2025.12.18

リビエラシーボニアマリーナで叶える隠れ家クリスマス集客術と宿泊単価アップ

CoCoRo編集部

リビエラシーボニアマリーナで展開されるクリスマス企画を題材に、ホテル・旅館が「特別感のあるホリデー体験」で集客と単価アップを狙うポイントを整理していきます。三浦半島の海と富士山を望むロケーションで、レストランのクリスマスコースとグランピングステイ、そしてサウナを組み合わせた取り組みは、都市圏からの近場リゾート需要にも響きそうです。この記事では、同じようなリゾート型・旅館型の施設で応用できる視点や、従業員エンゲージメントにつながる設計のヒントを取り上げます。

この記事の目次

リビエラシーボニアマリーナ本記事のポイント
リビエラシーボニアマリーナのニュース概要
リビエラシーボニアマリーナの事例から見る宿泊業にとってのポイント
- 隠れ家クリスマスで「周りと被らない」体験価値をつくる
- 海×富士山×グランピング×サウナという複合コンテンツ
リビエラシーボニアマリーナの取り組み背景と理由の整理
- 近場リゾートとウェルネス志向の高まり
- インバウンドの食体験ニーズとクリスマス需要
リビエラシーボニアマリーナの具体的な取り組み・ニュース内容の解説
リビエラシーボニアマリーナをヒントにした自社への活かし方のヒント
リビエラシーボニアマリーナ事例のまとめ
リビエラシーボニアマリーナを運営する企業情報
参考資料

リビエラシーボニアマリーナ本記事のポイント

リビエラシーボニアマリーナのクリスマス企画を事例に、レストランと宿泊、体験コンテンツを一体化した「隠れ家クリスマス」の設計ポイントを整理します。
観光庁がまとめた「宿泊事業者における経営改善マニュアル」などの公的資料も踏まえ、高付加価値化と生産性、従業員エンゲージメントを両立させる視点を紹介します。
インバウンド受入ポイント集や多様な食習慣への対応ガイドを参照しながら、クリスマスの食体験を在日客・訪日客のどちらにも心地よいものにする工夫を考えます。

リビエラシーボニアマリーナのニュース概要

リビエラシーボニアマリーナは、神奈川県三浦市・三浦半島南端の小網代湾に位置するマリーナで、ヨットやクルーザーが行き交う落ち着いた港町の景観と、富士山を望む眺望が特徴とされています。1967年開業の歴史あるマリーナであり、マンションやレストランを備えた「大人のマリーナ」としてヨットマンに親しまれてきたと紹介されています。

今回のニュースでは、このリビエラシーボニアマリーナで「RIVIERA CHRISTMAS 2025」を開催することが発表されています。メインダイニングである「シーボニアクラブハウスレストラン」では、三浦エリアの野菜や地魚を使ったクリスマス限定のコースをランチ・ディナーで提供し、前菜から魚料理、肉料理、デザートまで、海と土地の恵みを意識した構成になっているとしています。

一方、オーシャングランピング施設「スペースキーポイントリビエラシーボニアマリーナ」では、ハーバー越しに夕日と富士山を望む貸切テントサウナ、焚火を囲んで楽しむスモア、プライベートデッキでの鍋料理など、冬ならではのアウトドア滞在が用意されるとしています。クリスマスシーズンに、レストランでの美食とマリーナならではのグランピング体験を組み合わせて楽しめる企画です。

また、リビエラグループは「リビエラ未来づくりプロジェクト」として、環境・教育・ウェルビーイングの3本柱を掲げてサステナビリティに取り組んでおり、とくにリビエラシーボニアマリーナでは海洋保全や海洋教育プログラムを通じてSDGsの推進に力を入れていると説明しています。

リビエラシーボニアマリーナの事例から見る宿泊業にとってのポイント

隠れ家クリスマスで「周りと被らない」体験価値をつくる

今回のリビエラシーボニアマリーナのクリスマス企画は、「都心から約80分で行ける海辺の隠れ家」でありながら、一般的なクリスマスホテルプランとも、街中レストランのディナーとも違う体験を打ち出している点が特徴です。

