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琉球オリオンホテル 那覇国際通りのリブランド戦略と朝食・アメニティ強化

期間限定で開催する「スペシャルランチビュッフェ」
CoCoRo編集部

琉球オリオンホテル 那覇国際通りの新たな取り組みは、那覇のシティホテルがこれからどのように差別化し、滞在価値を高めていくかを考える上で参考になる事例といえそうです。この記事では、ホテル・旅館の経営者や企画担当者に向けて、今回のニュースを「朝食・アメニティ・移動サービス」という3つの切り口から読み解き、自社で応用できるポイントを整理します。

この記事の目次
  1. 本記事のポイント
  2. ニュースの概要
  3. 宿泊業にとってのポイント ─ 琉球オリオンホテル 那覇国際通りの事例から
  4. 背景と理由の整理 ─ 那覇国際通りエリアと琉球オリオンホテル 那覇国際通りの文脈
  5. 具体的な取り組み・ニュース内容の解説 ─ 琉球オリオンホテル 那覇国際通りの3つのアップデート
  6. 自社への活かし方のヒント ─ 琉球オリオンホテル 那覇国際通りを参考に
  7. まとめ
  8. 企業情報

本記事のポイント

  • 琉球オリオンホテル 那覇国際通りのリブランド内容を、朝食ビュッフェ・アメニティ・移動サービスの3軸で整理し、シティホテルの高付加価値化のヒントを紹介します。
  • ブランドアメニティ導入やプレミアフロア差別化、レンタカー・レンタサイクル連携など、那覇国際通りエリアならではのニーズに応えた施策から、客単価アップと顧客満足向上の考え方を学びます。
  • 従業員エンゲージメントや業務効率にも配慮しながら、琉球オリオンホテル 那覇国際通りのようなリブランドを自社で段階的に進めるための具体的な検討ステップを解説します。
琉球オリオンホテル 那覇国際通り
琉球オリオンホテル 那覇国際通り

ニュースの概要

2025年10月1日にリブランドオープンしたシティホテル「琉球オリオンホテル 那覇国際通り」(沖縄県那覇市)は、2025年12月15日から館内サービスのアップデートを実施すると発表しています。コンセプトは“沖縄をもっと楽しくする。”滞在の実現であり、宿泊客の体験価値向上を狙った内容になっています。

アップデートの柱は3つです。1つ目は朝食の全面リニューアルで、これまでのハーフビュッフェからフルビュッフェ形式へ変更し、焼きたてクロワッサンや炭火焼きグリル料理などを提供するとしています。会場は1階レストラン「THE ORION BEER DINING」で、宿泊客だけでなく地元客にも開放する方針です。

2つ目は全客室アメニティのグレードアップです。全客室にコーセーの薬用「雪肌精」スキンケア4点セットを導入し、さらにプレミアフロアにはサンフランシスコ発祥ブランド「AGRARIA」のバスアメニティを採用するとしています。沖縄の強い日差しなどの環境を踏まえた商品選定という位置付けです。

3つ目は移動手段の充実です。空港到着後のレンタカー手続きの混雑といった課題に対応するため、ホテル館内にレンタカーカウンターを新設し、ゆいレール牧志駅から徒歩3分という立地を活かした導線を整備するとしています。加えて、エントランス付近には「GREEN RIDE OKINAWA」のレンタサイクルも設置し、近距離移動の選択肢を増やします。

さらに、リブランドを記念して2025年12月20日から2026年1月4日までの期間限定で「スペシャルランチビュッフェ」を開催するとしています。炭火焼きワゴンで仕上げる国産牛リブロースステーキや、多彩なデザートコーナーを用意し、ライブ感のある食体験を提供する構成です。

宿泊業にとってのポイント ─ 琉球オリオンホテル 那覇国際通りの事例から

琉球オリオンホテル 那覇国際通りが示す「朝食ビュッフェ」の位置付け

琉球オリオンホテル 那覇国際通りは、朝食を単なる付帯サービスではなく、「ホテルブランドを体感してもらうショーケース」として再設計しているように見えます。ハーフビュッフェからフルビュッフェへの転換は、メニューの選択肢拡大だけでなく、滞在の満足度や写真映えを意識した動きと捉えられます。

とくに那覇・国際通りエリアは周辺に飲食店が多く、宿泊だけでは差別化が難しいエリアです。朝食の魅力強化と地元客への開放は、「宿泊+朝食」だけでなく「朝食のみ利用」の需要も取り込むことで、客層拡大と売上アップの両方を狙う戦略と考えられます。

