厚生労働省と観光庁が連携して一元化した外国人患者を受け入れる医療機関の情報を取りまとめたリストが更新され、ホテル・旅館の緊急時対応で使える「案内の拠り所」が整理されました。体調不良やケガは一定確率で起きます。宿泊施設は医療判断をしない前提で、適切な導線づくりと、現場が迷わない手順の整備が重要になりそうです。
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本記事のポイント
- 外国人患者を受け入れる医療機関の情報を取りまとめたリスト更新を、宿泊施設の緊急時導線づくりに落とし込む視点を整理します。
- 医療機関リストの「カテゴリー」を理解すると、フロントの案内品質が安定しやすくなります。
- 外国人患者の案内で起きやすい落とし穴を避け、館内マニュアル・スタッフ教育に展開するヒントをまとめます。
ニュースの概要
観光庁は、訪日外国人旅行者が国内で医療を必要とする場面に備え、安心して受診できる環境づくりを進めていると説明しています。あわせて、在留外国人の増加も背景に、居住圏ごとに外国人患者が受診しやすい体制整備を進めている位置づけです。
この流れの一環として、厚生労働省と観光庁が連携し、外国人患者の受診に対応できる医療機関の情報を一元化した「外国人患者を受け入れる医療機関の情報を取りまとめたリスト(医療機関リスト)」を更新したと発表しています(最終更新日:2025年12月25日)。
医療機関リストは、患者側の利便性向上だけでなく、医療機関や行政のサービス向上にも資する目的で整理されているとされています。掲載する医療機関は、各都道府県が地域の医療体制を踏まえて選出する運用です。

https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001715188.pdf,(参照:2026年1月3日).
宿泊業にとってのポイント:医療機関リストをフロント業務に組み込む
宿泊施設にとっての要点は、「紹介先がゼロにならない仕組み」を事前に持てる点です。外国人患者の体調不良は、深夜・早朝、休日、繁忙期に発生しやすい一方で、現場は医療機関探しに時間を取られがちです。医療機関リストを起点にすると、案内が属人化しにくくなります。
特に、次の3つをセットで整えると運用しやすくなります。
- 施設の標準導線:救急要請、近隣受診、オンライン相談などの判断基準を館内で統一する
- 情報の持ち方:医療機関リストを「館内用」「ゲスト用」に分け、渡す情報量を調整する
- 言語面の補助:対応言語や受診の仕方を、短い定型文で案内できる状態にする
宿泊施設が行うべきは診断ではなく、受診の導線設計です。外国人患者を受け入れる医療機関の情報を取りまとめたリストは、その導線設計の土台として扱うと良さそうです。
医療機関リストの「カテゴリー」を理解すると案内が安定する
医療機関リストは、都道府県が「拠点的な医療機関」として位置づけた区分を設けている点がポイントです。説明資料では、少なくとも次の2カテゴリーが示されています。
- カテゴリー1:入院を要する救急患者に対応可能な医療機関(都道府県で1つ以上)
- カテゴリー2:診療所・歯科診療所も含む、外国人患者を受け入れ可能な医療機関(二次医療圏に1つ以上)
宿泊施設の現場では、「深夜で症状が重そう」「軽症だが言語面が不安」など状況が混ざります。カテゴリーの考え方を理解しておくと、フロントの説明が落ち着きやすくなるでしょう。
外国人患者対応で起きやすい落とし穴
宿泊施設で起きやすい落とし穴は、「善意で紹介したつもりが、期待値がズレる」ことです。医療機関リストは便利ですが、掲載の意味を誤解すると、クレームや現場疲弊につながる可能性があります。
説明資料では、医療機関リストに掲載されていない医療機関での受診を妨げる趣旨ではない点、また外国から診療目的で来日する患者の受入医療機関リストではない点が注記されています。宿泊施設は「医療機関リストにあるから確実に受診できる」と言い切らず、「受診可否は当日の状況で変わる可能性がある」前提で案内しておくと安心です。
背景と理由の整理:外国人患者受入と医療機関リストが必要になる場面
外国人患者の受入体制は、観光の安心感と直結します。旅行中に医療へアクセスできる見込みがあるだけで、旅行者の心理的ハードルは下がりやすいからです。宿泊施設は「地域の受入体制の入口」になりやすく、フロントやコンシェルジュが相談窓口になりがちです。
一方で、宿泊施設が抱える制約も明確です。医療知識の有無よりも、現場の優先順位は「安全確保」「言語の壁」「支払い・保険」「移動手段」の整理になります。医療機関リストの意義は、医療機関名を増やすことよりも、こうした制約の中で案内の標準化を後押しする点にあると考えられます。
宿泊施設の業務に置き換えた「必要情報」
ニュース本文では、医療機関の所在地、対応可能な言語、診療科などで情報を探せる点が示されています。宿泊施設に置き換えると、最低限そろえたいのは次の粒度です。
