箱根ホテル小涌園の「俺たちの箱根駅伝」コラボは、作品世界の熱量を“館内体験”に落とし込む好例です。宿泊業の視点で、回遊導線と現場オペレーションの要点を、統計の背景と一緒に読み解きます。
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本記事のポイント
- 箱根ホテル小涌園のコラボ企画を、館内回遊と滞在満足に変換する考え方が分かる
- 俺たちの箱根駅伝の“物語資産”を、客単価と体験価値につなげる設計を整理できる
- 観光庁データを踏まえ、需要の波に合わせた運用(展示・売店・足湯・SNS導線)の勘所が見える
発表内容の整理
箱根エリアの施設群で、池井戸潤さん原作「俺たちの箱根駅伝」のドラマ化を記念したコラボ企画を、2026年12月31日まで実施する旨が案内されています。会場の一つとして箱根ホテル小涌園の館内展示を設け、宿泊者以外も鑑賞できる運用です。
箱根ホテル小涌園3階の展示は、作品に関連するインタビューやエピソード、関係者コラムの3テーマで構成するとされています。加えて、中継ポイント「小涌園前」の由来に触れ、施設名が中継地点名として定着していった経緯も紹介する流れです。
敷地内では「小涌園前」モニュメントを活用し、記念撮影と足湯体験を組み合わせた回遊を促す内容が示されています。あわせて売店での書籍販売や、宿泊券などが当たるキャンペーン、箱根ホテル小涌園の宿泊プラン販売も掲載されています。

出典:PR TIMES『〖箱根ホテル小涌園〗ドラマ化記念 箱根小涌園×『俺たちの箱根駅伝』箱根小涌園で振り返る特別な空間が誕生』 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000990.000001368.html
宿泊業にとってのポイントを箱根ホテル小涌園に学ぶ

コラボ施策の強みは、「見に行く理由」を館内に複数作れる点です。展示、モニュメント、足湯、売店という“目的地”を点在させれば、チェックイン前後の動きを自然に増やせます。
もう一つは、体験がスタッフ接点を増やしやすいことです。俺たちの箱根駅伝の背景や「小涌園前」の小話を、フロント・売店・レストランで短く語れるだけで、滞在の記憶が立ち上がります。
最後に、館内回遊が「混雑の偏り」をならす可能性もあります。ピークが一点に集中しにくい設計は、現場の負荷平準化にもつながりやすいです。
KPIの置き方
数字は大きくしすぎない方が運用しやすいです。例えば次の3つなら、現場で回せます。
- 展示スペース来訪数(1日合計と時間帯別)
- 売店の関連購買(書籍・関連土産の点数)
- 足湯周辺の滞在(写真撮影→館内戻りの導線)
俺たちの箱根駅伝を“滞在理由”へ変える一言導線
館内の言葉は短く、同じ表現を繰り返さない方が刺さります。入口・客室内案内・レストラン前の3点だけ、訴求軸を変えて置くと回遊が伸びやすい印象です。
背景と理由の整理|俺たちの箱根駅伝が動かす需要
国内旅行は、需要そのものが堅調です。観光庁「旅行・観光消費動向調査 2025年4-6月期(2次速報)」では、日本人国内旅行消費額が6兆7,453億円、うち宿泊旅行が5兆2,433億円と示されています。
同じ資料で、1人1回当たりの旅行支出(旅行単価)は46,574円、宿泊旅行は72,055円と整理されています(交通費・宿泊費・飲食費・買物代などを含む定義)。
宿泊の“中身”で差がつく局面だからこそ、箱根ホテル小涌園のように体験の理由を増やす設計が効きます。
宿泊需要の実態把握には、観光庁「宿泊旅行統計調査」が使えます。同調査は全国規模の実態把握を目的とし、ホテル・旅館・簡易宿所などを対象に毎月公表しています。(国土交通省)
「延べ」と「実」を混同しやすい点は注意で、延べは“泊数の合計”、実は“人数”として整理されます。
箱根ホテル小涌園の企画を「スポーツ×観光」へ寄せる視点
スポーツ庁の「スポーツホスピタリティガイドブック(2025.3 前編)」は、高付加価値の観戦体験を支える要素として、食・土産・交流・ストレスのない導線などを挙げています。駅伝そのものは観戦チケット型と違っても、体験設計の考え方は宿泊施設でも応用しやすいです。
