宿泊・旅行業界ニュース

恵方巻で体験価値と食品ロスを両立するRyocance(リョカンス)の取り組み

恵方巻を「消費」から「文化体験」へ再定義する、旅館で福を呼ぶ体験プログラム
CoCoRo編集部

恵方巻を「季節の食」から「所作の文化体験」へ寄せると、単価アップだけでなく現場の運用も整えやすくなります。箱根の旅館が始めた期間限定プログラムを手がかりに、宿泊業の体験設計・・従業員エンゲージメントまでを、実務目線で読み解きます。

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本記事のポイント

  • 恵方巻は「所作」と「意味づけ」を束ね、体験価値を言語化しやすい設計になっている
  • ×必要量調達の考え方は、恵方巻のフードロス課題に対して現場で実装しやすい
  • 観光庁データが示す需要環境を踏まえ、恵方巻を「消費」から「」へ再定義する、旅館で福を呼ぶ体験プログラムを滞在の理由に転換する打ち手が見えてくる

発表内容の整理

知る・巻く・向き合う――恵方巻体験
知る・巻く・向き合う――恵方巻体験

金乃竹は、文化体験型の滞在スタイル「)」の取り組みとして、恵方巻をテーマにした体験プログラムを2026年1月20日から2月28日まで提供すると発表しました。会場は箱根町塔之澤の旅館内で、平日昼の時間帯に実施する設計です。

内容は「知る・巻く・向き合う」の3工程で、節分や恵方巻の背景を学ぶ導入、七種の具材を用いた巻き体験、恵方を向いて無言で味わう時間までを1セットで行います。英語の解説シートや英語対応スタッフの用意も含まれます。

運用面では完全予約制とし、必要量のみを調達することで廃棄ロスを生みにくい仕組みを組み込んだ点が特徴です。料金は1名8,800円(税込)、所要時間は約1時間として案内されています。

出典:PR TIMES『“黙って食べる”意味を知る。恵方巻を「消費」から「文化体験」へ再定義する、旅館で福を呼ぶ体験プログラムを開始』 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000149.000097935.html

宿泊業にとってのポイント|恵方巻をテーマにした体験プログラムが示す体験価値

恵方巻をテーマにした体験プログラムの肝は、「何を食べるか」より「どう過ごすか」を前面に出した点にあります。旅館の強みである“静けさ・間・所作”と相性が良く、食を入り口にして文化体験へ自然につなげやすい体験と言えそうです。

もう一つは、提供時間を約1時間に切り、昼の時間帯に置いたこと。チェックイン前後の隙間を埋めやすく、館内回遊や売店導線とも組み合わせやすい発想かもしれません。結果として「連泊の理由」や「滞在中の満足度」を作りやすくなります。

さらに、恵方巻をテーマにした体験プログラムはスタッフの役割設計にも最適です。料理人だけが主役ではなく、文化背景を短く伝える案内役が価値を支えるため、現場の参加感を作りやすいのも利点でしょう。

恵方巻をテーマにした体験プログラムを商品で終わらせない3要素

  • 意味:節分の由来、七種の具材、黙って食べる所作などを短く理解できる
  • 手触り:巻く体験で「自分で作った」納得感が出る
  • 余韻:恵方を向く時間が、旅館の空気感と結びつきやすい

背景と理由の整理|恵方巻・食品ロスと需要環境

恵方巻は近年、売れ残りや廃棄が社会課題になりやすい商材です。環境省は令和4年度(2022年度)の食品ロス量を約472万トン(家庭系約236万トン、事業系約236万トン)と推計し、事業者・家庭の双方で削減が要ると示しています。旅館の現場でも「必要量調達」「予約での需要確定」は避けて通れません。

制度面では、消費者庁が食品ロス削減を国民運動として進める枠組み(食品ロス削減推進法や基本方針)を整理しています。宿泊事業者にとっては、単なる“もったいない”に留めず、運用ルールとして落とし込むことが問われる領域です。

ニュース内容の解説|恵方巻をテーマに文化体験にする設計

恵方巻をテーマにした体験プログラムを読み解くと、「体験消費の増加」という大きな流れに合わせた商品設計が見えてきます。(2024年暦年・確報)」では、訪日外国人旅行消費額が8兆1,257億円となり、費目別の構成比は宿泊費33.6%、買物代29.5%、飲食費21.5%の順でした。2019年比では宿泊費の構成比が増え、買物代が減った点も示されています。

この流れを旅館側に置き換えると、客室単体の価値だけでなく「館内での過ごし方」を磨くほど、消費の受け皿を自社の中に作れます。恵方巻をテーマにした体験プログラムは、食と文化をつなぎ、しかも短時間で完結するため、導入の難易度を下げている印象です。

