宿泊・旅行業界ニュース

富士屋ホテル MR音声ガイド導入で歴史体験をアップデートする意義

株式会社GATARIが開発するMixed Reality(MR)プラットフォーム「Auris(オーリス)」を用いた新しい音声ガイド体験
CoCoRo編集部

富士屋がMixed Reality()を活用した体験を導入したことで、歴史あるホテルの価値を伝える方法が一段と多様になりつつあります。
本記事では、の新たなMR音声ガイド導入の概要を整理しつつ、にとってのポイントや観光・インバウンド対応の観点から、自社で応用する際のヒントをまとめます。箱根エリア以外のホテル・旅館でも、歴史やストーリーを持つ施設であれば参考にし安くしておりますので、ぜひお役立てください。

この記事の目次
  1. 本記事のポイント(富士屋ホテルのMR音声ガイド)
  2. ニュースの概要:富士屋ホテルのMR音声ガイド導入
  3. 宿泊業にとってのポイント:富士屋ホテルに学ぶMR活用の方向性
  4. 背景と理由の整理:富士屋ホテルと観光DX・インバウンド文脈
  5. 具体的な取り組み・ニュース内容の解説
  6. 自社への活かし方のヒント:富士屋ホテルの事例から考える
  7. まとめ
  8. 企業情報
  9. 本リリースに関するお問い合わせ
  10. 参考資料

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本記事のポイント(富士屋ホテルのMR音声ガイド)

  • 富士屋ホテルがMR音声ガイドを導入した背景を整理し、「歴史的ホテル×デジタル体験」がなぜ今の観光トレンドに合致しているのかを解説します。
  • ゲストがスマートフォンと「Auris」アプリを使って、富士屋ホテル館内15カ所で創業者のストーリーに触れられる仕組みを、宿泊業の業務設計という視点から読み解きます。
  • 自社の規模や予算に合わせて、富士屋ホテルほどの大型投資をしなくても真似できる「小さなデジタルガイド」「音声コンテンツづくり」の始め方を提案します。

ニュースの概要:富士屋ホテルのMR音声ガイド導入

富士屋ホテルを運営する富士屋ホテル株式会社(本社:県足柄下郡箱根町宮ノ下359)は、箱根・宮ノ下にある富士屋ホテルで、Mixed Reality(MR)プラットフォーム「Auris(オーリス)」を用いた新しい音声ガイド体験の提供を開始すると発表しています。

Mixed Reality(MR)プラットフォーム「Auris(オーリス)」
Mixed Reality(MR)プラットフォーム「Auris(オーリス)」

ゲストは自身のスマートフォンに「Auris」アプリをダウンロードし、富士屋ホテル館内各所に設置されたマークを読み取ることで、その場所に紐づいた音声ガイドを再生できます。音声ガイドの内容は、初代・三代目の経営者による掛け合いと音響演出を組み合わせたストーリーとなっていると説明しており、時代を超えてホテルの歴史や文化に触れられる没入感の高い体験を目指しているとしています。

MR音声ガイドの開始日は2025年12月29日で、会場は富士屋ホテルのメイン・ロビー、「ルード・ラ・ペ」、ホテル・ミュージアム、「ヴィクトリア」など複数の館内スポットです。料金は1名あたり500円で、イヤホンを購入する場合は別途2,000円と案内されています。(〖公式〗富士屋ホテルズ&リゾーツ)

対応言語は日本語と英語の2言語からスタートし、今後はGATARI社と連携しながら、MR技術の活用範囲を広げつつ、やアクセシビリティへの配慮を強化していく方針だとしています。

宿泊業にとってのポイント:富士屋ホテルに学ぶMR活用の方向性

1. 「泊まるだけ」から「歴史・物語を体験する」へ

富士屋ホテルは1878年創業の日本初の本格リゾートホテルであり、現在は国の登録有形文化財に指定されていると紹介されています。
こうした歴史や建築意匠は、宿泊業にとって大切な無形資産ですが、従来は「パンフレット」「スタッフの口頭説明」など、ゲストのタイミングに依存する形でしか伝えられない場面も多かったのではないでしょうか。

富士屋ホテルがMR音声ガイドを導入したことにより、歴史・物語の伝え方が「いつでも・どこでも・好きなペースで」体験可能なコンテンツに変わりつつあると見ることができそうです。これは、単にの一例というだけでなく、「宿泊そのものがコンテンツである」方向へ舵を切る試みとも捉えられます。

