小樽リトリート 蔵群が掲げる醸す発想のリブランドは、温泉地の滞在価値を体験設計で更新する好例です。酵素浴や貸切温泉、発酵を取り入れた食の組み立て方は、単価設計やスタッフの動き方まで含めて再設計しやすいテーマでもあります。
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本記事のポイント
- 小樽リトリート 蔵群の発酵体験は、滞在の目的化と付帯売上の設計に応用しやすい
- 貸切温泉や酵素浴は、予約導線と人員配置を先に固めると運用が安定しやすい
- 公的データで稼働と需要の前提を押さえ、リトリート商品のKPIを置くと判断が速い
発表内容の整理
株式会社温故知新が運営する北海道小樽市(朝里川温泉)の温泉宿、小樽リトリート 蔵群 by 温故知新は、2026年2月24日にリブランドオープンすると発表しました。開業時の設計を担った中山眞琴氏が、客室や大浴場など館内の一部を改装・新設し、空間と体験の両面で醸す発想を重ねる方針です。
新設・改装の主な内容として、既存の大浴場を事前予約制の貸切風呂に改装し、従来の内湯は酵素風呂へ改装、露天風呂は残しつつサウナと水風呂を整備する計画が示されています。


酵素風呂は大髙酵素株式会社の監修で、スパ施術も併設する予定です(酵素風呂は80分6,600円、貸切温泉は90分11,000円、スパは22,500円から。いずれも税込)。なお、酵素風呂・スパ・貸切温泉は2026年4月上旬以降に予約受付開始予定とされています。


食体験では、北海道食材に発酵技法を掛け合わせ、朝食にぬかにしん等、夕食に季節で内容を変える発酵八寸プレートを用意し、専用の個室ダイニングで提供する運用です。ドリンクは北海道産ワインを中心に、バー、客室ミニバー、ルームサービス、夕朝食時の飲み物をオールインクルーシブで提供し、一部の希少銘柄は別料金対応としています。施設は全19室で、全客室に天然温泉風呂を備えるとしています。




