、2025年12月13日には『アイカツ！』の歌唱担当キャストが出演するスペシャルイベントも実施予定としています。観覧は無料ですが、座席番号券とハワイアンズの入場券が必要と案内しています。

宿泊業にとってのポイント：ハワイアンズ還暦祭とIPコラボの狙い

ハワイアンズ還暦祭で「周年×IP」を掛け合わせる意味

ハワイアンズ還暦祭では、60周年という節目を『アイカツ！』という人気IP（キャラクター・アニメ）と組み合わせることで、以下のような効果を狙っていると見ることができそうです。

既存のファミリー層・温泉利用客に加え、『アイカツ！』ファンという新たな来訪動機をつくる
還暦祭というメモリアル感に、コラボ限定のグッズ・フードを重ねることで「今行かないと体験できない」特別感を演出する
冬期（12月〜3月）の長期開催により、シーズンをまたいで集客の山を複数回作る

ホテル・旅館でも、創業〇周年やリニューアル記念といったタイミングに、アニメ・漫画・スポーツチームなどのIPを組み合わせる発想は参考になりそうです。ハワイアンズ還暦祭のように、「節目の年だからこそ特別な体験ができる」というストーリーを加えることで、宿泊プランの価値を高めることができます。

宿泊付きの利用を後押しする設計

ハワイアンズ還暦祭では、特別ノベルティ配布の対象を「宿泊予約客」に広げ、滞在日数分のノベルティを渡すとしています。これは、宿泊日数が増えるほど特典も増える設計になっており、

「どうせ行くなら宿泊で行こう」
「せっかくなら1泊ではなく2泊して、じっくり館内を楽しもう」

といった心理を生みやすいと考えられます。

宿泊業にとっては、ハワイアンズ還暦祭のやり方を応用し、

連泊数に応じた特典
宿泊者限定グッズ
夜限定のイベント参加券

など、「泊まった人が一番得をする」構造を組み込むことで、滞在単価と満足度の両方を高めるヒントになりそうです。

背景と理由の整理：ハワイアンズ還暦祭が示すIPコラボ需要

フラ・フラダンスから続く「物語」とのつながり

プレス内容によると、『アイカツ！』の星宮いちごは、ハワイアンズが舞台のアニメ映画『フラ・フラダンス』とつながりが深く、2021年の公開時には応援大使も務めていたとしています。今回のハワイアンズ還暦祭は、その縁を生かした「物語の延長線上のコラボ」と位置付けることもできそうです。

単発のタイアップではなく、過去の作品・キャンペーンとストーリーでつながっていることは、ファンにとっての「聖地巡礼」要素を強めます。宿泊業でも、過去に実施したイベントや地域の物語との連続性を意識することで、リピーターにとっての価値を高められる可能性があります。

アニメ・キャラクターコンテンツと「聖地」需要

近年、アニメやゲームの舞台となった地域を訪れる「コンテンツツーリズム」「聖地巡礼」は、観光コンテンツの重要なトレンドとなっています。ハワイアンズ還暦祭での『アイカツ！』コラボは、この流れをうまく取り込もうとしている事例と見られます。

作品の舞台・関係のある場所でコラボを行う
グッズ・フード・BGM・アナウンスまで世界観を統一する
期間限定イベントでファンの来訪タイミングを明確にする

といった工夫は、コンテンツファンの「行く理由」をつくるうえで効果的です。地方のホテル・旅館でも、地域ゆかりの作品や、ローカルキャラクターとの連携を検討する際に、ハワイアンズ還暦祭の設計思想は参考になるのではないでしょうか。

冬期の集客と従業員エンゲージメント

ハワイアンズ還暦祭の開催期間は、2025年12月中旬から翌年3月初旬という冬シーズンです。寒い時期に温泉・プール・屋内エンタメを組み合わせたリゾートとして、季節性を逆手に取ったプロモーションとも捉えられます。

