※2026年6月16日 更新:2026年6月15日にサンリオエンターテイメントが発表した「大分 ハーモニーランド エンタメリゾート構想」の進捗(新規開発エリアの土地取得、キティキャッスルのリニューアル、共創プラットフォーム始動など)を追記しました。
ハーモニーランドを巡る最新のリゾート化構想では、ハーモニーランドに隣接した新しいホテルの建設が視野に入っていると発表されています。サンリオが手がける「サンリオキャラクターパーク ハーモニーランド」(大分県日出町)が、天空のパーク構想とともに本格的なエンタメリゾート化に動き出す中で、周辺のホテル・旅館を含む宿泊業にとってどのような影響とチャンスが生まれそうかを整理します。さらに2026年6月15日には、構想を裏づける具体的な進捗(リゾート化対象土地の取得など)が発表され、計画は「構想段階」から「実装フェーズ」へと移りつつあります。
本記事のポイント
- ハーモニーランドはなぜ大分にあり、どのようなリゾート化・リニューアルの方向性を描いているのかを理解することで、自社のポジショニングや連携の可能性を検討しやすくなること
- ハーモニーランドのそばに、新たなホテルをリゾートの「核」として検討していることにより、エリア全体が日帰り中心から滞在型のリゾートエリアへとシフトする可能性があること
- 2026年6月15日の進捗発表で、リゾート化対象土地(約30.85ヘクタール)の取得や既存施設「キティキャッスル」のリニューアル、共創プラットフォーム「未来共創室(仮称)」の始動などが示され、構想が具体的な実装フェーズへ動き出していること
- ハーモニーランドのアクセス、営業時間、アトラクション、料金やチケットの設計が、今後「宿泊+テーマパーク」の一体型商品づくりに大きく関わってくること
ニュースの概要
ササンリオと、ハーモニーランドを運営するサンリオエンターテイメントは、大分県日出町に位置するハーモニーランドについて、「世界でいちばんやさしい場所」を目指すエンタメリゾート化の基本構想を発表したとしています。発表当日には、大分県知事や日出町町長と共に大分県庁で立地表明式を行い、「天空のパーク」構想を初公開しました。
この構想では、ハーモニーランドが持つ高低差のある地形を活かし、空へと開けた「天空」のイメージを中心に、大屋根の整備やロープウェー・電動モビリティの導入検討、新規施設やアトラクションのリニューアルなど、今後のハーモニーランドのリニューアルに関わる多くのアイデアが示されています。
今回の発表で宿泊業として特に注目したいのは、「隣接するエリアに新たなホテルの建設も視野に入れており、リゾートの核となる存在として検討を進めている」としている点です。パークや山々、別府湾を一望できるホテルの構想が示され、これまで長期滞在が難しかったエリアに新しい滞在拠点を生み出すことで、心ゆくまでリゾートを満喫できる環境づくりを目指すと述べています。
また、構想段階からファンや地元の人々、企業などと共にアイデアをつくりあげる「ハーモニーランド未来共創室(仮称)」の設置も予定しているとし、訪れる人を「お客様」ではなく同じ未来をつくる「住民」として迎える姿勢を打ち出しています。ハーモニーランドならではの世界観と、地域の自然やおもてなしを融合した、共創型のリゾートを目指すとしています。
出典:PR TIMES『世界でいちばんやさしい場所へ サンリオ及びサンリオエンターテイメント、大分県ハーモニーランドの「エンタメリゾート化」始動』https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000705.000037629.html
【2026年6月15日発表】エンタメリゾート構想が「実装フェーズ」へ
