和心村 こたつみかんまつりは、古民家グランピングと房州みかん、保護猫との触れ合いを組み合わせた冬限定の体験型キャンペーンです。東京圏からのアクセスが良い千葉県富津市で、こたつとみかんという懐かしい冬の光景を再現しながら、冬の集客と単価アップにどうつなげられるかを、宿泊業の視点で整理します。
本記事のポイント
- 和心村 こたつみかんまつりを題材に、冬グランピング・古民家グランピングの企画作りのヒントを整理します。
- 房州みかんや保護猫など地域資源・ストーリーを組み合わせることで、単なる「冬こたつプラン」を超えた付加価値づくりのポイントを確認します。
- 冬の閑散期対策として、こたつ猫みかん体験やフォトスポットを活用し、従業員エンゲージメント向上にもつながる企画設計のコツを紹介します。
ニュースの概要
千葉県富津市の里山にある古民家グランピング施設「和心村」は、2025年12月1日〜2026年2月28日の冬季限定で、「和心村 こたつみかんまつり」を実施します。東京駅から車・高速バスで約70〜90分という立地で、冬でも比較的温暖な南房総エリアの特性を活かした企画です。
キャンペーン期間中は、築約200年の古民家客室だけでなく、テントや住箱(トレーラーハウス)など全ての客室にこたつを設置し、「里山こたつグランピング」を提供します。電気毛布やブランケットも用意し、「こたつから出たくなくなる夜」をテーマにした冬こたつステイを打ち出しています。
加えて、南房総市の契約農家から仕入れた房州みかんを楽しめる「みかんサービス」、和心村で暮らす15匹の保護猫「村民」と過ごすこたつ時間、フォトスポットやSNS投稿キャンペーンなど、冬グランピングならではのコンテンツを組み合わせています。
和心村は、一日6組限定の小さな古民家グランピング施設で、古民家や長屋門を活かした客室のほか、テントや住箱も備え、敷地内では保護猫のほかヤギや犬、烏骨鶏などの動物も暮らしています。空き家古民家の再生と動物保護という社会的テーマも重ねた運営方針が特徴と言えるでしょう。
宿泊業にとってのポイントと和心村 こたつみかんまつりの示唆
和心村 こたつみかんまつりは、「冬の閑散期をどう魅力ある季節商品に変えるか」という宿泊業共通の悩みに対して、一つのわかりやすい答えを示していると言えるでしょう。
まず、「こたつ×みかん×古民家グランピング」という組み合わせは、日本人の記憶にある冬の原風景を丁寧に再構成したものです。単に暖房設備としてのこたつを導入するのではなく、「こたつ猫みかん」まで含めた情景をパッケージとして打ち出している点がポイントです。
宿泊業にとっての主な示唆は次のような点ではないでしょうか。
- 設備投資を「世界観づくり」に結びつける
こたつを全客室に導入するだけでなく、房州みかんやフォトスポット、保護猫ストーリーと連動させることで、「冬グランピングのテーマ」が明確になっています。設備導入を単発で終わらせず、体験ストーリーとセットで設計しておくと安心です。 - ローカル食材を「手の届く距離」で体験させる
南房総の房州みかんを、テーブルやこたつの上という最も身近な場所で楽しめる形にしたことは、地域性を自然に伝える好例と言えます。産地情報や農家の話をスタッフが語れるようにしておくと、ゲストとの会話も広がりそうです。 - 「猫と触れ合い」の価値とルール設計の両立
15匹の保護猫が暮らす環境は、猫好きゲストにとって大きな魅力となる一方で、動物福祉や衛生への配慮が欠かせません。ふれあいルールを明文化し、スタッフ全員が共通認識を持つことが、安心安全な運営につながると考えられます。
和心村のこたつみかんまつりのように、「冬ならではの世界観」を軸に体験を組み立てる発想は、温泉旅館やシティホテルでも応用しやすい視点として押さえておくと良さそうです。
背景と理由の整理
和心村のこたつみかんまつりの背景には、「こたつでみかん」という冬の光景が家庭から少しずつ姿を消しつつある現状があります。暖房設備はエアコンや床暖房に置き換わり、みかんの消費量も長期的に減少していると言われています。「実家にはあったが、今の家にはない」という声は、多くの世代で共通しているかもしれません。
