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コンフォートホテルERA札幌北口で学ぶ共創型ホテル運営の実践ポイント

初の新築ホテルとなるコンフォートホテルERA札幌北口
CoCoRo編集部

は、駅北口から徒歩約5分に位置する新築のライフスタイル型です。全国で展開されている「コンフォートホテルERA」ブランドの5軒目であり、地元高校生や産のサステナブル素材を取り入れた客室アート、札幌らしさを感じる、30種類以上のなど、と滞在体験を重視した構成が特徴とされています。
本記事では、このコンフォートホテルERA札幌北口のニュースをの経営や向上のヒントとして読み解きます。

本記事のポイント

  • コンフォートホテルERA札幌北口が打ち出す「札幌らしさ×ライブラリーカフェ×朝食ビュッフェ」は、地方ホテルでも応用しやすい共創型コンセプトの好例と考えられます。
  • 地元高校生アートやホタテ貝殻アートなど、コンフォートホテルERA札幌北口の取り組みは、と地域との共創を同時に実現する仕掛けとして参考になります。
  • 時間帯別サービスやカフェ空間の使い分けは、客単価アップだけでなく、スタッフの接客スタイルの多様化・従業員エンゲージメント向上の場としても活用できそうです。

ニュースの概要

コンフォートホテルERA札幌北口は、株式会社チョイスホテルズジャパンが北海道札幌市に開業する新築ホテルです。JR札幌駅北口から徒歩約5分という立地で、観光・ビジネスのどちらにも使いやすいロケーションとされています。ブランドコンセプトは「自分らしく、アクティブに。」で、ハード・ソフトの両面からこのコンセプトを体現すると説明しています。

全122室の客室には、地元の市立札幌藻岩高等学校の高校生が制作したボタニカルペイントアートや、北海道産ホタテの貝殻を粉末化したサステナブル素材を用いたアート作品「札幌の雪」などを導入し、地域との共創による空間づくりを特徴としているとしています。さらに、全室にオリジナルの7ゾーンマットレスや快眠枕、ベッドパッドを採用し、「眠り」の質にもこだわっていると述べています。

2階には「Comfort Library Cafe」が設置され、白樺や動物モチーフのアート、雪をイメージした照明などで札幌らしさを演出。ブックディレクターが選書した約300冊の本や、フリーWi-Fi、コンセントを備え、チェックイン前後も利用可能な宿泊者無料のオープンスペースとして運営するとしています。

朝食は「Cheerful Morning」をコンセプトに、スープカレーや銀鮭グリルなどの札幌限定メニュー、北海道産豚肉を使ったローストポークや酪農メニュー、写真映えするパフェ風サラダやオープンサンドなど、30種類以上のメニューを用意すると発表しています。

さらに、時間帯別サービスとして、10:00〜24:00のドリンクサービス、14:00〜17:00の「Sweets Time」では札幌北口限定の北海道ミルククッキーの無料提供、17:00〜23:00の「Cocktail Time」では札幌ゆかりのアルコールドリンク(有料)とスナック提供を行うとしています。

宿泊業にとってのポイント

コンフォートホテルERA札幌北口が示す「共創」と「札幌らしさ」の作り方

コンフォートホテルERA札幌北口の大きな特徴は、「札幌らしさ」をホテルのあらゆるタッチポイントに組み込んでいる点です。客室内アートからライブラリーカフェ、朝食ビュッフェ、時間帯別サービスまで、一貫したストーリーで地域性を打ち出していると見ることができます。

多くの宿泊施設では「ご当地感」を出すために、名物料理や観光パンフレットに頼りがちですが、コンフォートホテルERA札幌北口では、地元高校生アートやホタテ貝殻の再活用といった形で、地域の人や素材を巻き込みながらホテルのブランド体験に組み込んでいる点が特徴的です。これは、地域住民や教育機関との関係構築にもつながり、採用や広報の観点でもメリットが期待できそうです。

