本記事のポイント
- クロスホテルが札幌・京都・大阪の3施設で、地域文化や人とのつながりをテーマにした新プランを販売開始。
- 単なる宿泊にとどまらず、地元店舗や伝統工芸、歴史体験を組み込むことで「コト消費」ニーズに対応。
- 地域資源を活かした商品造成は、宿泊施設の独自性を高め、顧客満足度と単価向上につながる好事例。
ニュースの概要
ORIX HOTELS & RESORTSが運営するライフスタイルブランド「クロスホテル(札幌、京都、大阪)」は、2025年11月26日より、ブランドステイプランの第三弾となる「CROSS STAY – FEEL LOCAL」の販売を開始しました。このプランは、地域の文化やトレンド、そして人とのつながりを体験することを目的としており、各施設が立地する街の魅力を肌で感じられる内容となっています。
具体的には、札幌では地元店舗を巡る街歩きと利用券のセット、京都では伝統的な「絞り染め」のワークショップ体験、大阪では道頓堀の歴史や舞台装置を体験できるプログラムが用意されています。
これまで同ブランドでは、シンプルなおもてなしや記念日利用をテーマにしたプランを展開してきましたが、今回は「地域体験」にフォーカス。インバウンド需要や国内旅行者の「知られざる文化に触れたい」というニーズに応える商品設計が特徴です。
宿泊業にとってのポイント
今回のニュースから読み取れる宿泊業にとっての重要ポイントは、**「宿泊施設が地域のハブ(結節点)となり、独自の体験価値を提供している」**という点です。
単に部屋を提供するだけでなく、ホテルの外にある「地域の魅力(店舗、伝統工芸、歴史)」をプランの一部としてパッケージ化しています。これにより、宿泊客に対して「そのホテルに泊まる理由」を明確に提示し、競合他社との差別化を図っています。また、地域と連携することで、ホテル単体では提供できない深い体験価値を創出している点も注目に値します。
背景と理由の整理
なぜ今、このような「地域密着型・体験型プラン」が重要視されているのでしょうか。背景には、旅行者ニーズの変化と宿泊業界の課題があります。
- 「コト消費」へのシフト: 訪日外国人旅行者はもちろん、国内旅行者においても、単なる観光地巡りやショッピング(モノ消費)から、その土地ならではの文化体験や交流(コト消費)へ関心が移っています。「そこでしかできない体験」への支払い意欲は高まる傾向にあります。
- 差別化の必要性: OTA(オンライントラベルエージェント)上での価格競争から脱却するためには、客室のスペックや価格以外の「付加価値」が必要です。「地域の文化を深く知れる」というストーリー性は、強力な差別化要因となり得ます。
- 地域共生とサステナビリティ: 地域のお店や伝統産業にお金が落ちる仕組みを作ることは、地域経済の活性化に貢献します。地域と共生する姿勢は、企業のブランド価値を高め、SDGsの観点からも評価されるポイントと言えるでしょう。
具体的な取り組み・ニュース内容の解説
クロスホテルの新プラン「FEEL LOCAL」は、各地域の特性をうまく活かした内容になっています。
- クロスホテル札幌:「ワンマイルトリップ」
- 内容: 地元を知り尽くしたスタッフが厳選した約20店舗で使える利用券と、オリジナル街歩きマップを提供。
- 解説: ホテル周辺の「日常の景色」を観光資源として活用しています。スタッフの知見(マイクロコンシェルジュ的な役割)をマップという形で可視化し、宿泊客を街へ送り出す仕組みです。
- クロスホテル京都:「和の手仕事 絞り染め体験」
- 内容: 「アンドウ京都本店」での絞り染めワークショップ(Tシャツやバッグ制作)付きプラン。
- 解説: 京都という土地柄を活かし、伝統工芸体験をセットにしています。完成品がお土産になるだけでなく、「作る過程」そのものが思い出になる設計です。2026年3月末までの長期設定となっており、季節を問わず誘客できるコンテンツとしています。
- クロスホテル大阪:「舞台装置体験&大阪土産」
- 内容: 「道頓堀ミュージアム並木座」での歌舞伎変身や回り舞台体験に加え、地元のおかきをお土産に。
- 解説: 道頓堀の歴史的背景(劇場街)というストーリーを体験に落とし込んでいます。「食」と「歴史エンタメ」を組み合わせた、大阪らしいプランニングと言えます。
自社への活かし方のヒント
自施設で同様の取り組みを検討する際、以下のようなステップで考えてみてはいかがでしょうか。
- スタッフの「お気に入り」をリスト化する: いきなり提携プランを作るのが難しくても、まずはスタッフが個人的におすすめしたい近隣の飲食店やスポットをまとめ、「オリジナルマップ」を作成するだけでも立派な付加価値になります。
- 近隣の「体験」を探す: 徒歩圏内に、工房、酒蔵、料理教室、あるいは歴史的なガイドツアーなどがないかリサーチしてみましょう。既存の体験プログラムと宿泊をセットにするだけで、新たな客層にアプローチできるかもしれません。
- 「地域」と「自館」のストーリーを繋げる: 「なぜこの場所にあるのか」「この街はどういう歴史があるのか」という文脈から、提供できる体験がないか深掘りしてみるのも一手です。
大規模なプラン造成ができなくとも、「お客様に街を楽しんでもらいたい」という姿勢を形にすることが、エンゲージメント向上への第一歩になるはずです。
まとめ
- クロスホテルの事例は、地域資源を活かした「体験型宿泊プラン」の有効なモデルケースです。
- 街歩き、伝統工芸、歴史体験など、地域の特性に合わせた多様な切り口が考えられます。
- まずは近隣情報の整理やマップ作りなど、できる範囲から「地域との連携」を模索してみてはいかがでしょうか。
企業情報
運営会社: オリックス・ホテルマネジメント株式会社 本社所在地: 東京都港区 代表者: 取締役社長 似内 隆晃 事業内容: 旅館・ホテルの運営事業 ブランド: ORIX HOTELS & RESORTS、CROSS HOTELなど 公式ウェブサイト: https://www.orixhotelsandresorts.com/
本リリースに関するお問い合わせ
担当: 記載なし(本リリース内には具体的な担当者名の記載なし) URL: https://www.orixhotelsandresorts.com/
出典:PR TIMES『ブランドステイプラン第三弾「FEEL LOCAL」を11月26日(水)販売開始』(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000483.000101028.html)


