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湯の杜ホテル志戸平 いちごフェアに学ぶ地域共創と乳製品PR

湯の杜ホテル志戸平「 いちごフェア」×「岩手県産乳製品」のコラボレーション
CoCoRo編集部

を題材に、産乳製品とのコラボレーションを通じてとファンづくりをどう実現しているかを、の視点から整理していきます。
創業195周年を迎えた湯の杜志戸平では、2026年1月15日〜4月5日にかけて、県内4つの乳業メーカーと連携した「いちごフェア」を開催すると発表しています。女性客やファミリー層に人気のいちごスイーツに、岩手の多様な乳製品を掛け合わせることで、地域の生産者支援と宿泊体験価値の向上を同時にねらった取り組みと言えそうです。

本記事のポイント

  • 湯の杜ホテル志戸平が「地域のメディア」として、いちごフェアと岩手県産乳製品を組み合わせ、地域共創とブランドファンづくりを両立しようとしている狙いを整理します。
  • 売店コーナー、SNSキャンペーン、クラフト体験など、湯の杜ホテル志戸平が複数のタッチポイントを設けることで、宿泊業にとって重要なと顧客体験をどう高めているかを読み解きます。
  • 自社でも応用できる「地域食材コラボの組み立て方」「スタッフの特技を活かした体験づくり」「SNSと売店を連動させた販売導線」などの実務的なチェックポイントをまとめます。

ニュースの概要

湯の杜ホテル志戸平は、創業195周年の取り組みとして【地域共創/第2弾】となる「いちごフェア」を、2026年1月15日〜4月5日の期間限定で開催すると発表しています。フェア期間中は、県内の乳業メーカー4社(おおのミルク工房、YUDAミルク、田野畑村産業開発公社、八重樫牛乳)の乳製品を活用したデザート・料理が多数提供される予定です。

フェア前半(1月15日〜2月28日)は、プレミアム湯田ヨーグルトを使った「いちごのコールドストーンパフェ」や、たのはた牛乳のカスタードクリームを使った「いちご大福」など、苺と乳製品を組み合わせたスイーツが中心です。後半(3月1日〜4月5日)は、コールドストーンアイスやクレームブリュレ、レアチーズケーキなど、同じ乳製品でも違うメニューに展開する構成としています。

ビュッフェ会場ではスイーツだけでなく、ヨーグルトを使ったタンドリーチキンやカプレーゼ、八重樫牛乳によるグラタンやクラムチャウダーなど、食事メニューにも岩手県産乳製品を広く取り入れる予定です。あわせて、ホテル売店では「岩手県産乳製品コーナー」を設け、フェアで使っている商品やYUDAミルクのキャラクターグッズ「みるくぼーや」などを期間限定で販売するとしています。

さらに、Instagram上でのフォロー&いいねキャンペーンも実施し、各社乳製品セットや湯の杜ホテル志戸平のペア宿泊招待を抽選でプレゼントする企画も展開します。館内では、クラフトバンドで作る「いちごのキーホルダー」体験(期間中の日曜日限定)を実施し、ホテルの調理スタッフが講師として登場する点も特徴です。

宿泊業にとってのポイント

子育て・ファミリー層に刺さる湯の杜ホテル志戸平の打ち出し方

湯の杜ホテル志戸平は、すでに「ウェルカムベビーのお宿」認定を受けていることから、子育て層・ファミリー層を主要ターゲットに据えた宿づくりを継続していると読み取れます。いちごフェアも、子どもから大人まで楽しめる「いちご×乳製品」という分かりやすいテーマで、ファミリー層の「写真映え」と「味」の両方を満たしやすい構成になっています。

対応テキストでも、宿泊そのものを「文化体験」と捉え、滞在の過ごし方を具体的に伝えることが予約転換率向上につながるとされており、 こうしたコンセプト設計は国内外のゲストに有効と言えそうです。

「地域のメディア」としての役割を自覚した商品設計

今回のいちごフェアでは、「お気に入りの岩手県産乳製品を見つけて、自宅でも楽しんでほしい」というメッセージが明確に示されています。これは単なる館内消費にとどまらず、地域の乳製品そのもののファンを増やす狙いがあると考えられます。

観光庁が示す「持続可能な観光」の考え方では、環境面だけでなく、地域社会や事業者にとっての経済的な持続可能性も重視されています。 湯の杜ホテル志戸平が「地域のメディア」を掲げて地元の乳業メーカーと組む姿勢は、まさにこの方向性と整合的な取り組みと見ることもできそうです。

従業員エンゲージメントを高める「スタッフ発」コンテンツ

クラフトバンドのワークショップでは、普段は調理人として働くスタッフが講師となり、約20年続けているクラフト教室のノウハウを活かしてゲストと直接交流する形を取っています。これは、従業員の特技を活かした副次的な役割を付与することで、エンゲージメント向上とゲスト満足の両方につながる典型例と言えそうです。