出典:PR TIMES『【小樽リトリート 蔵群】「醸す」を滞在の軸に、2026年2月24日リブランドオープン』 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000219.000118716.html
小樽リトリート 蔵群のリブランドが宿泊業にもたらす論点
醸す発想で体験を束ねると、滞在の目的化が進みやすい
発酵や温浴を滞在の軸に置くと、食・温泉・スパの点が線になり、宿のコンセプトが説明しやすくなります。小樽リトリート 蔵群のように地域の記憶(石蔵の佇まい等)と体験テーマを揃える設計は、客室改装だけで終わらせず、滞在理由までつくり直す丁寧さが印象的です。
貸切温泉と酵素浴は、館内回遊と滞在時間をつくる
貸切化はプライベート性を高め、滞在中の館内行動を計画的に組み立てやすくします。温浴に予約枠が生まれることで、チェックイン導線(説明・同意・着替え・水分補給)まで含めて一体で設計できる点が強みです。
オールインクルーシブは接客負荷と価値訴求を再配分できる
ドリンクのオールインクルーシブは、追加会計の手間を減らしつつ、土地の味を体験価値として伝える設計に寄せられます。現場ではオペレーション簡素化と在庫管理の粒度がセットになるため、提供範囲と例外運用(希少銘柄など)を先に決めるとブレが減ります。
公的データで見る小樽リトリート 蔵群型リトリートが伸びる土壌
観光庁の宿泊旅行統計調査が示す、稼働と外国人比率の目安
観光庁の宿泊旅行統計調査(2025年11月・第2次速報)では、客室稼働率は全国で65.7%、北海道は54.2%でした。客室稼働率は利用客室数を総客室数(客室数×当月日数)で割って算出します。延べ宿泊者数は全国で5,599万人泊で、うち外国人延べ宿泊者数は1,453万人泊、構成比は25.9%と示されています。延べ宿泊者数は寝具を使用して宿泊した延べ人数(子どもや乳幼児を含む)として定義されています。
このように需要が厚い局面では、同じ温泉地でも体験テーマを明確に打ち出す宿が選ばれやすく、発酵×温浴の筋の良さが活きやすいと考えられます。小樽リトリート 蔵群が空間改装と体験刷新を同時に進めた点は、稼働を取りにいく施策というより、指名理由を強める合理性が高い設計です。
JNTO統計に見る訪日需要の積み上がり
日本政府観光局(JNTO)の発表では、2025年の年間訪日外客数は4,268万3,600人、同年12月の訪日外客数は361万7,700人(推計値)とされています。
北海道は広域周遊や体験型の需要とも相性が良く、宿側がリトリートのテーマを言語化しておくと、国内外どちらのゲストにも訴求軸を合わせやすくなります。
需要が動く時期ほど、体験の独自性が価格説明を支える
稼働が上がるほど価格の説明責任は増します。発酵や酵素浴のように体験の意味を言葉で伝えやすい素材は、料金設計の納得をつくりやすい点がメリットです。
酵素浴・貸切温泉・発酵食を回すための運用設計
予約枠と導線を先に決める(貸切温泉・酵素浴)
貸切温泉や酵素浴は、枠設計がそのまま人員計画になります。チェックイン前後のピークを避けて枠を刻む、清掃・換気・リネン回収の標準時間を置くなど、先に運用前提を決めると安心です。予約開始が後日(2026年4月上旬以降)とされている点も、現場を慌てさせない配慮として参考になります。
発酵を取り入れた食体験は、仕込みと説明の標準化が成果を左右する
発酵は工程が増える分、厨房の仕込み計画と提供スピードの整合が重要です。ゲスト向けには、発酵八寸プレートの意図や食材背景を短い説明にまとめ、サービススタッフが同じ言葉で話せるようにしておくと満足に繋がりやすくなります。
KPI例は体験付帯率と滞在満足の両輪で置く
リトリート施策のKPIは、体験の利用率(予約枠の消化率、付帯率)だけでなく、滞在中の満足(アンケートの自由記述、再訪意向)も合わせて見ると判断がぶれません。オールインクルーシブの範囲は、提供量よりも滞在価値の理解度(説明の届き方)を見て調整すると運用しやすいです。
小さく試して自社のリトリート価値に落とし込む
まずは館内で醸すテーマを言語化する
設備投資の前に、宿が提供したい整う体験を一文で言える状態にしておくと安心です。小樽リトリート 蔵群のように、空間の語り(建築意図)と食・温浴の体験を同じ方向に揃えると、説明が短くても伝わります。
既存設備でできるミニ施策から始める
いきなりフルセットを目指さず、貸切枠の試験運用、発酵要素を入れた一皿の追加、地域素材のドリンク提案など、既存のオペで回る範囲から始める選択肢もあります。小さく回し、どの工程で詰まりやすいかを把握すると改善が速くなります。
体験単価と人時のバランスを検証する
体験価値は人の関与で伸びます。どの工程に人時が増えるかを棚卸しし、体験単価(付帯売上)と満足指標の両方で検証すると、次の投資判断がしやすくなります。
まとめ
- 小樽リトリート 蔵群のリブランドは、発酵×温浴で滞在の目的化をつくる設計が核
- 貸切温泉や酵素浴は、予約枠と清掃時間を先に置いておくと安心です
- 公的データで稼働と需要の目線を揃え、体験付帯率と満足指標をKPIにする
- まずは既存オペで回るミニ施策から始めるという選択肢もあります
企業情報
- 施設名:小樽リトリート 蔵群 by 温故知新
- 所在地:北海道小樽市朝里川温泉2-685
- 客室数:19室
- 運営会社:株式会社温故知新
- 公式サイト:小樽リトリート 蔵群 by 温故知新
- 会社名:株式会社温故知新
- 本社所在地:東京都新宿区新宿5-15-14 INBOUND LEAGUE 502号室
- 代表者:代表取締役 松山 知樹
- 設立:2011年2月1日
- 資本金:3億2,500万円(2026年1月時点)
- 事業内容:ホテル・旅館の運営及びプロデュース
- 公式サイト:株式会社温故知新
- 企業情報:会社概要
お問い合わせ先 公開情報
参考資料
- 観光庁:[宿泊旅行統計調査(2025年11月・第2次速報)報道発表資料](https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001979180.pdf)
- 観光庁:[宿泊旅行統計調査 用語の解説(年間報告書より抜粋)](https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001983218.pdf)
- 日本政府観光局(JNTO):[訪日外客数(2025年12月推計値)|報道発表](https://www.jnto.go.jp/news/press/20260121_monthly.html)


