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ホテルインディゴ東京渋谷の音楽イルミネーション活用法|宿泊業が学べるポイント

渋谷の音楽カルチャーからインスパイアされたイルミネーション “Shibuya Beats & Lights”
CoCoRo編集部

ホテルインディゴ東京渋谷が2025年冬に開始したイルミネーション“Shibuya Beats & Lights”は、渋谷の音楽カルチャーをモチーフにしたテラス演出として、宿泊業にとって学びの多い取り組みと言えそうです。渋谷の街と強く結びついたストーリーを、11階オールデイダイニング「Gallery 11」のテラスで可視化し、宿泊・レストラン利用者限定の特別な体験として提供していることが特徴です。

本記事では、このホテルインディゴ東京渋谷の事例を「ネイバーフッドストーリー」「テラス空間の活用」「ゲスト限定コンテンツ」という観点から整理し、他のホテル・旅館でも応用しやすいヒントに落とし込んでいきます。

本記事のポイント

  • ホテルインディゴ東京渋谷の“Shibuya Beats & Lights”は、渋谷のレコード文化や音楽カルチャーを取り入れた「ストーリー性のあるイルミネーション」であり、単なる飾りではなくブランド体験として設計されている点が参考になります。
  • 11階レストラン「Gallery 11」のテラスを活用した冬季限定演出は、「夜間・冬季の稼働を高める体験型コンテンツ」として、都市型ホテルが真似しやすいモデルケースと言えそうです。
  • 宿泊者とレストラン利用者に観覧を限定する運営方法は、オーバーツーリズムを避けつつ付加価値を高める運用モデルとして、他エリアの宿泊業にも応用できる選択肢となりそうです。

ニュースの概要

写真に収めたくなるほどフォトジェニックな空間

ホテルインディゴ東京渋谷は、渋谷区道玄坂に位置するライフスタイル・ブティックホテルで、渋谷のファッション・アート・ミュージックをテーマにしたデザインとサービスを打ち出していると説明しています。

今回の“Shibuya Beats & Lights”は、そのコンセプトの延長線上で行う冬季限定イルミネーションで、11階のオールデイダイニング「Gallery 11」テラス一面を光の演出で彩る内容としています。期間は2025年12月5日から2026年2月14日までを予定し、点灯時間は17時から23時としています。

今年のテーマは「渋谷の音楽カルチャー」。かつて「世界一レコードショップが多い街」として知られた渋谷・宇田川町の歴史に着想を得て、レコードやリズムを想起させるデザインを随所に配置しているとしています。テラス床面には、レコードを模した光のアートがゆっくりと回転しながら投影され、フォトスポットとしての機能も意識した構成です。

観覧できるのは、期間中のホテルインディゴ東京渋谷の宿泊者と、Gallery 11の利用者に限定されており、イルミネーションのみの見学は受け付けていないとしています。雨天でも原則実施するものの、天候や店舗状況によっては点灯できない場合があること、また諸事情により開催期間が変更になる可能性もあると注意書きを添えています。

宿泊業にとってのポイント|ホテルインディゴ東京渋谷から見えること

ホテルインディゴ東京渋谷の「ネイバーフッド」発想から学べること

ホテルインディゴ東京渋谷は、「ネイバーフッド(街のご近所)」のストーリーを、アートやデザイン、サービスを通じて体験に昇華するブランドだと説明しています。今回のイルミネーションでは、渋谷の音楽カルチャー、とりわけレコード文化をテーマに据えることで、「渋谷らしさ」の抽象的なイメージを、誰にでも分かりやすい形に落とし込んでいると見ることができそうです。

多くのホテルが冬季にイルミネーションを行いますが、その多くは「きれいな光」で止まり、地域との物語性までは踏み込めていないケースも少なくありません。ホテルインディゴ東京渋谷のように、「なぜこのデザインなのか」「この街ならではのモチーフは何か」を出発点にすることで、同じカテゴリーの施策でも独自性を高められる可能性があります。