2. 世界的なトレンド「生活没入型コンテンツ」との相性

の調査「世界的潮流を踏まえた魅力的な観光コンテンツ造成のための基礎調査事業」では、観光コンテンツのトレンドとして、、ネイチャーアクティビティ、に加え、地域の日常に入り込む「生活没入」型の体験が重要と整理されています。

富士屋ホテルのように、創業者の声や歴史をMR音声ガイドで体験してもらう取り組みは、この「生活没入」や「聖地巡礼」的なニーズと親和性が高いと考えられます。
ゲストはただ客室で過ごすのではなく、ホテル館内を歩きながら「このホテルの時間の層」に入り込んでいく感覚を得やすくなり、結果として滞在満足度や単価アップにつながる可能性があります。

3. インバウンド対応と人的リソースの補完

観光庁の「旅館向け インバウンド受入ポイント集」では、外国人旅行者に安心感を与えるポイントとして、英語など多言語での情報提供や、滞在の流れが分かる案内の重要性が示されています。

富士屋ホテルのMR音声ガイドは、日本語・英語の2言語対応からスタートしており、インバウンドゲストに対しても、スタッフに依存しすぎずに館内の歴史や見どころを伝えやすい仕組みだと考えられます。

人的リソースが限られる中で、全ての時間帯・全てのゲストに対して、同じクオリティの館内案内を行うのは難しいケースが多いはずです。MR音声ガイドは、「人にしかできない部分」はスタッフが担い、「繰り返しの説明」や「補足情報」はデジタルが支える形で、サービスを平準化する助けにもなりそうです。

このように、富士屋ホテルの取り組みは「歴史的価値の見える化」「世界的トレンドとの接続」「インバウンドと人手不足の課題解消」という3つの観点から、他の宿泊施設にとっても参考になる部分が多いと言えそうです。

背景と理由の整理:富士屋ホテルと観光DX・インバウンド文脈

1. 観光コンテンツの高度化が求められる時代

旅行者数や消費額がコロナ前の水準を超えて伸びている中で、日本側には「モノ消費」から「コト消費」「トキ消費」への転換が求められていると指摘されています。

観光庁の観光コンテンツ調査でも、旅行者が求める価値は「写真映え」だけでなく、ウェルネスや生活没入など、より深い体験にシフトしていることが整理されています。

こうした流れの中で、歴史ある富士屋ホテルがMR音声ガイドという新たな体験コンテンツを導入したことは、「クラシックホテルでありながら、コンテンツはアップデートし続ける」というメッセージとしても捉えられそうです。

2. 多様な背景をもつ旅行者へのおもてなし

観光庁が作成したインバウンド対応の基礎知識テキストでは、外国人旅行者受入の基本として、宗教・食習慣・文化的背景の違いに配慮しつつコミュニケーションを図ることの重要性がまとめられています。

また、ベジタリアン・ヴィーガンやムスリム旅行者への対応ガイドでも、「個々の背景や事情が異なるため、丁寧な情報提供と対話が重要」とされています。

富士屋ホテルのMR音声ガイドは、現時点では主に言語面での多様性に対応する取り組みですが、今後の多言語展開やアクセシビリティ配慮の強化を見据えている点から、こうした国の方針とも整合的なおもてなし強化の一環と見ることができそうです。

3. 人材不足とサービス品質の両立

宿泊業向けの経営改善マニュアルや生産性向上のハンドブックでは、「人手不足の解消は単なる人員増ではなく、業務の見える化やデジタルツールの活用とセットで考えるべき」とされています。

富士屋ホテルのように、MR音声ガイドを活用して館内案内や歴史説明の一部をデジタル化することは、サービス品質の標準化だけでなく、スタッフの負担軽減にもつながる可能性があります。
その分、スタッフは「対面でしかできないコミュニケーション」や「ゲストの細かなニーズ把握」に時間を割きやすくなり、の向上にも寄与しやすいかもしれません。

具体的な取り組み・ニュース内容の解説

富士屋ホテルでのMR音声ガイド体験の流れ

富士屋ホテルが導入するMR音声ガイドの体験フローは、次のように整理できそうです。

  1. ゲストが自身のスマートフォンに「Auris」アプリをダウンロードする。
  2. アプリ内で富士屋ホテルのコンテンツを選び、日本語または英語の言語を選択する。
  3. 館内マップを確認しながら、指定された15カ所のスポットを巡る(メイン・ロビー、ルード・ラ・ペ、ホテル・ミュージアム、バー・ヴィクトリアなど)。
  4. 各スポットに設置されたマークをスマートフォンで読み取ると、その場所に紐づいた音声ガイドが再生される。
  5. 初代・三代目経営者の掛け合いや音響効果を通じて、歴史やエピソードを立体的に体験する。