また、大規模なIPコラボは、現場の従業員エンゲージメント向上にもつながりやすいと考えられます。

スタッフがキャラクターや作品の背景を理解し、ゲストとの会話のきっかけになる
「ハワイアンズ還暦祭」の成功を共通目標とすることで、部署間連携が生まれやすい
イベント運営を通じて若手スタッフが成長する機会になる

こうした効果は、どの宿泊施設でも得たいものではないでしょうか。

具体的な取り組み・ニュース内容の解説

スペシャルチケットと宿泊者向けノベルティの設計

ハワイアンズ還暦祭では、入場券と特別ノベルティをセットにしたスペシャルチケットを、平日・土日祝・特定期で料金を変えて販売するとしています。料金体系をあらかじめ明示することで、訪問者は「どの曜日に行くとお得か」を判断しやすくなります。

宿泊予約客には、滞在日数分のノベルティを渡すとしていますが、これは以下のような構造になっています。

日帰り利用：スペシャルチケット購入で特典を得る
宿泊利用：自動的に複数日分のノベルティが配布される

宿泊業の視点で見ると、ハワイアンズ還暦祭のように「日帰りでも楽しめるが、宿泊するとさらにお得」という二段構えの設計は、客単価アップに貢献しやすいといえそうです。

コラボグッズ・フード＆ドリンクで「滞在時間と単価」を伸ばす

描きおろしイラストを使ったオリジナルグッズや、キャラクターをモチーフにしたコラボフード＆ドリンクは、ハワイアンズ還暦祭における重要な収益源と考えられます。館内の売店や飲食施設での消費を促すことで、

滞在時間の延長（館内を回遊する理由が増える）
1人あたり売上（客単価）の向上

につながる可能性があります。

宿泊施設でも、

朝食やバータイムにキャラクターやテーマに合わせた限定メニューを出す
ロビーや売店でオリジナルグッズ・地域限定アイテムを販売する

といった形で、ハワイアンズ還暦祭の仕組みを応用できます。特に、コラボ期間中だけのメニューや数量限定アイテムは、「今しか買えない」動機づけとして有効です。

録り下ろしアナウンスと特別BGMで世界観を統一

ハワイアンズ還暦祭では、特設イベントスペースで『アイカツ！』楽曲と声優による録り下ろしアナウンスを放送するとしています。また、開館時のBGMも『アイカツ！』の楽曲に変わると説明しています。これは、「耳からの体験」を通じて世界観を強化する工夫といえます。

宿泊業でも、例えば次のような応用が考えられます。

チェックイン時間帯だけ、コラボ先や地域にちなんだBGMを流す
客室のテレビや館内放送で、イベント期間限定のウェルカムメッセージを流す
ラウンジやロビーで流す音楽を、「ハワイアンズ還暦祭」風にテーマ性を持たせる

視覚（ポスターや装飾）だけでなく、聴覚も含めて「滞在中ずっと世界観に浸れる」環境が整うと、ゲストの記憶に残りやすくなります。

スペシャルイベントで「ピーク日」を作る

2025年12月13日には、『アイカツ！』の歌唱担当キャストによるスペシャルイベントが2回公演で予定されています。観覧は無料ですが、座席番号券と入場券が必要とされており、ハワイアンズ還暦祭の開幕日に向けて大きな集客の山を作る狙いがあると考えられます。

宿泊施設の立場からすると、このような「ピーク日」は、

満室・高稼働を見込める日として事前に価格戦略を組み立てる
近隣施設との連携で、周辺宿泊先を探すゲストを受け入れる
スタッフ配置やオペレーションを強化して、クレームを防ぎ満足度を高める

といった準備がしやすくなります。自社のイベントでも「初日」「最終日」「特別ゲスト日」など、意図的にピークをつくることで、メリハリのある販売戦略を組み立てやすくなります。

