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五島リトリート ray 冬の島旅戦略|温泉・星空・クエで高付加価値化

五島リトリート ray
CoCoRo編集部

五島リトリート ray の冬限定プランは、夏のイメージが強い離島エリアで「冬こそ来たい島旅」をどうつくるかを考えるうえで参考になる事例です。長崎県五島市のスモールラグジュアリーホテルが打ち出した、温泉・星空・クエ会席・日帰りプランという組み合わせから、季節商品の作り方や滞在体験の設計、従業員エンゲージメントにもつながるポイントを読み解きます。

この記事の目次
  1. 本記事のポイント|五島リトリート ray 冬の島旅
  2. ニュースの概要
  3. 宿泊業にとってのポイント|五島リトリート ray の冬プラン
  4. 背景と理由の整理|離島リトリートと冬の需要
  5. 具体的な取り組み・ニュース内容の解説|五島リトリート ray の商品設計
  6. 自社への活かし方のヒント|五島リトリート ray から考える施策
  7. まとめ|冬の五島リトリート ray 的発想を自館に
  8. 企業情報
  9. 本リリースに関するお問い合わせ
  10. 参考資料

本記事のポイント|五島リトリート ray 冬の島旅

  • 五島リトリート ray が「夏の島」ではなく「冬の五島」を目的地化するために、温泉・星空・食をどう組み立てているかを整理します。
  • 日帰りプランとクエ会席付き宿泊プランの二本立てから、客単価と稼働率を両立させる商品ポートフォリオ設計のヒントを探ります。
  • 五島リトリート ray のようなデスティネーションホテルを参考に、地域の自然条件や食文化を活かした冬季コンテンツづくり・インバウンド対応の具体的な打ち手を提案します。

ニュースの概要

長崎県五島市のスモールラグジュアリーホテル「五島リトリート ray by 温故知新」は、「冬は五島へ」をテーマにした期間限定プランの販売を開始したと発表しています。対象期間は2026年3月31日までで、日帰りプランと、長崎の冬の味覚である高級魚・クエを使った会席付き宿泊プランの2種類です。

夏のリゾートイメージが強い五島列島において、冬は空気が澄み、観光客も比較的少なく、静けさが際立つ季節と説明しています。五島リトリート ray では、こうした冬特有の自然条件を「体験価値」として捉え、温泉・星空・食を組み合わせた滞在体験として商品化した形です。

特に、2026年2月1日からは全26室の客室露天風呂が温泉になる予定とされており、客室で温泉に浸かった後に満天の星を眺める時間を「冬の五島ならではのひととき」として訴求しています。併せて、星空ガイドによる星空観賞アクティビティ(約1時間・1名4,000円)も用意し、「鬼岳」など周辺スポットを巡る体験も提供するとしています。

また、クエ会席付き宿泊プランでは、五島近海で水揚げされるクエを中心に、島の旬食材を取り入れた会席料理を提供するとしており、長崎の冬の海の恵みを前面に出した内容となっています。

宿泊業にとってのポイント|五島リトリート ray の冬プラン

夏イメージの強いエリアで「冬の理由」をつくる

五島リトリート ray は、夏の海水浴・マリンレジャーの印象が強い五島列島で、あえて「冬は五島へ」というメッセージを掲げています。
これは、季節による需要の偏りをならし、通年での売上・稼働を安定させるうえで、多くの離島・観光地の宿泊施設に共通する課題への一つの解決策と見ることができそうです。

  • 冬の澄んだ星空
  • 観光客が少ない静かな島時間
  • 冬に旬を迎えるクエなどの食材
  • 客室露天風呂の温泉化

といった「冬ならでは」の要素を組み合わせることで、「わざわざ冬に行く理由」をセットで提示している点がポイントです。

観光庁がまとめた観光コンテンツのトレンド調査でも、ウェルネスや自然体験、生活への没入といったキーワードが中長期的な潮流として整理されており、五島リトリート ray の方向性はこうした流れとも親和性が高いと考えられます。

日帰りプランで「地元+近距離」需要を拾う

日帰りプランで温泉利用が可能な客室
日帰りプランで温泉利用が可能な客室

五島リトリート ray は、宿泊だけでなく日帰りプランも用意し、客室温泉とランチセットを組み合わせています。これは、

  • 地元・近隣の住民
  • 出張や用務で短時間しか滞在できないビジネス客
  • 島内の別施設に宿泊中のゲスト

といった「泊まりはしないが、施設で過ごす時間を買いたい層」へのアプローチとして有効だといえそうです。

客室の稼働時間帯を細かく分けて売ることで、いわゆる「デイユース需要」を取り込み、稼働と収益の最大化を図る発想は、客室数の少ないラグジュアリーホテルや旅館でも応用しやすい考え方です。

高付加価値な会席と体験コンテンツで単価を支える

長崎県を代表する冬の味覚・クエを味わう会席コース

もう一方のクエ会席付き宿泊プランでは、長崎の冬の高級魚・クエを核にした会席で高単価を実現しようとしています。
「食」と「アクティビティ」を別々ではなく、同じ季節ストーリーの中で組み合わせているため、価格に説得力を持たせやすい構造になっていると考えられます。