アメニティ強化はプレミアフロア戦略と口コミ強化につながる

全室に有名ブランドのスキンケアセットを導入し、プレミアフロア限定で海外ブランドのバスアメニティを用意する取り組みは、「標準」と「プレミアム」の違いを分かりやすく見せる手段です。琉球オリオンホテル 那覇国際通りのようなシティホテルでは、客室自体の広さに大きな差が出しにくいケースも多く、アメニティや備品の違いがアップグレードの動機になりやすくなります。

また、ブランドアメニティは特に女性客やカップル、記念日利用のゲストに刺さりやすく、レビューサイトやSNSでも言及されやすい要素です。結果として、客単価だけでなく口コミ評価やリピーター獲得にも寄与する可能性があります。

移動サービスの充実は「ストレスのない旅程」を提供する視点

那覇空港到着後、レンタカーの手続きに時間がかかるという声は、沖縄の旅行者にとって定番のストレス要因です。琉球オリオンホテル 那覇国際通りがホテル内にレンタカーカウンターを設け、レンタサイクルも用意したことは、こうした「旅のつまずきポイント」を解消しようとする取り組みといえます。

移動のしやすさは、観光体験の満足度に直結します。シティホテルが移動サービスの入口を担うことで、「チェックイン後すぐに観光に出られる」「近隣スポットを自転車で気軽に巡れる」といった体験が生まれ、滞在全体の評価を押し上げる効果が期待できます。

従業員エンゲージメントの観点から見たリブランド

朝食のライブキッチン演出や、プレミアフロアのアメニティ説明、レンタカーカウンターやレンタサイクル案内などは、現場スタッフがお客さまとコミュニケーションを取りやすい場面を増やす施策でもあります。琉球オリオンホテル 那覇国際通りのようにサービスを拡充する際には、「スタッフが自信を持って勧められる仕組み」までセットで設計しておくと、従業員エンゲージメント向上にもつながりやすいでしょう。

背景と理由の整理 ─ 那覇国際通りエリアと琉球オリオンホテル 那覇国際通りの文脈

那覇・国際通りエリアの競争環境

那覇市の国際通り周辺は、国内外の観光客が集中するエリアであり、ホテル・旅館・ゲストハウスが密集しています。そのなかで琉球オリオンホテル 那覇国際通りのようなシティホテルは、「駅近」「国際通り徒歩圏内」といった立地の良さがある一方で、設備や価格だけでの差別化が難しくなりがちです。

そのため、朝食・アメニティ・移動サービスといった付加価値領域で「ここを選ぶ理由」をつくることが、今後の宿泊業において重要になってきています。

観光ニーズの変化と“体験価値”へのシフト

ポストコロナ以降、旅の目的が「観光地を巡る」だけでなく、「その土地ならではの時間を楽しむ」「心身をリフレッシュする」など、体験価値にシフトしていると言われています。沖縄旅行でも、きれいな海だけでなく、「地元の食」「街歩き」「カフェやバーの利用」といった過ごし方が重視される傾向が強まっています。

琉球オリオンホテル 那覇国際通りが、炭火焼きステーキや多彩なデザートを備えたランチビュッフェを打ち出しているのも、館内での“食の体験”を充実させることで、ホテル自体を滞在の目的地に近づける狙いがありそうです。

移動ストレスの軽減は口コミ対策にも直結

空港・ホテル間や観光地間の移動でストレスがたまると、滞在全体の評価が下がりやすくなります。特に沖縄では、レンタカーの受け渡しや渋滞が旅程に大きく影響することが多く、「もっとスムーズに動けたら良かった」という声が口コミに残ることも少なくありません。

琉球オリオンホテル 那覇国際通りのように、ホテル内でレンタカー手続きができる仕組みを整えたり、レンタサイクルで近隣の散策を提案したりすることは、こうした移動ストレスを和らげ、「また泊まりたい」「友人にも勧めたい」というポジティブな評価につなげる手段にもなります。

具体的な取り組み・ニュース内容の解説 ─ 琉球オリオンホテル 那覇国際通りの3つのアップデート

1. 朝食ハーフビュッフェからフルビュッフェへの進化

琉球オリオンホテル 那覇国際通りは、館内1階「THE ORION BEER DINING」で提供する朝食を、従来のハーフビュッフェからフルビュッフェへ刷新するとしています。これにより、ゲストはより多くのメニューから自由に選べるようになり、「朝から好きなものを少しずつ楽しみたい」というニーズに応えやすくなります。

