UMITO VOYAGE ATAMIが全面改装と改称を掲げ、熱海で新たな滞在拠点づくりに踏み出しました。少室数で体験の密度を上げながら、シェア別荘とホテルを両立する設計は、稼働と単価、人材配置の考え方まで含めて示唆が多い取り組みです。
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海と共に過ごす別邸「UMITO」について
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本記事のポイント
- UMITO VOYAGE ATAMIの刷新を、宿泊運営の論点(稼働・単価・体験)に翻訳して整理
- シェア別荘×ホテルの在庫配分、KPI、現場体制づくりの勘所を具体化
- 公的データで需要と人手の前提を押さえ、企画判断の解像度を上げる
発表内容の整理


株式会社UMITOは、熱海の「UMITO VOYAGE ATAMI」を「UMITO 熱海 本邸」へ改称し、隣接施設「THE SALON」もあわせて改装する方針を示しました。両施設はリニューアルオープン(2026年夏予定)に向けて閉館し、開発を進めるとしています。
リニューアルに先駆けて、2026年3月上旬からシェア別荘として先行販売を開始予定です。オーナー利用に加え、一般利用者も宿泊できるホテルとしての運用も行う計画です。

「UMITO 熱海 本邸」は全5戸で、共用部にエントランスとレストラン(20席)を備えます。客室は2ベッドルームのLIEN(屋内103.20㎡+テラス45.40㎡)と、ワンルームスイートのAMI(屋内52.00㎡+テラス14.40㎡)を用意し、最大宿泊人数はLIENが4名(追加で最大2名)、AMIが2名(追加で最大1名)としています。建築リノベーション監修とインテリアは建築家の寶田陵氏が担い、もう一つの施設は雑誌LEONとの共創で「UMITO 熱海 ザ・サロン」へ改称する予定です。


出典:PR TIMES『熱海、待望の新拠点。「UMITO VOYAGE ATAMI」全面改装。海の目の前絶景ロケーション「UMITO 熱海 本邸」誕生』 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000094.000063930.html
UMITO VOYAGE ATAMIの刷新が、熱海の滞在価値に何を足すか

UMITO VOYAGE ATAMIが示す、少室数ラグジュアリーの磨き方
5室という規模感は、設備を増やすよりも体験の解像度を上げる発想と相性が良いです。UMITO VOYAGE ATAMIの刷新では、名称を本邸に改め、空間の静けさや素材感に焦点を当てた設計思想が前面に出ています。大規模化ではなく、体験の質を磨くために一度閉館してまで取り組む姿勢は、ブランドの一貫性を守るうえで学びが残ります。
シェア別荘と一般宿泊の二面運用がもたらす収益構造
先行販売でオーナー枠をつくりつつ、ホテルとして一般にも開く運用は、需要の季節波動に対して打てる手が増えます。稼働を読みにくい時期でも、オーナー利用(滞在価値)と一般販売(収益)の両面で設計できるためです。UMITO VOYAGE ATAMIのように小規模で高単価を狙うほど、販売チャネルの設計が収益の安定性に直結します。
体験設計に効く、レストラン併設とテラス導線
全客室・レストラン・テラスが海に開く設計は、滞在の時間帯ごとの価値をつくりやすい構造です。食体験まで含めて一体設計することで、客単価だけでなく滞在満足の積み上げにもつながります。地元食材の扱い方や朝食監修の打ち出しは、地域文脈と品質の両立を丁寧に考えている点が印象的です。
宿泊旅行統計が示す需要環境と、UMITOの狙いの相性
宿泊旅行統計で見る2024年の稼働と延べ宿泊者数
観光庁の宿泊旅行統計調査(2024年年間・確定値)では、2024年1〜12月の延べ宿泊者数は6億5,906万人泊です。同期間の客室稼働率は全体59.6%で、施設タイプ別では旅館36.1%、ビジネスホテル73.7%など、業態で差が出ています。
この前提に照らすと、UMITO VOYAGE ATAMIのように少室数で体験密度を上げる設計は、稼働率だけで勝負しない発想として筋が良いと評価できそうです。
旅行消費動向調査から読む単価の天井と付加価値
観光庁の旅行・観光消費動向調査(2025年10〜12月期・1次速報)では、日本人の国内旅行消費額は6兆3,022億円で、うち宿泊旅行消費額は5兆1,337億円です。また同期間の国内旅行単価は49,402円/人で、旅行単価には交通費・宿泊費・飲食費・買物代などが含まれます。
支出が大きい四半期でも、単価の伸びは横滑りしやすい局面があります。だからこそUMITO VOYAGE ATAMIのように、景観・静けさ・食を束ねて体験価値を組み立てる設計は、価格の説明力を持たせる打ち手として妥当性が高いと見込めます。
人手の制約下で回る体制づくりは早めに整える
厚生労働省の一般職業紹介状況(令和7年12月)では、有効求人倍率(季節調整値)は1.19倍です。産業別の動きとして、宿泊業・飲食サービス業の新規求人は前年同月比で減少したと整理されています。
人の確保と定着が読みづらい環境では、少室数でオペレーションを設計し、スタッフが価値提供に集中できる形をつくるほうが持続しやすいです。空間思想や監修体制まで含めたUMITOの組み立ては、現場負荷の設計にも目が向いている点が好ましい取り組みです。
シェア別荘とホテル運営を両立させるための現場設計


