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オリエンタルホテル東京ベイ 産学連携、地域共創型宿泊プランに学ぶ

左上から時計回りに、全体報告会の様子/東海大学付属浦安高等学校/マナビス化粧品5点セット/株式会社マナビス社屋
CoCoRo編集部

オリエンタルホテル東京ベイが高校と連携して開発した宿泊プランは、地域共創と従業員エンゲージメントを同時に高めるヒントが詰まった事例と言えるでしょう。・浦安エリアのパートナーホテルとして30周年を迎えるタイミングで、地元高校と地元企業のコスメメーカーと組んだ今回の企画は、他のホテル・旅館にも応用しやすいモデルケースになりそうです。

本記事では、宿泊業の経営者・人事・企画担当・現場マネージャーの方に向けて、このニュースを「自館の戦略にどう活かせるか」という視点で整理していきます。

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本記事のポイント

  • オリエンタルホテル東京ベイが高校との産学連携で実施する宿泊プランを通じて、地域共創と人材育成を両立する考え方を整理します。
  • ×地元企業×学生アイデア」という組み合わせから、地方ホテル・旅館でも真似しやすい企画の組み立て方を具体的に読み解きます。
  • 自館でオリエンタルホテル東京ベイのような産学連携・地域共創に踏み出す際のステップと、従業員エンゲージメント向上につなげる工夫例を紹介します。

ニュースの概要

(千葉県浦安市)は、開業30周年を機に、浦安市にある東海大学付属浦安高等学校と初めての産学連携企画を実施すると発表しています。

テーマは「地元の魅力を体感する」宿泊体験。高校生が考えたアイデアをもとに、地元企業・株式会社マナビスが製造する化粧品を活用した宿泊プラン「至福のうるおいチャージプラン」を商品化し、2025年12月18日から販売を開始、宿泊期間は2026年1月5日~3月31日としています。

2025年4月にはホテルスタッフが高校を訪問し、「地域の魅力を伝えられる宿泊プラン」をテーマに講義を実施。その後、約150名・25チームの3年生がプラン案を作成し、8月には学生リーダーがホテル見学を行いながらブラッシュアップ。コンセプトの妥当性や独自性、提案力などを基準に選考し、最も評価の高い案を採用したとしています。

プランでは、乾燥しやすい冬の時期に合わせ、マナビス化粧品5点セットやバスソルト、季節のフルーツ盛り合わせに加え、ハンドマッサージャーやフットケア機器、ReFa製のドライヤー・ヘアアイロンといった備品を客室に用意。美容ナイトルーティーンを楽しみながら心身を整えられる内容としています。

この取り組みは、ホテルチェーンブランド「」が掲げる「コ・クリエーション()戦略」と、グループで展開している産学連携プロジェクトの一環と位置づけられています。

宿泊業にとってのポイント

オリエンタルホテル東京ベイの事例は、「」「」「地域企業との協業」「ウェルネス体験」を一つの宿泊プランとして束ねている点が特徴的です。宿泊業にとっての主なポイントは次の通りではないでしょうか。

オリエンタルホテル東京ベイが示す“地域共創型プラン”の価値

  1. 周年イベントを「地域への還元」として位置づけている
    開業30周年は、自館の歴史を振り返る節目であると同時に、「地域に支えられてきた」というストーリーを伝えやすいタイミングです。
    オリエンタルホテル東京ベイは、この節目に東海大学付属浦安高等学校とマナビスという地元プレイヤーを巻き込み、「地域の魅力を体感する」宿泊プランとして形にしています。単なる割引や記念プランではなく、地域との関係性を可視化する企画として機能している点が参考になりそうです。
  2. ターゲットニーズを“美容・ウェルネス”に絞り込んでいる
    プラン名「至福のうるおいチャージプラン」からも分かる通り、乾燥が気になる冬場に合わせて「美容ナイトルーティーン」に特化した体験設計としています。
    近年伸びているウェルネス志向の旅行需要を捉えつつ、宿泊体験の中心を「客室での過ごし方」に置くことで、客室価値の向上にもつなげていると考えられます。
  3. 産学連携が従業員エンゲージメントにも波及しやすい設計
    高校での講義や館内見学、学生からのプレゼン選考など、ホテルスタッフが「教える・伴走する」立場で関わる場面が多く用意されています。
    現場スタッフが自分たちの仕事を言語化し、学生たちと対話するプロセスは、「自分の仕事の意味」を再認識する機会になりやすく、従業員エンゲージメント向上にもつながる可能性があります。

