2025.12.18

ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町 HANROステイの高付加価値戦略

CoCoRo編集部

ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町の新しいステイプラン「HANRO STAY」は、ローブやインナーウェアなど“持ち帰れるラグジュアリー”を軸にした記念日向けの企画です。本記事では、この取り組みを手がかりに、都市型ラグジュアリーホテルがどのように高付加価値な記念日ステイを設計しているのかを整理し、ホテル・旅館の企画担当者が自館に応用する際のポイントを解説します。

この記事の目次

本記事のポイント
ニュースの概要
宿泊業にとってのポイント
背景と理由の整理
具体的な取り組み・ニュース内容の解説
自社への活かし方のヒント
まとめ
企業情報
本リリースに関するお問い合わせ
参考資料

本記事のポイント

ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町とHANROの協業は、「ステイ×ローブ・インナーウェア×スイーツ」で記念日需要を深掘りする好例であり、宿泊単価アップと顧客満足の両立ヒントが見えてきます。
「PREMIER PLAN」「ESSENTIAL PLAN」という2段階設計により、ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町はスイートルームからデラックスルームまで幅広い客層を取り込みつつ、ブランド体験の一貫性を保っていると考えられます。
サイズ・色の事前選択、アレルギーへの注意書き、一輪のバラなど、現場オペレーションとおもてなしの細部が緻密に設計されており、自館の記念日プランや従業員エンゲージメント向上にも応用しやすいポイントが多いと言えそうです。

ニュースの概要

ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町（東京都千代田区紀尾井町1-2）は、スイス発祥のラグジュアリーインナーウェアブランド「HANRO」とコラボレーションしたステイプラン「HANRO STAY」を、2026年1月8日（木）から3月22日（日）まで販売すると発表しています。

プランは2種類で、スイートルーム宿泊とクラブフロア特典が付いた「PREMIER PLAN」と、デラックスルーム宿泊の「ESSENTIAL PLAN」を用意しているとしています。PREMIER PLANでは柔らかなコットンテリーベロアのHANROローブ、ESSENTIAL PLANではベーシックキャミソールまたは半袖シャツのインナーウェアが、1名につき1着プレゼントされます。

両プラン共通の特典として、HANROの世界観をイメージしたメレンゲクッキーのプランシグネチャースイーツ、一輪のバラ、シャンパンのフルボトルが客室に提供されると説明しています。スイーツは、メレンゲの中にカシスの酸味をきかせたモンブランを忍ばせるなど、素材や構成にもこだわった内容としています。

さらに、本プランで提供されるローブやインナーウェアは宿泊者が持ち帰ることができ、滞在後も「旅の続き」を日常生活の中で楽しめる設計になっていると述べています。バレンタインデーやホワイトデーなど、大切な人との記念日での利用も想定した企画としています。

宿泊業にとってのポイント

ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町の「HANRO STAY」は、単なる“アメニティ強化プラン”ではなく、以下のような高付加価値化の視点が組み込まれていると考えられます。

宿泊そのものを「ギフト化」している
ローブやインナーをプレゼントとして持ち帰れることで、ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町で過ごした時間が、帰宅後も継続的に思い出されます。これは、記念日ステイを「モノ＋体験」のセット商品として設計している好例と言えそうです。
滞在時間の価値最大化（インルーム・エクスペリエンス）
高層階のスイートルームやデラックスルームで、ローブ・インナーウェア・シャンパン・スイーツ・一輪のバラを組み合わせ、「部屋で過ごす時間」そのものを主役にする設計になっています。都市型ホテルでも“籠もり滞在”で付加価値を生む発想として参考になります。
プレミアムとスタンダードの“二層”で売上の最大化
スイート＋ローブのPREMIER PLANと、デラックス＋インナーのESSENTIAL PLANという二層構造により、「最高単価ゾーン」と「手の届きやすい贅沢ゾーン」の双方を用意しています。ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町としても、空室状況や需要に応じた販売戦略が取りやすくなると見られます。

また、従業員エンゲージメントの観点でも、ブランドストーリー性のあるプランは、スタッフがゲストへ説明するときの誇りややりがいにつながりやすい面があります。「なぜこのローブなのか」「なぜこのスイーツなのか」といった背景を共有することで、スタッフ同士の会話も生まれやすくなりそうです。