2026年6月15日、サンリオエンターテイメントは「大分 ハーモニーランド エンタメリゾート構想」の進捗を発表しました。2025年12月に示した基本構想を基盤に、土地・施設・共創・食・交通といった「リゾート化に必要な土台づくり」が、構想段階から具体的な実装フェーズへと動き出しています。
なお、ハーモニーランドは1991年に開園し、2026年4月26日をもって35周年を迎えました。35周年という節目に合わせて、滞在型リゾートに向けた取り組みが本格化している格好です。
宿泊業の視点でとくに押さえておきたい進捗は、次の5点に整理できます。
- リゾート化計画に伴う新規開発エリアの土地取得(滞在型リゾートに向けた段階的開発)
- ハーモニーランドのシンボル「キティキャッスル」のリニューアル
- 共創プラットフォーム「未来共創室(仮称)」の始動
- バッドばつ丸デザインの県産県消フードブース「BADTZ Cube Terrace(仮称)」の展開
- ハーモニーランド周辺の交通課題への対応と、園内のインクルーシブな環境整備
新規開発エリアの土地取得で、開発余地が約3.8倍に
今回の進捗で最も大きいのは、ハーモニーランド周辺でリゾート化対象土地 約30.85ヘクタールを取得したと発表された点です。
リリースによると、現存の公園全体は約31.4ヘクタール(実証展示林を含む)ですが、駐車場および「ハーモニーランド」として一般に認識されているパーク部分は約8ヘクタールほど。今回の取得により、これまでのパーク部分に対して約3.8倍の開発余地を確保したことになります。
既存パークエリアと新規開発エリアを連携させながら、段階的に滞在型リゾートを整備していく準備が進められているとしています。一方で、宿泊機能(ホテル)については「来場者の利便性向上の観点から、既存および新規土地エリアにおける各種調査ののち、建設エリアを決定する」とされており、ホテルの具体的な立地はこれから固まっていく段階です。
宿泊業としては、「新ホテルがどこに建つか」という結論を急ぐよりも、エリア全体の開発余地が一気に広がったという事実そのものを押さえておくことが大切です。日帰り前提だったエリアが滞在型リゾートへと面的に拡張していく流れは、周辺の宿泊需要の総量そのものを押し上げる可能性があります。

シンボル「キティキャッスル」をリニューアル、世界観を体感できるパークへ
「サンリオキャラクターそれぞれの個性や物語を深く感じられる空間づくり」をテーマに、既存エリアの段階的な再整備も始まります。その第一弾として、ハーモニーランドのシンボルである「キティキャッスル」のリニューアルが予定されています。
ショーやアトラクションに加え、キャラクターごとの世界観やストーリーを活かした空間演出を充実させることで、ゲストがこれまで以上にキャラクターの世界へ没入できる体験づくりを目指すとしています。
宿泊施設にとっては、パーク側が「キャラクターの世界観への没入」を強めていく方向性は見逃せません。客室の装飾やフォトスポット、チェックイン時の過ごし方提案を、パークの世界観と響き合う形で設計できると、「パークの続きを宿でも味わえる」滞在価値につながりやすくなります。

共創プラットフォーム「未来共創室(仮称)」が2026年冬季に始動
基本構想で示されていた「みんなでつくるリゾート」という考え方を形にする取り組みとして、共創プラットフォーム「未来共創室(仮称)」が2026年冬季に始動します。
最初の取り組みとして、ハーモニーランド内に来場者からの共創型アイデアや地域連携企画を募集する“ひらめきポスト”を設置する予定とされています。フォトスポットやリゾート構想に関する展示、サンリオキャラクターたちからのリゾートづくりに関する問いかけにアイデアを寄せたり、来場者同士で語り合えたりする場をつくるとのことです。今後はオンライン上でも意見やアイデアを集める場を用意していくとしています。
