富士青藍は、富士山と駿河湾の絶景を望む全5室のスモールラグジュアリーホテルとして、2025年11月16日にグランドオープンしたと発表しています。プレオープン期間から箱根・熱海・伊豆エリアのクチコミランキング上位に入る評価を得ており、少室数・高単価・高満足という「高付加価値型」のお手本のような事例といえそうです。
本記事では、富士青藍の特徴を整理しながら、ホテル・旅館経営者や現場マネージャーが、自館の戦略・商品設計・オペレーション改善にどう活かせるかを読み解いていきます。
スタッフのやりがい向上や離職防止に課題を感じていませんか?
導入費用無料のデジタルチップサービス「CoCoRo」で従業員エンゲージメント低下を解決!
⇒CoCoRoの概要資料を見る
本記事のポイント
- 富士青藍のコンセプトや全5室スイート+プライベートサウナという設計から、スモールラグジュアリーホテルとしての高付加価値化のポイントを整理します。
- 観光庁が掲げる「宿泊業の高付加価値化」の方向性と照らし合わせながら、富士青藍のような少室数旅館・ホテルが目指せる戦略を解説します。
- 自館で富士青藍の取り組みを応用するための具体的なチェックポイント(商品構成、インバウンド対応、SNS発信、人材マネジメント)を提案します。
ニュースの概要
株式会社ウエストクリエイティブは、静岡県沼津市戸田に全5室のスモールラグジュアリーホテル「富士青藍(ふじせいらん)」を開業し、2025年11月16日にグランドオープンしたと発表しています。富士山と駿河湾、夕陽を一望できる高台に位置し、「三位一体の絶景」を打ち出した宿だと説明しています。
2025年5月23日のプレオープン以降、富士青藍は箱根・熱海・伊豆エリアのクチコミランキングで上位にランクインしたとしています。わずか5室のスイートルームから成る構成と、自然に包まれる滞在体験が高く評価されてきたと述べています。
姉妹旅館である「富岳群青(ふがくぐんじょう)」は、2025年10月にミシュランガイドホテルセレクションの「ミシュランキー」で1キーを受賞したとされており、そのDNAを受け継ぐ施設として、富士青藍でも型にはまらない独自性のある滞在体験を提供していくとしています。
料理面では、駿河湾の魚介、自社の網元からの仕入れ、自家農園の野菜、静岡県産黒毛和牛、戸田産の鮑や原木椎茸、希少な高足ガニなどを用いた創作料理を提供すると説明しています。客室は全室スイートで、露天風呂・プライベートサウナ・水風呂・デッキを備え、どこからでも富士山を望めるつくりになっているとしています。
宿泊業にとってのポイント ― 富士青藍が示すスモールラグジュアリー戦略
まず押さえておきたいのは、「富士青藍=少室数×高付加価値×明確なテーマ」という構図です。これは観光庁が掲げる「宿泊業の高付加価値化」の方向性とも重なっていると言えそうです。
富士青藍の全5室スイートが生む高単価・高満足
富士青藍は、あえて「全5室スイート」の超少室数に絞り込んでいます。
少室数のスモールラグジュアリーホテルは、
- 客単価を高く設定しやすい
- 1組あたりのスタッフ時間を多く割ける
- 滞在体験を細かくデザインしやすい
といったメリットがあると考えられます。
観光庁のガイドラインでも、高付加価値化の柱として「顧客価値の向上」と「生産性の改善」が示されており、単純な客数拡大ではなく、付加価値の高い商品設計が重視されているとされています。(〖ホテルスマート〗 ホテルPMS・チェックインシステム・自社予約システム)
富士青藍は、客室数を絞ることで「静けさ」「プライベート感」という無形価値を強く打ち出し、単に“部屋を売る”のではなく、“時間と空間の独占権”を販売しているとも解釈できそうです。
富士青藍のプライベートサウナ・露天風呂とウェルネス需要
全室に天然温泉の露天風呂とプライベートサウナ、水風呂、外気浴用のデッキを用意している点も、富士青藍の大きな特徴です。これは世界的な「ウェルネス」「リトリート」志向の高まりと相性が良い設計だと考えられます。
- 人混みの大浴場ではなく、客室完結型の温泉・サウナ
- 絶景を眺めながらの外気浴という体験価値
- 時間制限のない“自分だけのととのう”空間
こうした要素は、国内外のゲストにとって「ここまで来る理由」になりやすく、自館でも「プライベート性」「ウェルネス性」をどこまで高められるかを考えるヒントになるのではないでしょうか。
地産地消・自社農園・網元のストーリーづくり
富士青藍では、自社の網元からの魚介、自家農園の野菜、静岡県産黒毛和牛など、地元の食材を前面に出した創作料理を提供するとしています。これは、持続可能な観光の観点からも評価されやすい設計です。