背景と理由の整理

ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町が今回のようなHANROとの協業ステイを打ち出した背景には、都市型ラグジュアリーホテルを取り巻くいくつかの潮流があると考えられます。

記念日・カップル需要の高度化
バレンタインやホワイトデーの利用は、単に「宿泊＋ディナー」だけでは差別化が難しくなりつつあります。ゲストは「ここでしか買えない・体験できない」「二人だけの時間を演出してくれる」要素を求める傾向が強まっていると言えそうです。ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町では、ローブやインナーといった“パーソナルなアイテム”を組み合わせることで、特別感と親密さを同時に高めているように見えます。
ラグジュアリーブランドとのコラボレーション価値
HANROは「The luxury of simplicity（シンプルという贅沢）」を掲げるインナーウェアブランドと紹介されています。このコンセプトと、ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町の洗練された空間デザインやサービスの方向性が親和性を持っている点が、ブランド同士の共鳴を生んでいると考えられます。宿泊施設側から見れば、「ブランドの世界観を共有できるパートナー選び」が成功の重要要素になりそうです。
体験価値を“持ち帰れるもの”に変換する流れ
宿泊中の非日常体験を、グッズやプロダクトとして持ち帰ってもらう発想は、ロイヤルティ向上の観点で注目されています。ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町のように、実際に客室で着用したローブやインナーを、そのまま自宅でも使えるようにすることで、「使うたびにホテルステイを思い出す」仕組みになっていると言えるでしょう。
従業員にとって説明しやすい“ストーリー設計”
プランシグネチャースイーツには、メレンゲの甘さとカシスの酸味、モンブランの味わいなど、素材や構成のストーリーが明確に組み込まれています。これは、フロントやレストランスタッフがゲストへ説明する際のわかりやすいトークネタとなり、従業員エンゲージメントの向上にもつながると考えられます。

こうした背景を踏まえると、ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町の取り組みは、「高単価な記念日ステイを、ブランドストーリーとギフト性を軸に再設計した事例」として整理できるのではないでしょうか。

具体的な取り組み・ニュース内容の解説

ここでは、ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町の「HANRO STAY」を、商品設計・体験設計の観点から整理します。

ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町「HANRO STAY」の構成

販売期間
2026年1月8日（木）〜3月22日（日）
プラン共通内容
- プランシグネチャースイーツ（1名1プレート）
- 一輪のバラ（1名1本）
- シャンパンフルボトル（1室1本）
- 高層階の客室で楽しむインルーム提供
- HANROの世界観を反映したスイーツデザイン

～PREMIER PLAN～ HANROローブ付き（室数限定）

宿泊条件
- スイートルーム1泊
- クラブフロア特典付き
料金目安
- 1名あたり140,884円より（1室2名利用時）
特典
- HANROローブ（1名1着）をプレゼント
ローブの特徴
- 柔らかなコットンテリーベロアを使用
- ふんわりと体を包み込む着心地
- 自宅でのリラックスタイムや朝の目覚め後にも使える1枚と説明

スイートルーム＋クラブフロア特典という、ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町の中でも最上位に近い体験と、ラグジュアリーローブを一体化させることで、「特別な記念日」「プロポーズ」「節目の祝い」など、最も高い価格帯でも納得感のある構成にしていると考えられます。

～ESSENTIAL PLAN～ HANROベーシックインナー付き

宿泊条件
- デラックスルーム1泊
料金目安
- 1名あたり58,486円より（1室2名利用時）
特典
- HANROベーシックインナー（1名1着）
- ホワイト／ブラックの2色展開
- ベーシックキャミソールまたは半袖シャツから選択（予約時に種類・色・サイズを指定）

インナーウェアは日常使いしやすく、価格もPREMIER PLANより抑えられているため、「初めてザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町を利用するカップル」や、「ちょっと背伸びしたご褒美ステイ」を狙った層にフィットしそうです。予約時に色・サイズを選択できる点は、在庫管理や当日のトラブル防止にもつながる実務的な工夫とも言えます。

プランシグネチャースイーツと客室演出

プランシグネチャースイーツは、HANROの世界観を表現したメレンゲクッキーで、以下のような構成としています。

メレンゲクッキーの中にモンブランを仕込んだ構造
ラムシロップ入りクレームマロン、クレームシャンティ、クレームカシス、ビスキュイダコワーズなどを重ねた多層の味わい
メレンゲの甘さとカシスの酸味の調和を楽しめる設計