宿泊業も「ハーモニーランドのリゾート化に合わせて自社も何かやらなければ」と内向きに悩むより、こうした共創の窓口に地域事業者として関わり、宿泊×パークの体験アイデアを一緒に育てる姿勢を持っておくと、変化の波に前向きに乗りやすくなりそうです。

「県産県消プロジェクト」とバッドばつ丸の「BADTZ Cube Terrace(仮称)」
大分県や地域事業者と連携した「県産県消」をテーマとする地域共創プロジェクトにも、新たな動きが発表されました。現在ハーモニーランドでは、35周年記念メニューとして「おおいた豊美牛」を使ったステーキや、しいたけ・かぼすぽん酢を取り入れたソースなど、地域食材の魅力を生かしたメニューが展開されています。
さらに、大分ならではの食・文化・ものづくりの魅力を発信する飲食・交流エリアの整備も進行中です。その第一弾が、バッドばつ丸デザインのコンテナ型店舗を活用した地域連携型フードブース「BADTZ Cube Terrace(バツキューブテラス・仮称)」です。ベージュを基調に黒のロゴ・黒リボンを取り入れた、シンプルで上質な世界観が予定されており、第一弾はハーベストテーブル近くのテントエリアでの展開を予定。飲食エリアの拡充とともに、パーク内の回遊性・滞留性の向上にもつなげるとしています。将来的にはコンテナ店舗を段階的に増設し、地域共創型エリアへ発展させていく構想です。
宿泊業にとっては、「地産地消/県産県消」の文脈がパーク側でも明確に打ち出された点が重要です。朝食やウェルカムの一品に大分の食材を取り入れ、パークの食体験と地域の食を行き来できる動線を整えると、エリア全体での滞在価値を高めやすくなります。

交通課題への対応とインクルーシブな環境整備
リゾート化の「土台づくり」として、交通とインクルーシブの取り組みも具体化しています。現在、大分県・杵築市・日出町と連携しながら交通課題への対応を協議しており、地域交通とパークをつなぐことで観光拠点としての回遊性向上や、地域全体への経済波及効果の創出を目指すとしています。
また、広大な園内の移動支援として、Honda UNI-ONE など新たなモビリティの活用も検討。年齢や身体状況を問わず、多様なお客様が安心して過ごせるインクルーシブな環境整備にも取り組むとしています。
宿泊業としては、こうした交通整備の議論に合わせて、自館からハーモニーランドまでの送迎・二次交通の設計を見直す好機です。地域交通が整うほど、「車がなくても泊まって遊べる」滞在を提案しやすくなり、インバウンドや三世代旅行など幅広い客層を受け止めやすくなります。

宿泊業として、この進捗発表をどう読むか
今回の進捗は、「ホテルがいつどこにできるか」という一点ではなく、土地・施設・共創・食・交通という複数の土台が同時に動き出したことに意味があります。リリースでも、構想段階から具体的な実装フェーズへ移行し、滞在型リゾート整備・キャラクター世界観の強化・地域共創・交通/回遊性向上・インクルーシブ対応を段階的に進めるとされています。
周辺の宿泊事業者にとっては、「公式ホテルに需要を奪われるのでは」という懸念以上に、エリア全体が滞在型リゾートとして面的に育っていく数年間をどう活かすかが問われます。次章以降では、こうした流れを踏まえて、宿泊業としての具体的な活かし方を整理していきます。
出典:PR TIMES『サンリオエンターテイメント、「大分 ハーモニーランド エンタメリゾート構想」進捗を発表 リゾート化計画に伴い、新規開発エリアの土地取得 サンリオキャラクターの世界観をより体感できるパークへ』 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000519.000007643.html
そもそもハーモニーランドはなぜ大分に?
