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瀬戸内リトリート 青凪10周年と地域共創プロジェクト

瀬戸内リトリート 青凪 by 温故知新
CoCoRo編集部

瀬戸内リトリート 青凪が迎える10周年プロジェクトは、スモールラグジュアリーホテルが地域と共にブランドを育ててきた一つの答えと言えるかもしれません。この記事では、愛媛・松山の「瀬戸内リトリート 青凪」の10周年施策を素材に、ホテル・旅館の経営者や企画担当者が自施設の周年企画や地域連携を考えるためのヒントを整理します。

この記事の目次
  1. 本記事のポイント
  2. ニュースの概要:瀬戸内リトリート 青凪10周年プロジェクト
  3. 宿泊業にとってのポイント ― 瀬戸内リトリート 青凪から学ぶ
  4. 背景と理由の整理:スモールラグジュアリーホテルと地域共創
  5. 具体的な取り組み・ニュース内容の解説(青凪10周年プロジェクト)
  6. 自社への活かし方のヒント:記念イヤー施策と従業員エンゲージメント
  7. まとめ(瀬戸内リトリート 青凪からの学び)
  8. 企業情報

本記事のポイント

  • 瀬戸内リトリート 青凪10周年プロジェクトの全体像を把握し、ロゴ刷新・限定コレクション・特別宿泊プランの狙いを整理できます。
  • スモールラグジュアリーホテルが、地域の作り手やスタッフと協働して「地域のショーケース」として機能していくための要素を学べます。
  • 自社の周年やリブランディングのタイミングで、瀬戸内リトリート 青凪のような従業員エンゲージメントと地域共創をどう設計するかのチェックポイントを確認できます。

ニュースの概要:瀬戸内リトリート 青凪10周年プロジェクト

瀬戸内リトリート 青凪 by 温故知新(愛媛県松山市)は、2025年12月20日に開業10周年を迎えます。これを機に、ブランドロゴのリニューアル、地域の作り手と協業した10周年限定コレクション、そしてオリジナル日本酒を楽しめる特別宿泊プランが発表されました。

同施設は、かつて一部が美術館として公開されていた安藤忠雄氏監修の建築をリノベーションし、全7室オールスイートのスモールラグジュアリーホテルとして2015年に開業しました。瀬戸内の景観と安藤建築の静けさを背景に、「地域のショーケース」としてアート・食・クラフトのイベントを継続的に行ってきた点が特徴です。

10年間の取り組みは、自然画家によるライブペインティング、酒蔵とのペアリングディナー、砥部焼の作家によるギャラリーツアー、大洲和紙のワークショップ、クラフトビールの共同開発など、多様なローカルパートナーとの共創に支えられてきました。こうした取り組みの延長線上に、今回の10周年プロジェクトがあります。

今回のプロジェクトでは、

  • 地元デザイナーと共に制作した新ロゴ
  • スタッフ全員が参加してつくり上げたLOOK BOOK
  • 愛媛の花「さくらひめ」の酵母を用いたオリジナル日本酒「TEN BLUE」
  • 自然画家と香りのブランドが協働したルームフレグランス「ESSENCE OF AONAGI」
  • 広島・今治のものづくり企業と取り組むオリジナル館内着

などが発表され、さらに「TEN BLUE」とペアリングした一皿や記念ギフトを含む特別宿泊プランが、期間限定で販売されます。

宿泊業にとってのポイント ― 瀬戸内リトリート 青凪から学ぶ

周年企画を「値引き」ではなく「価値更新」のタイミングにする

瀬戸内リトリート 青凪の10周年は、割引キャンペーンではなく、ロゴ刷新や新たなプロダクト開発を通じて「これからの10年の方向性」を示すプロジェクトとして設計されています。

宿泊業では周年を「感謝プラン」の割安提供で終わらせがちですが、

  • ブランドの原点とこれからを言語化・可視化する
  • 地域や常連ゲストとの関係性を再定義する
    タイミングとして捉えることができれば、価格競争ではない周年の打ち出し方がしやすくなります。

