2026年3月19日、京都市東山区にKiyomizu Elite Terraceがグランドオープンしました。北山貿易株式会社が運営する同施設は、信楽焼浴槽と酸素マイクロバブルの組み合わせを日本で初めて導入し、ウェルネスホテルとしての独自性を打ち出しています。京都のホテル市場において多くの大型施設が存在感を増す中、Kiyomizu Elite Terraceのアプローチは、小規模施設がいかに差別化を図るべきかについて、宿泊事業者にとって参考になる事例です。
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本記事のポイント
- Kiyomizu Elite Terraceは日本初の信楽焼浴槽×酸素マイクロバブル設備を11室に導入し、ウェルネスホテルとしての差別化に成功しています
- 姉妹店・祇園エリートテラスの稼働率8割超を基盤に、同一ブランドの複数立地展開を加速しています
- AI音声アシスタントと京表具アートワークの組み合わせが、インバウンド対応と地域資源活用の両立を実現しています
発表内容の整理
Kiyomizu Elite Terraceは、京阪清水五条駅から徒歩5分の立地に全40室・11カテゴリの客室を備えたウェルネスホテルです。各客室は27〜45㎡の広さを確保し、信楽焼浴槽と酸素マイクロバブルを組み合わせた設備を11室に、フィンランド式サウナを6室に導入しています。この信楽焼浴槽×酸素マイクロバブルの組み合わせは日本初の導入となります。

全客室には京都の伝統工芸である京表具の制作者・井上光雅堂によるアートワークが配置されています。多言語対応のAI音声アシスタントAielloも全室に導入し、インバウンド客への対応体制を整備しました。また、KYOTOGRAPHIE(京都国際写真祭)のパートナーホテルとして文化発信の拠点にもなっています。
運営する北山貿易株式会社は、姉妹店として祇園エリートテラスを展開しており、稼働率は8割を超えています。Kiyomizu Elite Terraceの開業価格は28,000円~/泊(2026年3月19日〜5月31日のオープニング価格)に設定されました。
出典:PR TIMES『【新規開業】京都・清水五条に全室40室のウェルネスホテル「Kiyomizu Elite Terrace」2026年3月19日グランドオープン』 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000069997.html
Kiyomizu Elite Terraceのウェルネス訴求が京都宿泊市場で注目される理由
ウェルネス志向の宿泊施設は、拡大する訪日需要と高付加価値セグメントの成長を背景に、京都において有力な差別化手段となっています。観光庁の宿泊旅行統計調査(2024年確定値)によれば、全国の延べ宿泊者数は6億5,906万人泊(前年比6.7%増、2019年比10.6%増)と過去最高を更新しました。京都府の延べ宿泊者数は3,316万人泊で全国第3位に位置し、インバウンド比率は50%を超える水準に達しています。
ウェルネスホテルとは、健康増進をテーマにした施設設備と体験プログラムを組み合わせた宿泊施設を指します。JNTOの訪日外客統計(2025年年間値)では、訪日外客数は約4,268万人(前年比15.8%増)で初めて4,000万人を突破しました。同年の訪日外国人旅行消費額は9兆4,559億円(前年比16.4%増)で過去最高を記録し、1人当たり旅行支出は22.9万円に達しています。こうしたデータは、訪日客がより質の高い宿泊体験への投資意欲を強めていることを示唆しています。
Kiyomizu Elite Terraceが信楽焼浴槽と酸素マイクロバブルという日本初の設備を軸に据える戦略は、このような高付加価値セグメントの需要を的確に捉えたものといえます。小規模施設ならではの設備投資の集中が、唯一無二の滞在体験と高い顧客単価の実現を可能にしており、北山貿易株式会社の市場分析力と実行力がうかがえます。
京都の小規模ホテルが差別化を実現するために必要な設計思想とは
京都の宿泊市場では、大型ホテルの新規開業が相次ぐ中で、40室規模の小規模施設が存在感を発揮するには、明確なコンセプトと複数の訴求軸が不可欠です。Kiyomizu Elite Terraceは、この課題に対して体系的な回答を示しています。
