宿泊・旅行業界ニュース

箱根強羅 TENが描く回復滞在、宿泊業の価値設計はどう変わるか

全室露天風呂付き温泉ホテル『箱根強羅 TEN』2026年夏開業
CoCoRo編集部

TENの開業計画は、温泉地の宿が何を目的に滞在してもらうかを、もう一段だけ言語化して設計するヒントになります。全室露天風呂という分かりやすい強みに、茶の湯・・瞑想などの体験を束ね、忙しい日常から回復する滞在価値として提示する構えは、単価戦略と現場づくりを同時に考えるきっかけにもなりそうです。

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本記事のポイント

  • 箱根強羅 TENの設計思想は、温泉地での滞在価値を回復目的として整理し直すヒントになる
  • 体験を束ねるほど、説明コストが下がり、従業員エンゲージメントの軸も作りやすい
  • 公的データの稼働感と労働環境を踏まえ、箱根強羅 TEN型の運用KPIを自館用に翻訳できる

発表内容の整理

株式会社ファンドクラウドホールディングスは、神奈川県箱根・強羅で全室露天風呂付き温泉ホテルの箱根強羅 TENを2026年夏に開業予定としている。2026年春から予約受付を開始する計画も示した。

ホテルのテーマは日本式レジリエンスで、・食・香り・音・光など五感の体験を組み合わせ、心身の回復を目的に据えた滞在を提供するとしている。館内コンテンツとして、日本式サウナ(茶の湯ロウリュ)、瞑想庭園と朝の瞑想プログラム、朝茶会・夜茶会、モダン茶懐石料理などを挙げている。

客室は第一期として19室で開業し、将来的に27室体制を予定する。第二期は2027年夏の開業予定で、新館8室を追加し、インフィニティ露天風呂付き客室を含む計画としている。別館には一棟貸しでペット同伴可の客室1室も予定している。

出典:PR TIMES『・強羅に「日本式レジリエンス」の拠点誕生 全室露天風呂付き温泉ホテル『』2026年夏開業』 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000171761.html

箱根強羅 TENの回復設計は、温泉地の価値と単価の語り方を更新する

箱根強羅 TENが打ち出す回復目的は、滞在価値の設計図になりやすい

温泉宿は温泉の良さを伝えるだけでも勝負できますが、箱根強羅 TENは回復するための滞在を前面に置き、目的の言語化を先に済ませています。温泉、食、静けさをバラバラに売らず、ひと続きの体験として整える考え方は、商品説明と現場サービスを同じ方向に揃えやすい点が印象的です。
発表内容からは、茶の湯の考え方や数寄屋の美意識を現代的に翻訳し、体験の背骨に据えようとする工夫が読み取れ、コンセプト先行で終わらせない姿勢に敬意を抱きます。

全室露天風呂の個室性は、満足と付加価値の両立に効く

箱根強羅 TENは全室露天風呂をうたい、滞在中のリズムをゲスト自身で作れる設計を狙っています。共用浴場の満足とは別軸で、客室内での回復時間を確保できるため、体験価値を説明しやすくなります。
とくに夫婦・パートナー、母娘など関係性を深める旅に寄り添う打ち出しは、記念日や節目需要に合わせた提案へつなげやすく、単価設計の軸にもなり得ます。

茶の湯×サウナ×瞑想を束ねると、スタッフの所作がブランドになる

箱根強羅 TENは、茶会や瞑想、サウナ体験などを同列に並べるのではなく、回復の流れとして束ねています。ここで効いてくるのは設備だけではなく、スタッフの声かけ、間の取り方、提供タイミングです。
言い換えると、従業員エンゲージメントが高いほど体験品質が安定しやすい領域で、サービスの作法がブランドの一部になります。

公的データに照らすと箱根強羅 TENの狙いどころが見えやすい

宿泊旅行統計が示す稼働感は、体験型商品の磨きどころを示す

観光庁の宿泊旅行統計調査は、・簡易宿所などの宿泊施設を対象に、延べ宿泊者数や客室稼働率などを毎月把握する統計です(従業者数10人以上は悉皆、規模により標本抽出)。
同調査の2025年12月(第1次速報)では、全国の延べ宿泊者数が5,342万人泊、客室稼働率が59.1%と公表されています。
この水準感に照らすと、温泉地でも稼働の山谷を前提に、体験価値で選ばれる理由を強くする発想は相性が良い可能性があります。