一方で、SNS上では「昭和レトロ」「こたつ」「みかん」「こたつ猫みかん」といったキーワードが写真映えするモチーフとして注目されており、「昔ながらの生活シーン」に触れてみたいというニーズも確実に存在します。いわゆる「生活体験型」や「生活没入型」の観光コンテンツが世界的にも増えている流れとも合致していると言えるでしょう。
南房総エリアは、冬でも比較的温暖な気候と、柑橘や花の産地としてのイメージがあります。和心村の立地は、そうした土地の魅力と「冬の原風景」を組み合わせるのに適した条件を備えているとも考えられます。
宿泊業にとっては、次のような理由から、この種の企画は検討する価値が高いのではないでしょうか。
- 冬の屋外アクティビティが制限される中で、「室内でも完結する高満足な体験」を用意できる
- ローカル食材(房州みかん)の消費拡大や農家との連携によって、地域との関係性を深められる
- レトロ感や猫との触れ合いなど、SNSで拡散されやすい要素を自然に盛り込める
こうした背景を踏まえると、和心村のこたつみかんまつりは、単なる季節キャンペーンではなく、「失われつつある日本の冬の記憶」を観光体験として再構成した事例として捉えることもできそうです。
具体的な取り組み・ニュース内容の解説
和心村のこたつみかんまつりで予定されている主なコンテンツを、宿泊業目線で整理してみます。
1. 古民家でもテントでも楽しめる「里山こたつグランピング」
- 築約200年の古民家客室、長屋門を活かした客室
- テントサイトや住箱(トレーラーハウス)など多様な客室タイプ
- キャンペーン期間中は、全客室に冬こたつを設置
これにより、
「古民家の座敷で足を伸ばしてくつろぐこたつ時間」
「テントの中で外気を感じながら入るこたつ」
など、客室タイプごとに異なるこたつグランピング体験が生まれます。
電気毛布やブランケットを併用することで、「こたつから出たくなくなる夜」というテーマを演出している点も参考になります。単に設備を並べるのではなく、「どういう夜を過ごしてほしいか」というコンセプトを言語化している点が、販促にもスタッフ教育にも効いてくるでしょう。
2. 房州みかんを活用した「みかんサービス」
- 南房総市の農家から直仕入れした温州みかん(房州みかん)を提供
- 温暖な気候と傾斜地の畑、海からの潮風が育む濃い味わいというストーリー
こたつとみかんは、視覚的にも味覚的にも「日本の冬」を象徴する組み合わせです。和心村のこたつみかんまつりでは、ゲストが房州みかんを手の届く距離で楽しめるように配置することで、写真映えだけでなく、地域の食文化体験としても機能させています。
宿泊施設としては、みかんを単なるウェルカムフルーツではなく、「産地と冬の記憶をつなぐツール」として位置づけている点がポイントではないでしょうか。
3. 15匹の保護猫「村民」と過ごすこたつ時間
- 個性豊かな15匹の保護猫が「村民」として暮らしている
- こたつのそばでくつろぐ猫、みかんを不思議そうに見つめる猫など、自然な猫の姿が冬の風景になる
「猫と出会える古民家グランピング」「保護猫と過ごす冬の宿」という位置付けは、猫好きゲストに強く響くコンセプトと言えます。一方で、動物の体調やストレス、衛生面への配慮が欠かせないため、ふれあいルールの明示とスタッフの教育が重要になります。
ふれあい可能な時間帯やエリアをあらかじめ決めておく、猫のコンディションに応じてスタッフが距離感を調整するなど、運営ルールの設計そのものがサービス品質に直結しそうです。
4. フォトスポットとSNS投稿キャンペーン
- こたつ猫みかんの世界観に合うフォトスポットの設置
- SNS投稿キャンペーンの実施により、ゲストの体験をオンラインでも拡散
和心村のこたつみかんまつりでは、写真映えだけを狙った「作り物のフォトブース」ではなく、実際のこたつや猫、みかんがある日常的なシーンがそのままフォトスポットになる構成が想像されます。
宿泊業としては、ハッシュタグや投稿ルールを決めておくとともに、スタッフが自然な声掛けで撮影を手伝うなど、従業員エンゲージメントを高める関わり方も検討できるでしょう。
自社への活かし方のヒントと和心村のこたつみかんまつりから学べること
最後に、和心村のこたつみかんまつりを参考に、ホテル・旅館・グランピング施設が自社に取り入れやすいポイントを整理します。