こうした観点で見ると、オリエンタルホテル東京ベイの取り組みは「地域共創」「おもてなし価値の向上」「」の3つを一つのプロジェクトで同時に追いかけているケースと捉えられそうです。

背景と理由の整理

オリエンタルホテル東京ベイがこのタイミングで産学連携プランを打ち出した背景には、宿泊業全体の環境変化もありそうです。

ウェルネス志向と“滞在の質”へのシフト

  • コロナ禍を経て、「移動距離」よりも「滞在の質」に価値を置く旅行者が増えているとされています。
  • 特に女性客やカップル層を中心に、「美容ケア」「リラクゼーション」「心身のリセット」を目的にした宿泊ニーズは高まりやすい傾向があります。

オリエンタルホテル東京ベイは、こうした潮流を踏まえ、マナビス化粧品やReFa製品、ハンドマッサージャーなどを組み合わせることで、「客室で完結するウェルネス体験」を打ち出していると見ることもできそうです。

地域共創・ESGの流れとオリエンタルホテル東京ベイ

  • 地域の企業と連携し、「Made in Urayasu」の化粧品を前面に出している点は、地域経済への貢献やサステナビリティの観点からも評価されやすい取り組みです。
  • 2018年に「浦安市優良企業賞」や「浦安エコカンパニー認定」を受けているマナビスと組むことで、「環境配慮」「地域志向」といったメッセージもさりげなく宿泊体験に織り込んでいると考えられます。

オリエンタルホテル東京ベイのように、地域で信頼されている企業と組むことは、宿泊プランの付加価値だけでなく、ホテルブランド全体の信頼感にもつながりやすい点は押さえておきたいところです。

産学連携と人材育成への期待

新学習指導要領で強化されている「総合的な探究の時間」などを背景に、高校・大学側も「地域企業との連携機会」を求めているケースが増えています。

オリエンタルホテル東京ベイは、そのニーズをうまく捉え、以下のような構造を作っていると考えられます。

  • 高校生:企画立案・プレゼンを通じて、ビジネスや社会貢献を学ぶ
  • 地元企業:自社商品の魅力を再定義し、新たな顧客接点を得る
  • (オリエンタルホテル東京ベイ):新しい宿泊プランを開発しつつ、地域との関係性と自社人材の成長機会を得る

この「三方良し」の構造は、他地域のホテル・旅館が産学連携を検討する際のヒントになりそうです。

具体的な取り組み・ニュース内容の解説

ここでは、オリエンタルホテル東京ベイの「至福のうるおいチャージプラン」の中身とプロセスを、宿泊業目線で整理してみます。

プラン内容:美容ナイトルーティーン×浦安らしさ

プランの要素を分解すると、次のような構成になっています。

  • 基本条件
    • 宿泊期間:2026年1月5日~3月31日
    • 朝食付き、3名1室利用で1名24,550円〜(会員は割引あり)
  • 美容アイテム(株式会社マナビス協力)
    • マナビス化粧品5点セット(1人1セット)
    • バスソルトセット(1室1セット)
    • 季節のフルーツ盛り合わせ(宿泊人数分)
  • 客室備品(ハード・機器)
    • ハンドマッサージャー
    • フットケア機器(Foot Fit3)
    • ReFaドライヤー&ヘアアイロン

これらを組み合わせることで、「冬の乾燥対策」「美容ケア」「リラクゼーション」という複数のニーズに同時に応える構成になっています。オリエンタルホテル東京ベイにとっては、「客室での時間そのものを主役にする」設計で、宴会や大がかりなイベントを伴わない分、運営負荷もコントロールしやすいと考えられます。