海を望むレストランでのクリスマスコース
マリーナに囲まれたグランピングステイ
貸切テントサウナや焚火など、アウトドア要素

これらを「ひとつのストーリー」として設計することで、「ここならではのクリスマス」という差別化された商品になっていると見ることができそうです。宿泊業の立場で考えると、単なる「クリスマスディナー付きプラン」から一歩進んで、場所性や施設特性を生かした「周りと被らないホリデー体験」をどう設計するかがポイントになりそうです。

海×富士山×グランピング×サウナという複合コンテンツ

観光庁の観光コンテンツに関する調査では、ウェルネスやネイチャーアクティビティはコロナ前から伸び続けており、自然を活かした体験型コンテンツへのニーズが高まっていると分析されています。

リビエラシーボニアマリーナの事例では、まさにこの「ウェルネス×ネイチャー」の潮流を取り込みつつ、マリーナや海、富士山というロケーション資源を掛け合わせています。海辺のロケーションを持つホテル・旅館にとってはもちろん、山や湖、温泉地などでも、「自然×ウェルネス×季節行事（クリスマスや年末年始など）」という複合設計は応用しやすい視点ではないでしょうか。

さらに、「宿泊事業者における経営改善マニュアル」では、施設の生産性・業務の生産性・顧客価値の3つの観点から高付加価値化を進めることが重要とされています。
クリスマスのようなピンポイントの繁忙期でも、単価アップだけでなく「顧客価値として何を提供するのか」を意識して商品設計を行うと、リピーターづくりや口コミにもつながりやすくなりそうです。

リビエラシーボニアマリーナの取り組み背景と理由の整理

近場リゾートとウェルネス志向の高まり

観光庁が整理した観光コンテンツのトレンドでは、ウェルネス観光やネイチャーアクティビティの需要が、世界的にも増加していることが示されています。
「遠くのリゾートに長期滞在」だけでなく、「都市圏から1〜2時間で行ける近場の自然リゾートで、短期間でも深くリフレッシュしたい」というニーズは、日本国内でも顕在化していると考えられます。

リビエラシーボニアマリーナは、都心から約80分という距離感と、海・富士山・マリーナという非日常性を兼ね備えた立地で、このトレンドをうまく捉えているといえそうです。クリスマスシーズンは特に「非日常に浸りたいが、移動時間や混雑は避けたい」という層が多く、近場リゾートの魅力を訴求しやすいタイミングとも考えられます。

インバウンドの食体験ニーズとクリスマス需要

「旅館向けインバウンド受入ポイント集」では、朝食において「コーヒーや洋朝食の選択肢があると安心」「和朝食は好評だが量が多いので、おかわり自由・追加可能の方が好まれる」といった声が整理されています。
また、メニューの多言語化や、箸が苦手なゲストへのフォーク・ナイフの用意など、細かな配慮の重要性も指摘されています。

クリスマスのようなハレの日のコース料理では、国内ゲストだけでなく、在日外国人・訪日客の利用も見込まれる場合があります。その際、

地元食材を活かしつつボリュームや食習慣への配慮を行う
英語などでメニュー内容やコンセプトを説明できるようにしておく

といった工夫が、満足度向上と「また来たい」と思ってもらえる体験づくりにつながると考えられます。

さらに、多様な食習慣への対応ガイドでは、「ベジタリアンやヴィーガン、ムスリムなど、異なる制限があるゲストにも、共通して食べられる部分に着目してメニューを工夫すること」が基本的な考え方として示されています。
クリスマスコースの一部をこうした共通部分で構成しておくと、手間やコストを抑えつつ、幅広いゲストに喜ばれるメニュー設計がしやすくなるかもしれません。

リビエラシーボニアマリーナの具体的な取り組み・ニュース内容の解説

シーボニアクラブハウスレストランのクリスマス限定コース

リビエラシーボニアマリーナのメインダイニング「シーボニアクラブハウスレストラン」では、クリスマス期間限定の特別コースがランチ・ディナーそれぞれで提供されるとしています。

コース冒頭には、生ハムを使ったフィナンシェと季節のポタージュといった、遊び心のあるアミューズ
地元・三浦のカラフルな野菜と地魚のカルパッチョを組み合わせた前菜
魚介の旨味を凝縮したブイヤベース仕立ての魚料理
メインの肉料理は、三元豚のグリル、もしくはトリュフ香るソースで味わう和牛ヒレ肉のグリルから選択