音楽カルチャー×イルミネーションが差別化要因に

“Shibuya Beats & Lights”では、レコードやリズムをイメージした光の演出を通じて、渋谷の音楽カルチャーを視覚的に表現しているとしています。これは、いわば「音を光で可視化する」試みとも言えそうです。

宿泊業の視点で見ると、「地元カルチャー × 五感演出」の組み合わせは、今後さらに重要度が増すテーマです。観光庁が2024年に公表した観光コンテンツのトレンド調査でも、世界的にウェルネスやイベント、生活没入型の体験など、旅先での「没入感のあるコンテンツ」が重視されていると整理されています。

つまり、ホテルインディゴ東京渋谷が行っているような、「街の物語に浸れるイルミネーション」は、単に写真映えを狙った装飾ではなく、世界的な潮流にも沿った体験価値の提供だと位置付けることができそうです。

宿泊者・レストラン利用者限定にする意味

イルミネーション観覧をホテルインディゴ東京渋谷の宿泊者とGallery 11利用者に限定している点も、宿泊業にとって示唆的です。

一般公開のイルミネーションは集客力が高い反面、混雑や騒音、近隣への影響、館内導線の圧迫などの課題が発生しやすくなります。宿泊客やレストラン利用者に限定することで、

  • ゲストの滞在価値を高める「付帯体験」として位置づけられる
  • オーバーツーリズム的な混雑リスクを抑えられる
  • スタッフのオペレーションを想定しやすく、安全管理もしやすい

といったメリットが期待できます。

「誰でも見られるイルミネーション」ではなく、「ホテルを利用した人だけが体験できるイルミネーション」にすることで、ホテルインディゴ東京渋谷ならではの“特別感”を生み出していると捉えることもできそうです。

背景と理由の整理|なぜ今、カルチャー発のイルミネーションなのか

観光コンテンツは「没入感」がキーワードに

観光庁の調査では、世界の観光トレンドとしてウェルネス、ネイチャーアクティビティ、イベント、生活没入型体験などが挙げられ、これらに共通する要素として「イマーシブ(没入性)」が強調されています。

これは、旅先で単に景色を見るだけでなく、その土地の文化や生活にどれだけ深く入り込めるかが、旅行の満足度を左右しつつあるということを意味します。

ホテルインディゴ東京渋谷のイルミネーションは、渋谷の音楽カルチャーに光の演出という形で没入する体験であり、こうしたトレンドに合致したコンテンツと見ることができるでしょう。

渋谷というネイバーフッドの強み

渋谷には、ストリートファッション、クラブカルチャー、ライブハウス、レコードショップなど、多層的な音楽・カルチャーの蓄積があります。ホテルインディゴ東京渋谷は、宇田川町が「レコードショップの街」として世界的に注目された歴史に触れながら、レコードをモチーフとした光のアートを展開しているとしています。

このように、街の歴史やイメージを「ホテルのストーリー」に組み込むことで、宿泊者にとっては単なる滞在先ではなく、「その街を理解する入口」としての役割も果たせるようになります。地方の温泉地や歴史ある城下町でも、地場産業や祭り、自然景観などを起点に同様のストーリー設計ができるはずです。

冬季・夜間の稼働を高めるコンテンツ設計

冬季の都市型ホテルは、平日夜のF&B需要や館内施設の稼働に課題を感じていることも多いのではないでしょうか。

ホテルインディゴ東京渋谷の事例では、

  • 冬季限定(2025年12月5日〜2026年2月14日予定)のイルミネーションとする
  • 点灯時間を17時〜23時とし、ディナータイムやバー利用と自然に接続する
  • Gallery 11のテラスという、既存スペースを活用する

といった設計によって、冬・夜という時間帯の付加価値を高めようとしているように読み取れます。

これは、稼働が落ち込みがちな時間帯に「体験」を乗せることで、客単価や滞在時間の延伸を狙う典型的な高付加価値化のアプローチと言えそうです。

具体的な取り組み・ニュース内容の解説

Gallery 11テラスを舞台にした“Shibuya Beats & Lights”

