ウェスティンホテル大阪が開催する山口県フェア“やまぐち食旅体験”は、地方の食材と文化を組み合わせて「旅そのもの」をホテル内で再現しようとする試みです。ウェスティンホテル大阪の日本料理「はなの」で、2026年1月5日〜3月1日の期間限定で実施予定のこのフェアは、冬場の集客や地方連携、従業員エンゲージメント向上を考える宿泊業にとって参考になる点が多い取り組みといえそうです。
この記事では、ウェスティンホテル大阪の事例を入り口に、「食旅体験」をどう設計すれば自施設の付加価値向上につながるのかを整理します。
ウェスティンホテル大阪 本記事のポイント
- ウェスティンホテル大阪の山口県フェア“やまぐち食旅体験”の内容を整理し、宿泊業の集客・単価アップ・リピーターづくりのヒントを紹介
- 山口県の食材・日本酒・工芸・物販を組み合わせた「食旅体験」を、地方連携やインバウンド対応を進めたいホテル・旅館がどう応用できるかを解説
- 従業員が地域ストーリーを語れるようになることで、ウェスティンホテル大阪のように従業員エンゲージメントと顧客満足を同時に高める視点を提案
ウェスティンホテル大阪 山口県フェアのニュース概要
ウェスティンホテル大阪(大阪市北区)のメインダイニング、日本料理「はなの」では、「やまぐち食旅体験」と題した山口県フェアを2026年1月5日〜3月1日に開催予定としています。
フェアでは、山口県萩市の老舗・大坂屋商店から直送される魚介類を中心に、ふぐの薄造り「ふく刺し」や「ふくちり鍋」、岩国寿司、山口の郷土料理をアレンジした「やまぐち万福会席」を、ランチとディナーで提供する予定です。ランチは9,000円、ディナーは23,000円とし、「福」を重ねる会席として打ち出しています。
さらに、8名限定のプライベート空間で山口の居酒屋の雰囲気を再現する「おいでませ 居酒屋はなの」も、2026年1〜2月の特定日で開催予定です。振る舞いふくちり鍋を皮切りに、約30種類の酒肴食べ放題(ドリンク別)を10,000円で提供する構成としています。
店内には、山口の風景パネルや伝統工芸品、日本酒のラインナップを展示し、さらに外郎やゆず茶などの関連商品を購入できる物販コーナーも設置するとしています。日本料理「はなの」は、安土桃山時代をコンセプトにした和モダン空間で、会席・割烹・天ぷら・鉄板焼・個室を備えた多機能な店舗であることも紹介されています。

ウェスティンホテル大阪の取り組みにみる宿泊業にとってのポイント
ウェスティンホテル大阪の山口県フェアは、「レストランフェア」にとどまらず、宿泊業が参考にできる要素がいくつか重なっていると考えられます。
1. ダイニングを「目的地そのもの」にする発想

ウェスティンホテル大阪では、店先のパネルポスターや工芸品展示、日本酒ラインナップにより、「店に一歩入ると山口に到着した感覚」を演出するとしています。
単に「山口フェアメニューを出す」のではなく、「山口に行ったかのような到着体験」をホテル内で完結させている点は、以下の狙いがあると見ることができそうです。
- 宿泊せずレストラン利用だけのゲストにも「小さな旅体験」を提供し、ホテルファン化の入口にする
- 宿泊客にとっては、チェックイン〜食事までを一連の旅ストーリーとして感じてもらう
- 旅行を控えている層や近隣住民にも、「擬似・山口旅行」として来館の動機をつくる
観光庁のコンテンツトレンド調査でも、「生活没入型」「ウェルネス」「ローカル文化への深いタッチ」など、旅先の日常に入り込む体験が重要な潮流とされています。
ウェスティンホテル大阪の“やまぐち食旅体験”は、この流れをホテル内で具体化した事例と言えそうです。
2. 会席+居酒屋+物販で「滞在価値」と「客単価」を積み上げる