この一連の流れは、のような「動線」を伴う体験を設計する上での良い事例とも言えそうです。

Aurisアプリと館内15カ所のストーリー設計

富士屋ホテルのMR音声ガイドでは、「Auris」アプリを介して、物理空間(館内)とデジタルコンテンツ(ストーリー)を結び付けています。

宿泊施設側の視点で見ると、ポイントは次の3点です。

  • どの場所にマークを設置するか(=どの空間に物語を割り当てるか)
  • 各スポットで何を語るか(建築意匠、創業者のエピソード、著名人の宿泊歴など)
  • 全体の回遊時間(富士屋ホテルでは約45分とされています)をどう設計するか

この3点を押さえれば、富士屋ホテルのような本格MRでなくても、「QRコード+音声ファイル」「Webブラウザ視聴」など、より小さな仕組みで自館版のストーリーガイドをつくることもできそうです。

富士屋ホテルの登録有形文化財としての価値をどう伝えるか

富士屋ホテルは、歴史的建築として国の登録有形文化財に指定されているとされています。
・旅館にとっての課題は、「貴重さ」は伝わっても、「何がどう貴重なのか」までは十分に伝えきれていないケースが多い点です。

MR音声ガイドでは、例えば次のような観点でストーリーを組み立てることができます。

  • 建物が建てられた時代背景と、当時の旅行・観光の状況
  • 日本人・外国人それぞれにとって、富士屋ホテルが持ってきた意味
  • 創業者や歴代経営者が大切にしてきた価値観(社是「至誠」など)(〖公式〗富士屋ホテルズ&リゾーツ)

こうしたストーリーを、静的なパネルやパンフレットではなく「声」で届けることで、ゲスト側の記憶に残りやすくなり、口コミやリピートにもつながりやすくなると考えられます。

料金・運営面から見る富士屋ホテルの設定

料金設定は、体験料500円(+イヤホン購入時2,000円)とされています。(〖公式〗富士屋ホテルズ&リゾーツ)

宿泊業の実務の視点では、この価格設定から次のような示唆が得られそうです。

  • 「無料でばらまくデジタルサービス」ではなく、「付加価値としてきちんと料金をいただく」位置付け
  • イヤホン販売など、物販との組み合わせも検討可能(館内ショップとの連動など)
  • 1回あたり45分という所要時間は、チェックイン〜までの空き時間や、チェックアウト後の滞在延長など、スキマ時間の活用にも向く

このような設計は、売上面だけでなく「館内で過ごす時間」を伸ばしやすくすることで、他の飲食・物販への波及効果も期待できるかもしれません。

自社への活かし方のヒント:富士屋ホテルの事例から考える

ここからは、富士屋ホテルのようなMR音声ガイドをそのまま導入するのではなく、「自館向けにどうアレンジできるか」を考えるヒントを整理します。

1. まずは「自館のストーリー」を棚卸しする

いきなりMRやアプリの検討に入るのではなく、次のようなシートで「自館の物語」を書き出してみると整理しやすくなります。

  • 創業の背景・地域との関係
  • 建物・客室・大浴場など、空間ごとのエピソード
  • よくゲストに質問されること(「この柱は何の木ですか?」など)
  • スタッフ自身が「好きだ」と感じているポイント

こうした棚卸しは、観光庁のインバウンド研修教材でも推奨されている「地域の魅力を自分の言葉で語れるようにする」プロセスとも通じています。

2. 富士屋ホテルのようなMRでなくても、「音声ガイドのライト版」から始める

富士屋ホテルのMR音声ガイドは完成度の高い取り組みですが、同じレベルをいきなり目指す必要はありません。段階的には次のような選択肢があります。

  • スタッフや館主の声を録音したシンプルな音声ファイルを、館内Wi-Fiページや自社サイトから再生できるようにする
  • QRコードを客室やロビーに掲示し、スマートフォンでアクセスすると音声が流れる仕組みをつくる
  • 解説文+簡単なイラストを組み合わせた「読み物」としてスタートし、反応を見ながら音声化・多言語化していく

重要なのは、「まず一つのストーリーを形にしてみる」ことです。小さく始めて、ゲストの反応を確認しながら内容を磨いていくと良さそうです。

3. 多言語化・アクセシビリティは国の教材・ガイドを活用する

多言語対応やアクセシビリティに関しては、すべてを自前でゼロから考える必要はありません。

  • 旅館向けインバウンド受入ポイント集(観光庁)では、多言語表記やpictogram、食事・温泉・文化体験の説明方法などが整理されています。
  • インバウンド対応能力強化教材(基礎知識編)では、翻訳アプリやコミュニケーションシートの活用例が紹介されており、音声ガイドと組み合わせることで、現場負担を軽くしつつ満足度を高めるヒントになります。