観光庁『生産性向上のためのハンドブック – 宿泊事業者における経営改善マニュアル』(令和7年3月)では、宿泊事業の生産性向上を「施設の生産性」「業務の生産性」「顧客価値」の3つの観点から整理しています。同ハンドブックは、顧客ニーズに基づくターゲットセグメントの特定と、需給に応じた自律的な価格設定の重要性を指摘しています。
Kiyomizu Elite Terraceにおける複合的なウェルネス体験の設計
Kiyomizu Elite Terraceは、信楽焼浴槽×酸素マイクロバブル(11室)とフィンランド式サウナ(6室)という複数のウェルネス設備を備えています。単一の特長に頼るのではなく、複数の訴求軸を持つことで、異なる顧客ニーズに対応できる構造です。さらに、40室のうち異なるカテゴリを11種類設けることで、リピーターの再訪動機も確保しています。
京表具と多言語AIによるインバウンド対応の仕組み
全客室に京表具・井上光雅堂のアートワークを配置し、多言語AI音声アシスタントAielloで外国語対応を実現する設計は、地域資源活用とデジタル技術の統合を体現しています。このアプローチにより、インバウンド客に対して京都の伝統文化を体感させながら、言語の壁を解消するオペレーション効率化も同時に達成しています。地域の工芸職人に経済的貢献を果たしつつ、施設の独自価値を高める手法は、他の宿泊事業者にとっても示唆に富んでいます。
KYOTOGRAPHIEパートナーシップによるブランド構築
Kiyomizu Elite Terraceは、京都国際写真祭KYOTOGRAPHIEのパートナーホテルに選定されています。こうした文化イベントとの連携は、施設単体では到達しにくい層への認知拡大効果が見込めます。宿泊事業者がブランド価値を高めるうえで、地域の文化的資産との連携は有効な手段の一つです。
Kiyomizu Elite Terraceの事例から宿泊事業者が学べる次の一歩
Kiyomizu Elite Terraceの取り組みは、小規模宿泊施設の経営者に対して、差別化戦略の具体的なヒントを提示しています。以下に、自施設への応用を検討する際のポイントを整理します。
まず、差別化要因の具体化から着手することが重要です。Kiyomizu Elite Terraceは日本初という唯一性を戦略的に活用しています。小規模施設が大型チェーンと正面から競争するのではなく、設備や体験で唯一無二の価値を構築することが生き残りの鍵となります。自施設が持つ地域資源や独自の設備を棚卸しし、競合にない体験価値を言語化しておくと安心です。
次に、複数の訴求軸を設計することで、顧客セグメントの幅を広げられます。Kiyomizu Elite Terraceがウェルネス設備、文化体験、デジタル利便性という3つの柱を持つように、単一の強みだけでなく複合的な滞在価値を構築するという選択肢もあります。
さらに、ブランドの複立地展開を見据えた運営モデルの構築も中長期的に検討する価値があります。北山貿易株式会社が祇園エリートテラスの稼働率8割超という実績を基にKiyomizu Elite Terraceを開業した過程は、成功モデルの水平展開を示す好例です。まずは既存施設の運営品質とブランド力を高め、そのうえで次の立地を検討するステップが有効でしょう。
まとめ
- Kiyomizu Elite Terraceは信楽焼浴槽×酸素マイクロバブルという日本初の設備により、小規模ウェルネスホテルとしての唯一性を確立しています
- 訪日外客数4,268万人・消費額9.5兆円という過去最高の市場環境を背景に、高付加価値セグメントへの投資判断が求められており、自施設のターゲットと設備投資の優先順位を見直しておくと安心です
- 京表具アートワークと多言語AI音声アシスタントの組み合わせは、地域資源活用とデジタル技術統合の実践例として参考になります
- 姉妹店の実績を基盤としたブランド複立地展開は、小規模宿泊施設の事業拡大戦略として有効な選択肢です
企業情報
企業名:北山貿易株式会社
代表取締役:李 文文
運営施設:Kiyomizu Elite Terrace(京都市東山区本町3丁目100番地)、祇園エリートテラス(京都市東山区)
お問い合わせ先・公開情報
公式サイト:Kiyomizu Elite Terrace 公式サイト
参考資料
- 観光庁 宿泊旅行統計調査(2024年確定値)
- JNTO 訪日外客統計(2025年年間値)
- 観光庁 インバウンド消費動向調査(2025年年間速報)
- 観光庁 生産性向上のためのハンドブック – 宿泊事業者における経営改善マニュアル(令和7年3月)