ウェスティンホテル大阪では、会席料理の「やまぐち万福会席」、居酒屋スタイルの「おいでませ 居酒屋はなの」、そして物販コーナーという三層構造で山口県フェアを設計しています。
宿泊業目線で見ると、これは以下のような構造になっています。
- 会席:特別な日のディナーや接待・記念日のメイン体験
- 居酒屋:友人同士・同僚とのカジュアル利用や、連泊中の2晩目利用の受け皿
- 物販:体験の余韻を自宅に持ち帰るアップセルポイント
「食事体験→二次会的な飲み利用→お土産購入」と、ホテル内で完結する消費導線を設計している点は、他施設でも応用しやすい考え方ではないでしょうか。
特に、インバウンドや長期滞在のゲストにとっては、「ホテルの中に複数の過ごし方の選択肢があること」が安心材料になりやすいと指摘されています。
3. 従業員エンゲージメント向上の「教材」としてのフェア
ウェスティンホテル大阪のようなテーマ性のあるフェアは、単に売上だけでなく、従業員エンゲージメントを高める機会にもなり得ます。
- 料理長・サービススタッフが、山口の食文化や地酒のストーリーを学ぶことで、「語れる接客」が増える
- 地方の生産者・商店とのつながりを知ることで、「自分たちの仕事が地域をつなぐ」という実感を持ちやすい
- 季節ごとにフェアを企画・改善していくことで、「自分たちのアイデアが形になり、評価される」経験が生まれる
観光庁の宿泊業向けハンドブックでも、人手不足解消の鍵として「業務効率化」とともに、従業員が仕事の意味を感じられる環境づくりの重要性が指摘されています。
ウェスティンホテル大阪のような食旅体験は、現場スタッフの学びと誇りを育てる「プロジェクト型施策」として位置づけると効果が高まりそうです。
ウェスティンホテル大阪のやまぐち食旅体験の背景と理由の整理
1. 冬シーズンの集客課題と「食旅」ニーズ
訪日旅行市場では、コロナ禍からの回復後、旅行者数・消費額ともに過去最高を更新しており、その中で「食」への支出は引き続き高い関心分野とされています。
一方で、多くのホテル・旅館では冬の平日稼働や、都市部での「わざわざ来てもらう理由づくり」に課題を抱えているケースも少なくありません。
ウェスティンホテル大阪の山口県フェアは、こうした文脈の中で、次のような目的があると考えられます。
- 冬の大阪で「ふぐ」「鍋」「地酒」といった明快なテーマを打ち出し、近隣在住者やリピーターの来館理由をつくる
- 山口県の観光・食文化と連携することで、ホテル単体では出せないストーリー性を補完する
- 将来的なリアルな山口旅行への誘因としても機能し、地域間連携の橋渡しになる
観光庁が整理する観光コンテンツのトレンドでも、食体験と地域の生活文化を組み合わせた「生活没入」型コンテンツが、地方誘客と高付加価値化の観点から重要だとされています。
2. インバウンドも見据えた日本料理・ふぐ体験
ウェスティンホテル大阪の日本料理「はなの」は、和モダンな空間で日本料理・天ぷら・鉄板焼などを提供しており、インバウンドにも訴求しやすい条件を備えています。
インバウンド対応の視点では、次のような点がポイントになりそうです。
- 「ふぐ」や「会席」といった日本独自の食文化は、体験価値が高い一方で、食べ方やマナーの説明が求められやすい
- 英語など多言語でのメニュー・説明文があると安心感につながる
- ベジタリアンや宗教・習慣による制限があるゲストへの代替メニューや説明の準備も重要
観光庁の多様な食習慣への対応ガイドでは、ベジタリアンやムスリムなど、食の制限がある旅行者にも「できる範囲での選択肢を示すこと」が推奨されています。
また、インバウンド向け接遇テキストでも、「完璧な英語でなくても、必要な情報を伝える」「翻訳ツールを組み合わせて案内する」姿勢が重要とされています。
ウェスティンホテル大阪のように「ふぐ」など特徴的な食材を扱う場合こそ、こうしたガイドを参考に、安心・安全なコミュニケーション設計をしておくと良さそうです。