富士屋ホテルのような本格的なMRに踏み出す前に、こうした既存の教材を参考にしながら、自館に必要な言語と情報量のバランスを検討しておくと安心です。

4. 従業員エンゲージメント向上の機会として位置づける

音声ガイドの台本づくりやナレーションは、スタッフの「自館への愛着」を可視化する良い機会でもあります。

  • 若手スタッフに「自分が好きな館内スポット」を紹介してもらう
  • ベテランスタッフに「昔話」や「裏話」を聞き取り、それを脚本化する
  • 女性スタッフや外国籍スタッフなど、多様なメンバーの視点を取り入れる

観光分野における女性活躍事例集などでも、多様な人材の参画がサービスの質と魅力向上につながる事例が紹介されています。
富士屋ホテルのようなMR音声ガイドづくりを、自館でも「従業員と一緒にブランドを再定義するプロジェクト」として位置づけると、エンゲージメント向上にもつながりやすいでしょう。

5. 小さく試して、効果を測りながら育てる

最後に、富士屋ホテルの事例を参考にしつつ、自館で取り組む際のステップをまとめると次のようになりそうです。

  1. ストーリー候補と場所(スポット)を洗い出す
  2. 1〜3スポット程度で「お試し音声ガイド」を作成し、QRコードなどで提供する
  3. 利用者数・滞在時間・アンケートなどから反応を計測する
  4. 反応が良い場合はスポット数を増やし、多言語化やアプリ導入も検討する
  5. 投資額に見合う付加価値(売上だけでなく口コミ・メディア露出など)を定期的に振り返る

最初から「完璧なMR体験」を目指すよりも、「ゲストが喜んでくれる最小限の仕組み」をいったん形にし、少しずつ富士屋ホテルに近いレベルを目指していくという考え方も有効ではないでしょうか。

まとめ

  • 富士屋ホテルが導入するMR音声ガイドは、創業者の声やホテルの歴史を「いつでも・どこでも」体験できるコンテンツとして、歴史的ホテルの価値を再編集する試みと言えそうです。
  • 世界的に「生活没入」型の観光コンテンツが重視される中で、富士屋ホテルのMR音声ガイドは、宿泊そのものを体験コンテンツへと高める一つのモデルケースになり得ます。
  • 富士屋ホテルのような大規模MR導入が難しい施設でも、QRコードと音声ファイルを活用したライト版から始めるなど、段階的にデジタルガイドを導入しておくと安心です。
  • 自館で取り組む際は、国のガイドや教材も参考にしながら、多言語対応・アクセシビリティ・従業員エンゲージメントを含めて設計するという選択肢もあります。

企業情報

  • 会社名:富士屋ホテル株式会社
  • 本社所在地:〒250-0404 神奈川県足柄下郡箱根町宮ノ下359
  • 創業:1878(明治11)年7月15日と紹介
  • 代表者:代表取締役会長 小佐野 隆正/代表取締役社長 安藤 昭
  • 資本金:5,000万円
  • 従業員数:約1,000名
  • 事業内容:ホテル・レストラン・ゴルフ場・ミュージアムの経営などとしています(〖公式〗富士屋ホテルズ&リゾーツ)
  • 主な事業所:富士屋ホテル、湯本富士屋ホテル、箱根ホテル、富士ビューホテル、フルーツパーク富士屋ホテル、箱根駅伝ミュージアムほか(〖公式〗富士屋ホテルズ&リゾーツ)
  • 公式サイト(コーポレート):富士屋ホテル株式会社 公式サイト
  • 施設公式サイト(富士屋ホテル):富士屋ホテル 公式サイト

本リリースに関するお問い合わせ

  • 会社名:富士屋ホテル(富士屋ホテル株式会社)
  • 担当部署:営業企画課
  • 担当者名:杉山 夏生
  • 電話番号:0460-82-2211
  • FAX番号:0460-82-2210
  • 所在地:〒250-0404 神奈川県足柄下郡箱根町宮ノ下359
  • 公式サイト:富士屋ホテル 公式サイト

参考資料

出典:PR TIMES『富士屋ホテルMixed Reality(MR)を活用した音声ガイド体験を導入』https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000128.000117233.html

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