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品川プリンスホテル 富士山ビューステイで冬の和のおもてなし体験を

高層階のお部屋から望む富士山(品川プリンスホテル)
CoCoRo編集部

品川プリンスホテルが打ち出す「富士山ビューステイ~富嶽を想う宵~」は、都心にいながら富士山の眺望と和のおもてなしを楽しめる冬季限定の宿泊プランです。品川プリンスホテルの事例を通じて、都市型ホテル・旅館がどのように景観・歴史・インバウンド需要を組み合わせて付加価値を高めているのかを整理し、他施設で応用できるポイントを解説していきます。

この記事の目次
  1. 本記事のポイント|品川プリンスホテル事例から学べること
  2. ニュースの概要|品川プリンスホテル「富士山ビューステイ~富嶽を想う宵~」
  3. 宿泊業にとってのポイント|品川プリンスホテル 富士山ビューステイの示唆
  4. 背景と理由の整理|インバウンド回復と価値観の変化
  5. 具体的な取り組み・ニュース内容の解説|品川プリンスホテル 富士山ビューステイ
  6. 自社への活かし方のヒント|品川プリンスホテルの事例を自館に応用する
  7. まとめ
  8. 企業情報
  9. 本リリースに関するお問い合わせ
  10. 参考資料

本記事のポイント|品川プリンスホテル事例から学べること

  • 品川プリンスホテルの「富士山ビューステイ~富嶽を想う宵~」は、客室からの富士山ビューと和会席、浮世絵風呂敷を組み合わせた“ストーリー型”宿泊プランであり、都市型ホテルでも自然資源と文化体験を掛け合わせられるヒントになります。
  • 訪日客数・インバウンド消費が過去最高となるなか、富士山や北斎、東海道といったモチーフは「日本らしさ」を求める旅行者に強く響くテーマであり、品川プリンスホテルのようなパッケージ化が競争力強化につながると考えられます。
  • 富士山が見えない日の「富士山はかくれんぼ賞」のように、天候リスクを前提にしたおもてなし設計は、顧客満足と従業員エンゲージメントを両立させる仕組みとして、全国の宿泊施設でも応用できる余地がありそうです。

ニュースの概要|品川プリンスホテル「富士山ビューステイ~富嶽を想う宵~」

品川プリンスホテル(東京都港区高輪4-10-30)は、2025年12月5日(金)から2026年3月31日(火)まで、冬季限定プラン「富士山ビューステイ~富嶽を想う宵~」を販売します。メインタワー高層階の富士山ビュー客室を確約し、都市にいながら富士山を楽しめる「天空の富士」をコンセプトにした宿泊体験です。

料金はメインタワー ツインルームで、1室2名利用時・1名10,350円から(室料のみ)。朝食・夕食付きのプランでは、メインタワー38階の日本食レストラン「味街道 五十三次」にて特製「富士山御膳」、朝食はブッフェレストラン「LUXE DINING HAPUNA」を利用できます。

本プランの特徴として、1滞在につき1名1枚の「葛飾北斎の浮世絵風呂敷」が特典として用意されています。江戸時代に品川宿から富士山を描いた北斎の世界観を、自宅に持ち帰れる記念品として設計している点がポイントです。

また、天候の理由で富士山が見えなかったゲストには「富士山はかくれんぼ賞」として、1滞在につき1名1点のプレゼントを用意。チェックアウト時に申し出た宿泊客に、ささやかな補償を行う仕組みとなっています。

宿泊業にとってのポイント|品川プリンスホテル 富士山ビューステイの示唆

1. 「ビュー」をコンテンツ化して客室単価と満足度を両立

品川プリンスホテルの富士山ビューステイは、「高層階からの富士山」という本来“自然環境頼み”の要素を、あえて前面に出して販売しています。富士山ビューの客室確約に加え、朝夕で表情を変える富士山を楽しむ時間軸の提案がなされており、単なる「眺望の良い部屋」ではなく、滞在そのものがコンテンツ化されていると言えるでしょう。

観光庁の観光コンテンツ調査でも、ネイチャーアクティビティや「聖地巡礼」のようなテーマ性の高い体験コンテンツが世界的なトレンドとして整理されています。 こうした潮流を踏まえると、富士山を“聖地性のある自然コンテンツ”として活用するこのプランは、訪日客・国内客の双方に訴求する企画と考えられます。

2. 歴史・文化ストーリーを織り込んだ「日本らしさ」の演出

品川プリンスホテルの富士山ビューステイは、かつて宿場町として栄えた「品川宿」、葛飾北斎の浮世絵、東海道五十三次というキーワードを巧みに掛け合わせています。

  • レストラン名「味街道 五十三次」が東海道の宿場を想起させる
  • 北斎の浮世絵風呂敷という形で、日本美術に触れる機会を用意
  • 「富嶽を想う宵」というネーミングで、旅情を感じさせる世界観づくり