1. 「自分たちの冬の原風景」を言語化する
和心村のこたつみかんまつりが成立しているのは、「こたつでみかん」という誰もがイメージできる冬の原風景があるからです。各地域・各施設にも、次のような独自の冬の情景があるのではないでしょうか。
- 雪国の囲炉裏や薪ストーブ、雪見露天風呂
- 柚子湯や地元柑橘を使ったお風呂・ドリンク
- 地元の冬野菜を使った鍋料理や朝食
まずはスタッフも交えて「自分たちの冬の原風景は何か」を話し合うワークショップを行うと、従業員エンゲージメントの向上にもつながります。
2. ローカル食材とストーリーをセットで設計する
房州みかんのように、地域の冬の食材は「ストーリー付きのウェルカムアイテム」に変えやすい素材です。
- 産地や農家との関係性
- 育て方や味わいの特徴
- その食材が地域でどのように親しまれてきたか
こうした情報を簡単なカードやポップにまとめたり、スタッフが一言添えられるようにしておくことで、宿泊単価以上の価値をゲストに感じてもらえる可能性があります。「食材+物語+場所(こたつ・ラウンジ等)」をワンセットで企画しておくと安心です。
3. 動物との共生や福祉の観点を明確にする
保護猫と暮らす和心村のようなスタイルは、今後も注目されるジャンルかもしれません。一方で、動物を前面に出す宿泊施設には、次のような観点が求められます。
- 動物愛護法など関連法令を踏まえた運営
- 動物とゲスト、双方の安全とストレス軽減
- 清掃・アレルギー対策・苦手な方への配慮
「可愛い」「映える」だけでなく、運営ポリシーをサイトや館内掲示で示し、スタッフ全員で共有しておくことが、長期的なブランドづくりにつながると考えられます。
4. 小さなキャンペーンから試し、育てていく
和心村のこたつみかんまつりのような大きな企画でなくても、まずは次のような小さな取り組みから始めるという選択肢もあります。
- 既存ラウンジに「期間限定こたつコーナー」を設置
- 夕食後の時間限定で「みかんとホットドリンク」の無料提供
- SNSで「冬の原風景フォトコンテスト」を開催
実施後にアンケートやSNS反応を確認し、反応の良い要素を翌年に育てていくことで、自施設ならではの「冬の定番企画」が少しずつ形になっていくでしょう。もし冬の集客や過ごし方でお悩みでしたら、まずは一つだけでも実験的に取り入れてみるのも良さそうです。
まとめ
- 和心村のこたつみかんまつりは、「こたつ×房州みかん×保護猫」という組み合わせで、日本の冬の原風景をグランピング体験として再構成した事例と言えるでしょう。
- 冬こたつや古民家グランピング、猫と触れ合いといった要素を、地域食材や物語とセットでデザインすることで、冬の閑散期を「泊まりたくなる季節」に変える選択肢もあります。
- 自施設の冬の原風景をスタッフと一緒に言語化するプロセスは、従業員エンゲージメント向上にもつながるため、企画づくりと合わせて行っておくと安心です。
- いきなり大規模なキャンペーンを打つのではなく、小さな冬グランピング企画やこたつ猫みかん風の演出から試し、反応を見ながら育てていくという進め方も有効ではないでしょうか。
企業情報
- 会社名:株式会社和心村
- 所在地:千葉県富津市高溝14
- 事業内容:古民家グランピング施設「和心村」の運営
- 公式サイトURL:https://www.washinmura.jp/
- 公式Instagram:washinmura_nature_glamping
本リリースに関するお問い合わせ
- 施設名:古民家グランピング 和心村
- 所在地:千葉県富津市高溝14
- 公式サイト:https://www.washinmura.jp/
- 備考:詳細・最新情報・ご予約は公式サイトをご確認ください。
出典:PR TIMES『「最後にこたつでみかんを食べたのは、いつですか?」失われゆく日本の冬の風景を呼び返す、千葉県富津市・里山の古民家グランピング施設「和心村」が冬季期間限定で「こたつみかんまつり」を開催』(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000116479.html)