運用面のポイントは、体験の工程が3つに分かれていることです。分業しやすく、教育もしやすい。現場の負荷が読めない体験企画は定着しにくいので、ここは見落としたくありません。

例)恵方巻をテーマにした体験プログラムを館内オペレーションに落とす

工程体験の核現場の担当設計品質を揃えるコツ
知る背景・所作の意味文化案内役(フロント/コンシェルジュ兼務も可)3分で話す台本+英語シートでブレを減らす
巻く手作業の楽しさ料理人+補助1名具材・巻き簾・衛生動線をセット化する
向き合う黙って味わう時間案内役が場を整える“静けさ”のルールを冒頭で共有する

自社への活かし方のヒント

恵方巻をテーマにした体験プログラムの学びを自社に移すなら、まず「予約制に向く体験」から始めると安心です。節分に限らず、行事・所作・季節の意味がある題材は、説明が短くても体験として成立しやすいからです。

次に、収益だけでなくエンゲージメント設計を同時に進めるのが効きます。文化案内役は“接客の延長”ではなく、体験の品質を左右する役割になります。短い台本、よくある質問集、NG例(場を壊す振る舞い)まで整えると、担当者の自信が上がりやすいでしょう。

最後に、フードロス対策はKPIを一つ置くと回ります。たとえば「予約数=仕込み数」「当日キャンセル時の転用先(まかない等)のルール化」など、現場で判断が迷わない形にしておくのが現実的です。恵方巻をテーマにした体験プログラムが完全予約制を採った点は、まさにここを先回りしています。

恵方巻をテーマにした体験プログラムから発想する小さな改善案

  • 体験後に「次の行事」を一言で案内し、・再訪の理由を作る
  • 英語対応は“長文の説明”より“短い所作ガイド”を優先する
  • 写真映えよりも「静けさの体験」を守るルールを先に決めておく

Ryocance(リョカンス)とは

Ryocance(リョカンス)は「 × バカンス」をコンセプトに、金乃竹リゾートが2024年1月から始めた独自の滞在スタイルです。茶道・書道・着付けなど、日本文化を滞在中に体験できるプロジェクトとして位置づけ、旅館の時間そのものを“学び”と“余韻”に変える狙いを掲げています。

特徴は、文化や年中行事を「詳しい人だけのもの」にしない点。旅館という日常から少し離れた空間で、行事や所作の意味を自然に感じられるように設計し、国内外のゲストに「見る観光」から「体験する滞在」へ視点を移してもらう発想が素敵ですね。

リョカンス提供者の一般公募――日本文化を支える“担い手”づくり

Ryocance(リョカンス)とは? ―旅館でよみがえる日本文化
Ryocance(リョカンス)とは? ―旅館でよみがえる日本文化

金乃竹リゾートは2025年12月1日から、Ryocance(リョカンス)の体験提供者を一般公募すると案内しています。性別・国籍・特別な資格や経歴を問わず、日本文化や特技、知識・スキルを生かして旅館で体験を提供したい人を広く募る方針です。

編集部目線で見ると、この公募は「体験の数」を増やすだけでなく、運営側の人材設計にもつながります。自身の日本文化、特技、知識、スキルを活かして旅館での体験を提供することは、属人化しやすい一方で、台本・所作の基準・安全衛生の型を整えると品質を揃えやすくなります。外部の担い手を受け入れるなら、オンボーディング手順と評価軸を先に用意しておくと安心です。

リョカンス提供者 “一般公募受付中”

まとめ

  • 恵方巻をテーマにした体験プログラムは、所作と意味づけで「文化体験」を作る設計が読み取りやすい
  • 予約制×必要量調達は、食品ロス削減の運用に落とし込みやすいアプローチです
  • 観光庁データが示す需要環境の中で、恵方巻をテーマにした体験プログラムのような館内体験は滞在価値を伸ばす選択肢もあります
  • まずは予約で需給を確定できる体験から設計しておくと安心です

企業情報

  • 会社名:株式会社 金乃竹
  • 代表者名:八幡 正昭
  • 本社所在地:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原817
  • 設立:1947年
  • 資本金:300万円
  • 事業内容:宿泊施設の運営、飲食店の運営 ほか
  • Kinnotake Resorts
  • 会社概要:会社概要/事業
  • Ryocance情報:Ryocance

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参考資料

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本記事は、公開されている情報(プレスリリース、公式サイト、官公庁等の公的資料を含む)を基に、宿泊業の実務に役立つ観点からCoCoRo編集部が独自に整理・解説したものです。記事内で取り上げる商品・サービス・施設・取り組み等は、発表元のホテル・旅館(および関係事業者)から個別の許諾、監修、承認を受けて作成したものではなく、またPR TIMESを含む配信媒体や発表元との提携・推奨・広告・販売促進を意図または示唆するものでもありません。

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