2025.12.15

アオアヲナルトリゾートに学ぶ新春グルメ旅プランのつくり方

CoCoRo編集部

アオアヲナルトリゾートの新春グルメ旅プランは、冬場の集客強化とご当地体験の掛け合わせがよく設計された事例といえそうです。この記事では、徳島・鳴門エリアの魅力を活かした開運旅企画を素材に、ホテル・旅館が自館で応用できる「冬のキャンペーンづくり」のポイントを整理します。ターゲットは、年明けの集客や単価アップを狙いたい経営者・企画担当・現場マネージャーの方々です。

この記事の目次

本記事のポイント
ニュースの概要
宿泊業にとってのポイント
背景と理由の整理
具体的な取り組み・ニュース内容の解説
自社への活かし方のヒント
まとめ
企業情報

本記事のポイント

アオアヲナルトリゾートの「お年玉開運スペシャル」は、鳴門鯛・鳴門金時・鳴門わかめなどの地域食材と、温泉・伝統芸能・体験コンテンツを一つのストーリーに束ねた新春グルメ旅のパッケージになっています。
「鯛みくじ」「詰め放題」「体験付きお土産」「午年生まれ特典」など、小さな“ワクワク”を重ねる設計は、客単価アップと滞在時間の伸長だけでなく、従業員のエンゲージメント向上にもつながりやすい構造と考えられます。
自館でアオアヲナルトリゾートのような新春プランを再現する際は、①季節と干支を絡めたテーマ設計、②地元食材・文化体験のセット化、③オペレーション負荷を抑えた特典設計、というステップで考えると整理しやすくなります。

ニュースの概要

徳島県鳴門市のオーシャンフロントホテル「アオアヲナルトリゾート」は、2026年1月4日〜2月28日の期間限定で、新春の開運旅や新年会利用を意識した宿泊プラン「お年玉開運スペシャル」を販売すると発表しています。客室からは海に昇る朝日や「鳴門ムーンロード」を望むことができ、冬の海景色そのものが商品の一部になっている点も特徴です。

プランは、夕・朝食付きの1泊プランで、2名1室19,500円〜、3名1室18,000円〜、4名1室17,000円〜（いずれも税・サービス料込、入湯税別、曜日により変動）としています。小学生半額・添い寝幼児無料とし、ファミリー層も意識した価格帯です。

内容面では、「うま（午）年」に合わせた“うま〜い5大特典”を用意しているとしています。具体的には、夕食のプレミアムメニューへのグレードアップ、鳴門鯛が当たる「鯛おみくじ」、鳴門金時芋の詰め放題や鳴門わかめの塩蔵体験、滞在中ウェルカムドリンクのフリー提供、さらに午年生まれのゲストへの館内利用券プレゼントなど、多層的な特典構成です。

夕食は、鳴門海鮮会席「福寿会席」、フランス料理コース「レ・リシェス・ドゥ・ラ・メール」、炭火焼コース「AWA路」、阿波郷土料理バイキング「阿波三昧」の4タイプから選べるとしています。いずれも鳴門鯛や鳴門わかめ、鳴門金時、阿波野菜、淡路牛など地域の食材を前面に出したメニュー構成で、新春らしいプレミアム感とご当地性を両立させている点がうかがえます。

館内では、毎晩の阿波おどりライブ、公園型エリア「阿波の國」での縁日遊びや伝統工芸体験、鳴門金時パフェなどのスイーツ、鳴門海峡クルージングや鳴門わかめ漁体験といった外部アクティビティも提供しているとし、アオアヲナルトリゾートの滞在そのものを「開運＋文化体験の旅」として打ち出している印象です。

宿泊業にとってのポイント

アオアヲナルトリゾート新春グルメ旅が示す顧客価値

アオアヲナルトリゾートの新春グルメ旅は、「開運」「ご当地グルメ」「温泉」「伝統芸能」「体験コンテンツ」といった、冬の鳴門が持つ素材を一つのストーリーで束ねている点が大きなポイントです。単なる「季節の会席プラン」ではなく、「お年玉」「運試し」「午年」というキーワードで、正月らしい非日常体験を演出しています。

宿泊業にとって、年明け〜2月は地域によっては稼働が落ち込みやすいシーズンです。その中でアオアヲナルトリゾートのように、「干支＋開運＋ローカル食材」を組み合わせた新春グルメ旅は、シーズナルな理由付けがしやすく、リピーターにも「今年の新しい楽しみ」として提案しやすい構成といえそうです。

「お年玉＋ご当地体験」で単価と満足度を両立

5大特典を見ると、コストをかける部分と、体験設計で価値を高める部分のメリハリが効いています。アオアヲナルトリゾートの事例では、

ディナーのグレードアップや飲み放題付与で、客単価と満足度を底上げ
鯛おみくじ、詰め放題、体験付きお土産などは「原価管理しやすい範囲」での楽しさ演出
午年生まれへの館内利用券は、館内での追加消費を促すインセンティブ