このように、名称・特典・提供場所に一貫したストーリーを持たせている点は、他のホテル・旅館にとっても参考になる設計ではないでしょうか。

観光庁が公開しているインバウンド向け資料でも、「宿泊自体を文化体験として捉え、滞在の過ごし方を提案すること」が予約転換率向上につながるとされています。 歴史や文化を“情報として説明する”だけでなく、商品名や特典に埋め込んで体験化している点は押さえておきたい視点です。

3. 天候リスクを前提にした「かくれんぼ賞」の設計

富士山は気象条件によって見えない日も多く、ビューを売りにするプランではクレームリスクも高まりがちです。品川プリンスホテルは「富士山はかくれんぼ賞」という遊び心のあるネーミングで、見えなかった場合のフォローをあらかじめ提示しています。

  • 予約段階で「見えない可能性」を丁寧に伝える
  • そのうえで、見えなかった場合の“ささやかな補償”を用意する
  • スタッフが前向きな言葉で案内できるよう、名称と仕組みを工夫する

この仕組みは、天候に左右される海・星空・花火などを売りにする宿泊施設にも応用できる考え方です。クレーム対応ではなく「がっかりを笑顔に変えるしかけ」として設計することで、従業員側の心理的負担軽減にもつながるのではないでしょうか。

背景と理由の整理|インバウンド回復と価値観の変化

1. 訪日客・消費額ともに過去最高水準へ

日本政府観光局(JNTO)の推計によると、2024年の年間訪日外客数は約3,687万人と、2019年を上回る過去最高を記録しました。日本政府観光局 観光庁のインバウンド消費動向調査では、2024年の訪日外国人旅行消費額は約8.1兆円とされており、こちらも過去最高水準です。

円安や物価差を背景に、欧米豪を中心とした「長期滞在・高付加価値消費」の傾向が強まっていると分析されており、単に客数を追うのではなく、1人あたり単価の向上が重要なテーマになっています。

2. 体験・ウェルネス・没入型コンテンツへのシフト

観光庁の「世界的潮流を踏まえた魅力的な観光コンテンツ造成のための基礎調査事業」では、

  • ウェルネス
  • ネイチャーアクティビティ
  • 聖地巡礼
  • 生活没入型のローカル体験

といったテーマが中長期のトレンドとして整理されています。 富士山を眺めながら心身を整える滞在は、こうしたトレンドの「ウェルネス」「ネイチャー」「聖地性」の要素を同時に満たす企画と言えるでしょう。

3. 多様な食習慣・宗教的背景への対応ニーズ

インバウンドの回復に伴い、ベジタリアン・ヴィーガン、ムスリム等、多様な食習慣を持つ旅行者への配慮も求められています。観光庁は2024年に「ベジタリアン・ヴィーガン/ムスリム 旅行者おもてなしガイド」を策定し、飲食・宿泊事業者に対して、できることから始める対応を呼びかけています。

今回の品川プリンスホテルのプランは和食主体ですが、今後、同様の宿泊プランを設計する際には、

  • 一部メニューのベジ・ハラール対応
  • アレルギー表示・英語メニューの整備
  • 食文化の違いを分かりやすく説明するツール

などを組み合わせることで、より幅広い訪日客に選ばれやすくなると考えられます。

具体的な取り組み・ニュース内容の解説|品川プリンスホテル 富士山ビューステイ

1. プラン基本設計

品川プリンスホテルの富士山ビューステイは、以下の要素で構成されています。

  • 期間:2025年12月5日(金)~2026年3月31日(火)
  • 客室:メインタワー高層階・富士山ビューのツインルームを確約
  • 料金:1室2名利用時、1名10,350円~(室料のみ)
  • 夕食:日本食レストラン「味街道 五十三次」で特製「富士山御膳」(1日10食限定)
  • 朝食:ブッフェレストラン「LUXE DINING HAPUNA」
  • 特典:葛飾北斎の浮世絵風呂敷(1滞在につき1名1枚)
  • 見えなかった場合のフォロー:「富士山はかくれんぼ賞」

都市型ホテルでありながら、富士山ビュー・和食・日本美術という要素を組み合わせ、「都心にいながら富士山の旅」を完結させる構造になっています。

2. 「味街道 五十三次」と富士山御膳の位置づけ

東海道五十三次の宿場名を冠した「味街道 五十三次」での富士山御膳は、

  • 料理そのものの味わい
  • ライブ感のある眺望
  • 江戸文化への想像

といった複数のレイヤーで価値を提供する仕掛けと考えられます。

旅館向けのインバウンド受入ポイント集でも、「和食は人気が高い一方で、量の調整や洋朝食・コーヒーの選択肢があると安心感が高まる」と指摘されています。 富士山御膳のような“テーマ性のある和食”と合わせて、朝食や追加メニューで柔軟な選択肢を用意することが、インバウンド受け入れの質向上につながりそうです。