「地域のショーケース」としての役割を明確にする

瀬戸内リトリート 青凪は、砥部焼、日本酒、クラフトビール、和紙、アートなど、瀬戸内エリアの多様な作り手と継続して協業してきました。10周年では、その姿勢を「限定コレクション」としてよりわかりやすく形にしています。

これは、

  • 宿として「地域の魅力を編集・展示する場」になる
  • 宿泊と物販・体験をシームレスにつなぐ
    という方向性を示しており、地方の旅館・ホテルが「泊まる場所」から「地域を体験する拠点」へとシフトする実例と言えるのではないでしょうか。

スタッフ参画型のブランドづくりでエンゲージメントを高める

LOOK BOOK制作にスタッフ全員が関わり、それぞれが「青凪の好きな表情」を切り取ったという点も、瀬戸内リトリート 青凪らしいポイントです。

現場スタッフが、

  • 「自分が一番好きなシーン」
  • 「ゲストに見せたい瞬間」
    を言語化・撮影するプロセスは、従業員エンゲージメントの向上にもつながります。

単なる「記念パンフレット」ではなく、スタッフの目線を通したストーリーブックにすることで、採用・研修ツールとしても活用しやすくなりそうです。

背景と理由の整理:スモールラグジュアリーホテルと地域共創

「Minimal Luxury」と地方リトリート需要の高まり

瀬戸内リトリート 青凪のコンセプトは「Minimal Luxury」。客室数7室というスモールスケールだからこそ、建築・景色・食・アートに集中できる滞在体験を提供してきました。

コロナ禍以降、

  • 多人数・多目的な滞在よりも「心身の回復」「内省」を重視する旅
  • 都市部から離れた地方や離島でのリトリート滞在
    へのニーズは高まり続けています。こうした潮流の中で、青凪のような「デスティネーションホテル」は、地域の魅力発信拠点としての役割も期待されるようになりました。

10年という節目で「次の10年」をどう描くか

開業から10年が経つと、

  • 建物・設備・ブランドの「経年変化」
  • スタッフ世代交代やマネジメント体制の変化
  • お客様のターゲット層や旅のスタイルの変化
    といった要素が重なります。

瀬戸内リトリート 青凪は、このタイミングでロゴリニューアルと世界観の再整理に踏み切りました。四国上部をモチーフとしつつ、山・海・人生の波を想起させる余白のある新ロゴは、「瀬戸内に根を張りながら、さまざまな解釈を受け止めるホテルでありたい」という意図を表現したものです。

これは、

  • 地域との結びつきを視覚的に示しつつ
  • ゲスト一人ひとりの物語を重ねられる余白を残す
    という、ラグジュアリー宿に共通するブランドデザインの考え方にも通じます。

地域内サプライチェーンを活かしたプロジェクト設計

今回の10周年限定コレクションは、愛媛や中国・四国エリアのパートナーが多数関わっています。

  • 砥部町のデザイナーによるロゴ・グラフィック
  • 道後の老舗酒蔵との日本酒開発
  • 四国中央市の香りブランドとのルームフレグランス
  • 広島・福山市のテキスタイルメーカー、愛媛・今治市の縫製による館内着

いずれも、地域の既存産業やクリエイターと連携したサプライチェーンです。宿泊業単体では生み出しにくい価値を、地域のものづくり力と掛け合わせている点が、瀬戸内リトリート 青凪ならではの背景と言えるでしょう。

具体的な取り組み・ニュース内容の解説(青凪10周年プロジェクト)

ロゴリニューアル:地域との「つながり」を見せるビジュアル

新ロゴは、

  • 四国の上部をモチーフにした抽象的なライン
  • 山、海、人生の波などを想起させる形
  • 見る人によって意味を重ねられるシンプルなデザイン

といった特徴を持ちます。

地元・砥部町のデザイナーとともに制作されたことで、「この場所で育ってきたホテル」というメッセージも込められています。ロゴリニューアルを単なるデザイン変更にとどめず、「瀬戸内リトリート 青凪がこれからも地域と共に歩む」という宣言にしている点がポイントです。