といった構造になっていると考えられます。これらは他のホテル・旅館でも応用しやすい考え方です。

従業員エンゲージメントを高める仕掛けになりやすい

鯛おみくじ、詰め放題、体験プログラム、阿波おどり公演などは、スタッフが直接ゲストとコミュニケーションするシーンが多く生まれるコンテンツです。アオアヲナルトリゾートのように、館内の複数部門が関わる新春グルメ旅は、

「お年玉を渡す側」としてスタッフが季節行事を楽しめる
顧客からのリアルな反応が得られやすく、やりがいにつながる
部門間連携（レストラン、アクティビティ、ショップなど）が自然に生まれる

といった点で、従業員エンゲージメント向上のきっかけにもなりやすいと考えられます。

背景と理由の整理

冬の鳴門を目的地にするストーリー設計

アオアヲナルトリゾートが位置する鳴門エリアは、渦潮や大塚国際美術館など年間を通じて観光資源がありますが、海水浴シーズンに比べると冬場のレジャーイメージはやや弱くなりがちです。そこで「ムーンロードが見える海辺の温泉宿で開運旅」「鳴門わかめ漁体験ができる早春」といった切り口で、冬ならではの魅力を再定義していると見ることができます。

干支の午年に合わせた「うま〜い5大特典」は、毎年テーマを変えて展開しやすい考え方です。他の施設でも、干支・節分・ひな祭りなど、暦や行事と紐づけることで「今年の企画」としてストーリー性を持たせることができそうです。

地域資源と観光トレンドの掛け合わせ

アオアヲナルトリゾートの新春グルメ旅では、鳴門鯛・鳴門金時・鳴門わかめといった地元食材を、会席・フレンチ・炭火焼・バイキングそれぞれのスタイルで提供しています。さらに、鳴門わかめの塩蔵体験や鳴門金時の詰め放題など、「買う」だけでなく「体験する」「作る」楽しさも提案しています。

近年の観光トレンドでは、ウェルネスやネイチャーアクティビティ、生活文化への没入など、体験型コンテンツの重要性が高まっているといわれます。その意味でも、アオアヲナルトリゾートの新春グルメ旅は、地域資源と体験価値をセットにした好例と考えられます。

アクセスの良さを活かした広域集客

プレスリリースでは、徳島空港やJR鳴門駅、高速バス停からの無料シャトルバス、関西・中国・四国方面からの直通バス便など、アクセス面の利便性も強調しています。新春の短期旅行では、「移動時間の負担が少ないこと」が選択の決め手になりやすいため、アオアヲナルトリゾートのように、アクセス情報をパッケージ訴求の一部として丁寧に伝えることは、他施設でも参考になるポイントです。

具体的な取り組み・ニュース内容の解説

アオアヲナルトリゾートのお年玉5大特典の設計

アオアヲナルトリゾートの新春グルメ旅で打ち出している「うま〜い5大特典」は、内容を分解して見ると、他館でも応用しやすい構造になっています。

夕食のプレミアムグレードアップ
- 料理そのものの価値を上げる、分かりやすいベネフィット。
- レストラン「彩」での利用時には90分飲み放題特典とし、「飲み放題付きプラン」としての訴求もしやすくしています。
鳴門鯛が当たる「鯛おみくじ」
- 阿波の國エリアで実施する「運試しコンテンツ」。
- 大吉に「鳴門鯛1尾」という分かりやすいご褒美を設定し、抽選会的な楽しさを演出しています。
- 当選者の喜ぶ姿が場の雰囲気づくりにもつながり、写真映え・SNS映えのきっかけにもなりやすそうです。
鳴門金時芋の詰め放題・鳴門わかめ塩蔵体験
- 1月は鳴門金時芋の詰め放題、2月は鳴門わかめの塩蔵体験とし、月ごとにテーマを変えることでリピーター需要にも応えやすくしています。
- 体験後にお土産が付く形式は、「体験＋物販」を一度に実現できるため、客単価アップに寄与しやすい仕組みです。
ウェルカムドリンク滞在中フリー
- テラスカフェでのフリードリンクは、客室以外の滞在場所にゲストを誘導する役割もあります。
- カフェの利用時間が増えることで、スイーツや軽食、物販への波及効果も期待できます。
午年生まれへの館内利用券プレゼント
- 条件付きのインセンティブにより、「自分や家族の干支をきっかけに予約を検討する」という行動を生みやすくなります。
- 館内利用券という形にすることで、現金値引きではなく館内消費へと誘導している点もポイントです。

4つの夕食スタイルで多様なニーズに対応

アオアヲナルトリゾートの新春グルメ旅では、以下の4つの夕食スタイルから選択できるようにしているとしています。

鳴門海鮮会席「福寿会席」：伊勢海老や鳴門鯛などの海鮮を、縁起の良い会席仕立てで提供。
フランス料理「レ・リシェス・ドゥ・ラ・メール」：海の幸と阿波野菜、淡路牛を組み合わせたフレンチコース。
炭火焼「AWA路」：淡路牛やサザエなどを炭火焼で楽しめる、素材感重視のコース。
阿波郷土料理バイキング「阿波三昧」：鯛の造りや鯛飯、鳴門わかめ、スダチなど、阿波の山海の幸をライブキッチン形式で提供。