ハーモニーランドが大分(速見郡日出町)に作られた最大の理由は、サンリオが単独で「場所を選んだ」わけではなく、大分県・日出町(+地元企業)とサンリオが出資して第三セクター(運営会社)を作り、地域側の政策・公園整備とセットで誘致した案件だったことが理由です。
具体的には、1988年に大分県の「一村一品運動」をきっかけとして、日出町・サンリオ・地元企業等で第三セクター「株式会社ハーモニーランド」を設立し、そこでテーマパーク建設・運営に進んだ、と整理されています。
また大分県側の資料でも、県の公園施設の魅力アップのためにサンリオを中心とした第三セクターを設立して建設に参画(民間活力導入)した旨が示されています。
加えて立地面では、日出町周辺が別府・湯布院など観光地に近く周遊が組みやすいことが、現在の県の説明でも言及されています。当初からの判断材料の一つだった可能性は高いですが、おそらく背景要因の一つであると言えるでしょう。
ハーモニーランドの「エンタメリゾート化」宿泊業にとってのポイント
ハーモニーランドのホテル構想が変える「滞在前提」の需要
今回の構想では、ハーモニーランドに隣接するエリアに新ホテルを建設し、リゾートの「核」として位置付けることが検討されていると明言されています。これにより、ハーモニーランドは日帰りの観光地から、滞在前提のリゾートへと性格を変えていく可能性があります。
周辺のホテル・旅館にとっては、ハーモニーランドの公式リゾートホテルができると宿泊需要が奪われるのではという懸念もあり得ますが、一方で次のようなチャンスも考えられるでしょう。
- エリア全体としてハーモニーランドのリゾート化が認知されることで、大分旅行の主目的として選ばれやすくなる
- 公式ホテルには泊まれない層や、別府湾の温泉、和風旅館体験を求める層を周辺施設で受け止められる
- ハーモニーランドのチケットやアトラクションと連動した、周辺施設ならではのパッケージ商品を企画できる
ハーモニーランドのホテル構想は、単に「一施設の新設」ではなく、エリア全体のブランドと需要構造を書き換える可能性がある動きだと捉えておくと良さそうです。
ハーモニーランドへのアクセスと宿泊動線の再設計
ハーモニーランドへのアクセスは、これまでも車・鉄道・バスなど複数の方法がありましたが、今後、空港や鉄道駅との連携を含めたリゾートアクセスの強化が進むと考えられます。
宿泊業としては、次のような観点でハーモニーランドまでのアクセス設計を見直す余地があります。
- 宿泊施設からハーモニーランドまでの送迎バスやタクシー連携を含めた「ドア to ドア」の案内
- チェックイン前にハーモニーランドで遊ぶゲスト向けに、荷物預かりや着替えのサポートを強化する
- ハーモニーランドの営業時間に合わせたチェックイン・チェックアウト時間や朝食時間の調整
特に、ハーモニーランドの営業時間やショー・パレードの時間帯にあわせて動線を設計することで、「無駄な待ち時間を減らせるホテル」として選ばれやすくなる可能性があります。
また、ハーモニーランドはなぜ大分にあるのかという問いを考えると、別府湾や温泉地との距離感、飛行機・新幹線・フェリーなどのアクセスの良さといった地域全体の強みが背景にあると考えられます。自社の立地と組み合わせて、「温泉+ハーモニーランド」「海の景色+ハーモニーランド」など、ストーリーのある導線を打ち出せると相乗効果が生まれやすいでしょう。
ハーモニーランドの料金・チケットと客単価の設計
ハーモニーランドの料金やチケット種別は、公式サイトなどで随時更新されていますが、宿泊業としては、細かな金額に加えて次のようなポイントを押さえておくと役立ちます。
- 1日でしっかり遊ぶゲスト向けのパスポートと、短時間利用に適したチケットの違い
- 家族連れ・三世代旅行・グループ旅行など、客層別に最適なチケット組み合わせ
- ハーモニーランドのチケットを宿泊プランに含めるか、オプションにするかによる客単価の違い
ハーモニーランドの料金やチケットを、単に「セットにする」だけではなく、「どのタイミングで・誰に・どのチケットを提案するか」という観点で整理すると、販売戦略が立てやすくなります。