という構成で、「三浦の恵み」「海の恵み」「ごちそう感のある肉料理」を一連の流れとして体験できるように設計されています。

宿泊業の視点で見ると、

地元食材の活用
コース全体のストーリー性
メイン料理のアップチャージによる単価アップ余地

といった要素は、自社レストランや夕食付きプランでも応用しやすい設計と言えそうです。

スペースキーポイントリビエラシーボニアマリーナのグランピングステイ

オーシャングランピング施設「スペースキーポイントリビエラシーボニアマリーナ」では、1棟2名利用を想定した1泊夕食付きプランが案内されています。ハーバー越しのサンセットと富士山を眺めながら楽しむ完全貸切のテントサウナ、焚火を囲んでのスモア、プライベートデッキで味わう鍋料理など、冬のアウトドア要素を組み合わせた滞在が特徴とされています。

グランピングやアウトドアサウナは、ウェルネス・ネイチャー・アドベンチャーといった、現在の観光トレンドと親和性の高いコンテンツです。
リビエラシーボニアマリーナのように、既存のマリーナや宿泊施設の敷地を活かして「小規模でも独自性の高い体験」をつくる発想は、多くの施設にとって参考になる部分がありそうです。

サステナビリティや教育への取り組み

リビエラシーボニアマリーナでは、グループ全体の「リビエラ未来づくりプロジェクト」の方針に基づき、環境・教育・ウェルビーイングの3つを柱としてサステナビリティ活動を展開しているとされています。特に海洋保全や海洋教育プログラムに力を入れ、SDGsの推進を行っていると説明されています。

観光庁がまとめた「宿泊施設向け国際基準に対応した持続可能な観光にかかる取組事例集」では、GSTC（世界持続可能観光協議会）の基準に沿った取り組みとして、環境・社会・文化・経済・品質管理などに配慮した経営管理を行い、取組内容を記録しながらPDCAサイクルで継続的に改善することの重要性が強調されています。

リビエラシーボニアマリーナのように、クリスマスイベントの裏側にあるサステナビリティのストーリーをきちんと持つことは、価格以上の価値を感じてもらううえで、特に感度の高いゲスト層に響きやすいと考えられます。社内的にも、従業員が「自分たちの仕事が環境や地域の未来に貢献している」と実感できれば、エンゲージメント向上にもつながりやすいでしょう。

奇跡の森と言われる小網代の森に隣接、温暖な気候や水深の深さに恵まれ理想的な自然条件がそろい、マンション、レストランを有する「大人のマリーナ」

リビエラシーボニアマリーナをヒントにした自社への活かし方のヒント

レストランと宿泊を組み合わせた「特別な一夜」の設計

今回のリビエラシーボニアマリーナのクリスマス企画は、

レストランのクリスマスコース
グランピングやサウナなどの体験
富士山を望むロケーション

をセットで訴求している点がポイントです。

自社で応用する場合は、例えば次のような組み立てが考えられます。

温泉旅館であれば
- クリスマス仕様の会席またはフレンチコース
- 夜は露天風呂や貸切風呂を「星空時間」として演出
- ラウンジで焚火風の演出やホットワイン・ノンアルカクテルを提供
都市型ホテルであれば
- レストランの特別コース＋夜景を楽しむルーフトップバー
- 館内スパやサウナとのセットプラン

いずれも「食＋空間＋ひとときをセットで設計する」ことで、単価が上がっても納得感のある商品になりやすくなります。

また、人手不足が続く中では、こうした特別プランを通常営業とどう両立させるかも大きな論点です。観光庁の生産性向上ハンドブックでは、施設の生産性・業務の生産性・顧客価値を同時に見ながら改善していくことが重要とされています。
まずは「今年のクリスマスは、どの時間帯・どのスタッフ構成なら無理なく高付加価値プランを回せるか」を事前にシミュレーションしておくと、現場の負担を抑えやすいでしょう。

多様なゲストに対応する食とサービスの工夫

クリスマスのコース料理では、豪華さとともに「食べきれる量」「食習慣への配慮」が満足度を左右します。「旅館向けインバウンド受入ポイント集」では、和食が好評である一方で「量が多い」という声も紹介され、量を控えめにしたうえで「おかわり自由」や「追加可能」とすることで、サービス向上とコスト削減、食品ロス削減を同時に実現できるとしています。