イルミネーションの舞台となるのは、ホテルインディゴ東京渋谷11階のオールデイダイニング「Gallery 11」テラスです。

渋谷のネオン輝く夜景を一望できるテラスに、レコードや音のリズムをイメージしたライティングを加えることで、夜景そのものを一つのアート作品として再構成していると説明されています。

開放的なテラス一面に広がる光の演出は、

  • 渋谷の街を見下ろす非日常感
  • 音楽カルチャーというテーマ性
  • 写真に収めたくなるフォトジェニックさ

を兼ね備えた空間づくりになっていると考えられます。

レコードモチーフの回転フォトスポット

“Shibuya Beats & Lights”の象徴的な仕掛けが、レコードをモチーフにした回転式のフォトスポットです。

かつて「世界一レコードショップが多い街」としてギネス認定されたこともある渋谷の歴史を踏まえ、レコード型の光のアートが緩やかに回転しながらテラス床面に投影される演出になっているとしています。

このようなフォトスポットは、

  • ゲストにとって撮影したくなる「行動のきっかけ」になる
  • SNSでの発信を通じて二次的な宣伝効果が期待できる
  • スタッフも「ここが一番の撮影スポットです」と案内しやすい

といったメリットがあります。ホテルインディゴ東京渋谷のように、地域のカルチャーとフォトスポットを結びつけることで、「どこでも撮れる写真」ではない差別化されたコンテンツに仕上がっていると考えられます。

運営条件とオペレーションのポイント

ホテルインディゴ東京渋谷では、イルミネーション観覧を

  • 宿泊者
  • Gallery 11の利用者

に限定し、イルミネーションのみの見学は受け付けていないとしています。

この前提に立てば、運営側としては、

  • チェックイン案内時やレストラン予約時に、イルミネーション情報をセットで伝える
  • テラスへの導線や滞在時間を想定し、スタッフ配置や安全管理を調整する
  • 雨天時や強風時の運用ルールを事前に明文化しておく

といった準備が重要になります。

特に冬季のテラス利用では、滑りやすさや寒さへの配慮も必要です。ひざ掛けの用意や、ホットドリンクの提供、テラス利用時間の目安案内など、ささやかな工夫が体験の満足度を左右する可能性があります。

自社への活かし方のヒント

まず「自分たちの街の物語」を言語化する

ホテルインディゴ東京渋谷のイルミネーションの強みは、「渋谷の音楽カルチャー」という明確なストーリーがあることです。

自社で応用する場合は、まず次のような問いから始めてみると良さそうです。

  • この街・地域ならではの歴史や文化は何か
  • その中でも、宿と相性が良いテーマ(食、音楽、祭り、産業、自然など)は何か
  • ゲストに「語りたくなる」エピソードや数字はあるか

たとえば温泉地なら湯治文化や湯の歴史、港町なら漁や海のストーリー、城下町なら武家文化や町人文化など、軸になりそうな物語を一つ選び、ホテルインディゴ東京渋谷のように視覚演出に落とし込んでいくイメージです。

小規模ホテルでも真似しやすいイルミネーション・演出アイデア

ホテルインディゴ東京渋谷のような大規模なテラス演出は難しくても、小規模旅館や地方のホテルでも応用しやすいアイデアとしては、例えば次のようなものが考えられます。

  • 露天風呂や中庭に、地元の木材や工芸品と組み合わせたライトアップを行う
  • ロビーの一角に、地域のレコードやCD、ポスターなどを使った「ミニギャラリー」を作り、BGMと照明を工夫する
  • テラスや縁側に、季節ごとのライトと地元ドリンクを合わせた「ナイトラウンジ」時間を設ける

大切なのは、ホテルインディゴ東京渋谷のように、「その土地ならではのモチーフ」を必ず一つ紐づけることです。そうすることで、設備投資を抑えながらも、体験のオリジナリティを高めることができます。