観光庁の高付加価値化ガイドラインでも、宿泊業の成長には「顧客価値の向上」と「適切な価格設定」が重要とされており、五島リトリート ray のように季節ストーリーを軸に商品と価格を設計することは、多くの宿泊施設にとって参考になりそうです。

背景と理由の整理|離島リトリートと冬の需要

デスティネーションホテルとしてのポジショニング

五島リトリート ray は、鬼岳の噴火で形成された溶岩海岸を見下ろす高台に位置し、「The view」をテーマに館内デザインを行っていると紹介されています。
2023年度グッドデザイン賞やインテリアプランニングアワード最優秀賞、照明デザイン賞の最優秀賞、ミシュランガイド2025ホテルセレクションでの1ミシュランキー獲得など、デザイン性と滞在体験が高く評価されている点も強調されています。

これは、「宿泊が目的地になるデスティネーションホテル」という同社のコンセプトを体現するものであり、単に「五島観光の拠点」ではなく、「五島リトリート ray に泊まること自体が旅の目的」という立ち位置を明確にしていると言えそうです。

ポストコロナで高まるウェルネス・自然志向

観光庁が整理した世界的トレンドでも、ポストコロナの旅行では、心身の回復や内省を重視するウェルネス志向、自然への回帰、地域の暮らしへの没入などが重要なテーマとして挙げられています。

五島リトリート ray が打ち出す

  • 客室温泉で身体を温める時間
  • 島の静けさの中での星空観賞
  • 地元食材を使った会席料理

といったプログラムは、こうしたトレンドを踏まえた「滞在そのものがウェルネス体験となる構成」と見ることもできそうです。

季節・時間帯・場所の「分散」で持続可能性を高める

オーバーツーリズム対策の事例集でも、観光地の混雑対策として「季節」「時間帯」「エリア」の分散が重要だと整理されています。

夏場に需要が集中しがちな離島エリアで、五島リトリート ray が冬季の魅力を前面に押し出すことは、

  • 観光需要の季節分散
  • 島の自然環境への負荷軽減
  • 通年雇用や従業員エンゲージメントの安定

といった観点からも意味がある取り組みと考えられます。

具体的な取り組み・ニュース内容の解説|五島リトリート ray の商品設計

1. 日帰りプラン:客室温泉+ランチで「短時間でも冬の五島」を体感

五島リトリート ray が冬季に販売する日帰りプランは、主に以下の要素で構成されています。

  • 予約期間:2026年3月30日まで
  • 利用期間:2026年3月31日まで
  • 内容:客室での温泉利用+五島食材を使ったランチセット
  • 料金:2名1室利用時、1名あたり19,800円(税込)〜

宿泊を伴わないにもかかわらず、客単価2万円前後という設定は、スモールラグジュアリーホテルとしてのブランドと、客室温泉・食事・景観がセットになった「半日リトリート体験」としての価値を前提にしたものと捉えられます。

このように、五島リトリート ray は「日帰り=低単価」という固定観念から離れ、「時間ではなく体験価値に価格をつける設計」をしている点が特徴的です。

2. クエ会席付き宿泊プラン:冬の高級魚で「特別感」を演出

クエ会席付き宿泊プランの概要は次の通りです。

  • 予約期間:2026年3月28日まで
  • 宿泊期間:2026年3月31日まで
  • 内容:五島近海で水揚げされるクエを中心に、島の旬食材を織り交ぜた会席コース
  • 料金:2名1室利用時、1名あたり61,380円(税込)〜

クエは身の締まりと濃厚な旨みで知られ、長崎の食文化を象徴する存在でもあります。
「地元近海で獲れたクエ」というストーリーは、単なる高級魚というだけでなく、「この土地ならでは」「この季節ならでは」の特別感を演出しやすい素材と言えます。

3. 星空観賞アクティビティ:星空ガイド付きで「自然そのもの」をコンテンツ化

澄んだ夜空に向き合う、冬の星空体験
澄んだ夜空に向き合う、冬の星空体験

五島リトリート ray では、冬の星空を活かした星空観賞体験も提供しています。

  • 料金:1名あたり4,000円(税込)
  • 時間:20:30〜21:30
  • 場所:ホテル周辺または鬼岳など、その日の天候と星の位置に応じて選定
  • 内容:星空ガイドによる解説付き星空観賞

ここで特徴的なのは、特別な演出やショーではなく、「冬の五島だからこそ際立つ夜空に向き合う時間」を価値として打ち出している点です。
自然環境そのものを「演出しすぎない形」でコンテンツ化しているため、天候や季節による変化も含めて、リピーターにとっても新鮮な体験になりやすいと考えられます。

4. 五島リトリート ray の施設ポテンシャル

施設としての五島リトリート ray は、

  • 鬼岳の溶岩海岸を望むロケーション
  • 26室すべてが客室露天風呂付き(2026年2月から温泉化予定)
  • デザイン賞・照明賞・ミシュランキーなど複数の受賞歴