また、多言語メニューの作成についても、翻訳ツールを活用したうえで「逆翻訳」で精度確認を行うなど、比較的低コストでできる工夫が提案されています。

さらに、多様な食習慣への対応ガイドでは、「共通して食べられる部分に着目してメニューを組み立てる」ことで、ベジタリアン・ヴィーガン・ムスリムなど複数の制限に一度に対応できると説明されています。
クリスマスコースの野菜料理やスープ、デザートなど、一部の品を「誰でも食べられる」仕様として設計しておくと、予約時の相談にも柔軟に応じやすくなりそうです。

SNS・口コミを味方にした集客と従業員エンゲージメント

リビエラシーボニアマリーナのように、海・船・富士山・グランピングといった視覚的に魅力のあるコンテンツは、SNSとの相性が非常に良いテーマです。観光庁がとりまとめた「販路拡大に向けたSNSの効果的な活用」に関する資料でも、Instagramなどの主要プラットフォームの特徴やアルゴリズムを理解したうえで、継続的に発信することの重要性が整理されています。

同じく宿泊事業者向けの経営改善マニュアルでは、ブランドコンセプトを明確にし、それを体現する仕掛けとしてSNS発信を強化した事例が紹介されています。プロモーションの柱としてSNSを位置付け、担当者を選任し、投稿内容と頻度を整えることで、認知度向上と顧客導線の確立につながったとしています。

リビエラシーボニアマリーナの事例を自社に生かす際には、例えば次のような打ち手も考えられます。

クリスマスコースやグランピングの準備風景、サウナ後の「ととのい」スペースなど、舞台裏も含めて発信し、ストーリー性を持たせる
投稿制作を一部スタッフに任せ、「自分たちがつくっている体験」を言葉や写真で表現してもらうことで、従業員エンゲージメントを高める
クリスマス企画の前後でSNSの反響や予約経路を振り返り、来年に向けた改善ポイントをチームで共有する

業務効率の観点では、「誰がどの業務を担当しているか」を洗い出し、シフトや動線を見直すことが重要とされており、フロントや調理場、食事会場などの業務一覧を可視化した上で改善する手順が紹介されています。
クリスマスのような特別営業日ほど、この「業務の見える化」を事前に行っておくと安心です。

サステナブルなクリスマス演出でブランド価値を高める

国際基準に対応した持続可能な観光の事例集では、GSTC基準に沿って「環境・社会・文化・経済」など幅広い観点をバランスよく意識し、既に行っている取り組みも含めて可視化・記録していくことが推奨されています。

リビエラシーボニアマリーナのように、海洋保全活動や環境配慮を掲げている施設であれば、クリスマス企画でも例えば、

イルミネーションはエネルギー効率の高い照明を活用
料理には地元の旬食材や環境配慮型の調達を優先
グランピングのアメニティをリユース・リサイクルしやすい素材にする

といった工夫を行い、その背景をさりげなく発信しておくと、「価格以上の価値を感じてもらう理由」を増やすことにつながります。こうしたサステナビリティのストーリーは、従業員にとっても誇りになり得るため、エンゲージメント向上の文脈でも押さえておきたいところです。

リビエラシーボニアマリーナ事例のまとめ

リビエラシーボニアマリーナのクリスマス企画は、「レストラン×グランピング×サウナ」という複合コンテンツで、近場で非日常を味わえる隠れ家クリスマスを提案している事例といえそうです。
観光コンテンツのトレンドや宿泊事業者向けの経営改善マニュアルの内容を踏まえると、「食＋体験＋ロケーション」を一体的に設計し、顧客価値と生産性、従業員エンゲージメントを同時に高める視点が重要と考えられます。
旅館向けインバウンド受入ポイント集や多様な食習慣への対応ガイドを参考に、リビエラシーボニアマリーナのようなクリスマスコースでも、ボリューム調整や多言語メニュー、共通対応メニューの工夫を取り入れておくと安心です。
SNSや口コミを通じた発信は、リビエラシーボニアマリーナのような「フォトジェニックな隠れ家リゾート」にとって大きな武器になり得ます。社内で担当者や発信方針を決め、今年の取り組みを来年以降の改善につなげるサイクルをつくっておくと良さそうです。