例えば、チェックイン当日はハーモニーランドのアフタヌーンチケット、翌日は通常のパスポートを組み合わせるなど、時間帯と料金のバランスを組み合わせることで、「滞在全体の満足度と単価」の両方を上げることも考えられます。
ハーモニーランドのアトラクション・キャラクターと滞在コンセプト
ハーモニーランドは、ハローキティをはじめとする多くのサンリオキャラクターと会えるテーマパークで、ハンギョドンのような人気キャラクターを目当てに訪れるファンも少なくありません。
今後のリゾート化やハーモニーランドのリニューアルに伴い、アトラクションやショーの内容も順次アップデートされていくと考えられます。宿泊業としては、次のような視点がヒントになりそうです。
- 小さな子ども向けアトラクションと、大人も楽しめるショーや夜景演出の両方を意識した滞在プラン
- ハンギョドンなど特定キャラクターのファン向けに、色使いや装飾を工夫した客室・フォトスポットの設計
- ハーモニーランドでの過ごし方をチェックイン時に提案できるよう、スタッフが基本情報を把握しておくこと
ハーモニーランドで一日中遊ぶ前提の滞在と、ハーモニーランドは半日+温泉+ご当地グルメを楽しむ滞在では、宿泊側の提案内容も変わってきます。自社の強みと組み合わせて、どのようなコンビネーションが最も魅力的かを検討してみると良さそうです。
ハーモニーランドの「エンタメリゾート化」の背景と理由の整理
ハーモニーランドが担ってきた役割
ハーモニーランドは1991年に誕生し、来年で35周年を迎える屋外型のテーマパークだと紹介されています。大分の豊かな自然の中で楽しめるパークとして、長年地域に親しまれてきました。
ハーモニーランドはなぜ大分にあるのかを考えると、別府湾を望むロケーションや温泉地へのアクセスの良さなど、「自然と観光資源を活かしたリゾートづくり」という観点が見えてきます。
また、2024年12月には、大分県と「将来的なエンタメリゾート化」を含む包括連携協定を締結し、その後、大分空港の「大分ハローキティ空港」愛称化や、ハーモニーランドと空港・駅を結ぶラッピングバス「ハーモニーライナー」の運行など、観光促進・地域活性化施策を相互に進めてきたと説明しています。
こうした流れから見ると、ハーモニーランドは単なるテーマパークではなく、「大分の観光ゲートウェイ」としての役割を徐々に強めてきたと捉えることもできそうです。
「世界でいちばんやさしい場所」というビジョンとインクルーシブな視点
今回の構想では、「世界でいちばんやさしい場所を目指す」というビジョンの下、「誰の笑顔も諦めない」というメッセージが何度も語られています。
具体的には、ユニバーサルな設計やインクルーシブな楽しみ方、あたたかいサービスにより、年代や性別、身体的な特徴などにかかわらず、誰もが楽しめる場をつくることを重視するとしています。
宿泊業にとっても、バリアフリー対応や食の多様性、言語サポートなど、インクルーシブな受け入れはますます重要になっています。ハーモニーランドのリゾート化は、こうした流れを「テーマパーク×宿泊」の形で具現化しようとしている動きだと見ることもできるでしょう。
「みんなでつくるリゾート」という共創型開発
本計画では、完成した施設を一方的に提供するのではなく、構想段階からファンや地元の人々、企業とともにリゾートをつくり上げる「共創型」の開発を重視する姿勢が示されています。
ハーモニーランド未来共創室(仮称)というコミュニティを通じて、リゾート内の施設や装飾デザイン、グッズ、メニュー、移動手段などを一緒に考えていくとされており、宿泊業もここに関わる余地がありそうです。
「ハーモニーランドのリゾート化に合わせて、自社も何かやらなければ」と内向きに悩むのではなく、「ハーモニーランドと一緒に地域のリゾートをつくる」という視点で、情報収集や提案の機会を探してみるのも一つの選択肢かもしれません。
ハーモニーランドの「エンタメリゾート化」の具体的な取り組み
天空のパーク構想とハーモニーランドのリニューアル方向
基本構想のイメージでは、「天空のパーク」というキーワードが大きく打ち出されています。高低差のあるロケーションを活かし、空へと開けた景観を楽しめるようなゾーニングや、大屋根で天候の影響を受けにくくするエリアづくりなどが検討されているとしています。