LOOK BOOK:スタッフ視点で紡ぐ10年のストーリー

10周年限定のLOOK BOOKは、

  • コンセプトやロゴの背景
  • 建築の原点
  • これまで開催してきたアート・食のイベントの軌跡

を、写真とテキストでまとめた一冊です。

制作には瀬戸内リトリート 青凪のスタッフ全員が参加し、それぞれが「好きな青凪の表情」を撮影・言語化しました。これにより、

  • ゲストにはホテルの空気感が伝わりやすくなる
  • スタッフにとっては自分たちの仕事の意味を再確認する機会になる
    といった二重の効果が期待できます。

オリジナル日本酒「TEN BLUE」と記念の一皿

愛媛・道後の水口酒造と開発したオリジナル日本酒「TEN BLUE」は、

  • 愛媛生まれの花「さくらひめ」から抽出した酵母を使用
  • 華やかな香りとフルーティーな味わいが特徴の中汲み部分を限定ラベルでボトリング
    という特別仕様です。

ソムリエを中心にボトルやラベルデザインにもこだわり、瀬戸内リトリート 青凪らしいミニマルな世界観に仕上げられています。10周年特別宿泊プランでは、「TEN BLUE」とペアリングされた一皿をコースの中で楽しめるようになっています。

ルームフレグランス「ESSENCE OF AONAGI」

Apt15と開発したオリジナルルームフレグランスは、

  • 「直感を研ぎ澄ます香り」というテーマ
  • 10周年にちなみ10種の天然精油をブレンド
  • 愛媛の柑橘を取り入れた香りの設計

が特徴です。

パッケージには、愛媛の自然画家・絵美氏が香りからインスピレーションを受けて制作した作品を採用。さらに、その作品に使った絵の具でボトル一つ一つにペイントを施し、限定100本という希少性も持たせています。宿での体験を自宅に持ち帰る「記憶の媒体」として機能するプロダクトです。

オリジナル館内着と、今後のアップデート予告

館内着は、

  • 広島・福山市のテキスタイルメーカーによる軽やかなデニム生地
  • 愛媛・今治市で一点ずつ縫製
    という、こちらも瀬戸内エリアのものづくりネットワークを活かした開発です。2026年春頃の導入予定とされており、10周年以降の体験アップデートの一つとして位置づけられています。

10周年限定特別宿泊プランと記念ギフト

特別宿泊プランでは、

  • 通常プランと同料金で「TEN BLUE」1杯と記念の一皿を提供
  • 1予約につき1点選べる記念ギフト(ルームフレグランス、ハンカチ、オリジナルイラストグッズなど)

が含まれます。

料金は2名1室利用・1泊2食付きで1名あたり56,700円(税込)からとされており、瀬戸内リトリート 青凪の標準的な価格帯の中で「10周年の体験価値を上乗せする」設定になっています。数量限定・期間限定とすることで、希少性とストーリー性を両立させている点も参考になりそうです。

自社への活かし方のヒント:記念イヤー施策と従業員エンゲージメント

瀬戸内リトリート 青凪の事例を、自社のホテル・旅館に落とし込むときのポイントを整理します。

1. 「自施設は何者か」を一度言語化する

周年企画の前に、経営層と現場で次の問いを共有しておくと安心です。

  • 私たちの宿は、どんなお客様にとってどんな価値を提供する場所か
  • 地域の中で、どんな役割を果たしている(果たしたい)のか

瀬戸内リトリート 青凪は「Minimal Luxury」「地域のショーケース」「デスティネーションホテル」といったキーワードで、自らの立ち位置を明確にしています。この整理があるからこそ、ロゴやコレクションの方向性がぶれにくくなります。

2. 周年テーマは「割引」ではなく「物語」で決める

例えば、

  • 「創業◯年、◯◯温泉と歩んできた時間」
  • 「○代目女将就任とともに始まる新しいおもてなし」
  • 「地域の作り手とつくる◯周年」

といったテーマを先に決め、その物語に沿ってプランやコラボ企画を組み立てると、瀬戸内リトリート 青凪のように一貫性のあるプロジェクトになりやすくなります。

3. スタッフ全員参加型のアウトプットを一つ作る

LOOK BOOKまで大掛かりなものを作らなくても、

  • 「スタッフが撮影した自慢の1枚」を集めた館内ミニ写真展
  • 「この部屋で見てほしい瞬間」をコメント付きで掲示
  • スタッフの推しポイントをまとめた小冊子やSNS企画