観光庁の女性活躍でも、多様な人材が得意分野を活かして活躍できる場づくりが、の魅力向上と人材定着に寄与すると紹介されています。 いちごフェアのようなシーズナルイベントにスタッフ主導のコンテンツを組み込むことは、自社でも応用しやすい工夫になりそうです。

背景と理由の整理

インバウンドと地元客が交わる「地域共創」の潮流

2024年には訪日外国人旅行者数がコロナ前を超える水準に達し、旅行消費額も過去最高となったと報告されています。 人流が戻る中で、観光地が直面しているのは「集客」だけでなく、「誰のための観光か」「地域とどう共生するか」という問いです。

湯の杜ホテル志戸平は、創業195年の節目にあたり「地域への恩返し」として、岩手県産の素材や生産者の想いを発信するホテル運営を掲げています。今回のいちごフェアも、その一環として酪農家や乳業メーカーのストーリーを前面に出し、「地域のファンを増やす」ことを目的にした取り組みだと位置づけられそうです。

岩手県産乳製品を観光資源にする視点

リリースによると、岩手県内には約690戸の酪農家と約3万8,000頭の乳牛が存在し、地域ごとの環境や飼育方法の違いが乳製品の風味に多様性を生んでいると説明しています。こうした地域内のバラエティは、本来であれば宿泊コンテンツにとって強力な「語れるネタ」ですが、乳業メーカー側は認知度向上や担い手不足に課題を抱えているとしています。

観光コンテンツの基礎調査でも、訪日客は「自然・食・文化」を組み合わせた体験的なコンテンツへのニーズが高いと分析されており、 地域の農産物や加工品をとして組み立てることは、今後ますます重要になっていくと考えられます。

多様な食習慣への対応という副次的メリット

観光庁がまとめたベジタリアン・ヴィーガン/ムスリム旅行者向けガイドでは、多様な食習慣を持つ訪日客が増える中、「できる範囲で食の選択肢を広げること」が重要だとされています。 ヨーグルトや牛乳をベースにしたメニューは、肉や魚を控えたいゲストにとっても選びやすいケースが多く、表示や説明の工夫次第ではにもつながります。

湯の杜ホテル志戸平のいちごフェアは、乳製品を主役としたメニュー構成が中心ですが、原材料表記やアレルギー表示をきちんと整えることで、多様なゲストに安心して選んでもらえるメニューラインナップに発展させやすいと言えるでしょう。

具体的な取り組み・ニュース内容の解説

湯の杜ホテル志戸平いちごフェアと乳製品コラボの全体像

湯の杜ホテル志戸平のいちごフェアは、前半・後半の2期構成です。前半はパフェ・大福・ムース、後半はアイス・クレームブリュレ・レアチーズケーキと、同じ乳製品でもメニューが変化することで、リピーターや連泊ゲストにも飽きさせない工夫が見られます。

各メニューには「どの乳業メーカーの、どの商品を使っているか」が明示されており、ゲストが気に入った乳製品をその場でメモしたり、売店で探したりしやすい設計になっています。これは、単なる「いちごスイーツフェア」ではなく、「岩手県産乳製品のテイスティング機会」を兼ねたフェアと捉えることもできそうです。

岩手の乳業メーカーと湯の杜ホテル志戸平の役割分担

フェアで使用する乳製品の品質確認と生産者の皆さまの想いを伺うため、県内の乳業メーカーさんを訪問

リリースでは、各乳業メーカーの理念や商品の特徴を丁寧に紹介し、「最も新鮮な生乳からつくるヨーグルト」「成分無調整にこだわった牛乳」など、違いを打ち出しています。これにより、ゲストは「どの地域のどんなこだわりなのか」を理解したうえで料理を楽しめる構造になっています。

一方、湯の杜ホテル志戸平側の役割は、こうした乳製品を「旅の一皿」としてデザインし直し、ブッフェやデザートコーナーでの体験価値として提供することです。生産側と提供側の役割を明確にしつつ、ホテルが「ストーリーテラー」として機能している点は、他施設でも参考にしやすいポイントではないでしょうか。

売店・SNS・クラフト体験で広がるファミリー向けおもてなし

いちごフェア期間中、館内売店では「岩手県産乳製品コーナー」を展開し、フェアで使用しているヨーグルトや牛乳、関連グッズなどを販売するとしています。レストラン体験から売店購入につなげる導線を用意することで、「食べて終わり」ではなく「お土産として持ち帰る」「自宅でリピートする」機会を設計していると言えます。

