宿泊・旅行業界ニュース

星空シールラリーで冬のリゾート周遊を促す宿泊業のヒント

鬼怒川、軽井沢、蓼科、天城高原、箱根、勝浦 6 エリアで満点の星空を巡って楽しむ旅
CoCoRo編集部

星空シールラリーは、東急リゾーツ&ステイが6エリアのリゾートホテルをつなぐ冬限定の宿泊型企画として発表しているキャンペーンです。冬の星空観賞と温泉・客室滞在を組み合わせ、複数エリアを巡る旅を提案するこの取り組みは、冬季の集客・客単価アップ・周遊促進を考える宿泊業にとってヒントが多い内容だと考えられます。
本記事では、ニュースの概要を押さえつつ、「自社ならどう応用できるか」という視点から、企画づくり・おもてなし・従業員エンゲージメントへの落とし込み方を解説します。

この記事の目次
  1. 本記事のポイント(星空シールラリー×宿泊業)
  2. ニュースの概要:星空シールラリーとは
  3. 宿泊業にとってのポイント:冬の星空とシールラリーの相性
  4. 背景と理由の整理:星空観賞・サステナブルツーリズムの潮流
  5. 具体的な取り組み・ニュース内容の解説(6エリアの星空体験)
  6. 自社への活かし方のヒント:星空シールラリー発想のアレンジ
  7. まとめ
  8. 企業情報(星空シールラリー実施企業)

本記事のポイント(星空シールラリー×宿泊業)

  • 星空シールラリーは、鬼怒川・軽井沢・蓼科・天城高原・箱根・勝浦の6エリアを結ぶ冬季限定の周遊型宿泊企画として発表されており、星空観賞を軸にした体験価値の底上げが狙われていると見られます。
  • リゾート地ならではの「夜の時間の過ごし方」を提案しつつ、シールラリーとショップクーポンで再訪・多施設利用を促す設計は、地方旅館・シティホテルでも応用しやすい仕組みです。
  • 観光庁が示す「ネイチャーアクティビティ」「ウェルネス」「サステナブルツーリズム」の潮流とも親和性が高く、自社で星空シールラリー型の企画を検討する際のチェックポイントを整理します。

ニュースの概要:星空シールラリーとは

東急リゾーツ&ステイ株式会社は、冬の星空をテーマにした宿泊型企画「星空シールラリー」を2025年12月13日(土)から2026年2月23日(月・祝)まで開催すると発表しています。本イベントでは、対象エリアのホテルに宿泊するたびにオリジナルシールを1枚配布し、2枚以上集めたゲストに対して、各ホテル内ショップで利用できるクーポンを進呈する仕組みとしています。

対象エリアは、鬼怒川(栃木)、軽井沢・蓼科(長野)、伊豆・天城高原(静岡)、箱根(神奈川)、勝浦(千葉)の6地域です。いずれも街の明かりの影響が少ない自然豊かなロケーションで、ホテルのテラスや庭、近隣の開けた場所から冬の星空が楽しめることを特徴として打ち出しています。

ラリーシートには星座の探し方や、その夜に見上げたい天体解説などの読み物が用意される予定で、宿泊を「学びのある星空体験」に変えるコンテンツとして位置付けられています。星空観察後は、各ホテルの温泉や大浴場、客室で冷えた体を温めながら余韻を楽しむ滞在スタイルを提案している点も特徴です。

また同社は、本企画を自社が掲げる「体感型サステナブルリゾート」の一環と位置付け、地域の自然環境や生物多様性への理解を深めるきっかけづくりにもつなげたいと述べています。これは、持続可能な観光の国際基準(GSTC)と整合的な方向性であると考えられます。

宿泊業にとってのポイント:冬の星空とシールラリーの相性

星空シールラリーは、一見するとレジャー寄りの企画に見えますが、宿泊業の視点で見ると次のような戦略的ポイントが浮かび上がります。

1. 「夜」の時間価値を上げて、満足度と単価を両立

冬場は日照時間が短く、早い時間から館内で過ごすゲストが増えやすい季節です。星空シールラリーのように「夜空を見に外に出る→温泉・客室で温まる→星空の話題で語り合う」という一連の体験を設計すると、夕食後から就寝までの時間帯の満足度を高めやすくなります。

観光庁のインバウンド向けおもてなし資料でも、「宿泊そのものを一つの文化体験としてデザインすること」が重要とされています。 星を見る、というシンプルな行為でも、解説シートやスタッフによる一言案内があるだけで「旅館・ホテルだからこそ体験できる夜のプログラム」に変わります。

