鑑真号のスケジュールを前提に、中国・上海との往来を旅程に組み込んでいたホテル・旅館にとって、今回の「鑑真号の旅客運航休止」は見過ごせないニュースではないでしょうか。大阪・神戸と上海を結ぶ定期フェリーとして、鑑真号の予約、鑑真号の運賃、鑑真号の新造船の特徴などをチェックしていた担当者も多いと思われます。
本記事では、公式発表や報道をもとに鑑真号のスケジュールと旅客サービス中断の事実を整理したうえで、「鑑真号のビザ要件」「鑑真号の食事を含む船内サービス」「鑑真号で車を運べるのか(いわゆる鑑真号車のニーズ)」「鑑真号の再開見通し」など、検索者の関心を踏まえながら、関西の宿泊業が今押さえておきたいポイントをまとめます。
本記事のポイント
- 鑑真号のスケジュール自体は2026年春まで公開されている一方で、2025年12月6日上海発便から鑑真号の旅客運航が当面休止され、貨物中心の運航となっている点を整理します。
- 鑑真号の運賃は客室タイプごとに設定され、食事込みで長距離移動兼宿泊としては一定の割安感がある一方、ビザや健康条件などの乗船要件が細かく定められていることを解説します。
- 鑑真号の予約や鑑真号の再開見通しが不透明な中で、宿泊業が「鑑真号乗船記を意識した商品作り」「鑑真号で車を運びたいニーズへの説明」などをどう整理しておくと安心かを示します。
ニュースの概要
大阪・神戸と上海を結ぶ国際フェリー「鑑真号」が、2025年12月6日の上海発の便から旅客運航を休止する旨がアナウンスされました。運航会社側によれば、中国側から「日中間の渡航の安全が確保できない」との理由で、鑑真号の旅客サービスの休止が通達されたと説明しています。
鑑真号は、大阪港・神戸港と上海を約2日かけて結ぶ定期貨客フェリーで、従来は週1便、神戸と大阪に隔週で寄港するスケジュールで運航してきました。旅客定員は約200人とされ、海路でゆっくりと移動するスタイルを好む旅行者に利用されてきました。
新型コロナウイルス流行の影響で、鑑真号の旅客運航は長期にわたり休止されていましたが、2024年に新造船の鑑真号が投入され、2025年夏に一般旅客の運航を再開したばかりでした。再開から間もないタイミングで、情勢による再度の旅客運航休止となった形です。
運航会社は、すでに鑑真号の予約をしていた利用者については、キャンセル料なしで全額返金する方針とする一方で、鑑真号の再開時期は「未定」とされ、今後の情勢次第で改めて案内するというスタンスが示されています。
鑑真号の旅客運航休止による宿泊業への影響
鑑真号のスケジュールと旅客運航休止の影響をどう見るか
鑑真号のスケジュールは、公式情報ベースでは2026年春ごろまで日本発・上海発ともに細かく公表されているとされています。曜日や寄港港も決まっており、本来であれば「毎週一定のリズムで運航する長距離フェリー」としてツアー造成に使いやすいダイヤです。
しかし現状は、その鑑真号のスケジュールがそのまま旅客に提供されているわけではなく、「貨物は運ぶが、当面は旅客を運ばない」という前提になっています。宿泊業としては、カレンダー上に便が載っているからといって「いつでも鑑真号の予約ができ、旅客が問題なく乗船できる」とは限らないことを、フロントや予約担当のチーム内で共有しておく必要がありそうです。
数字のインパクトで見ると、旅客定員約200人の週1便ですから、関西全体のインバウンド市場に比べればボリュームは限定的と考えられます。その一方で、鑑真号で来日する旅行者は、船旅ならではのゆったりした移動を好み、滞在日数が長めになる傾向も想像されます。港周辺や大阪市内・神戸市内の宿泊業にとっては、少数でも単価の高いゲスト層が含まれていた可能性があり、局所的には影響が出るかもしれません。
鑑真号の予約キャンセルと宿泊予約への波及
鑑真号の旅客運航休止に伴い、運航会社は「すでに発券済みのチケットはキャンセル料なしで払い戻す」と案内していると報じられています。これは鑑真号の予約をしていた旅行者にとって、「渡航自体をキャンセルする」選択肢を取りやすくする措置と言えそうです。
一方で、航空便など別の手段に振り替え、予定通り日本を訪れるケースも考えられます。宿泊施設側としては、次のような確認をしておくと安心です。
- 予約台帳やメモの中で、「鑑真号で来日予定」「上海からフェリー利用」などと記載されている顧客の洗い出し