この「天空」というコンセプトは、ハーモニーランドのアトラクションやショーだけでなく、ホテルの客室やラウンジ、テラスからの眺望の設計にも反映されていくことが予想されます。
宿泊施設としては、「ハーモニーランドの夜のイルミネーションが見える」「ハーモニーランドから戻った後に、別府湾の夜景を楽しめる」など、景観を生かした滞在価値をどうつくるかが一つのポイントになりそうです。




新しい風光明媚なハーモニーランドのホテル構想

※構想段階の内容であり、実際とは異なる場合があります。
リリースでは、「【ホテル構想イメージ】新しい風光明媚 ~パーク、山々、別府湾を一望できるホテル~」という見出しのもと、ハーモニーランドのそばにサンリオの想いを込めたホテルをつくる構想が進んでいると説明しています。
これまで長期滞在が難しかったエリアに新たな滞在拠点が生まれることで、よりゆっくりと、心ゆくまでリゾートを満喫できる環境を整えていくとしています。
ここから読み取れるポイントは次の通りです。
- ハーモニーランドを望む景観そのものが、ホテルの大きな魅力になると想定している
- 「風光明媚」という言葉が示すように、パークだけでなく、山々や別府湾を含めた広い意味でのリゾートビューを重視している
- 宿泊を組み込むことで、ハーモニーランドの営業時間外にも、朝焼けや夜景、星空などを楽しめる滞在スタイルを想定している
宿泊業としては、「ハーモニーランドのホテル構想が生まれるなら、自社はどんな景観や体験を売りにできるのか」という視点で、改めて自館の強みを棚卸ししてみると差別化のヒントが見つかりそうです。
ハーモニーランドで大切にする7つのことと、おもてなしの方向性
リゾート化計画の中では、「遊びごころをすみずみに」「みんなとつくるリゾートへ」「世界の一流を大分の日常に」「みんなの『かわいい』を見つけよう」「帰りたいまちになろう」「100年後も楽しく、美しく」「誰の笑顔も諦めない」という7つの考え方が示されています。
宿泊業に特に関係が深いのは、「帰りたいまちになろう」と「誰の笑顔も諦めない」の2つかもしれません。
- 「帰りたいまちになろう」
ゲストを「おかえりなさい」の気持ちで迎える姿勢は、ホテルや旅館のおもてなしと非常に親和性が高い考え方です。ハーモニーランドと宿泊施設が同じトーンでゲストを迎えられると、「エリア全体が第二の故郷」という印象につながりやすくなります。 - 「誰の笑顔も諦めない」
0歳から100歳までが一緒に遊べるようにするという方向性は、ファミリーや三世代旅行を受け入れる宿泊施設にとっても重要なテーマです。客室のタイプやベッド配置、食事会場の動線、ベビーカー・車椅子への配慮など、自館の受け入れ体制を見直すきっかけにもなりそうです。
ハーモニーランドのリゾート化は、単に施設を増やすだけでなく、「どんな気持ちでゲストを迎えるのか」というおもてなしの根っこを、改めて問うプロジェクトでもあると言えそうです。
ハーモニータウン形成の包括連携協定が示す、ホテル構想の外側にある伸びしろ
ハーモニーランドのエンタメリゾート化は、パークや新ホテルだけで完結する話ではありません。2026年2月22日、ハーモニーランド35周年の節目に、サンリオエンターテイメントと大分県日出町がハーモニータウン形成に向けた包括連携協定が結ばれました。
観光と暮らしが交差する地域づくりへ視野が広がり、ハーモニーランドを起点に、町内周遊や食、地域人材などまで一体で設計しようとする姿勢は、宿泊事業者にとって連携の論点が増え、地域とともに未来を創る新たなフェーズが始動したと言えます。
出典:PR TIMES『ハーモニーランド35周年の節目に “エンタメリゾート化” と連動し次世代のまちづくりへ サンリオエンターテイメントと大分県日出町が“ハーモニータウン形成”に向けた包括連携協定を締結』https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000496.000007643.html
35周年を起点に、観光と暮らしをつなぐ10項目の連携が明文化された