- 施設からの移動手段と所要時間の目安
- 対応言語の目安と通訳手配の考え方
- 夜間・休日の案内ルール(救急要請も含む)
- 支払いに関する注意喚起(現場で断定しない言い回しも含む)
外国人患者を受け入れる医療機関の情報を取りまとめたリストを「検索する」だけで終えず、宿泊施設の案内項目へ翻訳しておくと、現場に残りやすくなります。
具体的な取り組み・ニュース内容の解説:外国人患者を受け入れる医療機関の情報を取りまとめたリスト
観光庁の説明資料では、医療機関リストの目的は、外国人患者が安心して受診できる体制整備であり、患者・医療機関・行政の利便性向上につながると整理されています。医療機関リストは厚生労働省と観光庁が共同で取りまとめているとも示されています。
また、医療機関リストの掲載は都道府県が担い、外国人患者への診療に協力する意志があり、都道府県が適格と判断した医療機関が掲載される運用とされています。宿泊施設の視点では、「公的に整理された入口情報」として扱える点が、日々のオペレーションに効きます。
フロントで使える一次対応フローの例
医療判断はせず、案内の段取りだけを統一するイメージです。
| 想定シーン | 宿泊施設の一次対応 | 医療機関リストの使い方 |
|---|---|---|
| 意識がない、呼吸が苦しい、強い胸痛など | ためらわず救急要請、可能なら同伴者確保 | リスト検索より安全確保を優先 |
| 高熱、腹痛、転倒などで受診希望 | 症状の聞き取りは最小限、受診手段の提案 | 近隣・対応言語・診療科の観点で候補提示 |
| 歯の痛み、軽い皮膚症状など | 受診可能時間帯の確認を促す | カテゴリー2の医療機関を当たりやすい |
案内で重要なのは、宿泊施設が「受診先を決める」のではなく、「選択肢を安全に提示する」ことです。外国人患者を受け入れる医療機関の情報を取りまとめたリストは、選択肢提示の根拠として使うと整理しやすいでしょう。
JNTOの医療機関情報との使い分け
観光庁の発表では、日本政府観光局(JNTO)のウェブサイトにも医療機関情報が掲載されており、多言語で検索できる点が示されています。一方で、更新タイミングがずれる可能性にも触れられています。
宿泊施設側では、医療機関リストを「更新の基準情報」、JNTOの情報を「ゲストに渡しやすい閲覧導線」として使い分けると、現場が混乱しにくいはずです。こうした整理をしておくと良さそうです。
自社への活かし方のヒント:外国人患者を受け入れる医療機関の情報を取りまとめたリストを現場に落とす
ここからが宿泊施設にとっての本番です。外国人患者を受け入れる医療機関の情報を取りまとめたリストが更新されても、現場が使えなければ効果は限定的です。運用まで落とすためのヒントを3点に絞ります。
館内マニュアルは「探し方」より「渡し方」を整える
情報検索の手順を長く書くより、渡す情報をテンプレ化すると浸透しやすくなります。
- ゲストへの案内文(日本語・英語の短文)を用意する
- 症状聴取は最小限にし、緊急時は救急要請を優先する一文を入れる
- 「受診可否は医療機関の判断」など、宿泊施設が断定しない言い回しを定型化する
スタッフ教育は「ロールプレイ」で最短距離にする
外国人患者対応は、知識よりも場数の差が出やすい領域です。月1回でも短時間で回せる形が現実的です。
- 深夜帯の想定:少人数オペレーションで誰が何をするか
- 多言語の想定:翻訳ツール、電話通訳、館内の協力体制
- 支払いの想定:クレジットカードや保険の話題に踏み込みすぎない練習
医療機関リストのカテゴリーを理解し、案内の型を作ると、スタッフの心理的負担も軽くなるかもしれません。
地域連携は「都道府県選出」という前提を活用する
医療機関リストの掲載は都道府県が選出する運用とされています。宿泊施設は、地域側の窓口や動きを把握しやすい前提があります。
外国人患者を受け入れる医療機関の情報を取りまとめたリストを、単なる一覧ではなく「地域の安全網の入口」として扱う視点も押さえておくと良さそうです。
まとめ
- 外国人患者を受け入れる医療機関の情報を取りまとめたリスト更新は、宿泊施設の緊急時導線づくりを見直す合図になりそうです。
- 医療機関リストのカテゴリー理解と、宿泊施設が断定しない案内文の整備で、現場対応は安定しやすくなります。
- 医療機関リストは万能ではないため、受診可否の変動や掲載範囲の前提を伝えておくと安心です。
- 館内マニュアルとロールプレイを小さく回し、必要に応じて地域連携という選択肢もあります。
参考資料
- 観光庁『「外国人患者を受け入れる医療機関の情報を取りまとめたリスト」を更新しました』
- 観光庁『医療機関リスト(Excel)』
- 観光庁『医療機関リストの解説(PDF)』
- 日本政府観光局(JNTO)『訪日外国人旅行者向け 医療機関情報』