シェフこだわりのホテルメイドクロワッサンや、チャコールグリルで仕上げる3種類のグリル料理といった“看板メニュー”を前面に出している点も注目ポイントです。単に品数を増やすのではなく、「ここでしか食べられない朝食」というストーリーを作り込んでいることがうかがえます。

また、料金は大人2,500円、子ども1,250円(6~12歳)、5歳以下無料とし、宿泊客だけでなく地元客にも開放する構成としています。地元の方が朝食ビュッフェを利用しやすい価格・時間帯に設定することで、「地域の朝食スポット」としてのポジションを狙っているとも考えられます。

リニューアルした朝食ビュッフェ
リニューアルした朝食ビュッフェ

2. 雪肌精とAGRARIAによるアメニティの二段構え

アメニティ面では、琉球オリオンホテル 那覇国際通りは2つのレイヤーで差別化を図っています。

  • 全客室共通:薬用「雪肌精」シリーズ(クレンジング・洗顔料・化粧水・乳液)のスキンケア4点セットを設置
  • プレミアフロア限定:AGRARIAのシャンプー・コンディショナー・ボディソープ・ボディローションを導入(レモンバーベナの香り)

全室にスキンケアセットを置くことで、「手ぶらで来ても安心」「沖縄の強い日差しを浴びた後でもしっかりケアできる」という安心感を提供できます。一方で、プレミアフロアでは香りのよいバスアメニティで特別感を演出し、「少し良い部屋を選んだ価値」を実感してもらう狙いがあると考えられます。

このようなアメニティの設計は、琉球オリオンホテル 那覇国際通りだけでなく、他の宿泊施設でも取り入れやすいアイデアです。標準フロアと上位フロアで使うブランドやアイテムを変えることで、追加料金の納得感を高めることができそうです。

3. レンタカーカウンターとレンタサイクルで移動手段を強化

琉球オリオンホテル 那覇国際通りは、館内にレンタカーカウンターを新設し、エントランス付近に「GREEN RIDE OKINAWA」のレンタサイクルを設置するとしています。ゆいレール牧志駅から徒歩3分という利便性と組み合わせることで、次のような動線が描けます。

  • 空港からはゆいレールでホテル最寄り駅へ移動
  • ホテルでチェックイン後、館内カウンターでレンタカーを手配
  • 近場の観光や買い物はレンタサイクルで気軽に移動

このように、琉球オリオンホテル 那覇国際通りでは、「空港で並ぶ時間」や「移動手段を探すストレス」を館内サービスで吸収しようとしていると考えられます。宿泊業全体としても、交通事業者やモビリティ企業との連携は今後ますます重要になるテーマです。

ホテル内にレンタカーカウンターとレンタサイクルを設置
ホテル内にレンタカーカウンターとレンタサイクルを設置

4. リブランド記念「スペシャルランチビュッフェ」で地元と観光客を巻き込む

リブランド記念として開催されるスペシャルランチビュッフェは、琉球オリオンホテル 那覇国際通りにおける「館内レストランの顔づくり」とも言えます。期間は2025年12月20日から2026年1月4日までと年末年始の繁忙期をカバーしており、家族連れや観光客、地元客を幅広く狙った企画です。

特に、チャコールグリルワゴンで仕上げる国産牛リブロースステーキをシェフが客席で提供する演出は、「ライブ感」と「特別感」を兼ね備えています。デザートコーナーも、フレンチトーストやドーナツ、台湾カステラなど、多彩なスイーツを用意するとしており、写真映えやSNS投稿も意識した構成と見ることができそうです。

こうした期間限定イベントを通じて、琉球オリオンホテル 那覇国際通りは「リブランドしたこと」を市場に強く印象づけ、今後の通常営業につなげようとしていると考えられます。

リブランド記念スペシャルランチビュッフェ
リブランド記念スペシャルランチビュッフェ

自社への活かし方のヒント ─ 琉球オリオンホテル 那覇国際通りを参考に

1. 朝食の役割を再定義し、ターゲットごとの価値を整理する

まず、自社の朝食が「どのような役割を担っているか」を整理してみると良さそうです。

  • 宿泊者への基本サービスとしての朝食なのか
  • 客単価を上げるための収益源なのか
  • 地元客も含めた来店動機づくりの核なのか

琉球オリオンホテル 那覇国際通りのように、フルビュッフェ化やライブキッチンを導入することが難しい場合でも、「地元食材を使ったシグネチャーメニューを1品決める」「日替わりの“県産野菜コーナー”を作る」といった小さな工夫から始めることもできます。

