宿泊旅行統計調査(2025年(令和7年)11月・第2次速報、2025年(令和7年)12月・第1次速報)は、足元の需要を「人数」ではなく「人泊」と「稼働率」で把握できるデータです。ホテル・旅館の現場では、売上の上下より先に、需要の質と稼働の変化を早めに捉えておくと安心です。
本記事のポイント(宿泊旅行統計調査の読みどころ)
- 宿泊旅行統計調査を使うと、延べ宿泊者数の増減と客室稼働率を切り分けて判断しやすくなります
- 宿泊旅行統計調査(2025年(令和7年)11月・第2次速報、2025年(令和7年)12月・第1次速報)の数字は、繁忙期前後の「価格・在庫・人員」の見直し材料になります
- 速報値の特性を踏まえ、宿泊旅行統計調査の使い方を決めておくと、意思決定のブレを減らせます
ニュースの概要(宿泊旅行統計調査の公表内容)
観光庁は、宿泊旅行統計調査(2025年(令和7年)11月・第2次速報、2025年(令和7年)12月・第1次速報)を公表したとしています。公表内容は、延べ宿泊者数(全体・日本人・外国人)と客室稼働率が中心です。
2025年11月の延べ宿泊者数(全体)は5,599万人泊で、前年同月比はマイナス3.7%とされています。2025年12月は5,342万人泊で、前年同月比はマイナス4.5%としています。

https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001979184.pdf,(参照:2026年2月2日).
客室稼働率は、2025年11月の全体が65.7%、2025年12月の全体が59.1%と示されています。なお、2025年12月は第1次速報値のため、後日の公表で変更となる可能性がある旨も記載されています。

https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001979184.pdf,(参照:2026年2月2日).
宿泊業にとってのポイント
今回の宿泊旅行統計調査から宿泊業がまず押さえたいのは、「延べ宿泊者数が前年割れでも、稼働率は別の動きをする」点です。現場の感覚では売上だけを見がちですが、稼働率が前年並みであれば、在庫設計や単価の要因が潜んでいる可能性も考えられます。
今回の数値を、経営・現場で使える観点に整理すると次の通りです。
- 需要の総量感:11月・12月ともに延べ宿泊者数が前年同月比でマイナス
- 需要の内訳感:日本人と外国人のどちらもマイナスで、12月の外国人は落ち幅が大きい
- 供給と販売の結果:稼働率は11月65.7%、12月59.1%で、施設タイプ別の差が大きい
この整理をしておくと、販促の強弱、OTA在庫の出し方、シフト計画の納得感が作りやすくなります。数字の読み方を社内で揃えておくと良さそうです。
背景と理由の整理(延べ宿泊者数と稼働率の見方)
宿泊旅行統計調査の読み取りで重要なのは、延べ宿泊者数と客室稼働率が同じ動きをするとは限らない点です。延べ宿泊者数が下がっても、稼働率が大きく落ちない月はあり得ます。
宿泊業の実務では、次のような要因が重なって見え方が変わります。
- 客室供給の変動:改装や人手不足による販売停止、稼働日数の調整
- 販売チャネルの偏り:団体・法人・OTAの比率変化で、宿泊「人泊」は動きやすい
- 曜日配列と需要の谷:週末偏重が強いエリアは、平均稼働率が下がりやすい
- 客層のシフト:日本人中心から外国人中心へ、またはその逆で、需要の伸び方が変わる
また、速報値は「後で数字が変わる」前提で使うと安心です。今回の宿泊旅行統計調査でも、12月は第1次速報である点が示されています。
現場の落とし穴としては、単月の前年同月比だけで販促費や人員を大きく動かしてしまうことです。宿泊旅行統計調査は月次で追える強みがあるため、3か月程度の流れで「需要の戻り方」を見る運用にしておくと、判断が安定しやすいでしょう。
宿泊旅行統計調査の解説
ここでは、今回の宿泊旅行統計調査の主要数字を、宿泊業の意思決定に使える形に並べます。
延べ宿泊者数(全体・日本人・外国人)
| 指標 | 2025年11月 | 2025年12月 |
|---|---|---|
| 延べ宿泊者数(全体) | 5,599万人泊(前年同月比 -3.7%) | 5,342万人泊(前年同月比 -4.5%) |
| 日本人延べ宿泊者数 | 4,146万人泊(前年同月比 -3.6%) | 3,853万人泊(前年同月比 -3.9%) |