2. シールラリー形式は「周遊」と「リピート」を自然に後押し

星空シールラリーでは、複数エリアの宿泊を条件としたシール収集と、ショップクーポンの付与を組み合わせています。これは以下のような複数の効果を狙った設計と考えられます。

  • グループ施設間の周遊を促し、全体としての延べ宿泊数を増やす
  • 「シールを2枚目・3枚目まで集めたい」という心理を活用し、リピート宿泊の動機づけにする
  • ショップクーポンで館内消費を喚起し、客単価の底上げにつなげる

こうした「スタンプラリー型」の仕組みは、DMOやエリア内複数宿で共通企画として実施することで、地域レベルの周遊促進施策にも発展させやすい形式です。オーバーツーリズム対策としても、1カ所に滞留させず、周辺エリアへと人の流れを分散させる仕掛けは重要とされています。

3. スタッフの説明一つで「体験価値」が変わる

星空シールラリーのような企画は、フロントやレストランスタッフが「一言どう伝えるか」でゲストの行動が大きく変わる可能性があります。「もしよろしければ、今夜20時ごろにテラスからオリオン座がよく見える予定です」など、さりげない声かけは従業員エンゲージメントを高める機会にもなり得ます。

観光分野の女性活躍事例集でも、現場スタッフが自ら企画に関わり、ゲストに語りかける経験がキャリア形成ややりがいにつながっている例が紹介されています。 星空シールラリーをきっかけに、若手や女性スタッフが「星空アンバサダー」として活躍する場面を意識的に作ることも、組織の活性化につながりそうです。

背景と理由の整理:星空観賞・サステナブルツーリズムの潮流

星空シールラリーの背景には、観光トレンドの変化もあります。

1. ネイチャーアクティビティとウェルネスへの関心の高まり

観光庁の「世界的潮流を踏まえた魅力的な観光コンテンツ造成のための基礎調査」では、「ウェルネス」「ネイチャーアクティビティ」「生活没入」といった体験型コンテンツが、世界的に重要度を増していると報告されています。

星空観賞は、まさに自然の中で心身を整えるウェルネス体験であり、都市では得がたい非日常性があります。そこに温泉や地元食材の料理が加わることで、リゾートならではの高付加価値体験として設計しやすくなります。

2. 持続可能な観光・環境配慮型コンテンツとしての星空

「宿泊施設向け 国際基準に対応した持続可能な観光にかかる取組事例集」では、環境負荷の少ないアクティビティや、地域の自然・文化への理解が深まる体験を組み込むことが、持続可能な観光の重要な要素とされています。

星空観賞は、過度な設備投資を必要とせず、照明配慮や騒音管理などのルールを整えることで、自然環境を守りながら提供できるコンテンツです。星座や空気の澄み具合をきっかけに、地域の自然環境や季節ごとの魅力についてゲストと対話する場を設ければ、サステナブルなリゾートづくりにもつながります。

3. インバウンド客の多様なニーズとの親和性

インバウンド旅客向けの受入ポイント集では、「宿泊自体を文化体験として期待する」傾向が示されており、食事や温泉に加えて、夜の過ごし方への関心も高いことが指摘されています。

さらに、ベジタリアン・ヴィーガン、ムスリムなど多様な食習慣を持つ旅行者への配慮とともに、滞在中に安心して楽しめるコンテンツの提示が求められています。 星空シールラリーのような体験は、食の制約に左右されにくく、多様なゲストが一緒に楽しめるコンテンツとして設計しやすい点も、今後のインバウンド対応を見据えたときのメリットといえそうです。

具体的な取り組み・ニュース内容の解説(6エリアの星空体験)

ここでは、ニュースで紹介されている6エリアの特徴を、宿泊業の視点で読み解きます。

鬼怒川エリア(栃木県)

鬼怒川では、客室バルコニーや「鬼怒川渓翠」最上階の「THE VIEW TERRACE」から、渓谷の暗さをいかした星空ビューを訴求しています。渓谷の地形を活用した視界の開け方や、川のせせらぎと星空を組み合わせる演出は、他エリアとの差別化ポイントになり得ます。

軽井沢・蓼科エリア(長野県)

軽井沢・蓼科は標高約940m以上の高原リゾートとして、晴天率の高さと空気の清澄さが強みです。敷地内のどこから見るのがベストなのか、シーズン中のおすすめ時間帯はいつかなど、簡単なマップとセットで案内することで「星空を追いかけて泊まり歩く」動機を強めています。