自社への活かし方のヒント

ハワイアンズ還暦祭をモデルに「自館版コラボ企画」を設計する

ハワイアンズ還暦祭は大型施設ならではのスケール感がありますが、考え方自体は中小規模の宿泊施設でも応用可能です。例えば、次のようなステップで「自館版・ミニ還暦祭」を検討することができます。

自館のストーリーを整理する
- 創業何周年か
- 地域の歴史・名物・文化とのつながり
- 常連客からよく語られる「らしさ」
相性の良いIPやテーマを選ぶ
- ローカルキャラクター、地域のアーティスト、スポーツチームなど
- 小規模な「作家・イラストレーター」とのコラボも現実的な選択肢です
ハワイアンズ還暦祭と同様に、複数のタッチポイントを設計する
- 予約段階：特別プラン名・特典、公式サイトでの特集ページ
- 滞在中：コラボメニュー、館内装飾、BGMや館内放送
- 帰宅後：お土産グッズ、SNSでのフォトコンテスト案内など

従業員エンゲージメントを高める仕込み

ハワイアンズ還暦祭のような大型イベントは、従業員のモチベーションにも影響します。宿泊業で同様の企画を行う際は、以下のような工夫をすると、スタッフの巻き込みが進みやすくなります。

企画段階から現場スタッフのアイデアを取り入れる
コラボ作品やIPの「簡単なガイド」を共有し、スタッフ同士で勉強会をする
イベント成功後には、社内で振り返り・表彰の場を設ける

従業員が「ハワイアンズ還暦祭のようなイベントを自分たちも作っている」という感覚を持てると、接客時の表情や言葉にも自然と熱量が乗り、ゲストの体験価値も高まりやすくなります。

近隣施設としての連携・送客のチャンス

スパリゾートハワイアンズ周辺のホテル・旅館にとって、ハワイアンズ還暦祭は「強力な集客エンジン」です。自館が直接コラボに参加していなくても、次のような取り組みは十分に検討できます。

「ハワイアンズ還暦祭を楽しむ方向け」宿泊プラン（送迎・朝食時間調整など）
館内でのチラシ掲示やスタッフによる案内で、ハワイアンズへのアクセス情報を丁寧に伝える
イベント終了後にゆっくりできる「温泉で一息プラン」「深夜チェックインOKプラン」などの設定

地域全体でハワイアンズ還暦祭を盛り上げる意識を持つことで、エリアとしてのブランド力・リピート意向も高まりやすくなります。

インバウンドも視野に入れた基本整備

『アイカツ！』のようなコンテンツは海外ファンも多く、今後のインバウンド需要にもつながる可能性があります。ハワイアンズ還暦祭をきっかけに、次のような「最低限の受け入れ整備」を見直しておくと安心です。

英語や簡体字・繁体字での基本案内（チェックイン時間、朝食時間、注意事項など）
コラボフードにアレルギー表示やベジタリアン対応メニューを一部用意することの検討
多言語翻訳アプリやコミュニケーションシートの活用ルールをスタッフ間で共有する

一度仕組みを整えておけば、ハワイアンズ還暦祭以外のイベントや通常期のインバウンドにも活用できるため、中長期的な投資と捉えることができそうです。

まとめ

ハワイアンズ還暦祭は、創業60周年という節目に『アイカツ！』とのIPコラボを組み合わせ、冬シーズンの集客とファン層の拡大を狙う好例といえます。
スペシャルチケットや宿泊者向けノベルティ、コラボグッズ・フード、録り下ろしアナウンスなど、多数のタッチポイントを通じて世界観を統一している点は、宿泊業のイベント設計でもまねしやすいポイントです。
自館でも、ハワイアンズ還暦祭を参考に「周年×テーマ」「地域×IP」といった企画を設計し、連泊特典や限定メニューなどを組み合わせることで、客単価と満足度を高めておくと安心です。
インバウンドやリピーター需要も視野に入れながら、従業員エンゲージメントを高める仕組みと、地域全体で盛り上げる視点を持つことが、今後の宿泊業にとって重要な選択肢になるでしょう。