労働力調査で見る宿泊・飲食の就業者規模は、運用設計の前提になる

総務省統計局の労働力調査(基本集計)2025年12月分では、・飲食サービス業の就業者数が430万人で、前年同月比4万人増と示されています(原数値)。
また、同局の労働力調査(基本集計)2025年平均結果の要約では、役員を除く雇用者に占める非正規比率が36.5%とされています。
この環境下では、箱根強羅 TENのように提供体験を絞り、所作を標準化しやすい設計に寄せることは、・育成の負荷を読みやすくする点でも合理的です。狙いを体験の流れに落とし込む発表姿勢は、現場運用まで見据えた設計として評価できそうです。

データの示唆を受けて、箱根強羅 TENは何を優先したのか

稼働の水準感が見える一方で、現場は人の確保と育成が常にテーマになります。だからこそ箱根強羅 TENは、全室露天風呂と回復目的のプログラム群で、価値の説明を一本化しようとしているように見えます。
宿泊業の意思決定としては、設備投資だけでなく、提供体験の設計図を先に整えた点が学びになります。

箱根強羅 TENの仕組みを現場で回すときの要点は何か

箱根強羅 TEN型プログラムは、導線と時間割が成果ドライバーになる

茶会や瞑想、サウナなどを組み込む場合、現場は次の3点で品質が決まりやすいです。

  • 導線設計(客室→サウナ→庭園→食事の移動ストレスを減らす)
  • 時間割(朝と夜の体験が食事・入浴と衝突しない)
  • 体験の言葉(回復の流れを、短い案内文と口頭で同じ語彙に揃える)

箱根強羅 TENのように体験が多いほど、オペレーションの整流化が価値になります。

従業員エンゲージメントを高める育成は、所作の共通言語から始まる

回復体験は、マニュアルの暗記よりも、なぜその間を取るのかを共有した方が揃います。箱根強羅 TENのテーマを踏まえると、育成では以下が効きます。

  • 体験の目的(回復)の言語を全員で揃える
  • 3つの必須所作(迎え方、案内、締めの一言)を先に決める
  • 新人でも守れる品質ラインを作り、現場で褒める基準にする

ここが固まると、従業員エンゲージメントが上がりやすく、体験品質も安定します。

留意点として押さえたい安全・品質の論点

  • サウナやロウリュは安全基準と案内の粒度を揃えると安心です
  • 瞑想プログラムは天候・混雑時の代替導線を用意すると運用が安定します
  • 茶会はピーク時間帯の省力化(席数、提供点数、所要時間)の設計が論点になります

箱根強羅 TENの発想を自館に活かすなら、何から着手するか

まず回復体験を言語化し、商品説明を一行にする

箱根強羅 TENの強みは、温泉の前提に思想を重ね、滞在目的を短く言える状態にしている点です。自館でも、まずは滞在価値を一行にまとめ、・館内案内・スタッフの口頭説明で同じ文を使うところから始めると効果が出やすいです。

小さく試すなら朝夜の一枠から始めるという選択肢もあります

いきなり複数プログラムを常設せず、朝または夜のどちらか一枠に絞って試すと、必要人員と導線の見積もりがしやすくなります。箱根強羅 TENが示す朝茶会・夜茶会のように、時間帯に意味を持たせる設計は、宿の一日を整える役割も担います。

最小KPIを決め、準備をしておくと安心です

回復体験の施策は、KPIを複雑にしない方が続きます。たとえば次の3つで十分です。

  • 体験参加率(チェックイン総数に対する参加者割合)
  • 体験後コメント率(アンケートや口頭での言及数)
  • スタッフの納得度(週1回の短い振り返りで温度感を測る)

この3つを決め、案内文と導線図だけ先に用意しておくと安心です。

まとめ

  • 箱根強羅 TENは回復目的の滞在を先に言語化し、体験を束ねて提示している
  • 観光庁の宿泊旅行統計調査の稼働感に照らすと、体験価値で選ばれる設計は相性が良い可能性がある
  • 労働力調査が示す宿泊・飲食の就業者規模を踏まえ、運用は所作の共通言語化が鍵になりやすい
  • 自館では朝夜の一枠から試すという選択肢もあります。案内文とKPIを先に決めておくと安心です

企業情報

  • 会社名:株式会社ファンドクラウドホールディングス
  • 所在地:東京都新宿区西新宿8-19-1 小林ビル2階
  • 代表者:金城昌宏、中澤晴彦
  • 事業内容:金融商品開発、不動産開発、宿泊事業
  • https://fundcloudhd.com
  • 箱根強羅 TEN ティザーサイト:https://ten-hotels.jp

参考資料

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