オーナー枠と一般販売枠の在庫配分をどう決めるか
シェア別荘とホテル運営を併走させるなら、在庫の考え方が最初の肝になります。
- 予約期日(オーナー優先期間/一般販売開始の切替タイミング)
- ハイシーズンの配分(固定枠か、抽選・ポイント制か)
- キャンセル規定(双方で不公平感が出ない設計)
UMITO VOYAGE ATAMIのように希少性が高い商品ほど、ルールを先に言語化すると運用が安定します。
小規模レストラン運営のKPIとオペの勘所
20席規模のレストランは、稼働と品質のバランスが崩れやすい領域です。現場KPIはシンプルに揃えると回しやすくなります。
- 宿泊者の利用率(朝・夜)
- 料理提供時間と回転(体験を壊さない範囲で)
- 食材ロス率(仕入れの波を抑える)
客室数が少ないからこそ、前日までの喫食予測と仕込み設計が利益に効きます。
従業員エンゲージメントを高める役割設計
少室数ラグジュアリーでは、個人の裁量がそのまま体験の差になります。従業員エンゲージメントの観点では、役割を多能工に寄せつつ、判断基準を揃える設計が有効です。
- チェックイン前後の提案(食・景観・滞在導線)を標準化しすぎない
- 目指す滞在像(静けさ、食、時間の使い方)を言葉で共有する
UMITO VOYAGE ATAMIのように思想を明確に打ち出すと、現場が迷いにくく、サービスの一体感も生まれやすくなります。
UMITO VOYAGE ATAMIから自社企画へ落とし込む進め方
UMITO VOYAGE ATAMIの要素を、自社の客層別に分解する
まずは発表内容をそのまま真似るのではなく、要素に分解して自社の客層に当てます。
- 景観や立地の強み(海・街並み・静けさ)
- 室数と体験密度(少室数で磨くのか、ゾーンで切るのか)
- 食の一体運用(外注か内製か、朝食だけ強化か)
まずは小さく試す(会員プラン・限定棟など)
いきなりシェア別荘に寄せず、既存の宿泊運営で検証する入口もあります。
- 平日中心の会員プラン(再訪需要の固定化)
- 1フロア、1棟だけの限定コンセプト(体験の差別化)
- 食体験の予約制強化(満足の再現性)
この手順なら、既存のオペを活かしながら試行が可能です。
価格と稼働の評価軸を揃えておくと安心です
検証では、売上だけでなく体験価値の指標を揃えると判断が早くなります。
- ADR/RevPARに加えて、再訪意向や滞在満足
- 現場は残業時間や欠員率などの負荷指標
- 会員・オーナー枠がある場合は利用率と紹介率
価格を上げるほど現場の作り込みが必要になるため、評価軸を先に揃えておくと安心です。
まとめ
- UMITO VOYAGE ATAMIの刷新は、少室数×景観価値で体験密度を上げる設計が核になる
- シェア別荘運用は、在庫ルールと清掃導線を先に決めておくと安心です
- 公的統計では稼働と旅行消費が高水準で推移し、付加価値型の企画余地が見えやすい
- 自社はまず既存客の再訪導線から会員化を試すという選択肢もあります
企業情報
- 会社名:株式会社UMITO
- 英文社名:UMITO Co., Ltd.
- 所在地:東京都千代田区紀尾井町4番1号 ニューオータニ ガーデンコート10階
- 設立日:2019年4月16日
- 資本金:15億円(資本剰余金含む)
- 代表者:代表取締役 堀鉄平
- 従業員数:連結124名(臨時従業員含む)
- 事業内容:ホテル・レストラン運営、会員権販売・仲介、別荘サブスクリプション運営、不動産関連事業など
- 許認可:小規模不動産特定共同事業 金融庁長官・国土交通大臣(1)第9号/宅地建物取引業 東京都知事(2)第104443号 ほか
- 公式サイト:UMITO(ブランドサイト)
- コーポレートサイト:株式会社UMITO (corp.umito.jp)
お問い合わせ先 公開情報
- お問い合わせ:株式会社UMITO お問い合わせ
参考資料
- 観光庁: 宿泊旅行統計調査(2024年・年間値(確定値)報道発表資料)
- 観光庁: 旅行・観光消費動向調査(2025年10-12月期(1次速報)報道発表資料)
- 厚生労働省: 一般職業紹介状況(令和7年12月分及び令和7年分)