これをシャンパンとともに客室で提供し、高層階からの夜景と一輪のバラが加わることで、ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町ならではのロマンティックな時間を演出しています。

一方で、アレルギーについては、プランシグネチャースイーツの特性上、乳・卵・小麦への対応が難しいと注記しており、特定原材料8品目への対応方針も明示しています。このような注意書きは、ラグジュアリーホテルだからこそ求められるリスクマネジメントであり、自館で類似プランを企画する際にも参考になる部分です。

自社への活かし方のヒント

ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町の事例から、他のホテル・旅館が応用しやすいポイントを整理します。

1. テーマ設定：「誰の」「どんな記念日」を狙うかを明確にする

HANRO STAY ～PREMIER PLAN～ HANRO ローブ付きイメージ

ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町のHANRO STAYは、

カップル／夫婦
バレンタイン・ホワイトデー・記念日
都心でゆったり過ごしたいラグジュアリー志向

といったターゲット像がくっきりしています。

自館でも、
「母の日に向けた親子ステイ」
「還暦祝いの三世代ステイ」
など、ペルソナを具体化することで、必要なアイテムや演出が見えやすくなります。

2. “持ち帰れる”要素を1つ以上組み込む

ローブやインナーのように、滞在後も使えるアイテムは、価格の説得力を高める要素になります。必ずしも高額品でなくても、

オリジナルルームフレグランス
地元クラフト作家のマグカップ
宿のロゴ入り今治タオル

など、「使うたびに宿を思い出す」ものを1つ組み込むだけでも、記念日プランの満足度は高まりやすいでしょう。

3. フロント・予約担当・ハウスキーピングを巻き込んだ設計

ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町のように、サイズやアイテムを事前選択制にする場合、以下のような連携が鍵になります。

予約時：サイズ・色・アイテムのヒアリング項目を標準化
ハウスキーピング：客室ごとのセット内容を一覧化し、抜け漏れを防止
フロント：チェックイン時にプランの内容を改めて説明し、期待値を調整

このプロセスをきちんと整えることで、従業員が「特別なプランを支えている」という実感を持ちやすくなり、エンゲージメント向上にもつながっていきます。

4. スイーツやドリンクに“ストーリー”を持たせる

ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町では、メレンゲの甘さとカシスの酸味、モンブランの構成など、パティシエによる「語れるスイーツ」になっています。

自館でも、

地元産の果物や酒を使った限定デザート
2人でシェアして完成させるスイーツ（ソースをかける、飾り付けるなど）
季節や地域のストーリーを込めた名称

といった工夫をすると、スタッフが説明しやすく、ゲストとのコミュニケーションも生まれやすくなります。

5. プラン名・コピーで世界観を伝える

「HANRO STAY」「PREMIER PLAN」「ESSENTIAL PLAN」といったネーミングは、シンプルでありながら、プランの位置づけが伝わる構成になっています。

ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町のように、

ブランド名を入れてコラボの特別感を出す
“PREMIER”“ESSENTIAL”など、違いが直感的に伝わる言葉を使う
英語と日本語のバランスを整える

といった工夫は、他の宿泊施設でも応用しやすいポイントではないでしょうか。

まとめ

ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町のHANRO STAYは、「持ち帰れるラグジュアリーアイテム」と「インルームで完結する特別な時間」を組み合わせた、高付加価値な記念日ステイの好例といえます。
スイートとデラックスの2プラン構成により、ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町は異なる価格帯のゲストを取り込みながら、ブランド体験の一貫性と収益性の両立を図っていると考えられます。
自館でも、ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町のように「誰のどんな記念日か」を明確にし、持ち帰れるアイテム・ストーリー性のあるスイーツ・スタッフが説明しやすい設計を組み込んでおくと安心です。
ブランドコラボに限らず、地元の職人やクリエイターとの協業で「ここでしか体験できないプラン」を作るという選択肢もあります。
記念日プランは、単なる販売企画にとどまらず、従業員エンゲージメントの向上や、「自分たちの宿らしさ」を再確認する場にもなり得るという視点を持っておくと良さそうです。