コンフォートホテルERA札幌北口と従業員エンゲージメント

コンフォートホテルERA札幌北口のように、ストーリー性のあるアートやライブラリーカフェ、時間帯別サービスを設計すると、従業員エンゲージメントの向上にもつながりやすくなります。スタッフが単にチェックインや配膳をこなすだけでなく、「このアートにはこんな背景があります」「この朝食は札幌ならではの食材を使っています」と、自信を持って説明できる題材が増えるためです。

また、ライブラリーカフェや朝食ビュッフェは、運営側の創意工夫が反映されやすい場です。例えば、季節ごとの本の入れ替えやおすすめメニューのPOPづくりなどをスタッフ主体で行うことで、「アイデアが形になる職場」としての実感が生まれやすくなります。このような仕掛けは、コンフォートホテルERA札幌北口に限らず、中小規模の宿泊施設でも取り入れやすいポイントではないでしょうか。

背景と理由の整理

札幌エリアでの宿泊需要と「駅近+体験価値」の重要性

コンフォートホテルERA札幌北口は、JR札幌駅北口から徒歩約5分という立地を活かし、観光・ビジネス双方のニーズを取り込もうとしています。札幌は道内の玄関口であり、ビジネス出張・道内周遊・冬のレジャーなど、多様な需要が集中しやすいエリアです。

その中で、単なる「駅近」では価格競争に陥りがちですが、コンフォートホテルERA札幌北口のように、ライブラリーカフェや朝食ビュッフェ、時間帯別サービスなど“ホテル内で完結する体験価値”を強化することは、差別化と単価アップに有効だと考えられます。

サステナブル素材と地域アートの活用理由

ツインスタンダードに設置される「札幌の雪」は、廃棄予定の北海道産ホタテ貝殻を粉末化してサステナブル素材として活用したアート作品と説明されています。このような素材選定は、環境配慮への姿勢を示すだけでなく、「北海道らしい資源を使ったストーリー性のあるインテリア」として、ゲストの記憶に残りやすい要素にもなります。

サステナブル素材を活用したアート作品「札幌の雪」を設置するツインスタンダード
サステナブル素材を活用したアート作品「札幌の雪」を設置するツインスタンダード

同時に、地域高校生のボタニカルアートや地元食材の活用は、地域との関係性づくりという観点でも重要です。宿泊施設が地域の若者の作品発表の場になれば、家族や学校関係者にも親しみを持ってもらいやすくなり、地域からの支持を得るきっかけにもなり得ます。コンフォートホテルERA札幌北口の取り組みは、こうした「地域との共創」を意識した設計になっていると見てよいでしょう。

高校生が制作したボタニカルペイントアートを展示する1ベッドルーム(クイーンエコノミー)
高校生が制作したボタニカルペイントアートを展示する1ベッドルーム(クイーンエコノミー)

朝食ビュッフェ強化の背景

朝から笑顔に、元気になれる30種類以上の豊富な朝食ビュッフェ
朝から笑顔に、元気になれる30種類以上の豊富な朝食ビュッフェ

30種類以上の朝食メニューに加え、スープカレーや銀鮭のグリルなどのご当地メニュー、3種のチーズ・ヨーグルトなどの酪農メニュー、パフェ風サラダやオープンサンドなど、コンフォートホテルERA札幌北口の朝食は「一日のスタートを楽しむ体験」として設計されていると説明されています。

宿泊業において、朝食はクチコミ・SNSで「差」が出やすいポイントです。写真映えするメニューや、地産地消の説明を添えたメニュー構成は、OTAのレビューやSNS投稿を通じて集客につながりやすく、結果として販売戦略上も意味を持ってきます。

具体的な取り組み・ニュース内容の解説

コンフォートホテルERA札幌北口の客室設計と滞在シーン

クイーンエコノミー
クイーンエコノミー

コンフォートホテルERA札幌北口の客室は全122室で、クイーンエコノミー69室、ツインスタンダード51室などを中心に構成されています。2名利用を前提にした客室が多く、手足を伸ばしてくつろげるベッドサイズを備えることで、カップル・友人同士・親子利用などのレジャー需要を意識した設計と考えられます。