伊豆(天城高原)エリア(静岡県)

天城高原エリアは、山上から360°の眺望を誇るロケーションが特徴です。星空に加え、昼間の富士山や駿河湾の絶景とのギャップも訴求しやすく、「昼は景観、夜は星空」という二層構造のコンテンツ設計がしやすいと考えられます。

箱根エリア(神奈川県)・勝浦エリア(千葉県)

箱根では、芦ノ湖レイクビューのテラスから湖面と星空のコントラストを、勝浦では首都圏からアクセスの良い南房総で、人工光が少ない夜空と穏やかな気候を打ち出しています。都心近郊の宿泊施設にとっても、「アクセスの良さ+少し移動するだけで見られる星空」というメッセージは模倣しやすい切り口です。

このように、星空シールラリーでは、各エリアごとに星空の見え方や周辺景観の違いを明確にし、「どこでどんな星空が見られるか」というストーリーを添えている点が、単なるスタンプラリーと異なる工夫といえそうです。

自社への活かし方のヒント:星空シールラリー発想のアレンジ

最後に、星空シールラリーの考え方を、自社や地域の状況に応じてアレンジするためのヒントを整理します。

1. まずは「1施設版・星空シールラリー」から小さく試す

いきなり6エリア規模のラリーを組むのはハードルが高いため、まずは1施設内で完結するミニ版星空シールラリーから始めても良さそうです。

  • チェックイン時に「星空ガイドカード」を1枚配布
  • 宿泊中に星を3つ見つけたらフロントでミニシールを進呈
  • シールが貯まったら、ドリンク1杯サービスや売店の小さな特典と交換

こうした小さな仕掛けでも、「夜の過ごし方の提案」と「スタッフとの会話のきっかけ」になります。観光庁のインバウンド研修テキストでも、ツールやカードを活用したコミュニケーションの工夫が紹介されていますので、多言語対応の簡単な解説を添えると安心です。

2. エリア内スタンプラリーとして、近隣施設と連携する

星空シールラリーのように広域で仕掛けるのが難しい場合でも、同一温泉地内の数宿・飲食店・観光施設と連携した「夜の街歩きラリー」として展開する選択肢もあります。

  • 夕食後に立ち寄れるカフェやバー、展望スポットをラリーポイントにする
  • 宿泊者向けに、21〜23時限定でスタンプ押印やミニ特典を用意してもらう
  • エリア全体のマップを作成し、各施設のスタッフが共通の説明をできるようにしておく

このとき、業務負荷が一部のスタッフに偏らないように注意が必要です。旅館・ホテルにおける業務効率改善の資料では、業務を細分化し、担当者・時間帯ごとに負荷を見える化した上で施策を設計する重要性が指摘されています。 ラリー運営の役割分担も、「誰が何をどの時間に担うか」を紙に書き出して検討しておくと安心です。

3. 星と自然を入り口に、サステナブルな取り組みを伝える

星空シールラリーのニュースでは、「体感型サステナブルリゾート」というコンセプトが前面に出されています。これは、持続可能な観光の事例集で示されている「環境保全とビジネス成長の両立」という考え方と整合的といえます。

自社で星空企画を行う際も、例えば次のような情報発信をセットにすることで、単なるアクティビティにとどまらない価値提案が可能になります。

  • 星がよく見えるよう照明を控えめにしている理由
  • 近隣の自然保護活動や、生物多様性を守る取り組み
  • 省エネ設備・再生可能エネルギーの導入状況 など

「星がきれいに見えるのは、地域全体で光害を抑えているから」といったストーリーを添えると、ゲストの環境意識向上にもつながりそうです。

4. インバウンド向けには、多言語・食習慣への配慮とセットで

星空体験は国籍や文化を問わず楽しめる一方で、インバウンドゲストにとっては、夜の外出や寒さへの不安、食習慣の違いなど、見えにくいハードルもあります。

  • 星空ガイドカードの簡易多言語化(英語+主要言語)
  • 夜間の安全な観賞ポイントと危険箇所の明示
  • 星を見たあとに温かい飲み物(コーヒー・ホットティー等)を用意

などの工夫をしておくと安心です。観光庁のベジタリアン・ヴィーガン/ムスリムおもてなしガイドでは、メニュー表示や食材情報の開示が信頼につながると整理されていますが、こうした配慮と星空体験を組み合わせることで、より多様なゲストに楽しんでもらえる可能性が高まります。