企画プロセス:オリエンタルホテル東京ベイ×高校×地元企業

プロセスは大まかに以下のステップで構成されています。

  1. 学びの場づくり(ホテル→学校)
    • ホテルスタッフが高校に出向き、「地域の魅力を伝える宿泊プラン」をテーマに講義。
    • 宿泊業の役割や地域とホテルの関係性を、学生向けに噛み砕いて伝えています。
  2. プラン案の募集(学校側での探究活動)
    • 約150名・25チームが、各自の視点から宿泊プランを企画。
    • ゲストのニーズや企業のメリットをどう両立させるか、学生目線で試行錯誤したとコメントされています。
  3. 現場理解とブラッシュアップ(ホテル見学)
    • チームリーダーがホテルを訪れ、館内見学を通じて現場を理解。
    • 客室設備や動線を確認しながら、実現可能性も踏まえてプランを磨き込み。
  4. 選考と採用(ホテル側の評価)
    • コンセプトの妥当性、独自性、提案力等を軸にホテル側が選考。
    • 最も評価の高い案を実際の宿泊プランとして採用。
  5. 地元企業との連携(マナビスの参画)
    • 宿泊プランの特典アイテムとして、マナビスの化粧品を採用。
    • 企業側にとっても、地域密着ブランドとしての発信機会になっています。

この流れは、オリエンタルホテル東京ベイだからこそできる部分もありますが、多くのホテル・旅館がスケールを小さくして取り入れることもできそうです。

チェーン全体の産学連携プロジェクトとの位置づけ

ニュース内では、オリエンタルホテル東京ベイ以外にも、同チェーンにおける過去の産学連携事例が紹介されています。

  • 神戸メリケンパークオリエンタルホテルと大学による朝食企画
  • オリエンタルホテル沖縄リゾート&スパやヒルトン東京お台場などと教育機関の協働
  • オリエンタルホテル広島と女子大学によるフェア開催 など

このように、オリエンタルホテル東京ベイのケースは、チェーンとしての「コ・クリエーション戦略」の一部として位置づけられています。

単館運営のホテル・旅館であっても、自館のビジョンやブランドコンセプトに沿った「地域との共創テーマ」を決めておくことで、継続的な産学連携や地域企業との協業が設計しやすくなるのではないでしょうか。

自社への活かし方のヒント

最後に、オリエンタルホテル東京ベイの事例を踏まえ、他のホテル・旅館が自館に取り入れる際のステップを整理します。

1. テーマ設定:自館版「至福の○○チャージプラン」を考える

まずは、オリエンタルホテル東京ベイのように、明確なテーマを一つ決めることが重要です。

  • 美容・ウェルネス(例:温泉地なら「睡眠」「整う」など)
  • (地元食材・発酵・朝食リトリートなど)
  • (祭り、伝統工芸、芸能とのコラボ)

自館の立地・設備・強みに合わせて、「うちなら何のチャージプランが似合うか?」をチームで議論してみると良さそうです。ここでの議論自体が従業員エンゲージメントを高めるきっかけにもなります。

2. 地元企業と“タッグを組むパートナー”を探す

オリエンタルホテル東京ベイはマナビスという地元コスメ企業を選びましたが、他地域なら例えば次のようなパートナーが考えられます。

  • 地元の化粧品・アロマ・バスソルトメーカー
  • 地場の農家・ワイナリー・ブルワリー・スイーツ店
  • 地元の工芸作家・雑貨ブランド

「宿泊プランに組み込める商品・体験を持っている企業」との協業は、在庫管理やオペレーションの面でも比較的取り組みやすい選択肢と言えます。オリエンタルホテル東京ベイのように、地域で評価されている企業を選ぶと、ブランドの相乗効果も期待できます。

3. 教育機関との連携方法を具体化する

産学連携を自館で始める際は、次のような進め方が考えられます。

  • 近隣の高校・専門学校・短大・大学の「総合探究」「観光系学部」「デザイン系学科」などに相談
  • 「地域の魅力を伝える宿泊プラン」「インバウンド向けおもてなしアイデア」など、教育目標につながりやすいテーマ設定
  • オリエンタルホテル東京ベイのように、講義+現場見学+プレゼンという3ステップ構成にする

