ホテルグレイスリー銀座が銀座の老舗和菓子店「銀座 松﨑煎餅」と連携し、アンケート協力者にオリジナル瓦煎餅を配布するタイアップ企画を発表しました。この記事では、ホテルグレイスリー銀座の取り組みを題材に、都市型ホテル・旅館が地域ブランドと組んで顧客体験を高めるポイントや、アンケート設計・従業員エンゲージメントへの活かし方を整理します。
本記事のポイント
- ホテルグレイスリー銀座と銀座 松﨑煎餅のタイアップの狙いから、都市型宿泊施設における「地域らしさ」の打ち出し方を整理します。
- アンケート回答者へホテルロゴ入り瓦煎餅を贈る仕組みを例に、顧客の声の集め方とプレゼントキャンペーン設計のポイントを解説します。
- 自社でも真似しやすい、地域企業とのコラボや従業員の巻き込み方のステップを紹介し、次の企画づくりのヒントとします。


ニュースの概要
ホテルグレイスリー銀座(東京都中央区、客室数270室)は、銀座の老舗和菓子店「銀座 松﨑煎餅」とのタイアップ企画として、館内アンケートに協力した宿泊ゲストへホテルロゴ入りのオリジナル瓦煎餅を配布するキャンペーンを実施すると発表しています。開催期間は2025年12月1日(月)から2026年1月20日(火)までとしています。
本キャンペーンでは、「銀座 松﨑煎餅」の看板商品「大江戸松﨑 三味胴」をベースに、ホテルグレイスリー銀座のロゴをあしらったオリジナルデザインの瓦煎餅を制作したと説明しています。期間中にアンケートに回答しフロントへ提出した宿泊ゲストに対し、1室につき1枚をプレゼントするとしています(在庫がなくなり次第終了)。
プレスリリースによると、ホテルグレイスリー銀座は、歴史ある名店が集まる銀座の中心に立地するホテルとして、地域とのつながりを重視し、街の魅力を感じられる滞在の提供に取り組んできたと述べています。その一環として、江戸時代から220年以上続く老舗和菓子店である銀座 松﨑煎餅とのタイアップを企画したとしています。
また、リリース内では「銀座 松﨑煎餅」が伝統を守りながらも新商品の開発やコラボレーションに積極的である点に触れ、ホテルグレイスリー銀座としても「いつも同じ場所で、いつも新しく進化するホテル」でありたいという思いを今回の企画に込めたとしています。キャンペーン終了後も、ホテルロゴ入り瓦煎餅はさまざまな企画で配布していく予定だとしています。
宿泊業にとってのポイント|ホテルグレイスリー銀座のタイアップから学べること
ホテルグレイスリー銀座の取り組みは、都市部のホテル・旅館が「泊まるだけ」から一歩踏み出し、地域体験の入口になるためのヒントが多い事例と考えられます。
まず、老舗ブランドとのタイアップにより、「ここでしか手に入らない」「銀座らしい」体験を作り出している点がポイントです。どのエリアにも全国チェーンホテルは増えていますが、ホテルグレイスリー銀座のように地域の老舗と組むことで、近隣ホテルとの差別化や、「銀座に来た記念」としての記憶に残るお土産づくりにつながりやすくなります。
次に、プレゼントの条件を「アンケート回答」としている点は、顧客の声を安定的に集める工夫といえそうです。単にお菓子を配るのではなく、ホテルグレイスリー銀座はアンケートを通じて滞在満足度や改善点、旅行目的などのデータを得ようとしています。結果として、ノベルティ配布のコストが、マーケティングとサービス改善の投資に変わる構造になっていると見ることもできそうです。
また、ホテルロゴ入りの瓦煎餅というビジュアル性の高いアイテムは、写真撮影やSNS投稿との相性も良いと考えられます。スタッフが一言ストーリーを添えてお渡しすることで、単なるお菓子ではなく「ホテルグレイスリー銀座と銀座の街の物語」としてゲストの記憶に残りやすくなるでしょう。
従業員エンゲージメントの観点でも、現場スタッフがゲストに銀座 松﨑煎餅やホテルグレイスリー銀座の背景ストーリーを語れるようになると、会話のきっかけが増えます。「どんな味でしたか」「お店にも行かれましたか」といった対話が生まれやすくなり、スタッフの仕事への誇りや楽しさにもつながりやすい点も押さえておきたいところです。
背景と理由の整理:銀座エリアとホテルグレイスリー銀座が老舗を選んだ意味
近年の宿泊ニーズを見ると、「観光地そのもの」だけでなく「街の日常」や「ローカルブランド」に触れたいという傾向が強まっていると考えられます。特に銀座のような人気エリアでは、ショッピングやグルメはもちろん、「歴史ある店での体験」を求めるゲストも多いのではないでしょうか。
