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観光庁公表、令和8年度「地域のMICE誘致力強化促進事業」の公募を宿泊業目線で読み解く

CoCoRo編集部

地域のMICE誘致力強化促進事業は、地域の強みを軸に「質の高い開催モデル」を実証で磨く枠組みです。宿泊事業者が早い段階から参画すると、団体需要の取り込みだけでなく、平日の稼働底上げや付帯消費の設計まで手が届きます。公募要領の要点と、・旅館が申請チームで価値を出す打ち手をまとめます。

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本記事のポイント

  • 地域のMICE誘致力強化促進事業の「要件」と「刺さる書き方」を短時間で把握できる
  • 宿泊業が連携体制で担える役割(商品造成・受入・効果測定)を整理できる
  • MICEで需要平準化を狙うときの落とし穴と、現場での運用の組み立て方が分かる

地域のMICE誘致力強化促進事業の公募に関する発表内容の整理

観光庁は、令和8年度の地域のMICE誘致力強化促進事業について、公募を開始しています。公募期間は2026年1月16日から2026年3月19日12時までと示されています。

本事業は補助金ではなく調査事業の一環として実施され、実証で得た知見は優良事例として横展開する方針です。選定後も、観光庁や有識者の意見を踏まえて提案内容の修正が入り得る点が明記されています。

事業類型は2つです。①は「MICE開催地での実施」、②は「MICE開催地以外の地域での実施」と整理され、②は複数都府県(・沖縄は複数都市)にまたがる体制や、開催地以外での宿泊を前提とした企画などが要件に含まれます。

出典:『令和8年度「地域のMICE誘致力強化促進事業」の公募開始のお知らせ』 https://www.mlit.go.jp/kankocho/kobo09_00042.html

宿泊業にとっての地域のMICE誘致力強化促進事業のポイントとは?

地域のMICE誘致力強化促進事業で「平日需要」を設計しやすくなる

地域のMICE誘致力強化促進事業は、会議・・国際会議などを呼び込む前提で、地域の受入モデルを組み立てます。宿泊需要の山谷が大きい地域ほど、平日・閑散期に団体需要を作る意味が重くなります。

ホテルが強いのは「会場+客室+食」の一体設計です。例えば、到着日夜のウェルカムレセプション、早朝の分科会、チェックアウト後の地域体験までを一つの導線にすると、館内の売上だけでなく地域消費も押し上げやすくなります。

宿泊事業者が担うと評価に直結しやすい役割

公募要領の選定基準は、積極性・効果性、競争力向上への寄与、戦略性と持続性、新規性や他地域へのモデル性などが並びます。
宿泊業が入ることで、机上の構想から「運用できる計画」に一段上がりやすい点がポイントです。

  • 受入設計:客室配分、団体動線、ピーク時の朝食分散などを具体化
  • 商品造成:ユニークベニュー利用や地域体験を含むパッケージの型を作成
  • 効果測定:参加者アンケート回収、再来訪意向、館内単価の伸びなどを追える形に整備

現場の落とし穴は「現場工数の見積り不足」

MICEは「一度決まると大きい」一方で、準備負荷が読みにくい領域です。宴会・料飲・フロント・客室の横串調整が弱いまま走ると、通常運営の品質を落としやすくなります。実証段階から、現場責任者が週次で意思決定できる体制を置いておくと安心です。

地域のMICE誘致力強化促進事業の背景と理由の整理

観光庁「宿泊旅行統計調査」で需要の波を前提にした設計ができる

観光庁の宿泊旅行統計調査は、延べ宿泊者数や客室稼働率などを把握するための統計として位置づけられています。地域の繁忙期・閑散期をデータで捉え、MICEでどの月を埋めるかを言語化しやすくなります。

地域のMICE誘致力強化促進事業で狙う「」は、感覚ではなく前提データがあると強いです。応募書類では、対象期間(いつの統計か)と対象範囲(自社だけか、地域全体か)を揃えて示すと読み手が迷いません。

JNTOの訪日外客統計が示す「需要の厚み」と地方誘客の文脈

日本政府観光局()は訪日外客数を毎月公表し、市場動向を継続的に示しています。訪日需要が厚い局面では、都市部だけでなく地方の受入競争も強まりやすく、MICEの提案力が差になります。 (Japan National Tourism Organization)