| 外国人延べ宿泊者数 | 1,453万人泊(前年同月比 -3.7%) | 1,490万人泊(前年同月比 -5.9%) |
この表から見えるのは、「全体の前年割れが続き、日本人も外国人もマイナス」という状況です。12月は外国人の落ち幅が大きいため、インバウンド比率が高い施設ほど、前年差が体感に出やすいかもしれません。
客室稼働率(全体・施設タイプ別)
| 指標 | 2025年11月 | 2025年12月 |
|---|---|---|
| 客室稼働率(全体) | 65.7% | 59.1% |
| 旅館 | 42.4% | 35.1% |
| リゾートホテル | 60.1% | 55.4% |
| ビジネスホテル | 80.2% | 73.3% |
| シティホテル | 77.7% | 73.5% |
| 簡易宿所 | 29.5% | 24.0% |
施設タイプ別では、都市型(ビジネスホテル、シティホテル)の稼働が相対的に高く、旅館や簡易宿所は低めに出ています。自社がどのカテゴリに近いのかを踏まえて比較すると、打ち手が具体化しやすくなります。
もう一つの注目点は、都道府県別などの地域差です。例えば11月の全体稼働率で最も高い値が東京都と示されているため、都市部と地方で販売難易度が異なる可能性も考えられます。自社の商圏と似たエリアの動きを見ておくとヒントになるかもしれません。
自社への活かし方のヒント、需要と稼働を売上につなげるには?
今回の宿泊旅行統計調査を読むだけで終わらせず、運用に落とすためのヒントをまとめます。
需要の下げ局面でのレベニューと在庫の整え方
延べ宿泊者数が前年割れの月は、値下げ一択になりがちです。稼働率が保てている施設タイプもあるため、次のように分解して検討しておくと安心です。
- 週末の単価は守り、平日の穴を商品設計で埋める(連泊特典、夕食アップグレードなど)
- 直前割の出し方を決める(出す曜日・部屋タイプ・最低価格の下限を明文化)
- OTA依存が高い施設は、在庫配分と返金条件を先に整える
「売り急がない仕組み」を作っておくと、前年割れ局面でも粗利を守りやすくなります。
人員計画は「稼働率の前年差」と「体制余力」で決める
客室稼働率が60%前後の月は、現場の余力が生まれやすい一方で、人件費の圧力も出ます。宿泊旅行統計調査の稼働率を、自社のKPIとつなげるなら次の設計が現実的です。
- 稼働率の前年差がマイナスの週は、教育・多能工化の時間を確保する
- 稼働率が高い週は、清掃・フロントのピーク時間帯を前提にシフトを組む
- 採用は単月ではなく、3か月移動平均の需要感で計画する
人手不足が常態化している施設ほど、「暇な日を作らない」より「忙しい日に破綻しない」設計が効きやすいでしょう。
インバウンドは「人数」より「地域差」と「対象データ範囲」に注意する
宿泊旅行統計調査には、対象範囲の違いによって見え方が変わる項目があります。例えば国籍別の内訳は一部の施設条件で作成されているため、全施設の延べ宿泊者数と単純比較しない運用が必要です。
この点を踏まえた上で、宿泊施設側ができる現実的な一歩は次の通りです。
- 自社エリアの外国人比率が高い月は、多言語対応よりも「館内導線の分かりやすさ」を優先する
- 都市部で外国人の前年差が弱い月は、国内需要の底上げ商品を用意しておく
- 旅館・簡易宿所は、稼働率が低い月を前提に、販売チャネルの整理と客層の絞り込みを進める
宿泊旅行統計調査を、販促会議や人員会議の共通言語にしておくと、意思決定が早くなりそうです。
まとめ
- 宿泊旅行統計調査(2025年(令和7年)11月・第2次速報、2025年(令和7年)12月・第1次速報)は、延べ宿泊者数と客室稼働率を分けて判断できる材料になります
- 需要が前年割れでも、施設タイプ別の稼働の差が大きいため、自社の立ち位置を確認しておくと安心です
- 速報値は後日変わる可能性があるため、単月で大きく動かすより、3か月程度の流れで見ておくと安心です
- 価格・在庫・人員は「稼働率の前年差」と「客層の変化」を軸に整えるという選択肢もあります
参考資料
- 観光庁『宿泊旅行統計調査(2025年(令和7年)11月・第2次速報、2025年(令和7年)12月・第1次速報)』
- 観光庁『宿泊旅行統計調査(2025年11月・第2次速報、2025年12月・第1次速報)PDF』