ウェスティンホテル大阪の具体的なやまぐち食旅体験内容の解説
1. やまぐち万福会席の構成をどう捉えるか
やまぐち万福会席は、ふく刺し・ふくちり鍋・岩国寿司・郷土料理アレンジなどを盛り込んだコースとして案内されています。
宿泊業の視点で見ると、次のような設計思想が読み取れます。
- 「山口らしさ」が一皿ごとに感じられるよう、代表的な料理を分散配置している
- ふぐは刺しと鍋の両方で提供し、「初めてのふぐ体験」にも「食べ慣れたゲスト」にも対応
- コース名に「万福」と縁起の良い言葉を使い、記念日や接待など祝宴需要を意識
自施設で類似のフェアを企画する際には、
「その地域を象徴する3〜4要素(メイン食材・郷土料理・酒・甘味など)」を、前菜〜締めまでのストーリーとして配置する発想が応用できそうです。


2. 8名限定「居酒屋はなの」の位置づけ
ウェスティンホテル大阪が行う「おいでませ 居酒屋はなの」は、8名限定・2部制・約30種類の酒肴食べ放題という、かなり絞り込んだ設定になっています。
ここから、次のような狙いが考えられます。
- 少人数・時間帯を限定することで、厨房・サービスのオペレーション負荷を抑えつつ、特別感を演出
- 「会席ほど格式張らず、山口の街の居酒屋にいるような感覚」を提供し、異なる客層にアプローチ
- 30種類の酒肴を通じて、山口の食材・郷土料理に自然に触れてもらう「テイスティング的」な体験を設計
このように、ウェスティンホテル大阪は、一つのフェアの中に「ハレの会席」と「カジュアルな居酒屋体験」の両方を組み込むことで、ターゲットの幅を広げていると考えられます。


3. 物販コーナーで「おいしい体験」を持ち帰らせる
フェア期間中、日本料理「はなの」店内には、外郎やゆず茶など、料理に使われた食材や調味料を購入できる物販コーナーが設けられます。
宿泊業としては、以下のような利点が想定されます。
- 「あの味をもう一度」というニーズに、その場で応えられるため、顧客満足と追加売上の両立が期待できる
- 生産者・メーカーとの共同プロモーションに発展させれば、地域との関係性強化にもつながる
- お土産を通じて家族・友人への二次口コミが生まれ、ウェスティンホテル大阪や日本料理「はなの」自体の認知拡大にも寄与
観光庁の持続可能な観光の事例集でも、地域産品の販売や地元企業との連携が、地域経済への波及効果やサステナブルな観光の重要な要素とされています。

ウェスティンホテル大阪 山口県フェアを自社に活かすヒント
ここからは、ウェスティンホテル大阪の“やまぐち食旅体験”を、自社のホテル・旅館で応用する際の具体的ステップを整理します。
1. まず「自施設×どの地域」で食旅体験を組み立てるか決める
- 自館の立地(都市部・温泉地・リゾートなど)と親和性が高い都道府県・エリアを1つ選ぶ
- その地域の「メイン食材」「地酒」「菓子・茶」「工芸・文化」の4点セットで情報収集する
- 可能であれば、自治体や観光協会、地元事業者と連携し、ウェスティンホテル大阪のような共同企画の形にする
観光庁の報告書でも、地方誘客や高付加価値化のためには、自治体・事業者・宿泊施設が連携して「地域ならではのコンテンツを磨き上げる」ことが重要とされています。
2. メインダイニングを「旅の出発点」として再設計する
ウェスティンホテル大阪のように、ダイニングを単なる食事提供の場ではなく「旅の玄関口」として設計し直すことで、体験価値は大きく変わります。
- 入り口〜テーブルまでの動線に、パネル・写真・小さな展示などで「旅先のストーリー」を配置
- メニュー表に、料理の背景や生産者のコメントを簡潔に添える
- スタッフが1つだけでも「自分のお気に入りの一品・一杯」をお客様に紹介できるよう、事前共有しておく