また、旅館向けインバウンド受入ポイント集でも、コーヒーや洋朝食の選択肢を用意することが安心感につながるとされています。 星を見た後に、ロビーで温かいコーヒーやスープを提供するだけでも、記憶に残るおもてなしになりそうです。

5. 従業員エンゲージメントを高める「星空アンバサダー」育成

星空シールラリーのような企画は、従業員の成長機会としても活用できます。

  • 星や季節の話題に詳しいスタッフを「星空アンバサダー」として任命
  • 内部でミニ勉強会を開き、星座の基礎や案内トークを共有
  • 若手スタッフにSNS投稿やブログ記事執筆を任せる

観光分野の女性活躍事例集では、現場スタッフが新しい企画や情報発信を担うことで、自信とやりがいを高めている例が多く紹介されています。 星をきっかけにスタッフ同士のコミュニケーションが生まれれば、従業員エンゲージメントの向上にもつながるでしょう。

6. デジタル活用:SNSとSEOで星空シールラリーを育てる

せっかくの星空企画も、情報が届かなければ体験されません。

  • Instagramで星空写真とともに、観賞時間帯や天候情報を発信
  • ストーリーズやリールで「今夜の星空ライブ」「スタッフのひと言解説」を投稿
  • ハッシュタグに施設名+エリア名+星空関連キーワードを組み合わせる

といったSNS活用は、無料でできる集客施策です。SNS活用の入門資料でも、プラットフォームごとの特性を理解し、継続的に投稿することの重要性が強調されています。

また、自社サイトで星空シールラリーや星空観賞プランを紹介する記事を作成する際には、基本的なSEOライティングも意識しておきたいところです。SEO記事のガイドラインでは、「ユーザーの検索意図に沿った構成」「独自性と網羅性のバランス」「継続的なリライト」の重要性が整理されています。

星空シールラリーのようなコンテンツは、「星空 見える ホテル 地域名」「冬 星空 温泉 旅行」といった検索クエリと相性が良いため、きちんと記事に落とし込むことで、新規顧客の獲得にもつながりやすくなります。

まとめ

  • 星空シールラリーは、6エリアのリゾートを結ぶ冬の周遊型宿泊企画として、夜の時間価値を高めつつ客単価・再訪を促す設計になっていると考えられます。
  • 自社では、館内完結のミニ版星空シールラリーや、近隣施設との夜の街歩きラリーなど、小さく試せるアレンジから始めておくと安心です。
  • 星空シールラリーのような自然体験を、サステナブルツーリズムやインバウンド対応、従業員エンゲージメント向上と結びつけて設計することで、長期的なブランド価値向上にもつながる可能性があります。

企業情報(星空シールラリー実施企業)

  • 会社名:東急リゾーツ&ステイ株式会社
  • 所在地:東京都渋谷区道玄坂一丁目10番8号 渋谷道玄坂ビル
  • 代表者名:代表取締役社長 粟辻 稔泰
  • 設立年月日:1979年3月13日
  • 資本金:100百万円
  • 事業内容:宿泊事業、ゴルフ事業、スキー事業、リゾート・その他事業(別荘管理、レストラン、ショップ、温泉施設、保養所等)
  • 運営ブランド:東急ステイ、東急ハーヴェストクラブ、nol、ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts、旧軽井沢KIKYOキュリオ・コレクションbyヒルトン ほか
  • 公式サイトURL:東急リゾーツ&ステイ公式サイト

出典:PR TIMES『6 エリアのホテルに滞在して冬の星空を巡る旅 「星空シールラリー」を 12 月 13 日(土)から開催』https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000903.000055787.html

cocoro-lockup-logo-mark-tagline-ja-horizontal
CoCoRo_mockup

スタッフのやりがい向上や離職防止に課題を感じていませんか?

お問い合わせはこちら
CoCoRoのご紹介資料はこちら
CoCoRo編集部
CoCoRo編集部
CoCoRo編集部
サービス業支援メディア運営チーム
CoCoRo編集部は、「感謝の気持ちをカタチにする」ことをテーマに、サービス業界における新しい価値創造を目指す情報発信チームです。​デジタルギフティングや従業員エンゲージメントの向上に関する最新トレンド、導入事例、業界インタビューなど、現場で役立つ実践的なコンテンツをお届けしています。​おもてなしの心をデジタルでつなぐCoCoRoの世界観を、より多くの方々に知っていただくため、日々情報を発信しています。​
記事URLをコピーしました