3. ノベルティとブランドコンセプトの接続

北斎の浮世絵風呂敷というノベルティは、

  • 訪日客にとってのお土産
  • リピーターにとってのコレクション性
  • SNSに投稿したくなるビジュアル要素

など、多面的な価値を持つアイテムです。

ホテルのブランドコンセプトである「FUN! Goes On」とも親和性が高く、「あの頃もこれからも、わたしの楽しいがここに」というメッセージを、具体的なモノと体験で体現していると言えるでしょう。

自社への活かし方のヒント|品川プリンスホテルの事例を自館に応用する

1. 自館ならではの「ビュー資産」を洗い出す

品川プリンスホテルは「富士山ビュー」を前面に出しましたが、他の地域でも、

  • 海・湖・川・棚田などの水辺の景観
  • 城・寺社・街並み・イルミネーション
  • 工場夜景・星空・鉄道ビュー

など、まだ商品化されていない「ビュー資産」が眠っているケースが多いはずです。

まずはスタッフとともに館内外を見直し、「◯◯ビュー」を名乗れる資産を棚卸ししてみると良いかもしれません。観光庁の経営改善マニュアルでも、顧客価値を高めるために自館の強み・資源を可視化することが重要とされています。

2. 歴史・文化ストーリーを商品名と特典に落とし込む

品川プリンスホテルの富士山ビューステイのように、

  • プラン名
  • 提供場所(レストラン名、ラウンジ名)
  • 特典(風呂敷、オリジナルカードなど)

を一つのストーリーでつなぐと、旅行会社のパンフレットやOTA上でもわかりやすく訴求できます。

自館周辺の歴史・文化・人物を調べ、

  • 「◯◯藩ゆかりの夕餉」
  • 「○○温泉 星降る湯けむりステイ」
    といった形で、物語性のある名前を検討することも選択肢になりそうです。

3. 天候・混雑リスクに備えた“がっかり対策”を仕組みにする

富士山はかくれんぼ賞のような取り組みは、スタッフの裁量やその場しのぎのサービスではなく、最初から仕組みとして組み込んでいる点がポイントです。

自館でも、例えば次のような設計が考えられます。

  • 花火が中止になった場合のドリンクチケット配布
  • 星空観賞ができなかった際のプラネタリウム動画視聴・ロビーでのミニ解説会
  • ショーやイベントが中止になった時の、次回割引クーポン

あらかじめ「こういう時はこうする」というルールをチームで共有しておくと、現場の判断がスムーズになり、従業員のストレス軽減にもつながるでしょう。観光庁の生産性向上ハンドブックでも、安易な人員増よりも業務の見える化と仕組みづくりが重要とされています。

4. インバウンド対応と従業員エンゲージメントを両立させる

品川プリンスホテルのようなテーマ性の高いプランは、現場スタッフにとっても提案しやすく、やりがいにつながりやすいテーマです。

  • 眺望に合わせた声かけ(「今、富士山のシルエットが一番きれいなお時間です」など)
  • 北斎や品川宿にまつわる簡単なトークスクリプト
  • 英語・中国語でのシンプルな紹介フレーズ

を共有することで、「売るためのプラン」から「スタッフが誇りを持って案内できるプラン」に変わっていきます。インバウンド対応テキストでも、完璧な英語よりも「必要な情報を笑顔で伝える姿勢」が重要とされており、デジタル翻訳や多言語シートの活用も推奨されています。

こうした工夫を通じて、品川プリンスホテルのように「FUN」な体験づくりをチーム全体のプロジェクトとして進めていくと、従業員エンゲージメント向上にもつながっていきそうです。

まとめ

  • 品川プリンスホテルの「富士山ビューステイ~富嶽を想う宵~」は、富士山の眺望と和のおもてなし、北斎の浮世絵などを組み合わせた、都市型ホテルならではの高付加価値な宿泊プランと言えるでしょう。
  • 2024年のインバウンド市場は訪日客数・消費額ともに過去最高となり、「自然・ウェルネス・聖地性」を兼ね備えた富士山コンテンツは、今後も高い需要が見込まれるテーマの一つと考えられます。
  • 自館においても、ビュー資産や歴史ストーリーを棚卸しし、品川プリンスホテルのようにプラン名・食事・ノベルティを一体で設計しておくと安心です。
  • 天候や混雑といったコントロールしづらい要素には、「富士山はかくれんぼ賞」のような前向きな“がっかり対策”を用意しておくという選択肢もあります。従業員が胸を張って案内できる仕組みづくりを、今回の事例をきっかけに振り返ってみるとヒントが見つかるかもしれません。

企業情報

  • 会社名:株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイド
  • ホテル名:品川プリンスホテル
  • 所在地(品川プリンスホテル):東京都港区高輪4-10-30
  • 総支配人:春山新悟

本リリースに関するお問い合わせ

  • 担当:宿泊予約係
  • 電話番号:03-3440-1111
  • 受付時間:10:00〜18:00

参考資料

出典:PR TIMES『【品川プリンスホテル】天空の富士と和のおもてなし 葛飾北斎が愛した富士山と現代を紡ぐ冬のひととき~Fuji-Sun で、Stay in FUN~』(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000563.000021564.html

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