箱根・一の湯の「運試しスクラッチ」は、次回の値引きを運試しスクラッチに変えて再来訪を後押しする施策です。宿泊業の現場で再現しやすい条件設計と運用の勘所を、統計データと制度面の注意点を交えて読み解きます。
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本記事のポイント
- 箱根・一の湯の運試しスクラッチを「配布条件」「割引上限」「利用除外」を具体値で把握し、設計の骨格をつかめる
- 観光庁の宿泊旅行統計を踏まえ、繁閑差に合わせたクーポン運用の当て方を考えられる
- 景品表示法の整理を前提に、箱根・一の湯のような遊び心を安全に運用するヒントが得られる
発表内容の整理
株式会社一の湯は、箱根の一の湯グループ全施設で「一の湯 運試しスクラッチ」の配布を2026年2月4日のチェックインから始めたと発表しました。配布対象は宿泊の代表者で、1組につき1枚の配布です。

スクラッチはチェックイン時に手渡し、客室やロビーなど好きな場所で削る流れです。券面には「ハズレ」の枠がある一方、今回の実施ではハズレくじを入れない設計としており、必ず2等(10%OFF)以上が当たります。
割引は次回宿泊に使える条件で、公式サイト予約限定とされています。等級は、1等が次回宿泊代金20%OFF、2等が10%OFFで、公式WEB会員特典の5%OFFと併用すると最大25%相当(1等)・最大15%相当(2等)です。割引上限は1人あたり4,000円で、3人利用のケースでは最大12,000円相当まで到達します。利用除外日は年末年始・ゴールデンウィーク・お盆などの特定期間で、早割など既に割引されたプランは対象外と示されています。
出典:PR TIMES『「3人で泊まれば最大12,000円引き!?」箱根・一の湯、 ハズレなしの「運試しスクラッチ」配布を開始』 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000259.000012033.html
宿泊業にとってのポイント 箱根・一の湯の仕掛け
運試しスクラッチはチェックイン直後に渡すため、運試しスクラッチが滞在の高揚感に混ざり、館内の満足度を押し上げやすくなりそうです。滞在中の会話のタネにもなることも間違い無いでしょう。
もう一つの見どころは、割引感が大きい上限設計です。箱根・一の湯は1人あたり上限4,000円、3人で最大12,000円相当と具体値を示し、グループで来る理由を作りました。
現場目線では「ハズレ枠はあるがハズレは入れていない」という仕様が問い合わせを呼びやすいポイントです。フロントで一言添えるだけで混乱が減り、体験としての気持ちよさも守れます。
背景と理由の整理 箱根・一の湯の施策が刺さる条件
観光庁「宿泊旅行統計調査(令和7年11月・第2次速報、令和7年12月・第1次速報)」では、客室稼働率が2025年11月65.7%、同12月59.1%と月で水準が変わる姿が示されています。稼働が落ちやすい時期に次回の理由を先に配布しておく発想は、繁閑差に対する打ち手として相性が良さそうです。
同じく観光庁「旅行・観光消費動向調査 2025年7-9月期(1次速報)」は、日本人の国内旅行消費額が8兆536億円、国内旅行単価が49,912円/人と整理しています。旅行市場が伸びる局面でも、比較検討の最後は「思い出せる強い理由」を持つ宿が選ばれやすく、箱根・一の湯のような記憶に残る施策は効き目が出やすいと見ることもできそうです。
値引き自体は珍しくありません。箱根・一の湯が差別化したのは、スマホ完結が当たり前の中であえてアナログの行為を差し込んだ点。ここが再来訪のきっかけになるかもしれません。
リピーター獲得に繋げる箱根・一の湯の条件設計
箱根・一の湯の運試しスクラッチは、条件が細かく決められています。実務に効くのは、割引率だけでなく「公式サイト予約限定」「既割引プランは対象外」「特定期間は除外」「上限4,000円/人」という守りの条件がセットになっているところです。
箱根・一の湯の割引設計を数字で見る
- 1等:次回20%OFF、会員特典5%OFFと併用で最大25%相当
- 2等:次回10%OFF、会員特典5%OFFと併用で最大15%相当
- 上限:4,000円/人、3人で最大12,000円相当
- 配布:1組1枚、代表者にチェックイン時に手渡し
- 利用:公式サイト予約限定、既割引プランは対象外、年末年始など特定期間は除外
制度面の整理も欠かせません。消費者庁の景品表示法FAQでは、自社の取引で取引通念上妥当な基準に従って対価を減額する割引は、値引と認められる経済上の利益に当たり、景品類に含まれない旨が示されています。箱根・一の湯のように「次回の宿泊代金を減額する」設計は整理しやすい一方、無料宿泊券や物品付与へ広げる場合は扱いが変わる可能性もあるため、拡張時こそ条件の点検が大切です。
自社への活かし方のヒント
箱根・一の湯のような割引施策を導入する前に決めたい運用の骨格
- 配布タイミング:チェックインに固定すると、体験品質とオペレーションが揃います
- 説明文言:ハズレ枠の有無、上限額、対象外プランを短く言い切れる形にしておくと安心です
- 原資の守り方:対象曜日・対象月・除外期間を先に決め、稼働の谷に寄せる設計が続きやすいです
箱根・一の湯の「会話」を再現する現場トーク例
体験を作るのは紙ではなく声かけです。たとえば「今夜、夕食後に皆さまで削ると盛り上がります。今回はハズレは入っていません」などと伝えるのも良いかもしれません。
注意したい点としては上限4,000円/人の説明が抜けると、期待値だけが膨らみやすくなります。割引率と同じくらい、上限と対象外条件を自然に添える運用が有効でしょう。
箱根・一の湯の上限設計を自社の単価に合わせる
箱根・一の湯は「3人で最大12,000円相当」という分かりやすさを作りました。自社が同じ発想を使うなら、平均単価と稼働の谷を踏まえて上限を置き、赤字化を避ける設定にしておくと回しやすいです。
まとめ
- 箱根・一の湯は「チェックイン配布」「ハズレなし」「上限4,000円/人」で体験と原資管理を両立させた
- 観光庁の宿泊旅行統計が示す繁閑差を踏まえ、クーポンは稼働の谷に寄せて設計しておくと安心です
- 制度面は消費者庁の景品表示法FAQに沿って「値引き」の整理を先に固めるという選択肢もあります
- 箱根・一の湯の要素は、説明文言と声かけを整えるほど再現性が上がる
企業情報

- 会社名:株式会社一の湯
- 所在地:神奈川県足柄下郡箱根町塔ノ沢90
- 代表者:小川 尊也
- 資本金:11,000,000円
- 設立:1630年(創業)
- 事業内容:温泉旅館の運営
- 公式サイト:https://www.ichinoyu.co.jp/
- オンラインショップ:https://ichinoyu.shop/
お問い合わせ先 公開情報
参考資料
- 観光庁|宿泊旅行統計調査(令和7年11月・第2次速報、令和7年12月・第1次速報):https://www.mlit.go.jp/kankocho/news02_00073.html
- 観光庁|旅行・観光消費動向調査 2025年7-9月期(1次速報):https://www.mlit.go.jp/kankocho/news02_00067.html
- 消費者庁|景品表示法FAQ(景品類ではないもの):https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/faq/premium/other