ホテルグレイスリー銀座は、そうしたニーズに応える形で、江戸時代から続く銀座 松﨑煎餅と組んでいます。ホテル側は、銀座の歴史・文化を体現する老舗と連携することで、「街の外側」ではなく「街の内側」にいる存在として認識されやすくなります。都市型ホテルであっても、地域旅館のような「まちの案内人」としての役割を担うイメージに近づくと言えそうです。
一方で、老舗側にとってもメリットがあります。ホテルグレイスリー銀座は銀座の中心に立地し、多様な国内外のゲストが滞在します。そのゲストに自社商品を体験してもらうことで、新規顧客との接点づくりや、実店舗への誘導、ブランド認知の拡大につながる可能性があります。
また、今回の取り組みは、ホテルグレイスリー銀座が「いつも同じ場所で、いつも新しく進化するホテルでありたい」という姿勢を具体化したものと考えられます。立地や建物は変わらなくても、地域との関わり方や提供する体験をアップデートし続けることで、リピーターにとっても「前回とは少し違う発見があるホテル」として選ばれやすくなるでしょう。
こうした背景を踏まえると、ホテルグレイスリー銀座が老舗和菓子店をパートナーに選んだ理由として、「銀座らしさの体現」「地域との共存」「ブランドの進化」を同時に満たせる相手だったことが挙げられるのではないでしょうか。
具体的な取り組み・ニュース内容の解説:ホテルグレイスリー銀座×銀座 松﨑煎餅
あらためて、ホテルグレイスリー銀座の取り組み内容を、宿泊業の実務に役立つ観点で整理します。
- プレゼントの内容とデザイン性
タイアップの中心となるのは、「大江戸松﨑 三味胴」をベースにしたホテルロゴ入りオリジナル瓦煎餅です。老舗の定番商品にホテルグレイスリー銀座のロゴを加えることで、「銀座の伝統」と「ホテルブランド」を一体にした記念品となっています。ゲストにとっては、箱や写真に残しやすいビジュアルであり、持ち帰った後もホテル名を思い出してもらえる工夫といえます。 - アンケートとの連動による顧客の声の収集
プレゼントは、館内アンケートに回答しフロントに提出したゲストを対象とし、1室1枚としています。これにより、滞在満足度や不満点、要望などを回収しやすくしていると考えられます。ホテルグレイスリー銀座としては、「銀座の魅力に触れてもらう機会」と「サービス改善のためのデータ収集」を一度に行える設計になっている点が特徴的です。 - 期間限定・数量限定による希少性の演出
キャンペーン期間を2025年12月1日~2026年1月20日の約1カ月半に限定し、瓦煎餅も在庫がなくなり次第終了としています。これにより、期間中の宿泊検討者にとっては「今のうちにホテルグレイスリー銀座に泊まろう」という動機づけになりやすく、販売・予約の面でもタイムリーな訴求がしやすくなります。 - 今後のキャンペーンでの継続活用
リリースでは、ホテルロゴ入り瓦煎餅を今後もさまざまなキャンペーンで配布していく予定としています。これは、一度作ったオリジナルノベルティを単発で終わらせず、リピーター向けや会員向けプラン、記念日プランなどにも転用していく構想があると受け取れそうです。ホテルグレイスリー銀座にとっては、中長期的に使える「ブランドアイコン」が一つ増えた形とも言えます。 - 施設情報の打ち出し
ホテルグレイスリー銀座は、東京メトロ「銀座駅」から徒歩約3分というアクセスの良さと、270室という規模を持つ宿泊施設です。今回のようなキャンペーンは、ビジネスや観光で短期滞在する多様なゲストに、銀座らしさを感じてもらう仕掛けとして機能しやすい条件が揃っていると考えられます。
こうした具体的な施策を踏まえると、ホテルグレイスリー銀座のニュースは、「地域ブランドとの共同開発」「アンケート連動ノベルティ」「中長期で使えるオリジナルアイテムの整備」という3つの観点で参考になる事例と整理できそうです。
自社への活かし方のヒント:ホテルグレイスリー銀座の施策を自館に応用するには
最後に、ホテルグレイスリー銀座の取り組みを、自社のホテル・旅館で応用する際のステップを整理します。
1. 自館のコンセプトと相性の良い「地域パートナー」を探す
いきなり老舗和菓子店とタイアップするのはハードルが高く感じられるかもしれませんが、まずは自館のコンセプトやターゲットを言語化するところから始めると良さそうです。
- ビジネス客が多いのか、観光客が多いのか
- 地元のどの文化・産業を応援したいのか
- 「うちと言えばこれ」と言えるようなキーワードは何か