ホテルインディゴ東京渋谷イルミネーションを自社企画に落とし込むポイント

ホテルインディゴ東京渋谷の“Shibuya Beats & Lights”を自社の取り組みに変換する際は、次の3ステップに分解して考えると整理しやすくなります。

  1. テーマの設定
    • 自地域版の「音楽カルチャー」にあたるものは何か
    • そのテーマを象徴するモチーフ(形・色・言葉)を決める
  2. 空間と時間の選定
    • イルミネーションを行う場所(テラス、中庭、ロビー前など)
    • いつ・誰に向けて実施するのか(冬季限定、宿泊者限定など)
  3. 収益・オペレーション設計
    • 宿泊プランやディナーコースとの組み合わせ方
    • スタッフの動線や安全管理の方法

このように分けて検討すると、規模の違いにかかわらず、ホテルインディゴ東京渋谷の発想を自社なりに取り入れやすくなります。

収益と従業員エンゲージメントの両方を意識する

イルミネーションやライトアップは、収益面と従業員エンゲージメントの両方に効果を期待できる施策です。

  • 宿泊・レストランの客単価向上や、冬季・夜間の稼働改善につながる可能性
  • スタッフが「自分たちの企画」として誇りを持ってゲストに紹介できる機会になること

ホテルインディゴ東京渋谷の取り組みも、スタッフがゲストに渋谷の音楽カルチャーを語りながらテラスを案内することで、コミュニケーションのきっかけが増え、従業員エンゲージメントの向上にも寄与していくかもしれません。

企画段階から現場スタッフを巻き込み、「どんなストーリーなら紹介したくなるか」「撮影スポットでどんな声かけをしたいか」といった観点で話し合っておくと、運用フェーズでの納得感も高まりそうです。

オーバーツーリズムを避ける運営ルールづくり

ホテルインディゴ東京渋谷がイルミネーションを宿泊者・レストラン利用者限定としているように、コンテンツの公開範囲をあらかじめ決めておくことは、今後の観光地ではますます重要になってくると考えられます。

特に都市部では、無料開放型のイルミネーションが想定以上の人出を呼び込み、結果として周辺住民や既存ゲストの満足度を下げてしまうケースも考えられます。その意味で、「利用者限定」「予約者限定」「時間帯限定」など、あらかじめ線を引く運用は一つの有効な選択肢と言えるでしょう。

自施設での導入を検討する際も、

  • 誰に体験してもらいたいのか(宿泊者、日帰り客、地域住民など)
  • どの程度の混雑なら受け入れ可能か
  • 周辺住民や他施設にどのような影響が出うるか

といった視点を事前に整理しておくと安心です。

まとめ

  • ホテルインディゴ東京渋谷の“Shibuya Beats & Lights”は、渋谷の音楽カルチャーとレコード文化を取り入れた「ネイバーフッド発のイルミネーション」として、ストーリー性のある体験づくりの好例と言えそうです。
  • 自社で応用する際は、「街の物語の言語化 → 空間・時間の選定 → 収益・オペレーション設計」という流れで整理すると、規模に応じたイルミネーションやライトアップ施策を組み立てやすくなります。
  • 公開範囲や運営ルールを事前に決めておくと安心です。特に都市部や人気観光地では、ホテルインディゴ東京渋谷のように宿泊者・レストラン利用者に限定する運用も有力な選択肢になります。
  • イルミネーションに限らず、通年で使えるライティング演出や夜間コンテンツを少しずつ増やしていくことで、宿泊単価の向上と従業員エンゲージメントの向上を両立させる道も見えてきそうです。

企業情報

  • 会社名:ホテルインディゴ東京渋谷
  • 所在地:〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂2-25-12
  • 代表者名:総支配人 レベッカ・ソーン
  • 開業日:2023年8月29日
  • 客室数:272室(13階〜28階)
  • 事業内容:ホテル・宿泊業、レストラン・バー運営
  • 主な設備:3階 カフェ、11階 レストラン/バー/テラス、12階 レセプション・ジム
  • 公式サイト:ホテルインディゴ東京渋谷 公式サイト

Gallery 11(ギャラリー イレブン)

参考資料

出典:PR TIMES『【ホテルインディゴ東京渋谷】渋谷の音楽カルチャーからインスパイアされたイルミネーション “Shibuya Beats & Lights” 12月5日より開催』https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000061.000123158.html

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