地域のMICE誘致力強化促進事業が掲げる「質の高い開催モデル」は、単なる誘致活動に留まりません。地域の受入品質を“再現可能な型”として残し、次年度以降も回る仕組みにする発想が核になります。

地域のMICE誘致力強化促進事業の解説

地域のMICE誘致力強化促進事業の類型①②は「宿泊の波及先」で考える

事業②は、開催地を含む3都府県以上での実施、3都府県以上に申請主体が存在すること、開催地以外での宿泊を前提とした企画などが選定基準に含まれます。
複数地域に客を動かす設計なので、宿泊事業者は「どこで泊まるか」を作り込めます。

一方、事業①は開催地での磨き込みが中心です。会場近接ホテルが強い地域なら、会議運営・食・宿泊の一体感を武器にできます。

経費上限と自己負担割合は「自走化」のメッセージになる

観光庁から支払う経費の上限は、事業①が1,000万円(税込)、事業②が2,000万円(税込)と示されています。事業①は自己負担割合2割以上が要件で、自己負担割合が高いほど継続性・自走化の評価で加点するとされています。

宿泊業の立場では、自己負担を「持ち出し」ではなく「投資」として説明しやすい領域があります。例えば、プロモーション素材をそのまま営業ツールに転用する設計にすると、実証後の獲得活動で回収しやすくなります。

選定基準で見られるのは「地域の自己分析」と「新規性」

選定基準には、地域の自己分析(強み・課題)に基づく長期ビジョンと一貫性、新規性、他地域へのモデル性、これまでのMICE実績などが並びます。
「既存の取組と同じ」は対象外になり得るため、宿泊事業者は“既存サービスの組み合わせ”でも、新しい受入の型として再定義すると通りが良くなります。

例として、同じ宴会プランでも「分科会の同時並行」「食物アレルギーの国際基準対応」「夜間利用の調整」まで含めて運用モデルとして見せると、新規性が立ち上がります。

経費設計で起きやすい注意点

公募要領では、費目の偏り防止のため項目ごとに上限設定を行う場合があること、事前に認めていても最終精算で認められない可能性があることに触れています。
宿泊事業者は「料理飲食費」や「運営人件費」が膨らみやすいので、企画段階から“何を実証する費用か”を一文で言える粒度にしておくと安全です。

地域のMICE誘致力強化促進事業自社への活かすためのヒント

地域のMICE誘致力強化促進事業でホテルが担う「3つの役」

地域のMICE誘致力強化促進事業は、自治体・CB/DMOなどの代表機関が中心になり、複数機関の連携体制を組む想定です。
ホテル・旅館は、次の3役を取ると存在感が出ます。

  1. 受入オペレーション責任:客室・動線・安全・多言語の“運用”を担保
  2. 収益設計責任:タリフ、、滞在延伸の仕掛けを具体化
  3. データ責任:アンケート回収導線、参加者属性、館内単価の取得方法を整備

申請書で効く書き方は「誰が、いつ、何を、どこまでやるか」

選定後に計画の修正が入り得る前提なので、最初から完璧な未来予測は不要です。代わりに、意思決定の主体とプロセスを具体化すると実行可能性が伝わります。

  • 月1回の定例会で決める項目(会場、宿泊配分、食、体験、KPI)を先に固定
  • 実証当日の運営責任者を実名ではなく「役割」で明記し、代替要員も置く
  • 実証後の横展開先(地域内の別宿、別会場)を最初から想定しておく

実証後に効くKPIは「次の案件を呼ぶ指標」

MICEの良し悪しは、当日の満足度だけで終わりません。再来訪や次回開催の相談につながる指標が残ると、地域内の営業が回り出します。

  • 参加者アンケート回収率(回収導線の設計が問われる)
  • 「次回も同地域で開催したい」意向(定性コメントも武器になる)
  • 宿泊の追加泊率(プレ・ポスト滞在の設計が効いているか)

まとめ

  • 地域のMICE誘致力強化促進事業は、地域の受入を“型”として実証し、横展開する枠組みです。
  • 上限額(事業①1,000万円・事業②2,000万円)と自己負担割合(事業①は2割以上)を踏まえ、実証後に回収できる投資設計にしておくと安心です。
  • 宿泊業は受入運用・収益設計・データ取得の3点で価値を出しやすく、地域連携の中で主導権を取るという選択肢もあります。
  • 宿泊旅行統計調査などの公的統計で需要の波を示すと、需要平準化の説明が通りやすくなります。

参考資料

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