また、Instagramキャンペーンでは、各社公式アカウントのフォローと投稿へのいいねを条件に、乳製品セットや湯の杜ホテル志戸平ペア宿泊招待をプレゼントする企画を実施しています。SNSを活用した販路拡大や認知向上は、観光庁のSNS活用資料でも推奨されており、プラットフォームごとの特性を踏まえて情報発信することが重要と整理されています。

さらに、クラフトバンドで作る「いちごのキーホルダー」体験は、日曜日限定・有料ながら、子どもでも取り組みやすい内容で、宿泊の思い出を形として持ち帰れるコンテンツです。ホテルスタッフが講師を務めることで、「人」で選ばれる宿づくりにもつながっていきます。

自社への活かし方のヒント

地域食材フェアを「宿の名物体験」に育てるステップ

湯の杜ホテル志戸平の事例を参考に、他の宿泊施設でも次のようなステップで地域食材フェアを設計できそうです。

  1. 自施設のコンセプトと言語化(例:ファミリー向け、ウェルネス志向など)
  2. 地域の生産者・加工業者と一緒に「どんな物語を伝えたいか」を整理
  3. メニューだけでなく、パネル・POP・スタッフの声掛けでストーリーを伝える導線を設計
  4. 売店・オンラインショップ・SNSと連動させて、「体験→購入→再訪」を循環させる

観光庁のマニュアルでは、の観点として「施設」「業務」「顧客価値」の3つを挙げ、顧客価値の向上が収益拡大に直結するとしています。 食材フェアも、単なるイベントではなく、自社の収益構造にどう寄与させるかを意識して設計しておくと安心です。

従業員エンゲージメントを高める社内プロジェクト設計

いちごのキーホルダーづくりのように、スタッフの特技や趣味を活かした体験コンテンツは、従業員の向上にもつながります。例えば次のような進め方が考えられます。

  • 社内アンケートで「得意なこと・趣味・」をヒアリング
  • 季節イベント(いちご、さくら、夏祭りなど)と結びつけてワークショップ案を募集
  • 小規模な時間帯・定員で試験実施し、ゲストの反応を見ながら磨き込む
  • 成功したコンテンツは、公式サイトやSNSで「スタッフ発の体験」として発信

観光分野の女性活躍事例でも、多様な働き方や能力発揮の場を確保することが、人材確保とサービス品質の両方に良い影響をもたらすと紹介されています。 湯の杜ホテル志戸平のような「スタッフが主役になる企画」を年間でいくつか用意しておくと、人材定着の面でもプラスになりやすいでしょう。

SNSと売店を組み合わせた収益・ファンづくり

湯の杜ホテル志戸平は、いちごフェアと連動したInstagramキャンペーンにより、「宿泊体験」と「フォロー」「お土産購入」をつなぐ仕掛けをつくろうとしています。自社で真似をする際は、次のようなポイントが参考になります。

  • ハッシュタグや撮影スポットを決めて、ゲストが写真を撮りやすくする
  • 投稿したくなる「ビジュアルの強い一皿」やディスプレイを用意する
  • 売店の商品棚にもSNSキャンペーンの案内を置き、「見た→食べた→買った→投稿した」の流れをつなげる
  • キャンペーンの賞品に「地域食材セット+自館宿泊券」を組み合わせることで、地域と宿の両方のファン育成につなげる

SNSプラットフォームごとに役割が異なることは、販路拡大に向けたSNS活用資料でも整理されており、 Instagramは特に「映え×購買」の相性が良いと考えられます。湯の杜ホテル志戸平のように、フェア開始前から告知・途中の様子・事後の振り返りまで一連の投稿計画を作っておくと、露出効果を最大化しやすくなります。

まとめ

  • 湯の杜ホテル志戸平のいちごフェアは、岩手県産乳製品と組み合わせることで、地域共創と顧客体験価値向上を同時にねらう好事例と考えられます。
  • 地域食材フェアを成功させるには、「ストーリーの見える化」「売店やSNSとの連動」「スタッフの強みを活かした体験コンテンツ」をセットで設計しておくと安心です。
  • 観光庁のガイドラインや事例集でも示されているように、持続可能な観光と高付加価値経営の視点を取り入れることで、イベントを一過性で終わらせず中長期的な収益とブランド力の向上につなげる選択肢があります。
  • 自社でも、湯の杜ホテル志戸平の取り組みを参考にしながら、「自分たちの地域なら何とコラボできるか」「どのスタッフが主役になれるか」を話し合ってみると、次の企画のヒントが見えてくるのではないでしょうか。

企業情報

参考資料

出典:PR TIMES『【地域共創/第2弾】創業195周年、湯の杜ホテル志戸平「 いちごフェア」×「岩手県産乳製品」のコラボレーションが決定!【1月15日~4月5日】』https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000129854.html

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