ニュース内容の解説|箱根ホテル小涌園×俺たちの箱根駅伝
今回の骨格は「展示で知る→現地で撮る→温泉でほどく」という流れにあります。作品の世界観を展示で補助し、屋外(モニュメント・足湯)で行動を起こさせ、最後に温泉・食で滞在価値に戻す設計です。
もう一点、箱根ホテル小涌園の展示テーマが「中継地点の由来」に触れているのは強い要素です。地名ではなく施設名が中継ポイントとして定着した背景を扱うため、施設そのものが“物語の当事者”になります。
作品側の情報も補助線になります。文藝春秋の作品ページでは『俺たちの箱根駅伝 上』の発売日が2024年4月24日と示され、ドラマ化(2026年秋)も掲出されています。
放送期が近づくほど検索と来訪動機が強まりやすいので、館内導線の詰めは“今のうち”がやりやすいタイミングです。
箱根ホテル小涌園の館内回遊を崩さない運用メモ
落とし穴になりやすいのは、体験が増えるほど「案内が増えて迷う」点です。次の2つは先に決めておくと安心です。
- 撮影可否とSNS投稿のルール(掲示は短く、問い合わせは減らす)
- 混雑が出る場所の“逃がし先”(展示→売店→足湯の順など)
自社への活かし方のヒント|箱根ホテル小涌園に学ぶ設計
箱根ホテル小涌園の事例を、自施設に移植するときは「コンテンツを増やす」より「導線を作る」が先です。まずは館内に3つの目的地を置き、チェックイン前後の回遊を設計します。
次に、スタッフの言葉を統一しすぎないのがコツです。全員が同じ台本を読むより、30秒で語れる“推しポイント”を各部署で1つずつ持つ方が自然に広がります。
最後は、従業員体験の視点も入れます。展示の更新や小さなイベントを月1回でも回すと、現場の参加感が生まれやすい印象です。
俺たちの箱根駅伝の“物語資産”を現場に落とす手順
- 作品要素を3分類する(人・場所・出来事)
- 館内で対応できる体験に変換する(展示、食、売店、撮影スポット)
- それぞれに「一言案内」と「次の行き先」を付ける
箱根ホテル小涌園型のチェックリスト
- 体験の入口は1つに絞れているか(迷いを減らす)
- 写真が撮れる場所と撮れない場所が明確か
- 回遊の終点が温泉・食・売店など売上導線に接続しているか
ドラマ化記念企画として箱根小涌園コラボプレゼントキャンペーンも実施
箱根ホテル小涌園を含む箱根小涌園の企画として、俺たちの箱根駅伝のドラマ化を記念した「コラボプレゼントキャンペーン」を2026年3月31日まで実施する旨が示されています。対象は作品の購読者で、キャンペーンフォームから感想を送ると抽選で宿泊券や招待券などが当たる設計です。
景品は箱根ホテル小涌園のペア宿泊券のほか、箱根小涌園 天悠、箱根小涌園 三河屋旅館のペア宿泊券、箱根小涌園ユネッサンのペア招待券、箱根ホテル小涌園のランチビュッフェ招待券といった複数メニューで構成されています。キャンペーンは「購入→応募→来訪」という流れを作りやすく、施設側は滞在前の期待醸成と来訪動機の補強に活用しやすい施策と言えるでしょう。
まとめ
- 箱根ホテル小涌園のように目的地を点在させると、館内回遊が作りやすい
- 俺たちの箱根駅伝は“聖地性”と相性が良く、展示→撮影→温泉の流れが組みやすい
- 観光庁データが示す旅行消費の厚みを踏まえ、体験価値の設計を強めておくと安心です
- まずは撮影ルールと混雑の逃がし先を決める、という選択肢もあります
企業情報
- 施設名:箱根ホテル小涌園
- 所在地:神奈川県足柄下郡箱根町二ノ平1297
- 客室数:150室
- 公式サイト:箱根ホテル小涌園
- 会社名:藤田観光株式会社
- 本社所在地:東京都文京区関口2-10-8
- 設立:1955年11月
- 資本金:1億円
- 公式サイト:藤田観光株式会社
- 代表取締役兼社長執行役員:山下 信典
参考資料
- 観光庁: 宿泊旅行統計調査(調査概要)
- 観光庁: 宿泊旅行統計調査(2025年11月・第2次速報/2025年12月・第1次速報)報道発表資料(2026年1月30日)
- 観光庁: 旅行・観光消費動向調査 2025年4-6月期(2次速報)(2025年10月31日)
- スポーツ庁: スポーツホスピタリティガイドブック(2025.3)前編 (文部科学省)