全室に導入される「チョイスオリジナル7ZONEマットレス」やオリジナル快眠枕「チョイス ピロー」「チョイス ベッドパッド」は、寝具にこだわることで「よく眠れるホテル」という印象を強める狙いがありそうです。旅の疲れを癒やす「回復の時間」をしっかりデザインすることは、リピート促進にもつながります。

また、女性ゲストに配慮した「リフトドライヤースマート」や「ReFa FINE BUBBLE U」などの美容家電を全室に設置することで、「美容に配慮したホテル」というイメージも打ち出しています。こうした設備は説明次第で価値が大きく変わるため、スタッフがしっかりと特徴を把握し、チェックイン時や客室内ツールで訴求することが重要になりそうです。

ライブラリーカフェと時間帯別サービスの運用イメージ

札幌の要素を取り入れた空間Comfort Library Cafe
札幌の要素を取り入れた空間Comfort Library Cafe

Comfort Library Cafeは、白樺や動物モチーフのアート、雪をイメージした照明などを配置し、札幌の都市と自然が共存する街並みを表現した空間とされています。ブックディレクターによる選書で300冊以上の本を揃え、旅・食・酒・偉人・文化などのテーマごとに分類することで、ゲストの滞在中の「余白時間」に新しい体験を提供する設計です。

時間帯別のサービスは、宿泊業にとっても運営のヒントになります。

  • 10:00〜24:00:コーヒーやカフェラテ、紅茶、日本茶などのフリードリンク
  • 14:00〜17:00:「Sweets Time」として札幌北口限定・北海道ミルククッキーを無料提供
  • 17:00〜23:00:「Cocktail Time」として札幌ゆかりのアルコールドリンク(有料、1杯500円)と無料スナック

このように、同じスペースを時間帯によって役割分担させることで、追加投資を抑えながら客単価アップと満足度向上を両立しようとしているのが分かります。コンフォートホテルERA札幌北口では、チェックイン前後の利用も可能とすることで、早着ゲストやレイトチェックアウトゲストの滞在満足度も高めようとしていると考えられます。

朝食ビュッフェの料金・ターゲット設定

コンフォートホテルERA札幌北口の朝食ビュッフェ料金は、大人1,800円、添い寝小学生950円、未就学児無料と発表されています。家族利用を意識した価格設定であり、「大人も子どもも朝から笑顔に、元気になれる朝食」というコンセプトに沿った設計といえそうです。

スープカレー、銀鮭のグリル、北海道産豚肉のローストポークやポークグリル、3種のチーズ・ヨーグルトといったメニューは、「北海道らしさ」「写真映え」「栄養バランス」を兼ね備えています。パフェ風サラダやオープンサンドなど、ゲストが自分で組み合わせを楽しめるメニュー構成は、「体験型朝食」としてSNSでの発信も期待できるでしょう。

自社への活かし方のヒント

コンフォートホテルERA札幌北口から学ぶ「一つ上のビジネスホテル化」

コンフォートホテルERA札幌北口の事例は、「価格勝負からの脱却を図りたいビジネスホテル」にとって多くの示唆があります。特に次の3点は、規模に関わらず取り入れやすいポイントです。

  1. 地元高校・大学との連携による客室アートや館内装飾の制作
  2. ライブラリーコーナーやミニカフェスペースの設置と選書の工夫
  3. 朝食ビュッフェの一部を「ご当地メニュー」「写真映えメニュー」として明確に打ち出す

コンフォートホテルERA札幌北口ほど大規模でなくても、「1フロアだけアートフロアにする」「ロビーの一角だけミニライブラリーにする」など、小さく始めることもできそうです。

従業員エンゲージメントを高める運営の工夫

コンフォートホテルERA札幌北口のように、物語性のあるコンテンツが多いホテルでは、従業員が「ただの作業者」ではなく、「ストーリーを伝えるナビゲーター」として活躍しやすくなります。自社でも、次のような工夫を検討してみると良いかもしれません。

