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Over the MOONが提案する淡路島リトリート型オーベルジュの体験設計

Over the MOON Gold MOON サウナ付き客室
CoCoRo編集部

Over the MOONは、2026年3月28日に兵庫県淡路市の西海岸を望む丘の上にグランドオープンしたリトリート型オーベルジュです。全3室・最大14名の小規模施設ながら、専属シェフが仕立てる淡路島食材のコース料理、月をテーマにした客室、プライベートサウナや収穫体験といった多層的な滞在設計を採用しています。本記事では、Over the MOONの取り組みを宿泊事業者の視点で整理し、小規模高付加価値施設の差別化と収益戦略のヒントを探ります。

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本記事のポイント

  • Over the MOONが実践する食・空間・体験の三層構造が小規模施設の単価向上に示す方向性
  • リトリート需要とウェルネスツーリズム市場の拡大を踏まえた立地・コンセプト設計のポイント
  • 全3室の運営で実現する一棟貸切や多世代対応など、少室数ならではの柔軟なオペレーション事例

発表内容の整理

Over the MOON ダイニングバーからの景色
ダイニングバーから望む景色

enjoy masters合同会社は、2026年3月28日に兵庫県淡路市の西海岸にリトリート型オーベルジュ Over the MOONをグランドオープンすると発表しました。施設は2025年12月よりプレオープン期間を経ており、このたび本格開業を迎えます。

Over the MOONは全3室で構成され、最大14名の宿泊に対応します。Gold MOONにはプライベートサウナ・水風呂・外気浴テラスを完備し、Orange MOONはバリアフリー仕様で高齢者や子ども連れにも配慮しています。施設の中心にはレストラン(14席)を据え、淡路島の地魚・淡路牛・自然農法の無農薬野菜など島の恵みを活かしたコース料理を専属シェフが仕立てます。所在地は神戸から明石海峡大橋を渡って約7分のアクセスで、瀬戸内海を一望できる丘の上に位置しています。

出典:PR TIMES『淡路島西海岸の丘の上に、食・空間・体験を重ねたリトリート型オーベルジュ「Over the MOON」が2026年3月28日(土)グランドオープン』
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000180349.html

Over the MOONの開業が宿泊業の体験設計に投げかける問い

小規模・高単価のリトリート型オーベルジュは、客室数に依存しない収益構造を構築できる可能性を持つ施設形態です。Over the MOONの取り組みは宿泊業の意思決定に対して3つの論点を提示しています。

食を核にした滞在価値の統合はなぜ有効なのか

Over the MOONとは、淡路島西海岸の丘の上に位置する全3室のリトリート型オーベルジュであり、食・空間・体験をひとつに重ねることで五感が目覚める滞在を提供する施設です。専属シェフを配し、淡路島の食材をコース料理に仕立てるアプローチは、宿泊と飲食の両面で顧客単価を引き上げる設計として注目に値します。発酵や薬膳の知見を取り入れたメニュー開発に料理家が参画している点も、体にやさしい食という明確なコンセプトを体現する仕組みとして工夫が感じられます。

全3室の少室数は弱みか強みか

客室数が3室という規模は、稼働率の変動リスクを孕む一方で、一棟貸切やプライベート感を武器にした高単価設定を可能にします。Gold MOONのプライベートサウナ、Blue MOONのプロジェクター、Orange MOONのバリアフリー仕様と各室に明確な個性を持たせている点は、リピーターの再訪動機を生み出す設計として他の施設にも応用可能です。

アクセスと非日常の両立をどう実現しているか

神戸から明石海峡大橋を渡って約7分という近接性がありながら、瀬戸内海を一望する丘の上の立地で非日常を演出しています。都市圏からの移動負荷が低いことはリトリート施設にとって集客面の強みであり、Over the MOONがこの地理的優位性を活かしている点は立地選定の一つのモデルケースといえます。

リトリート需要の拡大を裏付ける市場データとOver the MOONの合理性

リトリートやウェルネスを目的とした旅行需要は国内外で拡大基調にあります。Over the MOONの開業タイミングはこの市場環境と合致しており、宿泊事業者にとって参考になるデータが複数確認できます。

訪日外客数と消費額が示すインバウンドの追い風

JNTOの統計によれば、2025年の訪日外客数は約4,268万人と前年比15.8%増で過去最高を更新しました。観光庁のインバウンド消費動向調査(2025年暦年速報)では訪日外国人の旅行消費額が約9兆4,559億円(前年比16.4%増)に達し、宿泊費が消費全体の36.6%を占めています。高付加価値な宿泊体験への需要は今後も堅調に推移すると見込まれます。

ウェルネスツーリズム市場の成長がリトリート施設を後押し

Global Wellness Instituteの推計によれば、世界のウェルネスツーリズム市場は2024年時点で約9,455億米ドル規模に達し年平均8.9%の成長が見込まれています。国内でもヘルスツーリズムの市場規模は2025年に約4兆960億円と試算されており、心身を整える旅への関心は着実に広がっています。Over the MOONが掲げる食・空間・体験の重層設計は、こうしたウェルネス志向の潮流に対応する施設づくりとして合理的な選択であると考えられます。