また、宿泊者と外来客で価格設定や利用時間帯を変えるなど、ターゲットに応じた設計を行うと、客層を広げつつ収益性も確保しやすくなります。

2. アメニティは「ターゲット×フロア」で設計する

アメニティ導入を検討する際は、次のような観点で整理すると自館に合った形が見えやすくなります。

  • 誰にとって価値が高いか(例:インバウンド、女性客、長期滞在者など)
  • どのフロア・客室タイプで差別化するか(スタンダード/プレミアム)
  • 自館の立地や気候から、どのようなケアが求められているか

琉球オリオンホテル 那覇国際通りのように、「全室共通で安心感を提供するアメニティ」と「上位フロアの特別感を出すアメニティ」を分けて設計する方法は、多くの施設で応用できる考え方です。

高価なブランドアメニティをいきなり全館導入するのではなく、「まずは上位カテゴリーの数室から試して反応を見る」という段階的な導入も一つの選択肢があります。

3. 移動サービスを“おもてなし”の一部として設計する

モビリティへの取り組みは、単にレンタカー会社やレンタサイクルを紹介するだけでなく、「旅全体のストレスを減らす」というおもてなしの延長線上にあると捉えると方向性が見えやすくなります。

例えば次のような工夫が考えられます。

  • フロントや事前案内メールで、「空港からのスムーズな移動ルート」を具体的に提示する
  • レンタカー・レンタサイクル・バス・タクシーなど、それぞれの長所とおすすめシーンを分かりやすくまとめる
  • 提携事業者がいない場合でも、「徒歩で回れる近隣スポットマップ」を用意する

琉球オリオンホテル 那覇国際通りのように館内にカウンターを設置することが難しい施設でも、情報提供や予約サポートの充実で「移動の不安を取り除く」ことは可能です。

4. 従業員エンゲージメントを高めるリブランドの進め方

サービス内容のアップデートは、現場負担が増えるとネガティブに受け止められることもあります。琉球オリオンホテル 那覇国際通りのようなリブランド施策を自社で行う場合は、次のような進め方を意識してみると良さそうです。

  • メニューやアメニティ選定の段階から、現場スタッフの意見を取り入れる
  • 新しいサービスの「こだわりポイント」をスタッフ自身の言葉で説明できるよう、共有の場を設ける
  • 朝食会場やレンタサイクルなど、新しいサービスの成功体験をスタッフ間で共有し、「自分たちの提案が形になった」実感を持ってもらう

こうしたプロセスを踏むことで、琉球オリオンホテル 那覇国際通りのようなリブランド施策が、「現場の負担増」ではなく「チームで成し遂げた変化」として受け止められやすくなります。

まとめ

  • 琉球オリオンホテル 那覇国際通りの事例は、朝食ビュッフェ・アメニティ・移動サービスの3軸で滞在価値を高める、シティホテルのリブランド戦略として参考になる内容といえそうです。
  • 自館でも、フルビュッフェ化やブランドアメニティ導入といった大きな投資だけでなく、「シグネチャーメニューの設定」や「上位フロアだけの特別アメニティ」など、小さく試す施策から始めていくという選択肢もあります。
  • 移動サービスの充実は、ゲストのストレス軽減と口コミ評価向上に直結します。館内での手配が難しい場合でも、分かりやすい交通案内や提携先の整理をしておくと安心です。
  • リブランドやサービスアップデートの際は、従業員エンゲージメントの観点を忘れず、現場の意見を取り入れながら段階的に改善していくことで、長期的に続く高付加価値経営につながっていくと考えられます。

企業情報

会社名:株式会社ケン・ホテル&リゾートホールディングス
事業内容:ホテル・旅行・ブライダル事業。自社ブランドに加え、HyattやHiltonなどの外資系ブランドとフランチャイズ提携し、国内外で複数のホテルを展開していると説明しています。
公式サイト株式会社ケン・ホテル&リゾートホールディングス

施設名:琉球オリオンホテル 那覇国際通り
所在地:〒902-0067 沖縄県那覇市安里1丁目2番21号
規模:地下2階/地上9階
客室数:205室
主な施設:ビアダイニング「THE ORION BEER DINING」、大中小あわせて4つの宴会場
開業日(リブランドオープン):2025年10月1日
アクセス:沖縄都市モノレール「ゆいレール」牧志駅より徒歩3分
公式サイト琉球オリオンホテル 那覇国際通り 公式サイト

出典:PR TIMES『“沖縄をもっと楽しくする。” 滞在へ、「琉球オリオンホテル 那覇国際通り」がレストランメニューやアメニティなどサービス内容をアップデート』https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000130.000012186.html

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