このように、アオアヲナルトリゾートは「新春グルメ旅」という大きなテーマの中で、嗜好や利用シーンの違い（ファミリー、夫婦、グループ、新年会など）に対応できる選択肢を用意している点が特徴です。自館で参考にする場合も、「テーマは一つ、食体験は複数パターン」で設計すると、販売しやすくなるかもしれません。

館内外のアクティビティで滞在価値を底上げ

新春グルメ旅の文脈ではないものの、アオアヲナルトリゾートの紹介部分では、以下のような館内外アクティビティも併せて案内されています。

毎晩開催の阿波おどり公演
阿波藍染めや大谷焼絵付け体験、縁日遊びなどのご当地プログラム
鳴門海峡クルージング、鳴門鯛釣り堀、鳴門金時芋掘り、鳴門わかめ漁体験などの季節アクティビティ

アオアヲナルトリゾートのように、宿泊プランそのものは1〜2泊でも、「体験コンテンツの多層化」によって滞在時間を長く感じてもらう設計は、客単価の向上と口コミ強化の両面で有効と考えられます。

自社への活かし方のヒント

自館版アオアヲナルトリゾートプランを作る3ステップ

アオアヲナルトリゾートの新春グルメ旅を、自館で応用する際の考え方をステップに分解すると、次のように整理できます。

季節・干支・地域性を掛け合わせたテーマ決め
- 例：辰年×温泉の湯けむり、申年×山のアクティビティ、酉年×地酒・地鶏など。
- 「アオアヲナルトリゾート新春グルメ旅」のように、干支と地域の名物をタイトルやコピーに盛り込むと、記憶に残りやすくなります。
地元食材と文化体験をセットにした特典設計
- 会席・コース料理への地元食材の組み込みに加え、詰め放題や仕込み体験、工芸体験など、「持ち帰れる体験」を一つ用意する。
- 原価とオペレーション負荷を踏まえ、「客単価アップ」「追加販売」「満足度向上」のどこに効かせる特典かを整理すると設計しやすくなります。
予約導線と現場運営のシンプル化
- 特典が増えるほど現場は複雑になります。アオアヲナルトリゾートのように、時間帯や場所、定員を明確にし、事前予約を基本とするなど、運営ルールを整理してから販売開始すると安心です。

マーケティング視点で見るアオアヲナルトリゾートの訴求ポイント

マーケティングの観点でアオアヲナルトリゾートの新春グルメ旅を見ると、次のような工夫が見えてきます。

明確なターゲット設定
- 開運旅、新年会、ファミリー、午年生まれなど、利用イメージが湧きやすいターゲットが複数提示されています。
視覚的な訴求力
- 海に昇る朝日、ムーンロード、鳴門鯛や鳴門金時、阿波おどりなど、写真映えする要素が多く、ウェブやSNSでの情報発信にも向いています。
アクセシビリティの明示
- 空港・鉄道・高速バス・マイカーの各ルートを具体的に示し、「行きやすさ」を新春グルメ旅の魅力の一部として見せています。

自館でも、アオアヲナルトリゾートのように「誰と何をしに訪れてほしいのか」を言語化し、写真・コピー・料金・アクセス情報を一貫したメッセージでまとめると、予約転換率の改善が期待できるかもしれません。

現場負荷を抑えつつ楽しさを演出するための工夫

アオアヲナルトリゾートのような多彩な新春グルメ旅をそのまま再現するのは難しくても、要素を絞り込むことで自館に合った形に落とし込むことができます。

特典は「最大3つ程度」に絞り、必ず「目的」を決める（例：追加ドリンク販売、物販強化、口コミ獲得など）。
体験プログラムは、1日2回など時間を固定し、担当者を決めることで属人化を防ぐ。
従業員への説明会や試食会を行い、スタッフ自身がプランのファンになるような機会を設ける。

このように、アオアヲナルトリゾートの事例を参考にしつつも、自館の規模や人員に合わせて「やりすぎない設計」にすることが、持続可能な新春グルメ旅づくりのポイントではないでしょうか。

まとめ

アオアヲナルトリゾートの新春グルメ旅は、開運・ご当地グルメ・温泉・体験コンテンツを一体化させた「冬の鳴門を目的地にする」パッケージになっており、冬場の集客強化のヒントが多く含まれています。
鳴門鯛が当たる鯛おみくじや鳴門金時・鳴門わかめの体験、お年玉的な館内利用券など、小さな“楽しさ”を積み重ねる設計は、自館でもアレンジしやすいアイデアといえそうです。
アオアヲナルトリゾートのような新春グルメ旅を自館で応用する際は、干支や地域資源と結びついたテーマづくり、食と体験のセット設計、オペレーション負荷のコントロールを意識しておくと安心です。
もし年明け〜2月の集客や単価にお悩みでしたら、アオアヲナルトリゾートの取り組みを参考にしつつ、「自館らしい新春グルメ旅」を少しずつ設計してみるという選択肢もあります。