こうした小さな工夫でも、「ここに来れば、●●県の雰囲気を味わえる」というイメージづくりにつながっていきます。
3. 従業員エンゲージメントを高める巻き込み方
ウェスティンホテル大阪の山口県フェアのような企画は、現場スタッフの巻き込み次第で成果が変わりやすい部分です。
- 企画段階から、若手スタッフや現場リーダーをプロジェクトメンバーに入れる
- フェア開始前に、簡易な勉強会(オンラインでも可)で地域や食材の背景を共有する
- 終了後には、「お客様の声」「売上・利用状況」「スタッフの気づき」を振り返り、次回フェアに活かす
観光庁の女性活躍・ダイバーシティの事例集でも、多様な人材が企画段階から参加することで、新しいコンテンツづくりや働きがい向上に結びついた例が紹介されています。
ウェスティンホテル大阪のようなフェアを、「現場主体で育てるテーマ」として位置づけることが、自社の組織力強化にもつながる可能性があります。
4. 収益性とオペレーションを事前にシミュレーションする
最後に、ウェスティンホテル大阪の事例から学べるのは、「日程・人数・価格をしっかり絞っている」という点です。
自社で企画する際は、次のようなステップで検討しておくと安心です。
- 期間・開催曜日・1日あたりの回転数・席数から、最大販売数を試算する
- 食材原価だけでなく、人件費・光熱費・販促費も含めた粗利・損益分岐点を確認する
- 「通常営業に負担をかけない人員配置」になっているか、業務の可視化と併せて見直す
宿泊業向けの生産性向上マニュアルでも、「人手不足だから人を増やす」のではなく、業務の可視化と配置の見直しから着手することの重要性が示されています。
ウェスティンホテル大阪のように、限定性と特別感を両立させる設計は、こうした視点からも参考になりそうです。
まとめ
- ウェスティンホテル大阪の山口県フェア“やまぐち食旅体験”は、会席・居酒屋・物販を組み合わせて「山口旅行そのもの」をホテル内で再現しようとする取り組みと考えられます。
- ダイニングを「旅の目的地」と見立て、地域の食材・日本酒・工芸品と連携する発想は、他のホテル・旅館でも応用しやすく、冬場や平日の集客強化にもつながる可能性があります。
- ウェスティンホテル大阪のような食旅企画を、自施設でも「地域×食×物販」のセットで設計しておくと安心です。
- フェアを一過性のイベントにせず、従業員エンゲージメント向上や地域連携の仕組みづくりのきっかけとして活用するという選択肢もあります。
企業情報(ウェスティンホテル大阪)
- 会社名:株式会社テェルウィンコーポレーション ウェスティンホテル大阪
- 本社所在地:大阪府大阪市北区大淀中1丁目1番20号
- 電話番号:06-6440-1111
- 代表者名:森田 雅実
- 資本金:5,000万円
- 公式サイト:The Westin Osaka 公式サイト
本リリースに関するお問い合わせ(ウェスティンホテル大阪)
- 施設名:ウェスティンホテル大阪 日本料理「はなの」
- ご予約・お問い合わせ先:06-6440-1066
- 日本料理「はなの」公式サイト:日本料理 はなの
参考資料
- 観光庁『世界的潮流を踏まえた魅力的な観光コンテンツ造成のための基礎調査事業 調査報告書』
- 観光庁『ベジタリアン・ヴィーガン/ムスリム旅行者おもてなしガイド』
- 観光庁『訪日外国人旅行者受入のための研修テキスト(異文化理解と接遇の基本)』
- 観光庁『宿泊事業者における経営改善マニュアル 生産性向上のためのハンドブック』
出典:PR TIMES『〖ウェスティンホテル大阪〗山口県フェア 旅の感動をそのままに“やまぐち食旅体験”』https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000055.000010086.html