兵庫県の宿泊需要と淡路島のポテンシャル

観光庁の宿泊旅行統計調査(2024年確定値)では、兵庫県の延べ宿泊者数は2019年比14.5%増を記録しています。淡路島は神戸・大阪からのアクセスが良好な立地に加え、食材の宝庫としての認知度も高まっており、高付加価値な滞在を求める旅行者の受け皿として成長の余地があります。

観光庁が令和7年3月に公表した「生産性向上のためのハンドブック」では、宿泊業の高付加価値化を推進し生産性と収益力を向上させることの重要性が示されています。Over the MOONのように食と宿泊を一体化させた少室数施設は、まさにこのガイドラインが志向する高付加価値経営の実践例に当たります。

Over the MOONに見る運用設計と成果ドライバー

Over the MOONの収益性を支える仕組みは、専属シェフによるコース料理、体験型アクティビティの組み込み、そしてオリジナルグッズ販売という複数の収益源に支えられています。

宿泊と飲食と物販による三層収益モデル

Over the MOONでは宿泊に加え、14席のレストランでの食事とオリジナルグッズ(クラフトビール、サウナハット、天日塩、オリジナルコーヒーなど)の販売を組み合わせています。全3室で宿泊収益に上限がある分、飲食と物販で客単価を底上げする構造は小規模施設にとって重要な経営の鍵です。運営上のKPI指標としはRevPARに加え、TRevPAR(販売可能客室あたり総収益)やゲスト一人あたりの館内消費額が適切な管理指標になります。

専属シェフと料理家の協業体制

料理面では専属シェフが複数ジャンルの経験を活かしてコース料理を担当し、料理家がメニュー開発やパン・デザートの監修に携わる二層体制を敷いています。小規模施設では調理人材の確保が課題となりやすいですが、Over the MOONはこの点を運営の核に据えています。留意点として、専属シェフへの依存度が高い体制では人材の離脱リスクに対するバックアップ計画を準備しておくと安心です。

体験型アクティビティが滞在時間と消費を伸ばす仕組み

自然農園での収穫体験(採れた野菜はレストランで調理)や釣り体験(釣った魚をシェフが料理)は、食とアクティビティを循環させる仕組みです。これにより滞在時間が延び追加消費が発生しやすくなります。宿泊業において体験の組み込みは連泊率の向上にも寄与する施策です。

自社施設にOver the MOONの設計思想を活かすヒント

Over the MOONの事例から自施設に取り入れられるポイントを段階的に整理します。

短期で着手できる地域食材の調達見直し

まずは既存の食事メニューにおいて、地域食材の調達先を見直し1品でも地元の生産者との直接取引を導入してみるのが最小限のステップです。食材のストーリーを宿泊者に伝えるだけでも食体験の付加価値は高まります。客室の個性化についてもテーマカラーや香りの演出など投資負担の小さい方法から始められます。

中期で検討したい体験メニューの複線化

館内物販やアクティビティプログラムの導入は、宿泊収益に依存しない収益源を増やす選択肢として有効です。地域の農家や漁師との連携による体験メニューは地域経済への貢献にもなり、持続可能な観光の観点からも評価されやすくなります。少室数の施設であっても一棟貸切や多世代対応(バリアフリー仕様の導入など)を検討しておくと安心です。Over the MOONのOrange MOONのように特定の客層に配慮した客室を1室用意するだけでも予約可能なターゲットが広がります。

成果の測り方を定めておく

体験価値の向上が収益に結びついているかを確認するた、にTRevPARと口コミスコアの推移をモニタリングするという選択肢もあります。小規模施設ほど一人のゲストの満足度が経営に直結するため、チェックアウト時の簡易アンケートやOTA上の評価推移を定点観測する仕組みを整えておくことが大切です。

まとめ

  • Over the MOONは全3室のリトリート型オーベルジュとして食・空間・体験の三層設計で高付加価値な滞在を実現しています
  • ウェルネスツーリズム市場の拡大と訪日需要の過去最高更新を踏まえると、小規模・高単価の施設形態は今後も成長余地があります
  • +飲食+物販の複合収益モデルやアクティビティとの循環は少室数施設の収益基盤を強化する手法として参考になります
  • 自施設での導入を検討する際は地域食材の直接調達や1室単位のテーマ設定から始めておくと安心です

企業情報

  • 会社名:enjoy masters 合同会社
  • 代表者:代表社員 岩佐強司
  • 所在地:兵庫県西宮市若草町2丁目8-1
  • 設立:2023年1月6日
  • 事業内容:リトリート型宿泊施設の企画・運営
  • https://awaji-overthemoon.jp/

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参考資料

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本記事は、公開されている情報(プレスリリース、公式サイト、官公庁等の公的資料を含む)を基に、宿泊業の実務に役立つ観点からCoCoRo編集部が独自に整理・解説したものです。記事内で取り上げる商品・サービス・施設・取り組み等は、発表元のホテル・旅館(および関係事業者)から個別の許諾、監修、承認を受けて作成したものではなく、またPR TIMESを含む配信媒体や発表元との提携・推奨・広告・販売促進を意図または示唆するものでもありません。

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