箱根ホテル小涌園が朝食ビュッフェでスタートした、規格外りんごを使ったアップルパイ提供の取り組みを、宿泊業やおもてなし、従業員エンゲージメントの観点から読み解きます。箱根エリアの温泉リゾートとしてファミリー層に人気の箱根ホテル小涌園が、青森のりんご農家と連携して食品ロス削減に取り組むこの事例は、同じく朝食ビュッフェを提供するホテル・旅館にとっても参考になりそうです。
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本記事のポイント(箱根ホテル小涌園アップルパイ)
- 箱根ホテル小涌園が青森の「きむら果樹園」と連携し、規格外りんごをアップルパイに加工して朝食ビュッフェで提供する取り組みを紹介
- 朝食ビュッフェを「サステナブルな体験の場」に変えることで、宿泊業としてのブランド価値向上と従業員エンゲージメント向上の両立が期待できる
- 自施設でもマネしやすい「規格外品の活用プロセス」「生産者とのストーリーテリング」「宿泊プランとの連動」のポイントを整理
ニュースの概要:箱根ホテル小涌園アップルパイ提供
箱根ホテル小涌園(神奈川県箱根町)は、青森県平川市の「きむら果樹園」が生産する規格外りんごを活用したアップルパイの提供を、2025年12月15日から朝食ビュッフェで開始したと発表しています。
きむら果樹園は100年以上続くりんご農家で、土づくりにこだわった自然環境配慮型の栽培を行い、例年約60トンのりんごを出荷していると説明しています。一方で、2025年は猛暑や暴風の影響で落果や傷・斑点が増え、外観の基準を満たさない「規格外りんご(D品)」が多く発生したとしています。
箱根ホテル小涌園では、この規格外りんごを食品ロス削減の観点から活用することを決め、「傷はあっても味は変わらない」ことに着目したアップルパイメニューを開発したと述べています。提供されるのは、生ハムとチーズを合わせ、メープルシロップをかけたアップルパイで、朝食としてもデザートとしても楽しめる構成としています。
アップルパイは箱根ホテル小涌園1階レストラン「フォンテンブロー」の朝食ビュッフェで、毎朝7:00〜9:30に提供され、ご宿泊者のみ利用可能とされています。また、ニュース内では2026年1月〜3月の宿泊プラン「【新春満福】食べて×4 遊んで×3」なども併せて紹介されています。


箱根ホテル小涌園の事例から見える宿泊業にとってのポイント
規格外品を「価値ある朝食コンテンツ」に変える
箱根ホテル小涌園の事例では、青森産のD品りんごをそのまま「安く提供する」のではなく、朝食ビュッフェの目玉となるアップルパイへと加工している点が特徴的です。
- 見た目の理由で規格外となった食材を、「朝に食べやすい甘じょっぱいメニュー」に仕立てている
- 生ハムやチーズを合わせることで、デザートだけでなく「お食事メニュー」としても成立させている
- 朝食ビュッフェという「全員が立ち寄る場」で提供することで、多くのゲストにストーリーを届けやすくしている
単に「もったいないから使う」のではなく、宿泊体験の中で魅力的なコンテンツとして組み立てている点は、他のホテル・旅館にとっても参考になるポイントではないでしょうか。
ストーリーのあるメニューで従業員エンゲージメントを高める
規格外りんごの活用は、スタッフの働きがいづくりにもつながりやすいテーマです。箱根ホテル小涌園の現場でも、次のようなコミュニケーションが生まれる可能性があります。
- サービススタッフが「このアップルパイは青森のきむら果樹園さんのりんごを使っていて、今年の気象条件で傷が増えた分を有効活用しているんです」と説明できる
- 調理スタッフが「どうすれば甘みや香りを活かせるか」を考えながらレシピを磨き、創意工夫を実感しやすい
- 清掃や予約担当など、直接料理に関わらないスタッフも「自分たちのホテルが環境配慮に取り組んでいる」という誇りを持ちやすい
箱根ホテル小涌園のように、ストーリー性のあるサステナブルなメニューを打ち出すことで、単に新商品を増やすだけでなく、従業員エンゲージメントを高めるきっかけにすることもできそうです。
インバウンドにも響く「サステナブル朝食」の可能性
今後インバウンド需要が戻る中で、「サステナブル」「フードロス削減」に関心の高い旅行者は増えていくと考えられます。箱根ホテル小涌園のアップルパイのように、分かりやすい一品を用意しておくと、以下のような効果も期待できます。