- そうした顧客に対し、移動手段の変更予定や宿泊日程の変更・キャンセル希望があるかを、OTAのメッセージ機能やメールで丁寧に確認する
- 鑑真号の運賃や払い戻し条件については、必ず船会社や販売代理店の公式な案内を確認してもらうよう案内し、宿側が独自に断定しない
これにより、ノーショーや直前キャンセルのリスクを減らしやすくなります。
鑑真号の旅客運航休止の背景と理由の整理
情勢要因と「安全確保」を理由とした中断
今回の鑑真号の旅客運航休止は、中国側から「日中間の渡航の安全が確保できない」という理由が示されています。安全上の懸念が具体的に何を指すのかについては、詳細な説明は出ていませんが、日中間の政治・外交上の緊張が背景にあるとの見方が有力です。
宿泊業から見ると、感染症や自然災害だけでなく、外交・安全保障をめぐる情勢変化も、鑑真号のような国際フェリーの旅客運航に影響を及ぼす可能性があるということを、改めて意識させられる出来事ではないでしょうか。
鑑真号の新造船と航路の位置づけ
2024年に就航した新造船の鑑真号は、約2万総トン、旅客定員約200人と報じられています。従来船に比べて客室の快適性を高め、レストランやラウンジ、ジム、娯楽施設なども備えた、いわば「海の上のホテル」というコンセプトが特徴とされています。
この新造船投入とともに、2025年夏には鑑真号の旅客運航が約5年半ぶりに再開され、日中間の海路交流の象徴として注目されていました。現在の旅客運航休止は、そうした「新造船ならではの体験価値」が一時的に提供できない状況でもあります。
宿泊業としては、鑑真号の新造船が持つ「移動と滞在を一体化させる体験価値」は、再開時に再び注目される可能性が高いと見ておくと良さそうです。
鑑真号の運賃とターゲット層のイメージ
鑑真号の運賃(鑑真号の運賃)は、客室タイプによって大きく異なりますが、一般的な和室やスタンダードクラスであれば片道2万円台後半から3万円台とされ、往復割引や学生割引なども設定されています。デラックスルームやスイートでは、より高額な代わりにプライベート性の高い空間とサービスが提供される設計です。
これらの鑑真号の運賃には、朝・昼・夕の3食が含まれていると案内されており、「2泊3日の移動+船内宿泊+食事込み」として見た場合、航空券と陸上宿泊を別々に手配するのとは異なる価値を提供していると言えそうです。
こうした価格帯やサービス内容から、鑑真号を利用する旅客は、ある程度時間の余裕がある長期旅行者や、船旅を体験として楽しみたい層を中心に形成されている可能性があります。
ニュース内容の解説
鑑真号のスケジュールと旅客サービス中断の内容
改めて整理すると、今回のポイントは次の3点に集約できます。
- 鑑真号のスケジュール自体は公表されており、週1便で大阪・神戸と上海を結ぶダイヤが設定されている
- しかし、情勢を理由に鑑真号の旅客サービスは当面中断され、貨物輸送が中心となっている
- すでに鑑真号の予約をしていた旅客には、キャンセル料なしでの払い戻しという特例的な措置が取られている
宿泊業としては、特に3点目が実務に直結します。鑑真号の予約がキャンセルされることで、「旅行自体を中止する」「航空便など別ルートで来日する」「日程をずらして鑑真号の再開を待つ」といった選択肢が旅行者の前に現れます。
そのため、鑑真号の旅客運航を前提とした予約については、できるだけ早い段階でお客様の意向を確認し、必要に応じて予約変更やキャンセルの手続きを進めておくことが大切です。
鑑真号の食事・船内サービスと宿泊商品の連携
鑑真号の運賃には食事が含まれているため、鑑真号の食事は「船旅の重要な要素」と言えます。朝・昼・夕の3食が船内レストランで提供されるほか、新造船ではラウンジバーやジム、娯楽施設なども備わっているとされ、2泊3日の航海そのものが一つの体験コンテンツになっています。
宿泊業としては、鑑真号の食事との関係性を踏まえて、次のような商品設計が考えられます。
- 「到着日は船内で朝食を済ませ、ホテルでは夕食付き」にするなど、船とホテルの食事時間をうまくつなぐ
- 鑑真号の再開後には、「船内中華+日本の郷土料理」を楽しむ2段階のフード体験として、夕食プランを設計する
- 船内で連泊したお客様が「陸に上がった感覚」を味わえるよう、大浴場やランドリー、ラウンジスペースなどを強調したプランを用意する