これらを整理したうえで、地域の菓子店や工芸店、酒蔵、書店など、相性の良さそうな事業者に絞って声をかけると話が進みやすくなります。ホテルグレイスリー銀座のように、「伝統を守りつつ新しい挑戦をしているパートナー」を選ぶと、コラボの方向性も共有しやすくなります。
2. 「行動」と結びつけたインセンティブ設計を行う
ホテルグレイスリー銀座は、ホテルグレイスリー銀座へのアンケート回答とオリジナル瓦煎餅をセットにすることで、顧客の行動を自然に促しています。自館でも、以下のような行動とインセンティブを結びつけることが考えられます。
- 滞在後アンケートへの回答
- 公式サイト経由での予約
- 会員登録やメルマガ登録
- 次回予約の仮登録 など
どの行動を増やしたいのかを明確にし、その見返りとして「地域らしさのある小さなギフト」を用意するイメージです。インセンティブが過度に高価になるとコストが膨らむため、ホテルグレイスリー銀座のように、単価を抑えつつもストーリー性の高いアイテムを選ぶと安心です。
3. スタッフへの共有と「話し方」の設計でおもてなし力を高める
せっかく良いタイアップを組んでも、フロントや客室担当が十分に内容を把握していないと、ゲストへの伝わり方が弱くなってしまいます。ホテルグレイスリー銀座の事例を参考に、自館でも次のような工夫が考えられます。
- コラボの背景やパートナー企業の歴史を社内共有資料にまとめる
- スタッフ向けに「お渡しの一言トーク例」を用意する
- 従業員試食会や体験会を開き、実際に商品に触れてもらう
これにより、スタッフ自身がファンとして商品の魅力を語れるようになり、従業員エンゲージメント向上にもつながりやすくなります。「自分たちが選んだギフトを自信を持って勧められる」という状態を作っておくと安心です。
4. 効果検証と次の一手をセットで考える
最後に、実施したタイアップ企画を一度きりで終わらせず、数字とあわせて振り返ることが重要です。
- アンケート回答率はどう変化したか
- 口コミやレビューでの言及は増えたか
- 地域店舗への送客につながったか
- 従業員からの評価・改善提案は出たか
ホテルグレイスリー銀座のように、「今後もさまざまなキャンペーンで配布予定」といった継続的な活用を前提に設計しておくと、PDCAを回しやすくなります。最初は小規模なテスト企画から始め、反応が良ければプラン化・通年化していくという選択肢もあります。
まとめ
- ホテルグレイスリー銀座と銀座 松﨑煎餅のタイアップは、老舗ブランドと組んで「地域らしさ」と「ホテルの記憶に残る体験」を両立させた事例といえそうです。
- プレゼント条件をアンケート回答と紐づけることで、ホテルグレイスリー銀座は顧客の声を効率よく集めつつ、ノベルティコストをサービス改善の投資に変えています。
- 自館でもまずはコンセプトと相性の良い地域パートナーを探し、小さなギフトから始めて企画をテストしていくという選択肢もあります。
- タイアップ企画は、ゲストだけでなく従業員が地域を好きになり、施設への誇りを持つきっかけにもなるため、スタッフへの情報共有と振り返りの場を用意しておくと安心です。
企業情報
藤田観光株式会社
- 会社名:藤田観光株式会社
- 事業内容:ホテル・旅館・レジャー施設などの運営および関連事業
- 設立:1955年(前身施設として箱根小涌園、椿山荘を開業)
- 公式サイト:藤田観光株式会社 公式サイト
ホテルグレイスリー銀座
- 施設名:ホテルグレイスリー銀座
- 所在地:〒104-0061 東京都中央区銀座7-10-1
- アクセス:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線「銀座駅」A3出口より徒歩約3分
- 客室数:270室
- 電話番号:03-6686-1000(代表)
- 公式サイト:ホテルグレイスリー銀座 公式サイト
銀座 松﨑煎餅(株式会社 松崎商店)
- 会社名:株式会社 松崎商店
- ブランド名:銀座 松﨑煎餅
- 創業:1804年(文化元年)
- 設立:1948年(昭和23年)
- 事業内容:和菓子・米菓の製造販売
- 公式サイト:銀座 松﨑煎餅 公式サイト
出典:PR TIMES『【ホテルグレイスリー銀座】1804年創業の老舗和菓子店「銀座 松﨑煎餅」とタイアップ! ホテルロゴ入りオリジナル瓦煎餅をプレゼント』https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000951.000001368.html