- 英語メニューや館内表示で「規格外りんごのアップルパイ」と説明すれば、海外ゲストにも取り組みが伝わりやすい
- 子ども連れファミリーには「食育」的な話題としても提供しやすい
- SNSでの発信軸としても、「美味しそうな写真+ストーリー」で口コミを狙いやすい
箱根ホテル小涌園のように、朝食ビュッフェを通じてサステナブルな取り組みを体験してもらう設計は、今後の宿泊業にとって重要な視点になりそうです。
背景と理由の整理:箱根ホテル小涌園と食品ロス削減の文脈
気候変動と果物生産への影響
きむら果樹園では、2025年の猛暑や度重なる暴風で、りんごの落果や枝ずれによる傷が増えたとしています。これは、全国各地の農産物にも起きている課題の一例といえます。
宿泊業から見ると、
- 気候変動による収量や品質の変動が、仕入れ価格やメニュー構成に影響する
- 生産者側のリスクが高まることで、「安定的においしい食材を確保すること」が今後のテーマになる
といった点が見えてきます。箱根ホテル小涌園のように、規格外品の活用を通じて生産者と連携を深めることは、サプライチェーン全体の安定にも寄与する可能性があります。
宿泊業で進むサステナブル・フードロス対策
朝食ビュッフェは、宿泊業において食品ロスが発生しやすい場面の一つです。箱根ホテル小涌園が規格外りんごのアップルパイを導入した背景には、
- もともと人気の高いスイーツ・ベーカリーコーナーと親和性が高い
- 規格外品でも加工すれば品質・安全性に問題がなく、美味しく提供できる
- サステナブルな取り組みとして、社内外に分かりやすく伝えやすい
といった理由があると考えられます。
同様に、他のホテル・旅館でも、
- 地元の規格外野菜を使ったスープやカレー
- 形の不揃いなフルーツを使ったコンポートやジャム
- パンの耳や余剰パンを活用したフレンチトーストやラスク
など、加工メニューとの相性が良い食材から取り組みを始めると、無理なく食品ロス削減に踏み出しやすいのではないでしょうか。
箱根ホテル小涌園アップルパイ施策の具体的な取り組み・ニュース内容の解説
青森・きむら果樹園との連携ポイント
箱根ホテル小涌園は、100年以上続く青森のきむら果樹園と連携し、園主が選んだ規格外りんごをシーズンごとに直送してもらう形をとっていると説明しています。ここから、宿泊業として参考になりそうなポイントが見えてきます。
- 「長年続く果樹園」「農業改良普及員経験のある園主」といった、生産者側のストーリー性が高い
- 品種や収穫状況に応じて、その時々のベストなりんごをセレクトしてもらう運用にしている
- 単発キャンペーンではなく、シーズンを跨いだ継続提供を前提とした連携としている
単純な仕入れ先というより、「一緒に価値をつくるパートナー」として位置づけている点は、他施設でも意識したいところです。
朝食ビュッフェでの提供方法と体験設計
アップルパイは、箱根ホテル小涌園1階レストラン「フォンテンブロー」の朝食ビュッフェで毎朝焼き上げ、7:00〜9:30の間に提供するとしています。メニューの設計としては、
- 繊細なパイ生地で、朝でも食べやすい軽さを意識している
- 甘いりんごに、生ハムとチーズの塩味とメープルシロップの甘みを組み合わせ、食事・デザートどちらのニーズにも応える構成にしている
- 宿泊者限定提供とすることで、「ここに泊まった人だけが体験できるメニュー」にしている
といった特徴があります。箱根ホテル小涌園にとっては、「ファミリーでも楽しめる温泉リゾート」というブランドイメージと、フードロス削減のストーリーを両立させる朝食コンテンツになっていきそうです。
宿泊プランとの連動と販売面
リリースでは、アップルパイ紹介と併せて「【新春満福】食べて×4 遊んで×3」プランも案内されています。最大1泊4食、ショッピングや温泉をセットにした、箱根ホテル小涌園らしい滞在型プランとしています。
こうした「食と遊びを組み合わせた宿泊プラン」と、サステナブルな朝食コンテンツを一緒に打ち出すことで、
- 「たくさん食べて遊べる楽しさ」と
- 「環境や生産者に配慮した取り組み」
の両方をアピールしやすくなります。販売面では、プラン説明文や館内ポスターなどで、アップルパイのストーリーをさりげなく紐づけておくと、理解も深まりやすいでしょう。