- 仕入れの地産地消化 → 地域経済への貢献
- 自社農園・網元 → ストーリー性・差別化ポイント
- 四季のメニュー更新 → リピーターの動機づけ
「何を出すか」だけでなく「どこから・誰から仕入れているか」まで語れるようにしておくことが、今後の高付加価値化には重要だと考えられます。
背景と理由の整理
高付加価値化が求められる宿泊市場の前提
観光庁は「宿泊業の高付加価値化のための経営ガイドライン」を策定し、宿泊業を「持続可能な稼げる産業」へ転換する方針を示しています。ここでは、①顧客価値の向上、②生産性の改善、③収益力向上の三つの柱が重要とされています。
一方で、宿泊業は人手不足と人件費の高騰に直面しており、「人を増やさないと回らない」構造から抜け出す必要があると指摘されています。
この文脈で見ると、富士青藍のようなスモールラグジュアリーホテルは、
- 客数よりも1組あたりの売上・満足度を重視
- オペレーションをシンプルに保ちつつ高単価を実現
- “ここでしか味わえない体験”を明確に打ち出す
という、高付加価値化の方向性に合致したモデルケースと見ることができそうです。
インバウンド需要と「少人数・プライベート志向」
ポストコロナ以降、訪日外国人旅行者は増加傾向にあり、日本滞在中の体験や宿泊に対して「特別感」「文化体験」「ウェルネス」を求めるニーズが強まっていると分析されています。
また、旅館向けのインバウンド受入ポイントでは、
- 洋朝食やコーヒーなど「いつもの食」を選べる安心感
- 英語メニューや多言語対応
- 客室内温泉やプライベート空間の評価の高さ
などが指摘されており、少人数で静かに滞在できる宿が支持される傾向があると整理されています。
富士青藍の「全室スイート+客室露天風呂+プライベートサウナ+絶景」という組み合わせは、まさにこのトレンドを先取りする形になっていると考えられます。
姉妹館・富岳群青のミシュランキー受賞が持つ意味

姉妹旅館「富岳群青」がミシュランキーで1キーを受賞したことは、グループとしてのサービス品質や体験設計が第三者評価された実績として機能します。
- 受賞歴のあるブランドの新館という安心感
- 既存ファンのクロスセル・リピートの土台
- 媒体・OTAでの紹介・露出の強化
こうしたレピュテーション資産を活かせる点も、富士青藍の強みであり、自館でも「過去の受賞歴」や「口コミ評価」をどう新しい商品・新ブランドに繋げていくかを考えるきっかけになりそうです。
具体的な取り組み・ニュース内容の解説 ― 富士青藍の施設・サービス
絶景ロケーションと5室スイートの空間設計
富士青藍は、伊豆の高台から富士山と駿河湾、夕陽を一望できるロケーションに建つと紹介されています。客室はすべてスイートで、リビング・ベッドルーム・デッキを備えたゆとりのあるつくりだとしています。
- 正面に富士山、眼下に駿河湾という分かりやすいビュー価値
- 全室が「オーシャンビュー&マウンテンビュー」という一貫性
- 数を追わない分、1室あたりの空間とクオリティを最大化
という設計思想は、「部屋タイプを増やして複雑になる」多くの旅館・ホテルとは逆方向の戦略と言えそうです。
駿河湾と自社農園を活かした創作料理
料理は、駿河湾の魚介、自社の網元からの仕入れ、自家農園の野菜、静岡県産黒毛和牛などを用いた創作コースとして提供するとしています。
一人一尾の伊勢海老や戸田産の鮑、高足ガニなど、“わざわざ食べに行く価値”のある食材を、和食ベースの独創的な調理法で提供する構成です。
ここに「季節」「時間帯」「眺望」を組み合わせることで、単なる食事ではなく「物語のあるディナー体験」に昇華させていると読み取れます。


客室露天風呂+サウナ+水風呂+外気浴の一体設計

全室に天然温泉の露天風呂、プライベートサウナ、天然水の水風呂、そして富士山を望むデッキを備えた構成は、サウナブームとインバウンド需要を両方捉えにいく設計だと考えられます。
- 「ととのう」導線が客室内で完結する安心感
- 混雑・マナー問題が起きにくいプライベートサウナ
- 写真映えする“絶景外気浴”としてSNS発信にも強い
宿泊事業者向けの生産性向上ハンドブックでも、業務の効率化と同時に「顧客価値を高める投資」を明確にすることが重要とされていますが、こうした設備投資はまさにその好例と見ることができそうです。
富士青藍がターゲットとしうる客層
ニュース本文や予約サイトの情報から、富士青藍が想定しているであろうターゲット像を整理すると、次のような層が想定されます。