サンリオエンターテイメントと大分県日出町がハーモニータウン形成に向けた包括連携協定で特徴的なのは、誘客や観光基盤に加えて、定住支援やSDGs、女性・こども・若者の活躍まで含めて、連携の対象を広く取った点です。テーマパーク運営と自治体の連携を、イベント単発ではなく中長期のまちの計画に接続させる設計は、地域側の受け皿づくりとしても丁寧です。宿泊業としては、ハーモニーランド周辺を滞在拠点として育てる議論が、より具体的に動きやすくなったと見てよいでしょう。
連携事項として示された項目(発表内容の要約)は次の通りです。
- 町民のウェルビーイング向上とシビックプライド醸成
- 地域活性化
- ハーモニーランドの誘客
- 将来的なエンタメリゾート化に向けた観光基盤整備
- 日出町内の周遊型観光の促進
- 若者の移住定住の促進
- 地産地消の推進
- SDGsの推進
- 女性活躍、こども・若者活躍の推進
- 大学や企業などとの連携
宿泊業のチャンスは、パーク需要を町内周遊と食へつなぐ設計にある
新ホテルの話題は分かりやすい一方で、宿泊業にとっては周辺の消費行動がどう伸びるかが重要です。今回の協定は、日出町の周遊や地産地消を正面から掲げています。ここに宿泊施設が関わる余地は大きく、温泉・海・食の体験を組み合わせて、ハーモニーランド来訪を地域全体の滞在価値に転換しやすくなります。
また、長年の関係性(2016年の基本合意に触れたうえでの次フェーズ)を踏まえ、節目を契機に連携をアップデートしている点も前向きです。宿泊施設側も短期の販促だけでなく、地域の体験設計や受け入れ体制づくりに参加するほど、エリア内の役割が明確になります。
連携を現場に落とすときに、想定しておくと安心な論点
包括連携は守備範囲が広いぶん、現場実装では論点整理が欠かせません。宿泊事業者が関わる可能性が高いテーマは、次のように切り分けておくと進めやすくなります。
- 窓口の一本化(自治体・パーク・交通・観光協会など、情報更新の責任者を明確にする)
- 町内周遊の設計(回遊ルート、混雑ピークの分散、雨天時の代替案)
- 食と物販の接続(地産地消メニュー、夕食難民対策、営業時間のギャップを埋める導線)
- 人材・働き方(繁忙期の応援体制、若者・女性の活躍を意識したシフトや職場環境)
- サステナビリティ(資材・アメニティ、地域調達、廃棄物削減などの小さな積み上げ)
まず試せる小さな協業アイデア
大きな投資を伴わなくても、宿泊側の工夫で連携は始められます。
- ハーモニーランド来訪客向けに、日出町内の夕食導線と予約導線を整える(館内案内・電話口のトークを統一)
- 地産地消の朝食・ウェルカムの一品を用意し、町内周遊のきっかけをつくる
- 連泊ゲスト向けに、パーク+町内体験の2日目提案を用意する(海・温泉・街歩きなど)
- スタッフ向けに基本情報のミニ勉強会を設け、案内品質を底上げする(問合せ対応のばらつきを減らす)
自社への活かし方のヒント
ハーモニーランド連動の宿泊プランを磨き込む
すでにハーモニーランドのチケット付き宿泊プランを販売している施設もありますが、リゾート化構想を踏まえて、プラン内容をアップデートする余地がありそうです。
例えば次のようなイメージです。
- 1泊2日の場合
- 1日目:午後にチェックイン → ハーモニーランドのアフタヌーンチケットでショーやライトアップを楽しむ
- 2日目:朝食後に再びハーモニーランドへ → 午後は温泉街や別府湾を楽しんで帰路へ
- 2泊3日の場合
- 1日目:ハーモニーランドのアトラクション中心
- 2日目:温泉や街歩き、海のアクティビティを中心にした別コース
- 3日目:ハーモニーランドでの再訪・グッズ購入・写真撮影など「締め」の時間
こうした具体的な時間配分を示しつつ、ハーモニーランドの料金やチケットの種類を丁寧に案内することで、ゲストは旅行全体をイメージしやすくなります。
また、Webサイトやパンフレットでは、「ハーモニーランドのアクセス」「ハーモニーランドの営業時間」「ハーモニーランドのアトラクションの楽しみ方」など、検索されやすい疑問に自然な文章で答える構成を意識しておくと、情報収集段階のゲストにも届きやすくなります。
キャラクターファン・推し活需要への対応
ハーモニーランドには、ハンギョドンを含む多彩なキャラクターが登場します。キャラクターファンの「推し活需要」を意識すると、次のような工夫も考えられます。