自社への活かし方のヒント(箱根ホテル小涌園事例を踏まえて)
規格外食材の探し方とパートナー選定
箱根ホテル小涌園のような規模のホテルでなくても、地域の農家や青果店と組めば、似た取り組みは十分可能です。検討のステップ例としては次のようなイメージが考えられます。
- 自館の強みとなる食材ジャンルを決める(フルーツ・野菜・魚介・米など)
- 地元の農協、道の駅、マルシェを通じて、規格外品の取り扱いがある生産者を探す
- 「どの程度の量」「どんな規格外の状態」であれば継続供給できるかを確認する
- 朝食ビュッフェや夕食の一品として、加工して活かせるメニュー案を厨房側と一緒に検討する
ポイントは、箱根ホテル小涌園ときむら果樹園の関係のように、「単発のスポット仕入れ」ではなく「継続的なパートナー」として信頼関係を築くことです。
従業員エンゲージメントを高めるコミュニケーション設計
せっかくサステナブルな取り組みを行っても、現場スタッフがストーリーを知らなければ、お客さまに伝わりません。箱根ホテル小涌園の事例を参考に、例えば次のような仕組みを検討してみると良さそうです。
- 生産者や食材の背景を共有する簡単な社内資料を作成し、オリエンテーションや朝礼で共有する
- フロント・レストランスタッフ向けに、「一言で説明できるフレーズ」を用意しておく
- 従業員食堂やバックヤードに、写真付きで生産者紹介の掲示をする
こうした工夫を通じて、箱根ホテル小涌園のように「自分たちの施設は何のためにこのメニューを出しているのか」が腹落ちすると、スタッフの主体性やサービスの質も高まりやすくなります。
宿泊プラン・販促への落とし込み方
最後に、箱根ホテル小涌園のような取り組みを自社の売上にもつなげていくためには、プラン設計と販促で次のような点を意識すると良いかもしれません。
- 「サステナブル朝食付きプラン」「生産者コラボプラン」など、ネーミングで分かりやすく打ち出す
- プラン写真に、食材そのものや生産者の様子も入れてストーリー性を高める
- SNSでは、料理写真だけでなく、仕込みの様子やスタッフコメントも合わせて発信する
箱根ホテル小涌園のアップルパイのように、宿泊プランと連動して訴求することで、単なるコスト削減ではなく「選ばれる理由」としての食品ロス削減を形にしていくことができそうです。
まとめ(箱根ホテル小涌園事例からの振り返り)
- 箱根ホテル小涌園のアップルパイ事例は、規格外りんごを「サステナブルかつ魅力的な朝食コンテンツ」に変える発想として、宿泊業全体の参考になりそうです。
- 生産者との連携やメニュー開発のプロセスをスタッフと共有することで、従業員エンゲージメントの向上にもつながり、現場のやりがいづくりにも役立つかもしれません。
- 自社でも、箱根ホテル小涌園のように規格外品活用や地元食材とのコラボを少しずつ試していくと、「環境配慮」と「売上貢献」を両立する選択肢が増えていき、結果的にサステナブルな経営に近づいていくと安心です。
- 食品ロス削減やサステナブルな取り組みは一度に完璧を目指す必要はないため、まずは一品だけでも「ストーリーのある朝食メニュー」を作ってみるという選択肢もあります。
企業情報(箱根ホテル小涌園・藤田観光株式会社)
会社名
藤田観光株式会社
事業内容
日本の観光業界の先駆けとして、「箱根小涌園」や「椿山荘(現 ホテル椿山荘東京)」などの施設運営を通じ、宿泊・温泉・宴会・レジャーなど多様なサービスを提供しているとしています。
設立
1955年設立としています(2025年11月に設立70周年を迎えたと記載)。
主な施設・ブランド(一部)
- 箱根ホテル小涌園
- ホテル椿山荘東京 ほか
公式サイト
- 藤田観光株式会社 公式サイト:https://www.fujita-kanko.co.jp
- 箱根ホテル小涌園 公式サイト:https://www.hakone-hotelkowakien.jp
- ブランドムービー紹介ページ:https://www.fujita-kanko.co.jp/sub/fkmovie/
出典:PR TIMES『【箱根ホテル小涌園】たんげ、めぇ〜よぉ!青森産D 品りんごがアップルパイに大変身』https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000956.000001368.html


