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東急ステイ京都三条烏丸の全館リニューアルと足湯新設が示す宿泊体験の新たな設計思想

東急ステイ京都三条烏丸1階に新設した休憩処「足湯」イメージ
CoCoRo編集部

東急ステイ京都三条烏丸が全館リニューアルを完了し、2026年3月19日に1階へ休憩処の足湯を新設しました。東急リゾーツ&ステイ株式会社が運営する同施設は、客室デザインの刷新に加え、4ホテル周遊スタンプラリーや五感で日本文化を体感できる足湯など、客室の外にも滞在価値を広げる設計が特徴です。宿泊施設が提供する体験の幅を広げるうえで、宿泊事業者にとって示唆に富む取り組みといえます。

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本記事のポイント

  • 東急ステイ京都三条烏丸は全112室の客室改装と足湯新設を一体で実施し、客室内外で滞在価値を向上させる設計を実現しています
  • 近隣4ホテルの宿泊者が利用できる無料足湯と周遊スタンプラリーにより、複数施設の相互送客とリピート促進の仕組みを構築しています
  • DRiP社監修の客室デザインとHANARE by Tokyu Stayとの連携は、ブランド統一感を保ちながら投資効率を高める手法として参考になります

発表内容の整理

東急ステイ京都三条烏丸は、京都市営地下鉄烏丸御池駅から徒歩2分の立地に全112室を擁するホテルです。2017年11月に東急ステイ京都両替町通として開業し、2021年11月に現名称へ改称しました。開業8年目の2025年12月に全館改装工事に着手し、1階共用部と全客室のリニューアルが2026年3月に完了しています。

客室デザインは、2025年9月にリニューアルオープンしたHANARE by Tokyu Stayの改修を手がけた株式会社DRiPが監修しました。客室タイプはスタンダードダブル(18㎡・定員2名)とスタンダードツイン(23㎡・定員2名)の2種類で、全室に洗濯乾燥機と冷凍冷蔵庫を設置しています。

新設された足湯は1階に位置し、営業時間は11:00〜20:00、定員は最大8名、利用は無料です。対象は東急ステイ京都三条烏丸、HANARE by Tokyu Stay、東急ステイ京都阪井座、nol kyoto sanjoの4施設の宿泊者で、香り袋を忍ばせた木製下駄箱など五感で日本文化を体感できる導線設計が施されています。あわせて4ホテルを巡るスタンプラリーも展開しており、専用台紙にスタンプを重ねると京都の風景が一枚の絵として完成する仕組みです。

出典:PR TIMES『【東急ステイ京都三条烏丸】全館リニューアルが完了旅をつなぐ休憩処「」を新設し2026年3月19日オープン』 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000967.000055787.html

東急ステイ京都三条烏丸のリニューアルが宿泊業に示す体験設計の方向性とは

宿泊施設のリニューアルにおいて、客室の刷新と共用部の体験価値を同時に設計する手法は、競争の激しい京都市場で差別化を図る有効なアプローチとなっています。東急ステイ京都三条烏丸のリニューアルは、この方向性を体現する事例です。

体験価値とは、宿泊そのものの快適性に加え、滞在中に得られる感動や学び、交流などの無形の価値を指します。東急ステイ京都三条烏丸は、客室内の快適性をDRiP社監修のデザインで高めつつ、客室の外にも足湯やスタンプラリーという体験の接点を設けることで、滞在全体の価値を引き上げる構造を実現しています。HANARE by Tokyu Stayとデザインの連続性を持たせた判断は、ブランド全体の品質統一と投資効率の両立を狙った戦略として、東急リゾーツ&ステイ株式会社の運営力がうかがえます。

足湯を4施設の宿泊者に開放し、スタンプラリーで周遊を促す設計は、単一施設の価値最大化にとどまらず、グループ全体の稼働率と顧客満足度を連動させる仕組みです。こうした複数施設間の相互送客は、『生産性向上のためのハンドブック – 宿泊事業者における経営改善マニュアル』(令和7年3月)が提示する顧客価値の視点、すなわち顧客ニーズに基づくセグメント特定と自律的な価格設定の考え方にも通じています。

京都の宿泊需要が過去最高を記録する中で東急ステイ京都三条烏丸のリニューアルが持つ意味

訪日観光需要の拡大と京都市場の競争激化は、宿泊施設のリニューアル投資を後押しする環境を形成しています。東急ステイ京都三条烏丸が全館改装に踏み切ったタイミングは、この市場環境と整合的です。

観光庁の宿泊旅行統計調査(2024年確定値)によれば、全国の延べ宿泊者数は6億5,906万人泊(前年比6.7%増、2019年比10.6%増)と過去最高を更新しました。京都府は3,316万人泊で全国第3位に位置し、外国人宿泊者の比率が50%を超える水準に達しています。こうした数値は、京都における宿泊施設の需要基盤が堅調であることを裏付けています。