- 客室やロビーに、キャラクターカラーを意識したさりげない装飾を取り入れる
- ハーモニーランドで購入したグッズやぬいぐるみを撮影できる「フォトスポット」を館内に設ける
- ハーモニーランドの開園前・閉園後の時間帯を「推し活タイム」として、客室でゆっくり写真整理やSNS投稿ができるような案内をする
こうした取り組みは、必ずしも大規模な投資を伴うものではなく、現場のアイデアで始められるものも多いです。スタッフの中にサンリオファンがいれば、意見を聞きながら少しずつ形にしていくと、ハーモニーランドとの親和性も高まりやすいでしょう。
インバウンドとサステナビリティを同時に意識する
ハーモニーランドのリゾート化では、「100年後も楽しく、美しく」という表現で、環境への配慮や持続可能性の視点も強調されています。
宿泊業としては、インバウンド対応とサステナビリティを切り離さず、例えば次のような取り組みを検討できます。
- 多言語でハーモニーランドへのアクセス案内を整備する
- ベジタリアン・ヴィーガン、ハラールなど、多様な食習慣に配慮したメニューを一部でも用意する
- 地元の食材や、プラスチック削減を意識したアメニティなどを取り入れ、「大分らしさ」と「環境配慮」を両立させる
ハーモニーランドのホテル構想が動き出す前からこうした取り組みを進めておくと、リゾート全体のコンセプトと自然に響き合う形で、自館の魅力を伝えやすくなりそうです。
地域の仲間と一緒にハーモニーランドのリゾート化に乗る
最後に、ハーモニーランドのリゾート化は、サンリオグループと自治体だけで完結するプロジェクトではなく、地域の事業者が関わることで厚みを増していく取り組みだと考えられます。
近隣のホテル・旅館同士で、
- ハーモニーランド周辺の渋滞や混雑をどう分散させるか
- 夜の時間帯にどんな過ごし方を提案すれば「帰りたいまち」につながるか
- ハーモニーランドのリゾート化の文脈の中で、自分たちの施設はどんな役割を担えるか
といったテーマを共有し、情報交換や小さな共同企画から始めてみるのも一つの方法です。
一社だけで悩まず、「ハーモニーランドのリゾート化を地域全体で育てていく」というスタンスを持っておくと、変化の大きな数年を前向きに捉えやすくなるかもしれません。
まとめ
- ハーモニーランドのリゾート化と、隣接エリアに検討されている新ホテル構想により、エリア全体が日帰り型から滞在型のリゾートへと変化していく可能性があります。
- ハーモニーランドのリゾート化に合わせて、アクセスや営業時間、料金やチケット、アトラクションの特徴を踏まえた宿泊プランを整えておくと安心です。
- ハーモニーランドが掲げる「世界でいちばんやさしい場所」「誰の笑顔も諦めない」というビジョンを、自館のおもてなしやユニバーサルデザインの取り組みと重ねて考えてみると、長期的な方向性のヒントになりそうです。
- ハーモニーランドはなぜ大分にあり、どんなリゾートとして育っていこうとしているのかを理解したうえで、地域の仲間と一緒にハーモニーランドのリゾート化に乗っていくという選択肢もあります。
企業情報
- 会社名:株式会社サンリオ
- 本社所在地:東京都品川区
- 代表者名:辻 朋邦
- 事業内容:キャラクター事業、ライセンス事業、テーマパーク運営など
- ハーモニーランド公式サイト:サンリオキャラクターパーク ハーモニーランド
出典
- 株式会社サンリオエンターテイメント「沿革(History)|株式会社サンリオエンターテイメント」
- 株式会社大分銀行「第213期 営業の中間ご報告(2018年4月1日〜2018年9月30日)「非日常に出会える町」」
- 大分県(土木建築部 公園・生活排水課)「指定管理者制度導入施設の将来ビジョン(施設名:ハーモニーパーク)」
- 大分県(県政アーカイブ/広報おおいた)「「神話と伝説の宮殿」-ハーモニーランド開園-(1991年5月号 広報おおいた)」
- ハーモニーランド公式サイト「アクセス|ハーモニーランド」
- ハーモニーランド公式サイト「営業案内(FAQカテゴリ)|ハーモニーランド」
画像クレジット:© 2026 SANRIO CO., LTD. TOKYO, JAPAN 著作 株式会社サンリオ

