宿泊・旅行業界ニュース

生地温泉たなかやの地域還元企画が示す 日帰り回数券の作り方

CoCoRo編集部

生地温泉たなかやが黒部市で実施する「地域還元企画」の再販は、日帰り需要の取り込みと、宿の改善サイクルを同時に回すヒントになります。短期で完売した理由を分解し、宿泊業の現場で再現しやすい形に落とし込みます。

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本記事のポイント

  • 生地温泉たなかやの回数券再販を、日帰り需要の掘り起こし施策として読み解けます
  • 食事・入浴・フィードバックを束ねる設計が、リピーターと従業員エンゲージメントの両方に効きます
  • 観光庁の統計と厚生労働省の雇用データを踏まえ、繁閑と人員のズレを埋める運用の考え方が整理できます

発表内容の整理

創業115年の老舗旅館が挑む「地域還元企画」

富山県黒部市の旅館「生地温泉たなかや」は、創業115周年の節目に合わせて、日帰り入浴向けの回数券セットを2026年1月4日から限定販売し、1月17日時点で完売したと公表しました。完売後に追加購入の要望が相次いだため、在庫調整のうえ30部を追加で用意したとのことです。

追加分は2026年1月24日10時から、フロントで先着順に販売します。価格は8,000円(税込)で、入浴回数券(15枚綴り)に加えて、平日ランチで使える1,150円分の食事割引券、営業日カレンダー、意見を届けるフィードバックカードをセットにすると説明しています。

出典:PR TIMES『【黒部市】開始2週間で完売!創業115年の老舗旅館が挑む「地域還元企画」が1月24日(土)緊急再販決定』 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000175629.html

宿泊業にとってのポイント 生地温泉たなかやの地域還元

生地温泉たなかやの動きが示す核心は、「客室が売れにくい日でも稼働する商品」を、地域向けに“・体験・改善参加”の形で束ねた点です。値引き単体ではなく、食事利用と声の回収までを一つのパッケージに入れたため、日帰りでも客単価と関係性を同時に上げやすくなります。

加えて、日帰り回数券は「利用タイミングが分散する」性質を持ちます。チェックイン集中の負荷が小さく、清掃や客室オペレーションに比べてピークが読めるため、少人数運営の宿でも設計しやすい商品です。

生地温泉たなかやの設計で効く3点

  • 入浴だけで終わらせず、(食事)へ自然に接続する
  • フィードバックカードで、改善テーマを“お客様と共通言語化”する
  • 限定数で在庫と現場負荷をコントロールし、品質を落としにくくする

従業員エンゲージメントに波及しやすい理由

顧客の声が「個人への評価」ではなく「宿の未来づくりの素材」として届くと、現場の受け止め方が変わります。生地温泉たなかやのように、声を集める仕組みを商品に組み込むと、改善会議のテーマが具体化し、スタッフの納得感も作りやすくなります。

背景と理由の整理 生地温泉たなかやを支える国内需要

国内需要の厚みを確認すると、日帰り商品の位置づけが見えます。・観光消費動向調査(2025年7-9月期・1次速報)」では、日本人国内旅行の消費額は8兆536億円で、そのうち日帰り旅行は1兆3,234億円と整理されています。さらに同期間の1人1回当たり旅行支出は、日帰り旅行が18,639円/人と示されています(調査対象は住民基本台帳から無作為抽出した約2万9,000人、四半期ごとに実施)。

一方で、宿の繁閑は依然として揺れます。観光庁「(2025年10月・第2次速報、2025年11月・第1次速報)」では、2025年11月の客室稼働率(全体)は65.9%で、旅館は42.8%という値が掲載されています。季節や立地で差はありますが、客室の波を埋める補助線として日帰り商品の選択肢が残り続ける状況です。

さらに人手面では、厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年11月分)」で有効求人倍率が1.18倍、新規求人倍率が2.14倍と公表されています。採用の難易度が上がりやすい局面ほど、客室に依存しない収益源を持ち、シフトを平準化しておくと安心です。 (厚生労働省)

ニュース内容の解説 生地温泉たなかやの湯ったり還元キャンペーン

生地温泉たなかやの「地域還元企画」は、日帰り入浴回数券を軸にしながら、館内消費と学習(改善)を同梱しています。宿泊業で再現するなら、「誰に」「いつ来てもらい」「何を追加で使ってもらうか」を一枚の設計図に落とすと運用が安定します。

生地温泉たなかや型のパッケージを分解する

要素役割宿側の管理ポイント
日帰り入浴回数券来館の理由を複数回つくる混雑時間帯を避ける案内、利用ルールの明確化
食事割引券館内消費へ接続しやすくする原価率と提供時間の設計、厨房の負荷見積もり
フィードバックカード改善テーマを集める回収→分類→改善→掲示までの導線づくり
限定数需要喚起と品質維持発行上限、再販判断の基準、現場キャパの共有

ここでの落とし穴は「回数券が売れた時点で満足してしまう」点です。回数券は利用が後から来るため、来館分散のメリットを活かすには、利用ピークの予告や予約枠の工夫も用意しておくと運用が崩れにくくなります。

自社への活かし方のヒント 生地温泉たなかやから逆算する

生地温泉たなかやの方法をそのまま真似るより、「地域向けに何を還元し、何を学ぶか」を自社仕様に置き換えるほうが成功率は上がります。宿泊と日帰りの両方を持つ施設なら、客室販売とバッティングしない時間帯・導線を先に決めておくと判断が速くなります。

生地温泉たなかや流を自社仕様にする手順

  1. 地元向けの目的を一つに絞る
    例:平日ランチの稼働、閑散日の大浴場稼働、売店の回転など
  2. セットの“主役”を決め、特典は2つまでに抑える
    特典が増えるほど現場説明が長くなり、運用コストが膨らみます
  3. フィードバックの回収先を決める
    回収箱、QRアンケート、対面ヒアリングのいずれかに統一すると回ります
  4. スタッフに「集める理由」を共有する
    苦情回収ではなく改善材料だと定義し、共有会の頻度を決めておくと続きます

小規模宿でも回る運用のコツ

  • 利用条件は“お客様の不満が出ない範囲”で簡潔にする
  • 追加販売は、現場キャパと厨房のピークを見てから判断する
  • 生地温泉たなかやのように限定数にすると、品質維持と話題化を両立しやすい

まとめ

  • 生地温泉たなかやの地域還元企画は、日帰り回数券に館内消費と改善参加を束ねた設計が肝です
  • 観光庁の調査でも日帰り旅行の市場規模と単価が確認でき、地元需要の掘り起こしは現実的な選択肢もあります
  • 人手がタイトな局面ほど、客室以外の収益源でシフトを平準化しておくと安心です
  • 次の一歩として、特典数を絞った回数券とフィードバック導線の試験運用を検討するという選択肢もあります

企業情報

  • 会社名:株式会社生地温泉たなかや
  • 所在地:富山県黒部市生地吉田新230
  • 創業:1911年(明治44年)
  • 公式サイト:https://ikujionsen.com/

参考資料

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