JNTOの訪日外客統計(2025年年間値)では、訪日外客数は約4,268万人(前年比15.8%増)で初めて4,000万人を突破しました。訪日外国人消費動向調査(2025年年間速報)においても、旅行消費額は9兆4,559億円(前年比16.4%増)で過去最高を記録し、1人当たり旅行支出は22.9万円に上っています。訪日客がより質の高い滞在体験に投資する傾向が強まる中で、東急ステイ京都三条烏丸が足湯や統一デザインの客室といった体験品質の向上に注力した判断は、市場の変化を的確に捕らえたものといえます。

東急ステイ京都三条烏丸の足湯とスタンプラリーはどのように運用されているのか

足湯とスタンプラリーの運用設計には、宿泊事業者が自施設に応用しうるオペレーション上の工夫が複数含まれています。

足湯の導線設計と五感への訴求

東急ステイ京都三条烏丸の足湯は、1階の視認性が高い場所に配置され、チェックイン前後にも利用しやすい営業時間(11:00〜20:00)を設定しています。無料で提供することで利用のハードルを下げつつ、香り袋を忍ばせた木製下駄箱や靴を脱ぐ作法など、五感を通じた日本文化体験で施設のブランド価値を高める工夫が見られます。最大8名という定員設定は、適度な交流が生まれる密度を意図したものと考えられ、コンセプトに掲げる旅の中間地点としての機能を支えています。

4ホテル周遊スタンプラリーの相互送客効果

スタンプラリーは東急ステイ京都三条烏丸を含む4施設を対象とし、スタンプを重ねると京都の風景が一枚の絵として完成する仕掛けです。数量限定の特典を用意することで参加動機を高め、宿泊者が自然に複数施設を訪れる導線を構築しています。この仕組みは、個別施設のマーケティングコストを分散しつつ、グループ全体の認知度と顧客接点を拡大する効果が期待できます。近隣エリアで複数施設を運営する事業者にとって、共同施策のモデルケースとして参考になります。

DRiP監修による客室ブランドの統一感

客室改装において、HANARE by Tokyu Stayと同じDRiP社が監修を担当した点は留意しておきたいポイントです。複数施設のデザインを同一の監修者に委ねることで、ブランドの一貫性を保ちながら各施設の個性を表現できます。東急ステイ京都三条烏丸は落ち着いた雰囲気に鮮やかなアクセントカラーを配した京都の美意識を反映したデザインを採用し、全室に洗濯乾燥機と冷凍冷蔵庫を維持することで長期滞在ニーズにも対応しています。

東急ステイ京都三条烏丸の事例から宿泊事業者が取り入れられる次の一歩

東急ステイ京都三条烏丸のリニューアル事例は、規模や業態を問わず宿泊事業者が実践できる施策のヒントを提供しています。以下に自施設への応用を検討する際のポイントを整理します。

まず、客室外の体験接点を設計することが有効です。東急ステイ京都三条烏丸が足湯で実現したように、ロビーやラウンジ、テラスなど既存スペースに滞在の記憶に残る体験を組み込むことで、客室単価に頼らない顧客満足度の向上が見込めます。大規模な設備投資が難しい場合は、地域の工芸品を活用した展示コーナーや季節の香りの演出など、五感に訴える小規模施策から着手しておくと安心です。

次に、近隣施設との連携施策を検討するという選択肢もあります。東急ステイ京都三条烏丸の4ホテル周遊スタンプラリーのように、自社グループや提携先との共同施策は、単独では届かない顧客層へのリーチを可能にします。観光庁『生産性向上のためのハンドブック』が示す顧客ニーズに基づくターゲットセグメントの特定という考え方を踏まえれば、自施設の顧客データを分析し、周遊先として相性のよい施設を特定するステップが出発点になります。

さらに、リニューアル時のデザイン監修を戦略的に選定することも重要です。東急ステイ京都三条烏丸がDRiP社にHANARE by Tokyu Stayと連続する監修を依頼した手法は、複数施設間でブランドの統一感を保ちながら投資効率を高めるアプローチです。改装計画を立てる際は、単発のデザイン変更ではなく、中長期のブランド戦略を踏まえた監修者の選定を検討する価値があります。

まとめ

  • 東急ステイ京都三条烏丸は全館リニューアルと足湯新設を一体で実施し、客室品質と体験価値を同時に高める設計を実現しています
  • 訪日外客数4,268万人突破・旅行消費額9.5兆円という過去最高の市場環境を背景に、宿泊施設の体験品質向上への投資判断が求められており、自施設の体験接点を棚卸ししておくと安心です
  • 4ホテル周遊スタンプラリーは複数施設間の相互送客モデルとして、近隣施設との連携を検討する事業者にとって参考になります
  • DRiP社による統一デザイン監修は、ブランド一貫性と投資効率の両立を実現する手法として有効な選択肢です

企業情報

  • 企業名:東急リゾーツ&ステイ株式会社
  • 代表取締役社長:丹下 慎也
  • 本社所在地:東京都渋谷区
  • 運営施設数:全国100超(東急ステイ33施設、2026年5月広島オープン予定)
  • 年間利用者数:約680万人

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参考資料

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