など、瀬戸内リトリート 青凪のようにスタッフの視点を前面に出すコンテンツづくりは、規模を問わず取り組めます。これにより、従業員エンゲージメントとゲストとの距離感が同時に縮まりやすくなります。

4. 地域の作り手との協業は「1アイテムから」始める

オリジナル日本酒やフレグランス、館内着まで一度にそろえる必要はありません。

  • 地元菓子店とつくる記念スイーツ
  • 地元窯元とつくる記念の小皿
  • 地元の森林資源を活かした香りのサシェ

など、自社のコンセプトに合う「1アイテム」から始めるという選択肢もあります。瀬戸内リトリート 青凪のように、地域の作り手を「パートナー」として紹介することで、お客様にとっての発見も増えていきます。

5. 特別プランは「体験」と「記憶に残るもの」をセットで設計する

瀬戸内リトリート 青凪の10周年プランのように、

  • 滞在中の一皿やペアリングドリンクなどの「体験」
  • ルームフレグランスやハンカチなど「持ち帰れるギフト」

を組み合わせると、宿泊後にも記憶が残りやすくなります。

自社では、

  • どの体験が「記念にふさわしい一皿」になりうるか
  • どんなギフトなら「自宅に帰ってからも宿を思い出してもらえるか」
    をスタッフと一緒に考えてみると、瀬戸内リトリート 青凪のようなストーリー性のあるプランづくりにつながっていきそうです。

6. 成果指標は「売上」だけでなく「関係性」も見る

周年プロジェクトは、

  • 客単価・客室単価・物販売上などの定量指標
    に加え、
  • スタッフのモチベーション
  • 地域パートナーとの関係性
  • リピートゲストの反応

といった定性的な変化も重要です。瀬戸内リトリート 青凪のように、地域とスタッフとゲストの三者が「関わり合う場」としての機能を高める視点も押さえておくと良さそうです。

まとめ(瀬戸内リトリート 青凪からの学び)

  • 瀬戸内リトリート 青凪の10周年プロジェクトは、ロゴ刷新・限定コレクション・特別宿泊プランを通じて、「地域のショーケース」としてのホテルの在り方を再定義している事例と言えそうです。
  • 周年企画をきっかけに、自施設のコンセプトや地域との関係性を言語化し、スタッフ全員で共有するプロセスをつくっておくと安心です。
  • 地域の作り手との協業や、体験+ギフトを組み合わせたプラン設計は、小さな宿でも一部から取り入れていける選択肢があります。
  • 単発のキャンペーンではなく、「次の10年」の方向性を示すプロジェクトとして周年を位置づけると、価格競争に陥らないブランディングがしやすくなるのではないでしょうか。

企業情報

瀬戸内リトリート 青凪 by 温故知新

株式会社温故知新

  • 社名:株式会社温故知新
  • 代表者:代表取締役 松山 知樹
  • 本社所在地:東京都新宿区新宿5-15-14 INBOUND LEAGUE 502号室
  • 設立:2011年2月1日
  • 資本金:1,000万円
  • 事業内容:ホテル・旅館の運営およびプロデュース事業。ミシュラン5つ星のスモールラグジュアリーホテルや老舗旅館、スタジアム一体型ホテル、シャンパン・ホテル、美術館併設レストラン、道の駅のレストランなど、多様な施設を展開。
  • コーポレートコンセプト:「地域の光の、小さな伝道者」として、その地にしかない魅力を形にし、唯一無二の体験として国内外に発信。
  • 公式サイト:https://by-onko-chishin.com/
  • 企業情報ページ:https://by-onko-chishin.com/company
  • 公式SNS:

出典:PR TIMES『【瀬戸内リトリート 青凪】地域と歩んだ10周年、特別プロジェクトを発表 ロゴリニューアル、瀬戸内の作り手と協業した限定コレクション、特別宿泊プランを展開』https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000194.000118716.html

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