といった強みを持つデスティネーションホテルです。
このポテンシャルを、冬の期間限定プランとして「どう売るか」を考えたのが今回のニュースだと整理できそうです。

自社への活かし方のヒント|五島リトリート ray から考える施策

1. 「冬ならでは」の3本柱を決めてからプランを組み立てる

五島リトリート ray は、「星空」「温泉」「クエ」を冬の三本柱として打ち出しています。
他地域でも、まずは自館・自地域の冬だからこそ価値が高まる要素を3つ程度に絞り込むと、プラン設計がしやすくなります。

例としては、

  • 雪景色・霧・朝焼けなどの自然現象
  • 冬に旬を迎える食材や地酒
  • 冬ならではの温泉の楽しみ方(雪見風呂、サウナ、外気浴など)
  • 冬に開催される地元の行事・祭り

などが挙げられます。
そのうえで、五島リトリート ray のように、宿泊プランと日帰りプランの両面で商品化することで、ターゲットの幅を広げることができそうです。

2. インバウンドを見据えた「食の説明」と選択肢づくり

冬の高付加価値プランは、インバウンドにも訴求しやすいテーマです。
一方で、魚種や調理法の違い、宗教・食習慣への配慮など、食のコミュニケーションが重要になってきます。

観光庁がまとめたベジタリアン・ヴィーガン/ムスリム旅行者向けガイドでも、「まずはできる範囲で対応し、メニュー表示や説明の工夫から始めること」が提案されています。

五島リトリート ray のようにクエ会席を売りにする場合でも、

  • 英語・簡体字などの多言語メニュー
  • 魚種や部位、出汁の説明
  • アレルギー・宗教的制限への代替メニューの用意

といった対応を検討すると、インバウンドの安心感や満足度向上につながる可能性があります。

3. 従業員エンゲージメントを高める「ストーリーテラー化」

五島リトリート ray の冬プランは、「冬の五島」「星空」「溶岩海岸」「クエ」といった要素が一つのストーリーで結びついています。
このストーリーをスタッフ全員で共有し、ゲストとの会話の中で自分の言葉で語れるようにすることで、従業員エンゲージメントの向上にもつながりやすくなります。

例えば、

  • スタッフ向けに「冬の五島ストーリー」を共有するミニ研修を行う
  • 星空ガイドや料理人のこだわりを社内ニュースレターで紹介する
  • SNS投稿をスタッフ主体で行い、現場発の声を可視化する

といった取り組みにより、現場が自発的にプランを磨き上げる土壌を作ることが考えられます。

4. 日帰りプランを「試し泊」の入口として設計する

五島リトリート ray の日帰りプランは、客室温泉とランチを通じて施設の世界観を体験できる内容になっています。
こうした日帰りプランを、

  • 将来の宿泊利用への「試し体験」
  • 閑散曜日の客室稼働アップ
  • 地元住民向けファンづくり

の入口として位置づけると、中長期的な売上や口コミ効果の面でプラスに働く可能性があります。

販売にあたっては、

  • デイユース枠の上限設定(スタッフ負荷・清掃時間とのバランス)
  • 宿泊プランへのアップグレード提案
  • リピーター向け特典(次回宿泊の割引や特別メニューなど)

を組み合わせることで、「体験して終わり」ではなく「次のアクションにつながる導線」を設計しておくと良さそうです。

まとめ|冬の五島リトリート ray 的発想を自館に

  • 五島リトリート ray の冬プランは、「夏の島」イメージが強い五島で、冬の星空・温泉・クエを組み合わせて季節のストーリーを明確化し、デスティネーションホテルとしての価値を高めている事例といえます。
  • 日帰りプランとクエ会席付き宿泊プランを並行展開することで、客単価と稼働率のバランスを取りつつ、地元・近距離客からインバウンドまで幅広い顧客層にアプローチできる設計になっている点は、他の宿泊施設でも参考になりそうです。
  • インバウンド対応や持続可能な観光の観点からは、五島リトリート ray のように季節・時間帯・エリアの分散を意識しつつ、多言語メニューやストーリーテリングで「この土地・この季節ならでは」の体験価値を伝えていくことが重要になってくるでしょう。
  • 自社でも、冬の島旅・冬の温泉旅をテーマに、五島リトリート ray のような季節コンテンツを少しずつ試してみるという選択肢もありますし、できる範囲から取り組んでおくと安心です。

企業情報

五島リトリート ray by 温故知新(施設情報)

株式会社温故知新(会社情報)

本リリースに関するお問い合わせ

  • 会社名:株式会社温故知新
  • 問い合わせ先:本プレスリリース内に個別の問い合わせ窓口の記載なし

参考資料

出典:PR TIMES『【五島リトリート ray 】冬は五島へ!温泉と星空、長崎の冬の味覚・クエで味わう季節の島旅体験』https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000201.000118716.html

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