この際、「学生のアイデアをそのまま商品化する」のではなく、ホテル側が安全性や実現可能性をチェックしたうえで一緒に磨き上げるプロセスを入れておくと、現場負担と教育的価値のバランスを取りやすくなります。

4. 従業員エンゲージメントにどうつなげるか設計する

オリエンタルホテル東京ベイの事例から学べるポイントとして、従業員側への効果設計も意識しておきたいところです。

  • 高校・大学での講義に、若手~中堅スタッフを同行させる
  • 学生チームのメンター役として、現場リーダーに関わってもらう
  • 完成したプランを館内共有会で紹介し、関わったスタッフをきちんと称える

こうした工夫により、オリエンタルホテル東京ベイのように、「地域・学生との関わりを通じて自分の仕事に誇りを持てた」という実感を生みやすくなります。人手不足が続く中で、「ここで働き続けたい」と思ってもらう要素を増やしていくことは、採用以上に重要なテーマになりつつあります。

5. 小さく試して、毎年の恒例企画に育てる

いきなり大規模な産学連携に踏み切る必要はありません。例えば、

  • まずは1校・1クラス限定でミニコンテストを実施する
  • 1泊朝食付きのシンプルなプランから始める
  • 反応が良ければ翌年以降、対象校やパートナー企業を広げていく

といった形で、小さく始めて継続的な取り組みに育てていくと、オリエンタルホテル東京ベイのようにチェーン全体の戦略にも接続しやすくなるかもしれません。

まとめ

  • オリエンタルホテル東京ベイの産学連携宿泊プランは、周年記念をきっかけに「地域共創」「ウェルネス体験」「従業員エンゲージメント」を一体的に高める構造になっていると考えられます。
  • 地元高校と地元企業を巻き込んだプロセス設計は、他地域のホテル・旅館でもスケールを調整しながら応用しやすく、自館版オリエンタルホテル東京ベイモデルを検討する価値がありそうです。
  • 自館で取り組む際は、「自館らしいテーマ設定」「パートナー選定」「教育的価値と運営負荷のバランス」「従業員エンゲージメントへの波及」を意識しておくと安心です。
  • まずはオリエンタルホテル東京ベイの事例を参考に、小さな産学連携や地域企業との協業から試してみるという選択肢もあります。

企業情報

オリエンタルホテル 東京ベイ

  • 施設名:オリエンタルホテル 東京ベイ
  • 所在地:千葉県浦安市(JR京葉線「新浦安駅」北口直結)
  • 施設概要:客室数511室、料飲施設2店舗、宴会場、チャペル等を備える東京ディズニーリゾート®・パートナーホテル
  • オリエンタルホテル 東京ベイ公式サイト

株式会社マナビス(協力企業)

  • 社名:株式会社マナビス
  • 所在地:千葉県浦安市(本社・研究開発・製造拠点)
  • 事業内容:化粧品の研究開発・製造
  • 公式サイト:株式会社マナビス

東海大学付属浦安高等学校

  • 学校名:東海大学付属浦安高等学校
  • 所在地:千葉県浦安市
  • 概要:大学までの一貫教育を特色とし、「文武両道」を掲げる私立高等学校
  • 公式サイト:東海大学付属浦安高等学校

オリエンタルホテルズ&リゾーツ/株式会社ホテルマネージメントジャパン

  • ブランド名:オリエンタルホテルズ&リゾーツ
  • 運営会社:株式会社ホテルマネージメントジャパン
  • 展開施設:国内16ホテル(オリエンタルホテル、ホテル オリエンタル エクスプレス等)
  • グループ概要:国内24ホテル(総客室数7,671室)を運営
  • チェーン公式サイト:オリエンタルホテルズ&リゾーツ

出典:PR TIMES『【オリエンタルホテル 東京ベイ】ホテル開業30周年 産学連携企画 東海大学付属浦安高等学校と初コラボレーションし地元企業の魅力を体感する宿泊プランを期間限定で発売』https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001923.000016207.html

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