鑑真号乗船記(個人の体験記)を直接の根拠とするのではなく、公式に案内されている設備・サービスをベースに、宿泊施設側の付加価値をどう上乗せするかを検討してみると良さそうです。
鑑真号のビザ・健康条件と宿泊側の説明スタンス
「ご乗船のお客様へのご案内」では、鑑真号のビザや健康状態に関する条件が記載されています。具体的には、ビザが必要な国籍の旅客は事前取得が必須であり、乗船当日に有効なビザを提示できない場合は乗船できないこと、虚偽のビザ情報の提示は認められないことなどが示されています。高齢者や妊産婦、特定の持病を持つ方についても、医師の診断書などを求められるケースがあると案内されています。
宿泊業としては、鑑真号のビザについて相談を受けた際に、
- 鑑真号専用の特別なビザ制度があるわけではなく、行き先の国の入国要件に従う必要があること
- ビザの要否や条件は、中国大使館・領事館や日本側の当局など、公的機関の最新情報を確認してもらうべきこと
- 鑑真号の予約前に、パスポート残存期間や健康状態も含めて自己チェックしてもらうこと
といったポイントをわかりやすく伝えつつ、「最終判断は公式情報に基づいて行ってください」とお客様にお願いするスタンスを共有しておくと安心です。
自社への活かし方のヒント
鑑真号の予約情報を把握し、影響度を見える化する
まず実務面では、自館の予約台帳の中から「鑑真号の旅客運航を前提にした宿泊」がどれくらい含まれているかを把握することが出発点になります。
- 予約メモ、旅行会社からの送客情報に「フェリー」「上海便」「鑑真号」などの記載がないか検索する
- 見つかった予約について、鑑真号の旅客運航休止を踏まえた移動手段の変更予定を確認する
- 鑑真号の再開時期が読めないことも正直に共有しつつ、柔軟な日程変更やキャンセルのルールを説明する
こうした対応を早期に行うことで、稼働見込みの修正やスタッフシフトの調整もしやすくなります。
代替ルートとチェックイン・チェックアウトの運用整理
鑑真号の旅客運航が止まっている間は、上海からの来日は航空便が中心になると考えられます。
- 上海〜関西国際空港のフライトスケジュールの一般的な傾向(時間帯など)
- 深夜・早朝到着便を利用するゲスト向けのアーリーチェックイン・レイトチェックアウトの方針
- 空港からホテルまでのアクセス案内(複数言語での案内資料の有無)
といった情報を、社内で整理しておくと良いでしょう。鑑真号の再開後も、船と飛行機のどちらで来るゲストにも対応できる体制が整っていると安心です。
政治リスクを前提にしたレベニューマネジメント
観光庁が公表している「宿泊業の高付加価値化のための経営ガイドライン」では、市場環境の変化に対応しながら収益性を高める視点が示されています。今回のような鑑真号の旅客運航休止は、まさに「政治・外交リスクが需要に影響するケース」の一例と考えられます。
自館のレベニューマネジメントにおいても、
- 中国市場や特定路線への依存度が高くなりすぎていないか
- 需要減少時の価格戦略や販路の多様化策をあらかじめ検討しているか
- 情勢変化に応じて、どのタイミングでどのチャネルに力を入れ直すかのシナリオを持っているか
といった観点を、一度振り返ってみると良さそうです。
まとめ
- 鑑真号のスケジュールは今後も公表されていますが、2025年12月6日上海発便から当面の間、鑑真号の旅客運航は休止されており、貨物中心の運航になっていることをまず整理しておくと安心です。
- 鑑真号の運賃は食事込みの長距離フェリーとして一定の魅力があり、鑑真号の新造船による船内設備も含めて、再開後には「移動そのものが体験」となる商品づくりがしやすいという側面があります。
- 鑑真号の予約、ビザ、健康条件、キャンセル規定などについては、公式情報をもとに要点を整理しつつ、お客様には必ず最新の案内を確認してもらうスタンスを取ると良いでしょう。
企業情報
- 会社名:日中国際フェリー株式会社
- 所在地:大阪府大阪市中央区南本町1丁目8番14号(JRE堺筋本町ビル9F)
- 代表者:代表取締役社長 村上 光一
- 設立:1984年9月29日
- 資本金:10億円
- 事業内容:上海/大阪・神戸間の定期貨客フェリー「鑑真号」の総代理店業務 ほか
- 公式サイト:鑑真号 日中国際フェリー公式サイト