- 夫婦・カップルでのアニバーサリー旅行
- 日常から少し距離を置きたい都市圏の富裕層・準富裕層
- 富岳群青のリピーターなど、既にブランドを知る顧客
- プライベートサウナ・ウェルネスを重視するインバウンド富裕層
自館で「富士青藍と同じ設備を導入する」のは難しくても、「どの客層にとっての“ご褒美宿”になるのか」を明確に描くことは、すぐにでも取り組めるポイントではないでしょうか。
自社への活かし方のヒント
小規模旅館が真似できる富士青藍のヒント
富士青藍と同じ投資規模でなくとも、次のような点は多くの旅館・ホテルが応用しやすい部分です。
- 客室数を増やすより、「特に売りたい数室」の価値を徹底的に高める
- 料理の一部に「自館ならではの食材ルートや生産者ストーリー」を組み込む
- 客室内で完結するミニマムなウェルネス体験(半露天・インルームSPAなど)を検討する
- 富士青藍のように「絶景・サウナ・食・静けさ」など、打ち出すテーマを1〜2軸に絞る
また、インバウンド向けの旅館受入ポイントでは、「洋朝食の選択肢」「英語メニュー」「フォークやナイフの併用」など、コストをかけずに始められる改善策が多数紹介されています。
まずは「言語」「食習慣」「文化」の3点で、自館の対応状況を棚卸ししてみると良さそうです。
富士青藍と観光庁ガイドラインを踏まえたチェックリスト
観光庁の高付加価値化ガイドラインや生産性向上マニュアルと照らし合わせると、富士青藍のような取り組みをヒントに、次のようなチェックを行うことが考えられます。
- 顧客価値
- 「この宿でしか体験できない」要素を3つ書き出せるか
- その3つは、ターゲット顧客にとって本当に“お金を払う理由”になっているか
- 業務の生産性
- サービスを減らさずに、フロント・客室清掃などの動線を簡略化できるポイントはどこか
- 従業員が「良かれと思って増やした業務」がないか、現場と一緒に棚卸しできているか
- 収益力
- 客単価が高い日の体験価値とサービス内容を分析し、「高単価プラン」として磨き込んでいるか
- 高付加価値の取り組みを公式サイトやOTAページで十分に言語化・可視化できているか
富士青藍のようなスモールラグジュアリーホテルは、「全部真似る」対象ではなく、「自館なりの高付加価値化の方向性を考えるための指標」として活用していくのが現実的かもしれません。
まとめ
- 富士青藍は、富士山と駿河湾の絶景を生かした全5室スモールラグジュアリーホテルとして、高付加価値と少人数オペレーションを両立するモデルケースと見ることができそうです。
- プライベートサウナ・客室露天風呂・地産地消の創作料理・姉妹館のミシュランキー受賞などを組み合わせ、「ここでしか味わえない滞在体験」を明確に打ち出している点は、多くの宿泊施設にとって参考になりそうです。
- インバウンド対応やウェルネス需要、持続可能な観光の視点を取り入れた商品・サービス設計を少しずつ進めておくと安心です。
- 自館では、富士青藍のような大規模投資を前提とせずとも、「強みの再定義」「ターゲットの明確化」「業務の棚卸し」から始めるという選択肢もあります。今日からできる小さな見直しを一つ決めて動き出してみるのが良さそうです。
企業情報
- 会社名:株式会社ウエストクリエイティブ
- 所在地:静岡県伊豆市八木沢1689
- 代表者名:代表取締役 小林 満治
- 事業内容:静岡県伊豆エリアにおけるスモールラグジュアリーホテル・旅館の運営(富士青藍、富岳群青 ほかとしています)
施設情報(富士青藍)
- 施設名:富士青藍(ふじせいらん)
- 所在地:静岡県沼津市戸田3878-61
- 電話番号:0558-94-2345(富士青藍 代表番号としています)(富士青藍)
- 公式サイト:富士青藍 公式サイト
姉妹館情報(富岳群青)
- 施設名:富岳群青(ふがくぐんじょう)
- 所在地:静岡県伊豆市八木沢2461-1
- 公式サイト:富岳群青 公式サイト
参考資料
- 観光庁『宿泊業の高付加価値化のための経営ガイドライン』
- 観光庁『ベジタリアン・ヴィーガン/ムスリム旅行者おもてなしガイド』
- 観光庁『地域の観光人材のインバウンド対応能力強化に向けた研修テキスト』
- 観光庁『宿泊事業者における経営改善マニュアル 生産性向上のためのハンドブック』
出典:PR TIMES『富士山と駿河湾を望む全5室のスモールラグジュアリーホテル「富士青藍」ついにグランドオープン』https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000100991.html