  • 高校生アートやサステナブル素材の背景をまとめた「館内ストーリーブック」を作成し、スタッフ勉強会を実施する
  • ライブラリーカフェの本の入れ替えや、朝食のおすすめメニューPOPをスタッフ発案で決める仕組みをつくる
  • 「Sweets Time」「Cocktail Time」のように、時間帯とターゲットを決めたサービスを考え、スタッフのアイデアを反映する

このような仕組みは、コンフォートホテルERA札幌北口に限らず、旅館・小規模ホテル・ゲストハウスでも応用でき、従業員エンゲージメント向上とサービス改善を同時に進めるうえで有効な選択肢になりそうです。

サステナビリティと地域共創を「伝える」工夫を

ホタテ貝殻の再利用アートのようなサステナブル素材の活用は、単に設置するだけではゲストに伝わりにくい場合があります。コンフォートホテルERA札幌北口のような取り組みを自社で行う場合には、次のような「伝え方」もセットで検討しておくと安心です。

  • 客室内やエレベーター内に、アートや素材の背景を簡潔に説明するカード・サインを掲示する
  • 朝食会場やライブラリースペースに、「地産地消」「フードロス削減」などの取り組みを分かりやすく示すパネルを置く
  • スタッフが説明しやすいように、社内向けのQ&Aリストやトークスクリプトを用意する

こうした工夫によって、コンフォートホテルERA札幌北口が目指すような「地域共創」「サステナブルなホテル運営」の価値がゲストに伝わりやすくなり、自社のブランドイメージ向上にもつながると考えられます。

まとめ

  • コンフォートホテルERA札幌北口は、札幌駅北口徒歩約5分の新築ホテルとして、アート・朝食・ライブラリーカフェを軸にした共創型ホテル運営を打ち出していると整理できます。
  • 地元高校生アートやホタテ貝殻アート、北海道食材を使った朝食ビュッフェなど、サステナビリティと地域共創を両立した取り組みは、中小規模の宿泊施設でも段階的に取り入れられる要素が多いといえそうです。
  • コンフォートホテルERA札幌北口のように、ライブラリーカフェや時間帯別サービスを工夫することで、客単価アップだけでなく、スタッフのや従業員エンゲージメントの強化にもつながる可能性があります。
  • すべてを一度に真似る必要はなく、まずは「自施設の強みと地域らしさ」を整理したうえで、小さな共創プロジェクトから始めていくと安心です。

企業情報

  • 会社名:株式会社チョイスホテルズジャパン
  • 所在地:〒103-0002 東京都中央区日本橋馬喰町一丁目6-3 吉野第一ビル2階
  • 代表者名:代表取締役社長 伊藤 孝彦
  • 設立年月日:2000年9月
  • 資本金:2,000万円
  • 事業内容:ホテルフランチャイズの加盟店の募集・指導・管理・運営。世界46カ国以上に7,500軒以上のホテルを展開するアメリカのホテルチェーン「チョイスホテルズインターナショナル」の日本におけるマスターパートナーとして、国内でコンフォートホテル、コンフォートホテルERA、コンフォートイン、コンフォートスイーツ、Ascend Hotel Collection(TM)を展開。
  • 公式サイトURL:株式会社チョイスホテルズジャパン公式サイト

【施設情報(コンフォートホテルERA札幌北口)】

  • 施設名:コンフォートホテルERA札幌北口
  • 所在地:〒060-0807 北海道札幌市北区北七条西5丁目17番1
  • 電話番号:011-746-7411
  • FAX:011-746-7412
  • 建物概要:地上11階建て、全122室、全室禁煙
  • アクセス:JR札幌駅北口より徒歩約5分
  • 公式サイトURL:コンフォートホテルERA札幌北口 施設ページ

出典:PR TIMES『【札幌の街と共創するコンフォートホテルERAならではの滞在体験】札幌駅より徒歩約5分。ブランド初の新築ホテルとなるコンフォートホテルERA札幌北口12月18日(木)開業』https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000245.000037991.html

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